岩手の食文化探訪1 -沢菊「ぶすのこぶ」・食道園「平壌冷麺(盛岡冷麺)」-
岩手県盛岡市を訪問しました。
広島の自宅を出発し,広島空港からIBEXエアラインズの飛行機で仙台空港へ,仙台空港から電車(仙台空港アクセス線)で仙台駅へ,仙台駅から東北新幹線はやぶさを利用して盛岡駅へ到着しました。
(盛岡駅)
盛岡駅から徒歩で開運橋近くの「盛岡駅前自転車駐車場」へ行き,こちらでレンタサイクルをお借りして盛岡市内を移動することとしました。
(開運橋から眺めた北上川と岩手山)
盛岡駅前の開運橋から北上川と岩手山を眺めた様子です。
「盛岡駅前自転車駐車場」の職員の方から伺った話では,なんと,この盛岡市の中心部まで鮭が遡上してくるのだそうです。
北上川はとてもきれいな川なのですね。
慣れない雪道に悪戦苦闘しながら,自転車で盛岡市内をめぐりました。
沢菊「ぶすのこぶ」
盛岡市菜園にある特産品プラザ「らら・いわて盛岡店」で面白い名前のお菓子を見つけました。
岩手県久慈市の銘菓「ぶすのこぶ」です。
(「ぶすのこぶ」包装)
写真手前右側がオリジナル,奥左側の黒い包装が「ごまあずき」の「ぶすのこぶ」です。
製造されている沢菊のウェブページによると,「ぶす」は久慈渓流に住んでいたアイヌ一族の名前,「こぶ」はカニさん達が好んで集まったくぼ地の名称なのだそうです。
(「ぶすのこぶ」)
皮がゴツゴツした感じに仕上げられた饅頭です。
写真右側がオリジナル,左側がごまあずきです。
皮は砂糖,小麦粉,卵,マーガリン,バターが用いられ,洋風に仕上げられています。
中のあんは,オリジナルは粒あん,ごまあずきは黒ゴマペースト入りのこしあんとなっています。
味は,オリジナルが洋風粒あん饅頭,ごまあずきが月餅のような感じでした。
「ブス」や「こぶ」がそのままの意味で用いられている訳ではありませんが,その姿かたちや,同社から「桃べっぴん」という商品名のお菓子も製造・販売されていることを考えると,意識されているような,されてないような…(笑)。
その微妙さがこの商品の面白さ,魅力なのだと思います。
「沢菊」(岩手県久慈市)
食道園「平壌冷麺(盛岡冷麺)」
続いて,盛岡市大通にある焼肉店「食道園」を訪問しました。
1954(昭和29)年創業の盛岡冷麺発祥のお店です。
(食道園 店舗)
食道園の外観です。
「元祖 平壌冷麺」と年季の入った木製看板とのれんに,期待が膨らみます。
自転車は私が乗ったレンタサイクルです。
冷麺の辛さを特辛,辛,普通,別辛から選ぶことができます。
私は普通で注文しました。
(「平壌冷麺(盛岡冷麺)」)
こちらが「平壌冷麺(盛岡冷麺)」です。
麺は黄色がかった半透明の麺で,しこしこ,むっちりととても弾力があります。
朝鮮半島の冷麺の麺はそば粉が使われることが多いのですが,盛岡の麺はじゃがいものでんぷんと小麦粉で作られることが多いようです。
スープは牛骨・牛肉ベースです。カクテキ(大根キムチ)がのせられているので,赤いスープになっています。
カクテキ,牛肉,茹で玉子,キュウリ,白ねぎ,そして白ゴマがのせられています。
韓国の料理漫画「食客」で,カクテキなどのキムチは同じ朝鮮半島でも大陸に近づくほど切り方が大きく豪快になることや,汁気の多い水キムチ(ムルキムチ,大根の水キムチの場合は「トンチミ」と呼ばれる)がスープとして使われることが紹介されているのですが,平壌冷麺をお手本にした盛岡冷麺にもその特徴が表れているのではないかと思います。
具の肉は,牛のもも肉を甘辛く煮込んだものです。
とても強い弾力のある麺,すっきりとした牛骨・牛肉ベースのスープ,さわやかな酸味と辛さのあるカクテキ,甘辛くやわらかい牛肉など,様々な味や食感を一度に味わうことが出来ます。
ちなみに,こちら食道園は焼肉もおすすめです。
焼肉の食べ方が独特で,焼いた肉をすき焼きのように溶いた生卵にくぐらせていただくのです。
私はこの焼肉の話を,この後に訪問した秋田の郷土料理店の店主から教わりました。
私がその店主に,「盛岡で食道園の冷麺をいただきましてね。」とお伝えすると,店主から,「盛岡の食道園なら焼肉を食べなきゃ。あれこそ珍しい食べ方をするのに。」とお話しがありました。
すき焼きのように溶いた生卵にくぐらせていただく食道園の焼肉。
次回訪問時はぜひこの焼肉も味わってみたいです。
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ぶすのこぶ??初めて見る~!
盛岡冷麺は有名ですよね!私も好きです。
焼き肉に玉子を絡めて~!ウチの実家では
そうやって食べてて(。-ω-)ノ
大人になって周りと違うことに気がつきました。(笑)
岩手とウチの家系関係あるのかな。
でも、すごく美味しいから自宅でも、お試しあれw(* ´ ▽ ` *)ノ
投稿: ヒナタ | 2018年3月21日 (水) 14時08分
ヒナタ 様
コメントいただき,ありがとうございます。
「ぶすのこぶ」,私も初めて見た時,びっくりしました。
勇気ある名前だなぁと(笑)。
焼肉に生卵をからめて食べる方法って,東北ではそんなに珍しいことではないようですね。
焼肉のメニューに「生卵」とあったのですが,なぜこんなものが用意されているのだろうと,その時はわかりませんでした。
すき焼きに生卵なら理解できるのですが…。
でも,確かに美味しそうですね!
今度試してみたいと思います。
貴重な情報をいただき,ありがとうございました!!
投稿: コウジ菌 | 2018年3月21日 (水) 22時24分