« 赤ヘル耳かき -広島県広島市- | トップページ | こけし(山形)の耳かき -山形県山形市- »

2017年9月24日 (日)

あずきの研究13 -御座候本社工場・あずきミュージアム見学-

 少し前のことですが,兵庫県姫路市にある御座候(ござそうろう)の本社工場と,併設されている「あずき」をテーマにした全国でも珍しい博物館「あずきミュージアム」を訪問しました。

 小豆が大好物の私にとってはまさに聖地とも言える場所で,2回目の訪問となります。

 今回は,この御座候本社工場や「あずきミュージアム」の様子,ミュージアムレストラン・工場ショップで味わった食べ物などを御紹介したいと思います。


あずきミュージアム

 御座候本社・工場,あずきミュージアムは,姫路駅南口から山陽新幹線高架沿いを東に約15分歩いたところにあります。

 山陽新幹線の車内からも,御座候本社に掲げられた「姫路にうまいもの 御座候」と記された看板を見ることが出来ます。

(御座候本社工場)
Photo

 この本社工場の建物の奥にあずきミュージアムがあります。

(あずきミュージアム入口)
Photo_2

 ミュージアムの周りは照葉樹を中心とした緑に囲まれ,ゆったりとした時間を過ごせるよう工夫されています。

 あずきミュージアムでは,小豆栽培の歴史,小豆の品種,世界の小豆食,小豆にまつわる行事や伝承,小豆の赤の世界,小豆が育つ環境である照葉樹林帯の特徴(「照葉樹林文化」)などが紹介されています。

(エリモショウズ)
Photo_3

 北海道・十勝で栽培されている「エリモショウズ」と呼ばれる小豆です。

 御座候の赤あん(小豆あん)に使われている品種です。

 ミュージアム内には,オリジナルグッズが販売されているショップや,小豆のお菓子作りが体験できる調理体験室などもあり,1日中楽しめるようになっています。


御座候工場見学

 あずきミュージアムに隣接する工場ショップで受付をし,御座候の工場を見学させていただきました。

 赤あん(小豆あん)と白あん(手亡あん)の製アン工程を中心に見学しました。

 工場は主に午前中に稼働し,夕方,全国約80店舗へ出荷されます。

 あんは炊きあがるまでに約1時間かかります。

(製アン釜から白あんが取り出される様子)
Photo_4

 写真は,工場2階にある製アン釜で出来上がった白あんを台車に取り出している様子です。

 この製アン釜で御座候(今川焼き)約3,300個分の量になるというお話でした。

 ちなみに,赤あんと白あんの生産割合は赤7割,白3割だそうです。

 台車にのせられた白あんは,工場2階から1階に通じるアンホッパーを経由して1階に移動し,個別の缶容器に詰められます。

(白あんをアンホッパーに投入している様子)
Photo_5

 写真は白あんを1階(真下)のアンホッパーに投入している様子を撮影したものです。
 間近で見ると,とても迫力がありました。

(赤あん缶と白あん缶)
Photo_6

 アンホッパーから充填機を使って,缶容器に詰められ,コンベアで運ばれている様子です。

 この1缶で御座候(今川焼き)約360個分の量があるそうです。

 このあと赤あん・白あんは缶容器ごと冷まされ,全国約80店舗に出荷されるとのお話でした。

(御座候トラック)
Photo_7

 御座候の紙容器そのままのデザインのトラックです。
 個人的に,こういう発想は大好きです。


工場ショップ

 工場に併設されている工場ショップに寄りました。

 ここでは,焼きたての御座候のほか,あずきソフトや各種ドリンク,そしてジャンボ餃子・坦坦麺・肉まんといった御座候の中華料理まで味わうことが出来ます。

 私はお目当ての御座候を注文しました。

 作り置きではなく,注文を受けてから1個1個丁寧に作られるので,少し時間がかかります。

(工場ショップで御座候が作られる様子)
Photo_8

 冒頭で,今回が2回目の訪問となることをお話ししましたが,初めて訪問した際は出来上がりまでに時間がかかることを考慮しておらず,注文して待っている間に帰りの電車の発車時刻が迫ってしまったので,キャンセルさせてもらい,泣く泣く姫路駅へ走って帰った苦い思い出があります。

 そんな経験もあったので,今回は余裕を持って注文しました。

 庭を眺めながらのんびり待っていると,少し経って待望の御座候が出来上がりました。

(工場ショップの御座候)
Photo_9

 黄金色をした出来たて,アツアツの御座候です。

(工場ショップの御座候(中身))
Photo_10

 中のあんも,黒色というよりは小豆の色が映えた赤色で,とろけるようなやわらかさに仕上がっていました。

 早速いただいてみると,皮が薄くてパリパリしており,これまでの御座候では味わったことのない食感に感動しました。

 中の赤あんは工場直送で新鮮なことから美味しいと言えるでしょうが,これは基本的には店舗販売のものと変わらないはずですから,やはりその皮の仕上がりに価値があると言えるでしょう。

 御座候を作っておられた方にその秘密を伺ってみました。


 私:「お店で売られている御座候と違う美味しさですね。特に皮がパリッとしているのが印象的です。いい銅板を使っておられるのでしょうね。」

 店員:「実は銅板はどの店も同じなんですよ。皮がパリッと仕上がっているのは焼きたてをすぐに召し上がるからなのです。お持ち帰り用の紙容器に入れるだけで,蒸発する水分ですぐに皮がふやけてしまうのです。」

 私:「だから焼きたてを皿で出されるのですね。」

 店員:「そうです。極端な話,皿で焼きたてをお出ししても,皿にくっついている御座候の下側の皮は,蒸気の逃げ場がなく,すぐにふやけてしまうので,上側と下側でも食感が異なってくるのですよ。」


 なるほど,皮がとてもデリケートなんですね。
 
 店舗でこの食感を味わいたいなら,お皿を持参し,焼きたてを皿に置いてもらう(または手渡しでもらう)よう注文すればよいのか…と少し真面目に考えてしまいました。

 お土産に御座候の肉まんを買い,こちらは自宅で味わいました。

(御座候の肉まん)
Photo_11

 中の具(アン)がとてもジューシーで,美味しくいただきました。


ミュージアムレストランのあずき粥

 お昼になり,あずきミュージアム2階のミュージアムレストランへ行きました。

 前回訪問した時は,赤飯,いとこ煮,小豆の天ぷら,小豆豆腐,うどん,あずきソフト,あずき茶などがセットになった,まさにあずきづくしの「あずき御膳」を味わったのですが,その時から次回はこれと決めていた料理がありました。

 それは「あずき粥」です。

 このあずき粥,注文を受けてから出来上がりまでに,約1時間も待つ必要があるのです。

 そこで私は施設見学前にあらかじめ注文しておき,見学後にレストランへ行っていただくこととしました。

(あずき粥(白小豆))
Photo

 私が二度目の訪問にして注文することができたあずき粥です。

 小豆は赤い小豆と白小豆が選べたので,私は珍しい白小豆を選びました。

 米と白小豆を土鍋でじっくり炊き上げ,塩で味付けされたシンプルなお粥です。

 素朴な味で,食べるごとに体が喜び,胃にゆっくりとやさしくおさまっていくように感じられました。

(あずきソフトとあずき茶)
Photo_2

 ほのかな小豆色をし,小豆がのせられたソフトクリームと,小豆のお茶です。

 小豆が入っていることで,和菓子のようなソフトクリームに仕上がっています。

 ひととおり食べ終えた後,温かいあずき茶を飲みながら庭園を眺め,しばらくゆっくりとした時間を過ごすことができました。


たんたん山陽店

 広島への帰途,姫路駅前の山陽百貨店地下1階にある御座候の中華料理店「たんたん山陽店」に寄ってみました。

(たんたん山陽店)
Photo_3

 工場ショップでも販売されていたジャンボ餃子,坦坦麺,肉まん,焼売などをカウンター席で気軽にいただくことができるお店です。

 坦坦麺は醤油味とゴマ味噌味が用意されています。

 どのメニューも美味しそうで,しかもリーズナブルなので,食べてみたいという気持ちがとても強かったのですが,すでに御座候本社でいろんなものをいただいた後だったので少し無理があり,次回姫路を訪れた時のお楽しみとしました。

 これでまた姫路に行くきっかけができました(笑)。

 小豆に興味をお持ちの方は,ぜひ姫路においでください。

 「姫路にあずきミュージアム 御座候」(姫路にあずきミュージアムがございます)


<関連サイト>
 「御座候
 「あずきさん公式Blog(「紅葉とストラップ」2013年11月)」(コメント欄に私のコメントが掲載されています。この時豆三郎さんからいただいたお返事に刺激を受け,その後当ブログ開設(2014年1月),「あずきの研究」シリーズ執筆につながりました。)

<関連記事>
 「あずきの研究」(カテゴリー「食文化事例研究」に掲載しています。)

« 赤ヘル耳かき -広島県広島市- | トップページ | こけし(山形)の耳かき -山形県山形市- »

食文化事例研究」カテゴリの記事

コメント

こんにちはぁ

あんこづくし~o(*^▽^*)o小豆ミュージアムなんて・・・
初めて聞きました。
今川焼も美味しそう。
場所に寄り呼び名が違うんですよね~
大判焼き。太郎焼き。あじまん。まぁ~どれも、美味しいんですけど・・ヽ(´▽`)/

ヒナタ 様

こんにちは。コメントいただき,ありがとうございます。

そうですね。姫路なので,お住まいからは少し遠いですね。

あんこづくし!あんこ好きな私は,製アン工場であんこを滝のように浴びてみたいと思いましたよ(笑)。

松本家の丸ようかんや水ようかんを取り寄せたのも,好きだからこそなのです(^o^)

今川焼き,全国でいろんな呼び方がありますよね。

広島では,「御座候」(商品名),「二重焼き」,「大判焼き」などと呼びます。
私が一番馴染みのある言い方は「二重焼き」ですが,他県では通じないのでしょうね(笑)。

逆に太郎焼きやあじまんは初耳です。この言い方から今川焼きは思い浮かびません。「いもくり佐太郎」のような饅頭をイメージします(笑)。

どれも美味しいからいいという御意見。大賛成!!

なんというタイミングでこの記事!
焼きたての御座候、食べたーい!!!
御座候が中華方面を展開しているのは知りませんでした。
肉まんの季節、こちらも食べてみたいです。

多分、太郎焼きって会津。あじまんは山形です。
二重焼きは・・・・うん。ピンとこないね^^

あ~いもくり佐太郎~食べたくなった(笑)

むむ!今回も凄い所行ってきましたね

昔、仕事で銅鍋にはりつき、休みなしで
焦がさないように汗だくでくつくつ焚いていた時はすぐ火傷するし、熱いと苦痛でしたが
アンコ狂県人としては、でら魅力的な工場

九州で食べたのとはまた違った感じの
出来たてのつぶつぶ餡の大判焼き(尾張での名称)なんて見ただけでたまらい!

小豆栽培ってば物凄い虫が付くので流石に無農薬では難しい所がありますが
いつか自分で作った小豆で、きんつば(好物)焼いてみたいな~(*^m^)

こんばんは。

あずきミュージアムあるんですね。
あん作りの工程見学ってなかなか興味深いです。
大量のあんがざば~って!
工場内は甘いにおいが充満してるんでしょうねぇ。

できたての回転焼きが~!
あずきアイス~!
おいしそうです、しずられます~!

甘いものは生きていくのにめっさ大切ですよね。

chibiaya 様

コメントいただき,ありがとうございます。

そうなんです。いつか記事にまとめなければと思いつつ,忙しくてそのままにしていたのですが,あんこの話題を提供していただいたので,これを機会に一気に記事にしようかなと思いついた訳です(^_^;)

焼きたての御座候,皮が薄焼きせんべいのように薄くてパリッとしてるんですよ。
今度,勇気と時間があったら店舗で焼きたてを注文し,その場で食べてみてください(笑)。

姫路も機会があればぜひ!

御座候は中華料理も力を入れておられます。
担担麺が300円台からと,全体的にとてもリーズナブルなんですよ!

記事を書く機会を与えていただき,ありがとうございました!

ヒナタ 様

なぜ「太郎」なのか,なぜ「あじまん」なのか謎は尽きませんが,おかげさまで次回こうした呼び名が登場しても「今川焼き」のことかと理解できそうです(笑)。

広島では,こんなユニークな今川焼きもありますよ!

「カレー焼き」
http://tabetainjya.com/archives/cat_14/post_1327/
(呉(海上自衛隊・カレーとの関連?))

「金持ち大判焼き(ミックス)」
http://tabetainjya.com/archives/itsukaichi1/post_3747/
(広島市佐伯区五日市にある造幣局に近いため)

「広島菜入り二重焼き」

「びっくり饅頭」
http://tabetainjya.com/archives/cat_14/post_908/
(呉(びっくりするほど美味しいから?))

おおお~っ。
カレー焼きは食べやすそうだし~
二重焼きのなんだろう~この、お得感な気分になる感じ。
びっくり饅頭の餡子の何とも言えない
とろ~りとした。絶対うまい奴を醸し出している感じ。。。

あ~よだれが~( ̄ー+ ̄)

tomo 様

コメントいただき,ありがとうございます。

確かにあんこ大好き愛知県人(笑)のtomoさんにとっても魅力的な所だと思いますよ。
いつか取材を(笑)

パティシエ時代の銅鍋のお話,熱伝導率が良いからあんやクリームを作る際に使われるのでしょうが,その分取扱いは大変なのでしょうね。
tomoさんの苦労された様子が目に浮かぶようです。
最近,広島空港近くのくりーむパンで有名な「八天堂」のパン工場を見学させていただいたのですが,そこでカスタードクリームを作る際に銅鍋(ボウル)を使用されていました。
http://hattendo.jp/factory/
(05 カスターラインに登場する銅鍋です)

tomoさんの九州旅行の際,天神で蜂楽饅頭を召し上がっていただいたお話,嬉しかったです。

tomoさんが栽培された小豆でお菓子作られたら,感動ものの美味しさでしょうね!
それが世の中で一番美味しいはずです。
きんつばがお好きとは,私と同様,相当な小豆ファンですね(笑)。

サウスジャンプ 様

コメントいただき,ありがとうございます。

アン製造工場,あんがザバーっと運ばれる様子は壮観でした。
一瞬,本気であの滝のようなあんを浴びてみたいとも思いましたが,本当に浴びたらその重さに耐えられないでしょうね(笑)

サウスさんは回転焼きと呼ばれるのですか。
出来立ての回転焼き,皮がパリッとして美味しかったですよ~。
あんこが入ったあずきアイスも。
機会があれば召し上がっていただきたいです。

シズル感のお話,とても嬉しかったです。
日差しが強かったので多少白とびしてしまいましたが…(笑)。

甘いものは心の栄養でもありますね。
甘いもの=太るという考えに縛られて,ストレスになるようでは意味がありませんものね。
一番の大敵はストレスですから…。

私も甘いものをよく食べてますよ。

おやつタイムや頑張った自分への御褒美として甘いものを上手にいただき,楽しい日々を過ごしたいですね!

ヒナタ 様

こんばんは。

御覧いただき,ありがとうございます!

いろんな味がありますよね。

広島にお越しになればご案内しますよ!これ以上に(笑)

そして私に合わせて,二重焼きと言ってくださってる(笑)。ありがとうございます。

お話で気付きましたが,今川焼きって,安くて大きくて,とてもお得感がありますよね。
広島のお好み焼きも似たようなところがあるように思いました。
またまたヒナタさんのお話で,勉強になりました。

私も「太郎焼き」食べに行きたいです(笑)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あずきの研究13 -御座候本社工場・あずきミュージアム見学-:

« 赤ヘル耳かき -広島県広島市- | トップページ | こけし(山形)の耳かき -山形県山形市- »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ