長野県東御市の風土とフード -信濃くるみ・黒糖くるみ・くるみおはぎ・クソ爺のこだわり・花豆チョコ-
2017年11月に長野県東御(とうみ)市を訪問しました。
同市内の「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー」を訪問した後,しなの鉄道田中駅に隣接する「東御市観光情報ステーション(信州とうみ観光協会)」へ行き,東御市の観光名所などを教えていただくこととしました。
(しなの鉄道田中駅と115系電車)
しなの鉄道田中駅に停車していた115系電車です。
赤とグレーの「しなの鉄道色」が印象的です。
観光協会の方から,「北国街道『海野宿(うんのじゅく)』へ行けば,お土産屋さんも多く,千曲川(ちくまがわ)の景色もきれいですよ。」と教えていただいたので,車で訪問してみました。
(夕暮れの千曲川)
海野宿の起点,白鳥神社付近から眺めた夕暮れの千曲川です。
(海野宿・重要伝統的建造物群保存地区)
北国街道の宿場町として栄えた海野宿の重要伝統的建造物群保存地区の様子です。
岡山県倉敷市の美観地区や島根県津和野町の町並みと雰囲気が似ているように思いました。
海野宿で見つけた東御市の名産を御紹介したいと思います。
信濃くるみ
「道の駅 雷電くるみの里」の海野宿店,「せせらぎ」というお店に伺いました。
店内には,東御市の特産品「信濃くるみ」やその加工食品を中心にたくさんのお土産が販売されていました。
私がお店の方に「くるみを割るためにはくるみ割り器が必要ですよね…」とお話しすると,お店の方は「器具がなくても,マイナスドライバーやかなづちがあれば簡単に割れますよ。」とおっしゃり,実際にくるみを割って試食させていただきました。
次々といとも簡単にくるみを割られる様子を目の当たりにし,驚きました。
(信濃くるみ)
やさしいクリーム色の殻をした信濃くるみです。
一度割ったら,殻は意外にもろいので,中のナッツは手で取り出せます。
信濃くるみはコクがありますが,脂肪のしつこさがなく,一度食べたら止まらないおいしさでした。
信濃くるみの黒糖菓子
信濃くるみに黒糖がまぶされたお菓子も売られていたので,購入しました。
(信濃くるみの黒糖菓子)
信濃くるみに黒糖がまぶされたもので,かくし味の塩も甘みを引き立てています。
大豆やピーナッツに黒糖をコーティングしたお菓子はよく見かけますが,くるみというのは珍しいですね。
くるみおはぎ
道の駅雷電くるみの里の人気商品,くるみおはぎも購入しました。
(くるみおはぎ)
地元産のもち米とくるみを使ったおはぎです。
細かく擂ったくるみに砂糖,塩,醤油を加え,もち米の表面にまぶしたおはぎです。
きな粉おはぎに似ていますが,くるみの持つ深いコクと香ばしさを味わうことができます。
醤油の味も手伝って,甘じょっぱい味にどこか懐かしさを感じるおはぎでした。
「クソ爺のこだわり」
続いて海野宿の入口付近にある「齋藤商店」を訪問しました。
散策していてとても気になる看板を見つけたからです。
(齋藤商店看板)
「クソ爺のこだわり?」
これはちょっとお話を聞いてみなければと思い,それらしき人を探しました。
すると真田幸村の赤い甲冑を身に付けた男性がおられたので,つい私はこう話かけてしまいました。
「あなたがクソ爺さんですか?(笑)」
「はいそうです。」というお返事をいただいてから,おもしろおかしく二人で会話が盛り上がりました。
こちらがその「クソ爺のこだわり」です。
(「クソ爺のこだわり」包装)
「クソ爺のこだわり」とは椎茸のフライのことでした。
(「クソ爺のこだわり」)
小ぶりの椎茸をカラカラによく油で揚げ,ブドウ糖,食塩,胡椒で味付けたスナックです。
しょっぱそうなスナックに見えると思いますが,実はとても甘いのです。
まるで白あんを食べているかような甘味があります。
椎茸特有のにおいもほとんどなく,椎茸が得意でない人もおいしく食べられるよう工夫がされています。
それもそのはず,「クソ爺」さん御自身が椎茸が苦手なのだそうです(笑)。
御自分は椎茸が苦手なのに,人にはこだわりの商品として売っておられるのです(笑)。
とてもおもしろい商売をされているな,これが魅力なのだろうなと感心しました。
「花豆チョコ」
もう1つ,「新商品を開発したから」とすすめられたのが「花豆チョコ」です。
(「花豆チョコ」)
長野は花豆の生産地でもあります。
その花豆の甘納豆にチョコレートをコーティングしたお菓子です。
ゴディバのチョコレートが使われているそうです。
大きく食べ応えのある花豆とチョコレートの相性が良く,これなら自信を持って商品として売れるのではと思いました。
長野県東御市の風土と食文化
「クソ爺」こと齋藤さんから,くるみをいただきながら,なぜ東御市がくるみの産地になったのかお話を伺うことが出来ました。
くるみはもともと,東御市の東にある軽井沢で栽培されていたようです。
軽井沢と言えば,明治以降,避暑地として多くの外国人が滞在し,国際的リゾート地として発展してきた地です。
滞在する外国人から,くるみ(ウォルナッツ)の需要も出てきたのでしょう。
しかし,軽井沢の気候は,くるみの栽培地としては適さなかったようで,くるみの栽培地は徐々に西へ向かうこととなります。
そしてくるみの栽培に適していた地が東御市だったようです。
雨が少なく,水はけがよく,日照時間が長く,昼夜の寒暖差が大きく,土壌の質が良い東御市は,良質なくるみを栽培するのに最もふさわしい場所とされ,本格的なくるみの産地になったというお話でした。
軽井沢に滞在する外国人の需要と東御市の風土が合致して,くるみの一大産地となったのですね。
ここまでお話を伺って,ふと「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー」を訪問した時のことを思い出しました。
東御市は「千曲川ワインバレー」と呼ばれるほどワイナリーが多い地域でもあります。
くるみと同様に,東御市の風土に合うブドウやリンゴを栽培し,ワインやシードル(リンゴ酒)を作るというのは,理に適っていることなのです。
軽井沢が近いことと洋酒であるワインやシードルの需要があることにも何らかの関連性があることでしょう。
このあたりまで理解できると,食のフィールドワークを通じた地域の研究は面白いと感じていただけるのではないでしょうか。
<関連サイト>
「信州とうみ観光協会」(長野県東御市田中279)
「道の駅 雷電くるみの里 海野宿店『せせらぎ』」(長野県東御市本海野1100)
「千曲川ワインバレー」(NAGANO WINE応援団運営委員会・長野県産業労働部)
<関連記事>
「長野県東御市 ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー訪問ノート」
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コウジ菌さん、おはよーです(/・ω・)/
長野県に行ったんですか~・・・ん?遠くないですか???
長野県って確か上の方ですよね(地理が壊滅的にダメな私・・・)
確かに街並みが美観地区みたいですね!
なんだか嬉しいです!
くるみっていろんなものに加工されるんですね。
そのままでもおいしいですけど、
ひと手間ふた手間かかったものもいいですね(*^_^*)
椎茸のお菓子を作ってるおじさんには笑いました。
私もなんか、こう・・・頑固に貫いてみたいなと思いました。
私はコウジ菌さんのようにいろいろなところには行けないけど、
コウジ菌さんのブログを読んですごく楽しい気持ちになります(*^▽^*)
これからも頑張ってくださいヾ(≧▽≦)ノ
投稿: ゆめはる | 2018年1月 5日 (金) 06時39分
ゆめはる 様
こんばんは。コメントいただき,ありがとうございます。
東御市は長野県,それも群馬県(関東)に近い所なので,広島からは遠かったです。
海野宿は倉敷の美観地区と様子がよく似てますよね。
美観地区も好きで,よく行きます。ゆめはるさんも行かれてましたね。
くるみ,おはぎまであったのでびっくりしました。
正直な話,くるみの殻を割って食べるのは少し面倒だと思いましたが,手間がかかるだけの美味しさがあります。
東御市はくるみ,ブドウ,リンゴ…美味しいものがたくさんあります。
「クソ爺のこだわり」という変な看板を見た瞬間から,「これをネタに記事を書こう(笑)」と思いました。
「クソ爺」さんにお会い出来て楽しかったです(^o^)。
自分の考えや思いをしっかりと持ち,自分らしく生きておられる人は,人間的にとても魅力があるように思います。
絵や音楽など様々な分野で,ゆめはるさんは私は到底及ばない素晴らしい才能をお持ちなので,その才能を発揮して,もっともっと魅力のある人になってください。
私の記事をお読みいただき,,何か1つでもクスッと笑えてもらえたり,参考になったと思っていただけたら,こんなに嬉しいことはありません。
とても嬉しいコメント,ありがとうございました。
年末年始に頑張って?作成して良かったなと思いました。
今年もどうぞよろしくお願いします。
投稿: コウジ菌 | 2018年1月 6日 (土) 01時19分