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2018年4月

2018年4月30日 (月)

秋田と青森を結ぶリゾート列車「リゾートしらかみ」の魅力 -ジョイフルキャンディー・マグカツドック-

 今回は秋田と青森を結ぶリゾート列車「リゾートしらかみ」の魅力を御案内したいと思います。

 ゆっくりと旅するような気持ちでお付き合いください。


「リゾートしらかみ1号」秋田駅出発

 秋田駅から「リゾートしらかみ1号」に乗り,五能線沿線の旅を楽しみました。

(秋田駅構内「なまはげ」飾り)
Photo

 出発前の秋田駅構内で見た「なまはげ」飾りも旅情をかきたててくれました。

 「リゾートしらかみ」は,五能線沿線の車窓の風景や車内イベントを楽しめるリゾート列車です。

(「リゾートしらかみ」と路線図)
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(JR東日本『北東北のってたのしい列車』パンフレットから引用)
※画像をクリックすると拡大します。

 秋田-青森間を奥羽本線・五能線経由で,途中主な駅に停車しながら走る快速電車です。

 全席指定席で,乗車券のほかに指定席券が必要となります。

 指定席券を事前購入したところ,私は1号車4番A席を用意していただきました。

 リゾート列車など乗ったことのなかった私は,出発前から期待に胸がふくらみました。

(「リゾートしらかみ1号」(橅編成))
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 秋田駅で出発を待つ「リゾートしらかみ1号」(橅(ぶな)編成)です。

 ホームで駅弁も販売されていました。

(「リゾートしらかみ1号」ドア付近)
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 ドア付近の様子です。

 白神山地のブナのデザインや青森行きを示す行先表示器が,旅の始まりを実感させてくれました。

 定刻の8時20分,「リゾートしらかみ1号」は青森へ向け出発しました。


五能線起点駅「東能代駅」

(東能代駅に停車する「リゾートしらかみ1号」と「キハ40系」)
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 秋田駅を出発し,奥羽本線経由で東能代(ひがしのしろ)駅に到着しました。

 クリーム色に青色のストライプ(五能線色)のキハ40系が停車していました。

 この駅が五能線の起点駅となり,ここから先は進行方向が変わって五能線となります。


「ORAHO」カウンター

 落ち着いたところで,車内の売店「ORAHO(おらほ)」カウンターへ行ってみました。

(「ORAHO」カウンター)
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 食に興味のある「おらほ(私)」の出番だ~(笑)。

 私は「GONO LINE ジョイフルキャンディー」を購入しました。

(「GONO LINE ジョイフルキャンディー」)
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 写真左が「ORAHO」販売商品の案内,写真右が「GONO LINE ジョイフルキャンディー」です。

 「リゾートしらかみ」の車両は全部で3種類あり,今回私が乗車した白神山地のブナ林をイメージした「橅」編成(緑色)のほかに,日本海や十二湖をイメージした「青池」編成(青色)と,白神山地に生息するクマゲラと夕陽をイメージした「くまげら」編成(橙色)があります。

 「GONO LINE ジョイフルキャンディー」は,その3種類の車両を色でイメージしたキャンディーの詰合せです。

 緑色がメロン味,青色がソーダ味,橙色がオレンジ味です。

 飴をなめつつ,のんびりと車窓から景色を眺めて過ごしていると,岩館駅を過ぎ,やがて青森県に入りました。


青森県深浦町の「マグカツドック」

 十二湖駅から地元の方が乗り込み,買い物かご一杯に用意された出来たての「マグカツドック」の車内販売が始まりました。

 これが大人気で,1個500円ですが飛ぶように売れていました。

 当然,私も買いました。

(「マグカツドック」)
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 「ORAHO」販売商品案内にも「マグカツドック」が紹介されています。

 深浦町は青森県内でマグロの水揚げナンバーワンで,「マグカツドック」以外にも,「深浦マグロステーキ丼(マグステ丼)」や「ザ・深浦マグロカレー」などマグロを使ったご当地グルメがたくさん用意されています。

 その深浦町で「深浦マグロ料理グランプリ 2014」の初代グランプリに輝いた料理がこの「マグカツドック」です。

 パンに深浦町特産のマグロをミンチにして揚げたカツがはさまれています。

 カツと一緒にはさまれている野菜はサンチュです。

 ソースは,中濃ソースとピリ辛でにんにくの効いた焼肉のタレが合わさったような味です。

 出来たてカリカリのマグロのカツに,この特製ソースがよく合っていました。

(「マグカツドック」(拡大))
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 紙の包みもパンの形に揃えられ,電車内で手や口を汚さずきれいに食べられるよう工夫されていました。

 原材料表示を見ると,特製ソースには,中濃ソースのほかに,しょうゆ,にんにく,みりん,コチジャン(唐辛子味噌),ごま油,砂糖,生姜,みそ,唐辛子,食塩,胡椒と記載されていました。

 まさに焼肉のタレの原材料です。

 ここで1つアイデアが浮かびました。
 青森のにんにく,りんご,地元深浦町特産の甘い「ふかうら雪人参」などを入れて,より青森らしさを込めたソースに仕上げるというのはいかがでしょうか。

 この地元食材を組み合わせたソースは,深浦町のご当地グルメ「深浦マグロステーキ丼(マグステ丼)」などに応用することも可能でしょう。


「リゾートしらかみ」橅編成と青池編成

 軽食を楽しんでいるうちに,リゾートしらかみ1号は深浦駅に到着しました。

(「リゾートしらかみ」橅編成と青池編成(深浦駅))
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 深浦駅ホームに停車する「リゾートしらかみ号」です。

 写真左の青い列車が「リゾートしらかみ2号(青池編成)」青森発秋田行き,写真右の緑の列車が今回御紹介している「リゾートしらかみ1号(橅編成)」秋田発青森行きです。

 秋田-青森間のほぼ中間地点で,両列車とも始発駅から2時間30~40分後となります。

 これから終着駅まで行く場合は,お互いこの倍の距離・時間をかけて向かうこととなります。

 「乗ること」自体を楽しむリゾート快速列車なので,長いと感じる人は少なく,逆にいつまでも乗っていたいと思う人ばかりでしょうね。(秋田-青森間の移動でスピードを求めるなら,奥羽本線経由の特急「つがる」を利用すれば,半分の約2時間40分で行けます。)


深浦駅~広戸駅間の絶景ポイント

 深浦駅を出発してしばらくすると,列車は速度を落とし,車内アナウンスで絶景ポイントの案内がありました。

(深浦駅~広戸駅間の車窓風景)
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 海や岩がすぐ目の前に見えます。
 五能線きっての絶景ポイントです。

 この後,千畳敷駅付近でも,海辺に石畳が広がる風景や太宰治文学碑などを見ることができました。


津軽三味線生演奏

 鰺ヶ沢駅でお2人の演奏者が乗車され,1号車にある車内イベントスペースで津軽三味線を演奏してくださいました。

(津軽三味線生演奏)
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 演奏の様子は各車両のモニターへも中継されますが,生演奏を聴きに1号車へ来られる乗客の方もたくさんおられました。

 私は1号車の前から4番目の席だったので,移動することなく間近で観賞することができました。

 「りんご節」や「津軽じょんがら節」などが演奏されました。

 私は特に「津軽じょんがら節」の緩急交えた力強い津軽三味線の音色に感動しました。

 青森の名峰「岩木山」を眺めながら津軽三味線の生演奏が聴けるなんて最高の贅沢です。

(岩木山)
Photo_13

 車窓から眺めた岩木山です。迫力と威厳を感じました。

 太宰治も小説『津軽』の中で「なるほど弘前市の岩木山は,青森市の八甲田山よりも秀麗である。」と述べています。


五所川原駅到着

 津軽三味線の演奏もフィナーレを迎え,「リゾートしらかみ1号」は12時11分に五所川原駅に到着しました。

 私はこの五所川原駅で,名残惜しくも「リゾートしらかみ1号」とお別れとなりました。

(五所川原駅に停車する「リゾートしらかみ1号」と「キハ40系」)
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 写真右側,ホームの柱にある緑色の「ごしょがわら」と記載された駅名票には,リンゴの絵とJRのマークが描かれています。
 青森らしくていいアイデアですね。

 秋田駅を8時20分に出発して,五所川原駅まで約4時間。リゾート列車の旅を満喫することが出来ました。

 ちなみに,この列車に青森駅まで乗り続けた場合は,青森駅13時29分着ですので,約5時間の旅となります。

 乗車前は,途中で退屈になるだろうから,のんびり本でも読んで過ごそうと思っていたのですが,いざ乗車してみると,車窓から日本海の絶景などを楽しめるだけでなく,いろんな駅での途中下車(五能線起点駅「東能代駅」で記念写真,バスケの街・能代の「能代駅」でバスケシュート体験,「深浦駅」でのリゾートしらかみ待合せなど),絶景ポイントで案内放送を聴きながらの減速走行,「ORAHO」カウンターやご当地グルメの車内販売,津軽三味線の観賞,乗客同士の交流など様々な体験ができ,退屈するどころか,あっという間に時が過ぎてしまいました。

 まさに夢のような,幸せなひとときでした。

 今回,私は秋田駅から弘前駅・青森駅まで2日間乗り降り自由なきっぷ「五能線フリーパス」(3,810円)と指定席券で「リゾートしらかみ」に乗車しました。

 この「五能線フリーパス」を利用して,私はこのあとも,五所川原駅から弘前駅,弘前駅から青森駅,翌日に青森駅から新青森駅へと移動出来ました。
 とても便利でお得なきっぷです。

 魅力いっぱいのリゾート列車「リゾートしらかみ」の旅。

 皆様に自信を持っておすすめします。


<関連リンク>
 「五能線リゾートしらかみの旅」(JR東日本秋田支社)
 「リゾートしらかみ(のってたのしい列車)」(JR東日本)

2018年4月26日 (木)

ハタハタの耳かき -秋田県秋田市-

ハタハタの耳かきです。

台紙には,「ホロホロ美味しい ハタハタ 秋田名物」と記載されていました。

本物のハタハタを串に刺して焼いたような,リアルなハタハタ耳かきです。

ハタハタは秋田をはじめとする日本海側を中心に,塩焼き,しょっつる(魚醤),しょっつる鍋,ハタハタ寿司など様々な料理で食べられている人気の魚です。

私は広島の人間なので,実はこれまであまり馴染みがありませんでしたが,最近は広島の食料品店などでもハタハタが売られており,ハタハタの味を楽しめるようになりました。

このハタハタ耳かきを何本かまとめて買って,皿の上にズラッと並べて飾ってみたいです(笑)。

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2018年4月21日 (土)

広島のレモン菓子・レモンケーキ9

 広島で売られているレモン菓子・レモンケーキを御紹介します。


とびしま柑橘工房「レモンケーキ」


 広島県呉市川尻町にある「とびしま柑橘工房」の「レモンケーキ」です。

(とびしま柑橘工房「レモンケーキ」(包装))
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(とびしま柑橘工房「レモンケーキ」(包装・裏面))
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 包装の裏面には,「とびしま海道」(広島県呉市の下蒲刈島,上蒲刈島,豊島,大崎下島,平羅島,中ノ島,愛媛県今治市の岡村島を7つの橋で結ぶ海道)の地図とともに,「愛とレモンでしまおこし」と記載されています。

(とびしま柑橘工房「レモンケーキ」)
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 サイズは横約7cm,幅約5cm,高さ約3.5cmです。

 レモンチョコのコーティングはありません。

(とびしま柑橘工房「レモンケーキ」(中身))
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 半分に切ると,中にレモンジャムが入っています。

 食べるとレモンのかなり強い酸味が感じられます。

 レモンチョコのコーティングがされてない分,レモンジャムはもちろん,ケーキ生地にもレモンの酸味・風味が味わえるよう工夫されています。

 生のレモンをかじったような感覚が味わえるレモンケーキです。

 「とびしま柑橘工房」(広島県呉市川尻町西5-1-5)


マロンドール「瀬戸内レモンケーキ」

 広島県福山市多治米町一丁目にある「マロンドール」の「瀬戸内レモンケーキ」です。

(マロンドール「瀬戸内レモンケーキ」(包装))
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 お店では「60年の伝統の味」と紹介されていました。

(マロンドール「瀬戸内レモンケーキ」)
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 サイズは横約8cm,幅約6cm,高さ約4.3cmと大きめです。

 粉糖のアイシングが厚めにコーティングされています。

(マロンドール「瀬戸内レモンケーキ」(中身))
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 このアイシングにはレモン果汁とホワイトラムが入っており,酸味と深みが感じられます。

 ケーキ生地はさっくりとしており,レモンピールは入っていませんが,アイシングと一緒に食べるとレモン風味・酸味がうまく調和します。

 この厚めのアイシングが,オリジナリティと伝統を感じさせてくれます。


 「マロンドール」(広島県福山市多治米町1-6-11)


パティスリーラパン「おしい!広島レモンケーキ」

 広島市佐伯区城山一丁目にある洋菓子店「パティスリーラパン」の「おしい!広島レモンケーキ」です。

(パティスリーラパン「おしい!広島レモンケーキ」(包装))
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 包装紙に「日本一の広島レモンを使った日本で2番目においしいレモンケーキです。おしい!」と記載されています。

 広島ではなく,何と「日本で」2番目においしいレモンケーキなのです!

(パティスリーラパン「おしい!広島レモンケーキ」)
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 サイズは横約7cm,幅約5.5cm,高さ約3.5cmです。

 レモンチョコのコーティングはありません。

(パティスリーラパン「おしい!広島レモンケーキ」(中身))
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 断面を御覧いただけるとお分かりのように,ケーキ生地にレモンピールがたくさん入っています。

 ケーキ生地はしっとりとしたバターケーキです。

 贅沢にたっぷり入ったレモンピールのザクザク感がレモンケーキファンにはたまらない一品です。

 えっ,まだこのレモンケーキを召し上がったことがない?
 「おしい!」(笑)


 「パティスリーラパン」(広島市佐伯区城山1-17-8)


 以上,レモン菓子・レモンケーキを購入される際の参考になれば幸いです。


<関連リンク>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<レモンケーキ関連記事>
 「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」を御参照ください。

2018年4月15日 (日)

青森・秋田の郷土菓子 バナナ最中 -青森・秋田でバナナ最中が好まれる理由-

青森・秋田にあるバナナのお菓子

 青森県や秋田県北部には「バナナ最中」と呼ばれる郷土菓子があります。

 バナナ風味の白あんを最中の皮で包んだお菓子です。

 北東北に位置する青森や秋田で,南国の果物であるバナナのお菓子が人々に好まれ,長年愛されているのはなぜか,秋田と青森のバナナ最中を御紹介しながら,その謎を解明したいと思います。


煉屋菓子舗の「煉屋バナナ」・「煉屋ミニバナナ」

 秋田市の「あきた県産品プラザ」で,「煉屋菓子舗(ねりやかしほ)」の「煉屋バナナ」と「煉屋ミニバナナ」を購入しました。

(「煉屋バナナ」・「煉屋ミニバナナ」(包装))
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 写真の上側がレギュラーサイズの「煉屋バナナ」,下側がミニサイズの「煉屋ミニバナナ」です。

 レギュラーサイズは,バナナの実物大を意識してか,かなり大きいです。

(煉屋菓子舗「煉屋バナナ」・「煉屋ミニバナナ」)
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 最中の皮に「煉屋バナナ」と刻印されています。

 そしてバナナ風味のあんが包まれています。

 あんは白あんをバナナ風味にし,バナナをイメージする黄色に仕上げられています。

 あんのバナナ風味がとても強く,ねっとりとして,口に含むととろけるような食感もあるので,生のバナナそのものをいただいているような感覚になりました。

 やわらかくふんわりした仕上がりの最中と,バナナそっくりの香り・食感がするバナナあんが見事に調和した一品です。


旭松堂の「バナナ最中」

 青森のバナナ最中を求めて,青森県弘前市の「旭松堂(きょくしょうどう)」を訪問しました。

(旭松堂店舗)
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 老舗の和菓子店という感じですが,「エンゼルケーキ」と呼ばれる白いバタークリームケーキなど,洋菓子も販売されています。

(旭松堂「バナナ最中」(包装・しおり))
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 旭松堂のバナナ最中です。

 大きさは上品な小ぶりのサイズで,秋田の「煉屋ミニバナナ」に近いです。

 箱に入っていたしおり(写真上側)には,「夢菓子」と「む」という文字が書かれています。

 「ゆめがし」ではなく「むがし」と読むのか,と思いましたが,このしおりを眺めていて,ふと気付きました。

 しおりの上から順に「夢菓子(むかし) なつかし バナナ最中」と読めばよいのですね!

 しおりの裏には,「バナナ最中 古都弘前.....昭和のはじめ,バナナという果物を食べた人は少なく 初代,万次郎が上京の際 高価で芳香な果物を食し後に,菓子で模したのがはじまりです....。」
と説明書きがありました。

(旭松堂「バナナ最中」)
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 最中の皮には「バナナ」と刻印されています。

 中のあんは,白く上品なバナナ風味の白あんです。

 あんのバナナ風味が強く,とてもきめ細やかな仕上がりで,しっとりととろけるような食感もあります。

 香ばしくしっかり焼き上げられた最中の皮と一緒に食べることにより,バナナあんのとろけるような食感が強調され,生のバナナそのものを包んだ最中をいただいているような感覚になりました。


バナナ最中の一番の特徴とは

 当初,私がバナナ最中に抱いていたイメージは,「バナナカステラの中に入っているバナナ風味の白あん(バナナあん)を最中の皮で包んだお菓子」というものでした。

 バナナ最中を実際にいただいてみて,そのイメージに近いとは思いましたが,予想外の驚きもありました。

 バナナあんの食感です。

 バナナ最中のあんは,バナナ風味が強いだけでなく,とてもきめ細やかでねっとりとしているので,生のバナナをいただいているような風味や食感が楽しめるのです。

 これがバナナ最中の一番の特徴だと思います。


日本独自のパン・洋菓子の特徴とバナナ最中

 このように,バナナ最中は本物のバナナと風味や食感がそっくりに作られているのが特徴です。

 南国の果物であるバナナが高価で入手困難だった昭和初期,青森や秋田でもバナナの風味・食感に似た手頃なお菓子をと津軽の菓子職人により考案されたのがバナナ最中なのです。
(もっとも,現代ではバナナ最中1本より本物のバナナ1本の方が安いのですが…。)

 私はこうしてバナナ最中についてまとめているうちに,ふとレモンケーキのことが頭に浮かびました。

 私はレモンケーキについてまとめた際,昔から幅広い層に支持を得ている日本独自のパン・洋菓子には,

(1)果物とパンまたは焼菓子という組み合わせが多い。
(2)饅頭にヒントを得たあんパンなど,どこか和菓子の要素も取り入れている。
(3)昔はまだ珍しかった果物を加えたり,香り付けとして用いたりすることで,西洋の趣を持たせている。

という特徴が見出せ,そうした考えから生まれた菓子の1つがレモンケーキではないかとまとめました。

 この特徴は,青森や秋田で昔から支持されているバナナ最中にもそのまま当てはめることができます。

 バナナ最中の場合は,(1)果物(バナナ)と焼菓子(最中の皮)の組み合わせで,(2)最中という和菓子の要素を取り入れ,(3)昔はまだ珍しかった果物(バナナ)を白あんの香り付けとして用いている,と説明できるからです。

 ちなみにこの発想は,バナナカステラ,メロンパン,パインパンなどにも当てはまると思います。

 最近のお菓子では,東京土産の1つとなっている「東京ばな奈」もこうした特徴をうまくとらえたお菓子だと言えるでしょう。

 それに青森や秋田と同様,東京だってバナナの産地ではありませんよね(笑)。


青森・秋田でバナナ最中が好まれる理由

 このように考えると,場所は違えど,バナナ最中はレモンケーキと同じ発想から考案されたお菓子で,だからこそ今も昔も幅広い層から好まれているのだと説明できます。

 青森・秋田のバナナ最中は,遠い南国の果物であるバナナへの強い憧れが原動力となり,当時身近な和菓子であった最中にヒントを得て,白あんの香り付けや食感を本物のバナナそっくりに仕上げることで,多くの人に支持を得て,今も愛され続けている郷土菓子なのです。


<関連サイト>
 「煉屋菓子舗」(秋田県大館市泉町4-3)
 「旭松堂」(青森県弘前市本町102)

<関連記事>
 「広島のレモン菓子・レモンケーキ1 -和菓子から生まれた日本独自の洋菓子-

2018年4月12日 (木)

ちゃぐちゃぐ馬っこ(白馬)の耳かき -岩手県盛岡市-

 岩手のちゃぐちゃぐ馬っこ(白馬)の耳かきです。

 「チャグチャグ馬コ(ちゃぐちゃぐ馬っこ)」は,100頭ほどの馬が鮮やかな飾り付け・鈴・鳴輪などを付けて,岩手県滝沢市の蒼前神社から盛岡市の八幡宮までを行進するお祭りです。

 この耳かきの台紙には,「『ちゃぐちゃぐ』とは馬に付けた鳴輪や鈴が鳴る音のことです。人馬は祭りの前に神社で無病息災・家内安全,五穀豊穣を祈願して祭へと出発します。」と説明されており,鈴の絵とともに「ちゃぐちゃぐ」と鈴の音が表現されています。

 ここまで鈴の音を強調されるなら,ご当地耳かきによく付けられている本物の鈴を付けてみるのもリアリティがあって良いのではないでしょうか。

 鈴や鳴輪が実際にはどんな音がするのか,「チャグチャグ馬コ」の動画サイトで聴いてみたところ,私は「アルプスの少女ハイジ」でペーターが飼っている山羊の鈴の音と似ているように感じました(笑)。

 素朴でやさしい音色が魅力的な岩手のふる里伝統行事です。

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2018年4月 8日 (日)

キャロブ(いなご豆)チップス -チョコレートと何が同じで何が違うのか-

 自然派食品のお店で,「キャロブ(いなご豆)チップス」と呼ばれるお菓子が売られていました。

 ラベルには「カフェインフリーキャロブチップス。チョコレートの代用としてお使い頂けます。」と記載されています。

 キャロブ(いなご豆)をチョコレートそっくりに加工した「キャロブ(いなご豆)チップス」。

 興味を持って購入してみました。


キャロブ(いなご豆)チップス

(キャロブ(いなご豆)チップス(包装))
Photo_6

 原材料表示を見ると,「大麦シロップ,コーンシロップ,ヤシの実油,いなご豆,乳化剤(大豆由来)」とあります。

 キャロブ(いなご豆)をカカオ豆,大豆シロップとコーンシロップを砂糖,ヤシの実油をカカオバター・油脂と置き換えると,チョコレートの原材料構成と同じであることがわかります。


キャロブ(いなご豆)について

 キャロブ(いなご豆)は,主に地中海付近で栽培される豆で,コーヒーやココアの代用品として用いられているようです。

 キャロブの種子は,大きさや重さが均一であることから,宝石の単位「カラット」(1カラット=0.2g)の語源になったり,はかりの分銅にされたりと,意外と人間との生活にかかわりの深い豆でもあります。


キャロブ(いなご豆)チップスの特徴

 開封して中身を確認してみました。

(キャロブ(いなご豆)チップス)
Photo_2

 このキャロブ(いなご豆)チップスについて,私の気付きや感想をまとめてみました。

○形・見た目
 チョコチップと同じ形に作られており,見た目はチョコレートと全く変わりません。

○香り
 袋を開けた瞬間,チョコレートと同じ香りがしました。
 当然ながら100%ではなく,50~60%程度チョコレートの香りと一緒かなと感じる程度でした。
 チョコレートメーカー「ハーシー社」の調べでは,カカオの香りの成分は約1500種類から成り立っているとの話ですし,発酵やメイラード反応(褐変反応)がもたらす香りもあるので,チョコレートと香りを合わせることが一番難しいと言えるでしょう。

○味
 チョコレートに近く,何の先入観や知識もなく出されたらチョコチップだと思うレベルです。

○食感
 チョコレートに比べ,粘性がやや欠けるように思いました。
 ざらつきはありませんが,伸びが若干少ないのです。
 チョコレートに比べ,油脂が抑えられているからでしょう。

○加熱時の変化
 せっかくなので,電子レンジで加熱した時の変化も調べてみました。

(キャロブ(いなご豆)チップス(電子レンジ加熱))
Photo_4

 キャロブチップスを小皿に盛り,電子レンジで加熱すると,チョコレートと同様に溶け出してきました。
 加熱することにより,なめらかになり,照りやツヤも出ています。
 
 こうした変化はチョコレートとそっくりです。

 さらに,この溶けたキャロブチップスを引っ張り,伸びを確かめてみました。

(キャロブ(いなご豆)チップス(加熱後の伸び))
Photo_3

 チョコレートのように溶けながら伸びると思っていましたが,油脂より糖分の割合が多いからか,綿菓子を引っ張った時のように,綿をちぎったような感じに切れました。
 そして程なく再び固まりました。

 これはチョコレートとは異なる性質です。

 チョコレート特有のなめらかな口当たりを,油脂よりも大麦シロップやコーンシロップの糖分によって補われているから起きる現象なのでしょう。

 製品が板チョコではなくチョコチップの形がメインとなっているのも,こうした性質を踏まえ,チョコレート感覚を味わえる最適な形と判断されたからではないかと思います。


キャロブ(いなご豆)のメリット

 チョコレートの代用としてキャロブ(いなご豆)を用いるメリットとしては,

 (1)カフェインフリー(カフェインが含まれていない)であること

 (2)粉乳など乳製品を使わなくてもチョコレートのような味になること

 (3)キャロブ(いなご豆)自体にほのかな甘味があること

 (4)チョコレートに比べて脂肪分が低いこと

 (5)動物性の食材(バターなど)なしでも加工できること

などが挙げられるでしょう。

 ただ,今回のキャロブ(いなご豆)チップスの場合,製造工場で乳製品などを含む製品を製造していること(アレルギー)や,加工の段階で糖分が加えられていること(糖分摂取)は考慮しておいた方がよいと思います。

 用途に合わせて,純粋なキャロブ(いなご豆)の粉末を購入してお菓子を作るというのもよい利用法だと思います。


 キャロブ(いなご豆)パウダーやチョコレートの代用品となるキャロブ(いなご豆)チップスをうまく活用し,豊かなお菓子ライフを楽しめたらいいですね。


補足

 記事掲載後,当ブログの読者(tomoさん,パティシエの御経験あり)から,チョコレート(キャロブ(いなご豆)チップス)を電子レンジで加熱し,溶かすのは誤りとのコメントをいただきました。

 確かにおっしゃるとおりで,この記事のままだと私はキャロブ(いなご豆)チップスの性質をきちんと御紹介できていないと思いました。

 そこで残っていたキャロブ(いなご豆)チップスを湯せんし,再度加熱後の伸びを確かめてみました。

(キャロブ(いなご豆)チップス(湯せん))
Photo_3

 湯せんで溶かすと,確かに電子レンジで加熱した時に比べ,ぐんと長く伸びました。

 ただ,やはり油脂よりも大麦シロップやコーンシロップの糖分の割合が多いからか,冷めるとカチカチに固まるのも早く,一般的なチョコレートよりもかたくなることもわかりました。

(キャロブ(いなご豆)チップス(湯せん後砕いた様子))
Photo_2

 となると,かたい板チョコよりはチョコチップの形でいただく方が食べやすいのではないかと改めて感じました。

 勉強になりました。

 こういう本音でいただくコメントこそ,嬉しいです。

 tomoさん,この度のコメントありがとうございました!

 良い記事を作りたいので,今後もビシバシとよろしくお願いします(笑)。


<関連記事>
 「メイラード反応
 「チョコレートの新しい潮流2 -ハイカカオと機能性チョコレート,発酵の重要性-

2018年4月 6日 (金)

目玉おやじ(スタンド)の耳かき -鳥取県境港市-

今年(2018年)3月まで在籍した職場の後輩から,鳥取県境港市に旅行したお土産としてご当地耳かきをいただきました。

私がご当地耳かきを集めていることから,旅行先で探してもらえたようです。

鳥取県境港市は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者 水木しげるの出身地です。
「水木しげるロード」は,妖怪のブロンズ像をはじめ,水木しげる記念館,妖怪神社,ゲゲゲの妖怪楽園,そしてゲゲゲの鬼太郎にちなんだ雑貨店や飲食店などが集まっていて,街全体がゲゲゲの鬼太郎ムード一色です。

こちらが今回いただいた耳かきです。
大きな目玉おやじの耳かきで,ご当地耳かきコレクターにはたまらない「スタンド型」となっています。

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この耳かきをわざわざ私の新しい赴任先まで送ってくれました。
御丁寧に「親展」とまで書いて(笑)。

開封して中身を見た瞬間,その気持ちも含めてとても嬉しかったです。

手紙も同封されていて,
「耳かきスタンドがメインになりますので,付属の耳かきは普段使いにしてお使いくださいませ。間違ってオヤジ様の目を傷つけぬよう,くれぐれもご注意ください…」
と書いてありました。

普段使いにするつもりはないので,「オヤジ様」の目を傷つけることはありませんが…。
よく考えたら,目玉だけの「オヤジ様」が,なぜ耳かきを使って耳掃除をしているのか,わけが分かりません(笑)。

これでは,耳かきではなく「めめかき」です(笑)

もし私が境港に行ってこの耳かきを見つけた場合でも,目が飛び出るほど驚き,文字通り目玉商品としてすぐ買うことでしょう。

ドンピシャで,心温まるプレゼントでした。

2018年4月 2日 (月)

秋田の食文化探訪 -がっこ・なた漬け・きりたんぽ鍋・くじらかやき-

 岩手県盛岡市から秋田新幹線こまちを利用して秋田県秋田市を訪問しました。

(秋田駅に停車する秋田新幹線こまち)
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 秋田駅に停車する秋田新幹線こまちです。

 写真右奥には,秋田支社色のピンク色のラインが入った奥羽本線701系電車も見えます。

 新幹線と在来線が同じ駅のホームを利用する様子は,とても興味深いものがあります。

(JR東日本「行くぜ,東北。」キャンペーンのぼり旗)
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 秋田駅構内に設置されていたJR東日本「行くぜ,東北。」キャンペーンののぼり旗が私を迎えてくれました。

 広島から「来たぜ,東北。」

 秋田駅から秋田市の繁華街「川反(かわばた)通り」沿いにある郷土料理店へ行き,秋田の郷土料理を堪能することとしました。


がっこ

(がっこ盛合せ)
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 「がっこ」(漬物)の盛合せです。

 写真左上から時計回りに,ピンク色の「あねっこ漬け」,「いぶりがっこ」,器に盛られた「やたら漬け」,皿の右下へ回って「人参漬け」,「さっと干し大根(柿漬け)」,「いぶりがっこチーズのせ」で,計6種類のがっこ盛合せです。

 「あねっこ漬け」は,きゅうりや大根などの漬物を刻み,梅酢で色をつけたもち米と混ぜ合わせた漬物で,その見た目や食感が初々しい娘さんを想像させることから名付けられた漬物です。

 「いぶりがっこ」は,大根をいったん燻(いぶ)し,その燻した野菜を米ぬかで漬けこんだ漬物です。

 秋田では漬物のことを「がっこ」と呼びますが,この言い方は「香の物(=漬物)」を意味する「こうこ」や,「雅香」に由来するようです(その他諸説あります)。

 大根を薫製にする理由ついては,生のままだと大根が辛いためとか,漬物にする大根が寒さで凍ってしまうのを防ぐためとか,囲炉裏の上でいったん薫製にすると美味しかったためといったことがあるようです。

 「やたら漬け」は,ありあわせの野菜を「やたら」めったら塩漬けし,味噌や醤油で調味した漬物です。

 私は山形市を訪問した時にいただいた「丸八やたら漬」のやたら漬けを思い出しました。
 いぶりがっこと同様,生活の知恵から生み出した漬物と言えるでしょう。

 「人参漬け」は,人参版のいぶりがっこです。

 「さっと干し大根(柿漬け)」は,さっと軽く干した大根に柿を加えて漬けたもので,柿の上品な風味がする漬物です。

 「いぶりがっこチーズのせ」は,いぶりがっこにチーズをのせたもので,薫製とチーズの相性の良さを生かした漬物です。


なた漬け

 秋田の漬物「なた(鉈)漬け」です。

(なた漬け)
Photo

 大根を「なた」(包丁)で切って麹(甘酒)に漬けた漬物です。

 米麹のほんのりとした甘味が感じられる漬物で,べったら漬けとよく似ています。

 私はこの「なた漬け」を味わって,石川の「かぶら寿司」を思い出しました。

 「かぶら寿司」は大根ではなく蕪(かぶ)をブリや人参とともに麹で漬けた料理ですが,麹とともに漬け込み,麹と一緒に食べるという意味で共通していると思いました。

 漬物(がっこ)だけでもたくさんの種類があり,食べ応え十分でした。


きりたんぽ鍋

 秋田を代表する郷土料理と言えば「きりたんぽ鍋」が挙げられるでしょう。

 きりたんぽ鍋を注文すると,1人だったこともあり,お椀で提供していただきました。

(きりたんぽ鍋(きりたんぽとせり))
Photo_5

 「きりたんぽ」の語源は,粗くつぶしたご飯を棒に巻き付けて焼いた「たんぽ」を切って鍋に入れたことに由来します。

 今回のきりたんぽ鍋は,このきりたんぽのほかに,比内地鶏,舞茸,白ねぎ,糸こんにゃく,せりなどが入った醤油仕立ての鍋に仕上げられていました。

 お椀の中の緑色の野菜が「せり」で,お椀の右下部分に見えるもやしのような食材が,せりの根です。

 せりの根まで食べられているのかととても興味を持ちました。

 せりの根をいただいてみると,シャキシャキした食感で,醤油仕立てのだし汁とよく合いました。

 きりたんぽも,ご飯を焼いた香ばしさと鍋のだし汁をたっぷり吸ったもちもち感がありました。

 全て食べ終え,お腹が一杯になったところへ,2椀目のきりたんぽ鍋が提供されました。

(きりたんぽ鍋(きりたんぽと比内地鶏))
Photo_6

 一瞬「えっ?」と思い,お店の方に伺うと,1つの椀にきりたんぽを2つ入れており,2椀でたんぽ1本分(きりたんぽ4つ分)になるからだそうです。

 具材は1椀目と一緒です。手前に比内地鶏の肉やもつ(内臓)も見えます。もつも一緒に煮込まれているので,良いだしが出ていました。


くじらかやき

 ここまででかなりお腹一杯になったのですが,最後にどうしても味わってみたかった秋田の郷土料理を注文しました。

 「くじらかやき」という料理です。

 こちらの店に来る途中,川反通りの料理店を眺めながらを歩いていると,「くじらかやき」と記載されたお品書きがやたらと目に付きました。

 鯨料理なのだろうとは想像はできますが,なぜ秋田で鯨が食べられているのか,鯨と言えば山口の下関や仙崎,和歌山の太地など限られた地域しか頭に浮かばない私には不思議でした。

 そこでこの「くじらかやき」を味わってみることとしました。

(くじらかやき)
Photo_7

 「くじらかやき」は,ナスと塩クジラを煮込んだ味噌仕立ての料理です。

 具を取り皿に盛ってみました。

(くじらかやき(具材))
Photo_8

 ナスも塩クジラも拍子木切り(細長い棒切り)に揃えられています。

 塩クジラは皮と皮下脂肪の部位が使われています。

 ナスと塩クジラのみ,味付けは味噌というシンプルな料理です。

 鯨は皮下脂肪の塊なので,味噌の汁にあぶらがかなり溶け出しています。

 ナスは塩クジラ(脂肪)との相性が良く,交互に美味しくいただきました。

 この「くじらかやき」と呼ばれる郷土料理について,店主さんから詳しくお話を伺うことができました。

 お話によると「くじらかやき」は,

(1)かつて秋田県男鹿市では鯨がたくさん捕獲できたため,捕鯨業が栄えた。

(2)鯨の売り上げで地元はうるおい,後に「くじら学校」と呼ばれる校舎まで新築された。(現在の秋田県男鹿市立船川第一小学校)

(3)捕鯨は出稼ぎの一つとなり,捕鯨に携わった人々を通じて,鯨の食文化も広がっていった。

(4)そうした鯨料理の1つが「くじらかやき」。

(5)「くじらかやき」は,「鯨貝焼き」が語源で,もともとは貝(ホタテ貝など)を鍋代わりにし,鯨とナスを煮込んで作られた。

(6)ナスを入れることからもわかるように,これは夏の料理。夏の重労働を克服するため,鯨の脂肪や塩分を摂取してスタミナをつける意味もあった。

(7)ナスの代わりに「ミズ」と呼ばれる山菜が入れられることもある。

 とのことでした。

 男鹿半島にも立派な鯨の食文化があったのですね。

 ちなみに,秋田には「くじらかやき」と似た「なんこかやき(なんこ鍋)」と呼ばれる料理もあります。

 「なんこ」とは「馬肉」のことで,干支で南(南向(なんこう))は「午(馬)」があてられることに由来しています。

 つまり「なんこかやき(なんこ鍋)」とは,馬脂を溶かして馬肉を炒め,野菜とともに味噌で煮た鍋のことなのですが,その発想や調理法は「くじらかやき」とよく似ていることは注目に値します。

 秋田の食文化は奥が深く,興味が尽きません。


 今回訪問した秋田の郷土料理店「お多福」では,店主さんや板前さんから,この「くじらかやき」のお話をはじめとして,秋田の食文化や伝統文化について多くのことを教えていただきました。

 カウンターでお店の方と楽しくお話ししながらいただいた秋田の郷土料理。

 秋田の人のあたたかさに触れることができ,思い出深い食事となりました。


<関連サイト>
 「お多福」(秋田市大町4丁目2番25号)
 「丸八やたら漬」(山形市の漬物・郷土料理店)
 「なた漬け」(お宝!日本の「郷土」食)「農林水産省広報誌「aff(あふ)」2011年4月号」」

<関連記事>
 「山形の食文化の特徴2 -芋煮,納豆汁,ひょう干し煮,あさつきの酢味噌和え,そば-」(「丸八やたら漬」の食事処「香味庵まるはち」でいただいた郷土料理を紹介しています)
 「鯨の食文化2 -下関の鯨料理-」(鯨料理(各部位)を紹介しています)

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