クリスマスディナー -日本でクリスマスが年中行事となった理由-
クリスマスディナー
今年も海辺のレストランで生演奏を聴きながらクリスマスディナーをいただくことが出来ました。
音楽はフルートとキーボードを使っての生演奏でした。
曲目は,「神の御子は今宵しも」,「さやかに星はきらめき」,「アヴェマリア」,「そりすべり」,スコットランド民謡の「The water is wide」など有名なクリスマスソングを中心とした構成でした。
毎年,このレストランで生演奏を聴きながら食事すると,1年頑張った御褒美をいただいてるような気がし,この日を迎えられて良かったとしみじみ思ってしまいます。
生演奏を聴きながらいただいた料理とデザートを御紹介します。
(前菜)
前菜は写真右上から時計回りに,殻付牡蠣のアヒージョ,鴨のスモーク,牛肉のブルスケッタ,スモークサーモンの野菜マリネ,海老のフリット,キッシュ,そしてエスカベッシュです。
(漁師風魚介のスープ)
「漁師風」という名称は,イタリア料理やフランス料理でよく登場しますが,要するに魚介が中心の料理という意味です。
このスープも魚や海老,イカなど魚介がたっぷり入った濃厚なスープに仕上げられていました。
(牡蠣のトマトパスタ)
大粒の牡蠣がのせられたトマトパスタです。
牡蠣の火の通し加減が絶妙で,トマトソースとの相性も良いことがわかりました。
(真鯛のソテー)
皮はパリッと香ばしく,身はジューシーな真鯛のソテーです。
焼いたズワイガニやゴボウのチップスも添えられています。
真鯛のソテーはホタテのムースがはさまれ,ミルフィーユ仕立てとなっていました。
雲丹とズワイガニのソースでいただきました。
(ローストビーフと豚ヒレパイ包み)
厚めにカットされたローストビーフと豚ヒレ肉のパイ包みです。
赤ワインソースでいただきました。
いずれも焼き加減が丁度良く,ボリュームも満点でした。
(クリスマスデザート)
グラスに入ったティラミスとイチゴがのせられたロールケーキ,そしてコーヒーのデザートです。
クリスマスらしい豪華な料理を堪能しました。
(生演奏の様子)
そのうちに演奏もラストとなり,大きな拍手とともに終了しました。
その瞬間,私は「言っていいのかな」と思いつつ,勇気を振り絞って大勢のお客さんがおられる前で声を出しました。
「アンコール!!」
周りのお客さんもそれに気付いてくださり,「アンコール!アンコール!」と次第に声と手拍子が大きくなりました。
すると演奏者から「嬉しい~!」とお返事をいただき,アンコールの曲が演奏されました。
「蛍の光」でした。
この曲で今回のディナー,そして今年1年の締めくくりとすることが出来ました。
今年も美味しい料理と楽しい音楽で幸せな時間を過ごすことが出来ました。
日本でクリスマスが年中行事として定着した理由
音楽はクリスマスの曲が中心だったのですが,演奏者から「日本でキリスト教の行事であるクリスマスがここまで受け入れられているのはスゴイことですよね。」とお話がありました。
確かによく考えてみると,神道や仏教が中心の日本にあって,ここまで定番の年中行事として受け入れられているのはスゴイことだと思います。
いろんな理由があってのことと思いますが,私はクリスマスが日本人の思想や,ほかの日本の年中行事とうまく融合出来ていることが1つの大きな理由だと思います。
日本人には,神道の「お祓い(おはらい)」にみられるように,これまでのことは一度リセットし,新たな気持ちで次の段階を迎えたいという思いがあります。
季節的にみれば寒く,ややもすれば気持ちまで沈みがちですが,日本人には何かしら1年の積り積もったものを発散・清算して,改めて清々しい新年を迎えたいと思う気持ちが高まるシーズンでもあります。
年末に忘年会をするのも,1つの区切りをつけ,新たな気持ちで新年を迎えたいという思いがあるからです。
そもそもキリスト教が,寒さが厳しく,1年を通じて最も日の短い冬至に近い日をイエス・キリストの誕生日に設定したことは,その後に人々に夢や希望を与えるという意味でも大きなメリットがあったからでしょう。
その欧米の宗教行事を宗教色を薄め,日本の年中行事として組み入れることで,日本人にとっても,明るく楽しい時期に変化させることが出来ます。
消費から考えても,サラリーマンの場合はボーナスなどの臨時収入もある時期で,クリスマスを行事に取り込むことで,食品業界だけでなく幅広い業界の需要を喚起させることが期待出来ます。
こうして年末に,社会的な行事としての忘年会と個人的な行事としてのクリスマスが日本人の共通認識と合致する行事として,お歳暮などと同様に年末の一大イベントに成長したのだと思います。
(もちろん,社会的な行事としてのクリスマス,個人的な行事としての忘年会という形態もありますが。)
日本人は外国の文化を日本人に合うように工夫し,自分達のものとすることにとても長けています。
クリスマスもそのような感じで受け入れられ,日本の年中行事の1つとして定着しているのでしょう。
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「クリスマスディナー -フルート・ピアノ・チューバの生演奏とアメイジング・グレイスの意味-」
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コメント
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こんばんは。こちらのブログへのコメントもありがとうございます!
クリスマスに美しい演奏とお食事、とってもラグジュアリーな気分が伝わってきます。
素朴な疑問…お一人で行かれたのではないですよね??
投稿: ★reiko | 2017年12月26日 (火) 21時01分
★reiko 様
コメントいただき,ありがとうございます。
関東にお住まいの方で岡山・白十字のカスタードクリーム入りワッフルを御存知とのお話には驚きました。
グルメのレベルが高いなと(笑)。
今回訪問したレストランでは,毎年クリスマスの時期に演奏付きの特別コースが用意されるので,毎年訪問するのを楽しみにしています。
食事も音楽も好きで,1年頑張った御褒美をもらっている気分になり,料金以上の満足感があります。
ディナーは妻と行きました。
今回は日本のクリスマスについてまとめてみようと思い,クリスマスディナーの様子を交えて記事にしてみました。
最後の文章だけだと,関心持っていただける人は少ないでしょうから…(笑)。
投稿: コウジ菌 | 2017年12月27日 (水) 19時21分