アーミッシュの特徴と食文化5 -広島にある「アーミッシュ」,流通の原点「顔の見える生産・販売・消費」-
広島にある「アーミッシュ」
中国山地の自然豊かな広島県庄原市口和町。
その町に「アーミッシュ」という名称のお菓子工房があることを知りました。
アメリカ・ペンシルベニアのアーミッシュの名が,広島県内のお店で用いられているのは珍しいと思います。
この名称に興味を持った私は,真相を解明すべく,庄原市にある「アーミッシュ」を訪ねてみることとしました。
手作り工房「アーミッシュ」
松江自動車道と並行する県道39号線を車で北上し,庄原市口和町竹地谷にある「アーミッシュ」を目指しました。
しばらく走ると,「アーミッシュ」の看板を見つけたので,車を止めました。
(手作り工房「アーミッシュ」)
「アーミッシュ」の方から直接お話を伺ったり,このお店で商品を買ったりしたかったのですが,人がおられる様子がなく,残念ながら実現できませんでした。
販売店舗ではなく,加工所だけなのかも知れません。
建物周辺の山林には,たくさんのしいたけが栽培されており,しいたけの販売にも力を入れておられる様子でした。
庄原市口和町やアーミッシュの場所等については,こちらを御覧ください。
「まるごと口和ガイド」(庄原市観光協会口和支部)
アメリカ・ペンシルベニアのアーミッシュとの共通点
「アーミッシュ」を後にし,「アーミッシュ」の菓子を求めて,庄原市高野町の「道の駅たかの」へ行ってみました。
施設内の農産物等直売所「わいわい高原市場」では,「アーミッシュ」の各種シフォンケーキ(紅茶,モカマーブル,メープル,ブルーベリーなど)が販売されていました。
そしてよく周りを見渡すと,庄原市高野町はりんごが有名なので,アップルパイ,りんごタルト,りんごジャムなどりんごの食品が充実していました。
ルバーブジャムも含め,ペンシルベニアのアーミッシュとよく似た食べ物が売られていることに驚きました。
このほかにも,高野大根をはじめとする採れたての野菜や果物,比婆牛,漬物などたくさんの種類の農畜産物・加工品が売られており,中には都会のスーパーマーケットでは見かけない珍しい食材もあって,とても楽しいひとときを過ごすことができました。
手作り工房「アーミッシュ」のシフォンケーキ
手作り工房「アーミッシュ」の紅茶のシフォンケーキです。
(「アーミッシュ」のシフォンケーキ(商品名))
「amish」(アーミッシュ)と名称が表記されています。
(「アーミッシュ」のシフォンケーキ)
ボリュームのある大きさですが,ふわふわで甘さ控えめな生地なので,いくらでも食べられそうです。
素朴でやさしい味に仕上がっており,まさにカントリーケーキという名前がぴったりのシフォンケーキでした。
流通の原点は「顔の見える生産・販売・消費」
産直市や特産品加工販売施設には,生産者や加工(業)者が地元で採れた農畜産物やそれらの食材で作った加工食品を提供し,その土地の味を求めて消費者が集まります。
生産者・加工(業)者と消費者の距離が近い分,安くて,素朴で,嘘偽りのない食材や加工食品が提供され,それを購入することができることは,産直市や特産品加工販売施設を利用する上での大きなメリットだと思います。
そして,こうした顔の見える生産・販売・消費の形態こそ,アメリカ・ペンシルベニアのアーミッシュの考えとも共通する,昔ながらの本来あるべき流通形態ではないでしょうか。
都市部のデパートや大型スーパーマーケットなどで「ミニ産直市」のコーナーが設けられているのも,消費者ニーズが多様化し,現代日本に求められる流通形態の1つとなっていることを示す現象だととらえることができるでしょう。
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