「近大発ナマズ」の魅力に迫る -「なまずの蒲焼」-
7月2日はナマズの日
毎年7月2日はナマズの日です。
埼玉県吉川市,福岡県大川市,広島県神石高原町などナマズにゆかりのある全国の自治体で構成される「全国なまずサミット」により制定された記念日で,ナマズ「702」の語呂にちなんだものです。
2017年7月2日には,広島市南区のマツダスタジアムで「第2回全国なまずサミット」が開催され,広島県立油木(ゆき)高等学校で養殖したナマズ丼も販売されて大いに賑わったようです。
広島県立油木高等学校によると,同校産業ビジネス科の「ナマズ・プロジェクト」として,広島県神石高原町にある「油木百彩館」で,毎月第4土曜日にはナマズカレーを,第4日曜日にはナマズ料理をそれぞれ味わえるようです。
近大発「なまずの蒲焼き」
ナマズの日の前日の2017年7月1日,広島市内のイオンの鮮魚コーナーに「なまずの蒲焼」が販売されていました。
(「なまずの蒲焼」(包装))
近畿大学世界経済研究所の有路昌彦(ありじまさひこ)教授監修の「近大発ナマズ」を用いて調理された蒲焼です。
ウナギの蒲焼と同じ場所に陳列されており,1尾あたりの値段もウナギの蒲焼とほぼ一緒でしたので,現時点では決して安い商品とは言えません。
ただ,年々ウナギの漁獲量が減少傾向にあるなか,新たな食材として注目される可能性は大いにあるので,どんな食べ物なのか興味を持ち,購入してみました。
「なまずの蒲焼」の見た目
パックから「なまずの蒲焼」を取り出し,全体を撮影してみました。
(「なまずの蒲焼」(1尾))
全長約30cmあります。
全身がすっぽりと厚い皮に覆われています。
次に裏側も見てみましょう。
(「なまずの蒲焼」(裏側))
裏側はナマズの白身ですが,とてもやわらかく,水分も多く含まれているため,多少ふやけたような感じになっています。
こうしてみると,ウナギとナマズでは体形が異なることもあり,見た目については,ウナギの蒲焼とは少し異なると言えるでしょう。
「なまずの蒲焼」の身の特徴
次にウナギの蒲焼と同様に「なまずの蒲焼」をスライスしてみました。
(「なまずの蒲焼」(スライス))
ナマズの皮がグニョグニョ,ネバネバしているため(弾力性と粘性が高いため),身が切りにくいです。
また,身を切っても,皮と身の間にネバネバ(ムコ多糖類などの粘性物質)が多く,脂も多いため,皮と身がはがれやすくなっています。
(「なまずの蒲焼」(皮と身))
写真のとおり,皮が厚く,皮と身を容易にはがすことができます。
「なまずの蒲焼」の実食
「なまずの蒲焼」に添付されていたタレと山椒(ウナギの蒲焼用)を切身にかけ,実際にいただいてみました。
蒲焼のタレと山椒をかけると,ウナギの蒲焼とよく似た感じになりました。
(「なまずの蒲焼」)
ナマズの厚い皮の内側にかなり脂がのっており,その味や脂を焼いた香ばしい香りが,ウナギの蒲焼のそれととてもよく似ています。
これは嬉しいことです。
一方,ナマズの身については,水分が多く含まれるためか,ウナギよりも白く,淡泊な味となっています。
私の食べた感覚では,引き締まったタラの身やアナゴの身に近いように思いました。
ただ,ナマズを使ってここまでウナギの蒲焼に近づけるためには,相当な努力があったことは確かでしょう。
普通に野生のナマズを捕ってきて蒲焼に調理しても泥臭さを感じてしまうと思いますが,この「なまずの蒲焼」はウナギの蒲焼に近い味・風味になっており,とても美味でした。
希少で高嶺の花となってしまったウナギに比べ,人工ふ化や完全養殖が可能なナマズを用いて「ウナギ味のナマズ」を開発されたことは,大いに評価されるべきことだと思います。
ナマズ本来の魅力を消費者へ
今回いただいた「なまずの蒲焼」ですが,現時点ではウナギの蒲焼とほぼ同じ値段で販売されていることから,厳しい意見を言えば,これならウナギの蒲焼を買いたいと思う消費者の方が圧倒的に多いことでしょう。
「ウナギの代わり」として売り出す以上は,比較的値段が安いといった別の大きな魅力がないと,新たな需要の掘り起こしにつなげることは難しいと思います。
私としては,ナマズを「ウナギの代わり」として扱うのではなく,新たな食材として蒲焼以外の料理を開発するなど,もっと幅広く可能性を探ってみることも重要なことだと思っています。
希少となっているウナギの味に近づけることだけにとらわれず,ナマズ本来の魅力をもっと消費者に伝えることに力を注ぎ,新たな市場を開拓することも,有効な方法の1つではないでしょうか。
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こんにちはぁ^^
ナマズ・・テレビでしか見たことがないですが~
美味しいのでしょうか??(笑)
高校生が頑張ってるのはいいことだなぁ~と思います。
ナマズの日があるのは初めて知りました。
投稿: ヒナタ | 2017年7月13日 (木) 14時01分
ヒナタ 様
こんにちは!
コメントいただき,ありがとうございます。
ナマズ,脂がのった部分の味はウナギとよく似ていて,美味しいですよ。
白身はウナギと比べるとかなり淡泊ですが。
見た目に慣れてない分,ウナギの蒲焼に比べてどうしても見劣りしがちですが,出荷量が増え,口にする機会が多くなれば,違和感なく普通に美味しく食べることができるでしょう。
広島の高校生がナマズのブランド化,ナマズ食の普及のため頑張っておられます。
私もエールを送りたいです。
来年のナマズの日には,ナマズ料理が今よりもっと身近な食材になっているかも知れませんね。
投稿: コウジ菌 | 2017年7月13日 (木) 19時19分
ナマズ、、釣ったことはあるけれども食べたことないです
広島県神石原高原町は、地質は解りませんが地理的にちょいと山手だから
ナマズの生息域が広いのか?
腹開き?だから関西風の鰻として言うと
ただ見た目から、皮がパリパリにならないのならば
王者に勝ちたいはわかりますが
鰻と対抗などせずに
鍋とかフライとかハーブ使ってムニエルとか
それか、アジアを代表するような魚なので甘酸っぱいタレで
エスニック風もいいか!
とにかく泥くささを消せば
独自の路線で行けそうな気がするんですが
私ならば今の時期ならば白焼きしてから水炊きにして
薬味一杯入れた味ポンでたべるかな~♪
しかし、最近の高校はかなり踏み込んだことをやってるんですね
高校生活、ほとんど記憶の無い私はじつにうらやましい
投稿: tomo | 2017年7月13日 (木) 19時57分
tomo 様
コメントいただき,ありがとうございます。
ナマズを釣られたことがあるのですか!!
私は釣り好きですが,ナマズが釣れたら…どうしていいかわからず川に返すと思います(笑)。
広島県神石高原町は山間部に位置しますが,学校の池や廃校になった敷地にあるプールなどで養殖されているようです。
おっしゃるとおり,ウナギと肩を並べることを念頭に置くよりは,オリジナルのナマズ料理を開発して広めていく方が受け入れられやすいのではないかと思います。
ナマズっか蒲焼を意識すると,本物のウナギが恋しくなってしまいますから(笑)。
近大発ナマズ,泥臭さを無くすことに成功されているんです!
だから,tomoさんからいただいた,フライやムニエル,エスニック料理に仕上げるアイデアは使えると思います。
私もナマズの見た目を考えると,フライや天ぷらなど揚げものが適してるかなと思います。
エスニック風なら,さっと素揚げにして,スイートチリソースをかけてハーブとともにいただくのも美味しそうです。
白焼きにポン酢も,ナマズに脂がのっているので,さっぱりといただけて美味しそうですね。
クセをうまくまとめる赤味噌を使ったナマズ汁もいけるかも知れませんね。
tomoさんお住まいの愛知の食文化に合う食材かも知れません。
いずれにせよ,まずは見た目も含め,ナマズに慣れてもらうことから始めるのが良いと思います。
将来の有望な食材として期待されるナマズの普及・啓発に努めておられる,近畿大学や広島の油木高校など関係機関・団体の皆様に心から敬意を表したいです。
今回も貴重な御意見をいただき,ありがとうございました。
投稿: コウジ菌 | 2017年7月14日 (金) 19時26分