福岡県北九州市 旦過市場「大學堂」の大學丼 -ぬか炊きとカナッペ-
小倉・旦過市場の「大學堂」
北九州市の玄関口,小倉駅です。
(小倉駅)
写真の駅中心部から左側に伸びているレールは北九州モノレールです。
小倉駅からこのモノレールに乗って旦過(たんが)駅で下車すると「旦過市場(たんがいちば)」があります。(小倉駅から「魚町銀天街」を南へ向かって歩いた場合は,約15分でたどり着けます。)
(旦過市場入口)
旦過市場は鮮魚,青果,惣菜など約120もの店舗が肩を寄せ合っており,「北九州の台所」と呼ばれています。
その旦過市場の名所・交流拠点となっているのが「大學堂」です。
「大學堂」は,旦過市場商業協同組合と北九州市立大学の商学連携事業として,九州フィールドワーク研究会「野研」を母体とした学生・教員によって運営されている文化発信拠点です。
その「大學堂」が考案した小倉新名物「大學丼」を味わいに,「大學堂」を訪問しました。
旦過市場は店舗が密集しているので,初めて訪れた際には「大學堂」の場所がわかりづらいと思いますが,旦過市場の通りのほぼ中心部にあります。
※店舗入口が南向きになっているので,北(小倉駅)側から歩いてくると店舗を見つけにくいのですが,わからなければ一旦,旦過市場の南端まで歩いて,再度北に向かって50m程度歩いてみてください。右手(東側)に店舗が確認できると思います。
(「大學堂」)
レトロな作りのお店です。
店内は飲食スペースとして利用されているだけでなく,講習会,公演,音楽,演劇,映画,絵画など文化芸術の発信拠点としても利用されています。
丼ご飯片手に旦過市場を歩く
お店で「大學丼セット」(「大學丼」のベースとなる丼ご飯と味噌汁のセット)を注文すると,店員(女子学生)さんから白ご飯を盛った丼を渡され,「この丼に旦過市場のお好きな具をのせてきてください。味噌汁は御用意しておきますので。」と説明を受けました。
何を盛ってもいいようです。
ちなみに,旦過市場であらかじめ購入した食材・惣菜を持ち込み,店内で丼に盛り付けることもできるそうです。
(「大學丼」の丼ご飯)
ご飯を盛った丼片手に人だかりの旦過市場を歩くとは…実に面白い企画だなと思いつつ,丼の具を探しに市場内を練り歩きました。
とは言え,最初は「お店の人はこの丼に具をのせてくれるのだろうか…」と一抹の不安もありました。
しかし,しばらく歩くと,そんな心配は全くいらないことがわかりました。
この丼を持って歩いていると,いろんなお店の方から「これはどう?」と声をかけてもらえるのです。
パック入りの刺身でも,開けて丼にのせてもらえます。
何をのせようかとしばらく考えましたが,小倉・旦過市場なので,郷土料理の「ぬか炊き」を味わいたいと思いました。
「ぬか炊き(ぬかみそ炊き)」は,イワシやサバなどの魚を醤油,みりん,砂糖,そしてぬかみそを加えて煮炊きした北九州の郷土料理で,旦過市場にもあちこちの店で惣菜として売られています。
そこで,私は魚屋さんでイワシとサバの「ぬか炊き」を購入し,丼にのせてもらいました。
旦過市場名物「カナッペ」
ほかにも何かのせるものはないかと旦過市場内を散策してみると…ありました。
旦過市場名物「カナッペ」です。
(旦過市場「カナッペ」)
カナッペと言えば,一口大のパンやクラッカーに様々な具をのせた軽食を想像しますが,旦過市場の「カナッペ」はデーンと大きい円筒状の揚げ物です。
説明書きには,
「魚のすり身に,玉ねぎ・にんじん・胡椒を混ぜ込み,周りを薄いパンで巻いて揚げております。外はカリッと,中はプリッとした食感がやみつきになること間違いなしです。」
と説明されていました。
つまり野菜入りの魚のかまぼこをパンで包んで揚げた料理なのです。
この「カナッペ」を購入し,すでに「ぬか炊き」が盛ってある丼にのせてもらいました。
こうして私のオリジナル「大學丼」を完成させ,再び「大學堂」へ戻りました。
「大學堂」で「大學丼」を味わう
「大學堂」に戻り,セットの味噌汁とお茶を用意していただきました。
これで「大學丼セット」の出来上がりです。
(「大學丼セット」)
旦過市場の定番メニューをのせた「ぬか炊き」と「カナッペ」の「大學丼」です。
「ぬか炊き」は手前がサバ,奥がイワシです。
「ぬか炊き」は佃煮のような甘辛い醤油煮にぬかみそを混ぜることによって,まろやかな味に仕上がっていました。
ぬかごと炊かれているので,ぬかもやわらかくなっており,魚と一緒に美味しくいただくことができました。
そして「カナッペ」です。
半分にしてみると,中には玉ねぎや人参がたっぷり入った魚の練り物が入っていました。
(「大學丼」と「カナッペ」の中身)
衣はサンドイッチ用の薄い食パンを揚げパンにしたイメージです。
揚げパンのサクサク感,魚の練り物のプリプリ感,野菜のシャキシャキ感が一度に楽しめます。
魚の練り物の凝縮されたうま味や野菜の甘みに加え,胡椒の味が効いてアクセントになっており,美味しくいただきました。
ほかのお客さんはどんな丼を作られるのか店員さんに伺ったところ,刺身を盛って海鮮丼にされる方や,中にはマスカットなどの果物やお菓子までのせるお客さんもおられるようです(笑)。
食事を終え,落ち着いて店内を見回してみると,面白いメニュープレートを見つけました。
(「大學堂」メニュープレート)
この「大學堂」がライブ会場となる際の投げ銭やドリンク代はわかります。
でもその次の「ゆんたく」(沖縄方言で「おしゃべり」の意味)が時価!とか,最後の「スマイル」が100万円!!というのはちょっと恐ろしい料金設定です(笑)。
店番をされていた女子学生さんと「大學丼」のことや,大学の研究室のことなどいろんな「ゆんたく」をし,かわいい「スマイル」までいただいた私は,これを見た瞬間,「おたのしみ」どころか一瞬血の気が引きました(笑)。
くろねこがイメージキャラクターの「大學堂」。
「大學堂」という名称からはアカデミックなイメージを受けますが,ここはひとつ軽いノリで,「♪くろねこのタンガ(旦過),タンガ,タンガ…♪」などと口ずさみながら,ぶらりと立ち寄ってみてください(笑)。
<関連リンク>
「北九州ぬか炊き文化振興協会」
「大學堂」(福岡県北九州市小倉北区魚町4丁目4-20 旦過市場)
「野研(九州フィールドワーク研究会)」(北九州市立大学 竹川大介研究室)
<関連記事>
「福岡県北九州市「藍昊堂(あおぞらどう)」の「旦過名物レモンチーズまんじゅう」」
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コメント
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あ!小倉駅です、懐かしいです^^
北九モノレール!nimocaを買って旦過市場近くの駅で降りて
まさに市場へ行きました(^ー^* )/
そっか、お写真にあるのが旦過市場の入口ということは、
わたしは出口から中に入ったということでしょうか…
まぁ旦過市場が楽しめたならどっちだって出入口っとしておきましょう
旦過市場は映画のセットのような雰囲気があって、
ほんと居心地のいい場所だなって、
ここがあればお惣菜は安いし毎日食べるのに困らないはず、
といったふうに観光客として訪れてました
このような心身にほっこり近しい場所の食べ物は
まず飽きがこないです、毎日同じものでも^^
だから大學丼も誕生したとか?
大學堂、おぼえがあります、そして、大學丼セットも!
面白いなって、でも作らなかったんです(勇気がなかった…(*ノωノ)フゥ )
果物丼?! お菓子丼?! 変わり種まで作れるその自由度の高さに
体験しておけばよかったです~残念、これを知ったらリベンジかも
コウジ菌さんのオリジナル大學丼、THEごはんに合う、って感じですね
カナッペはめっさ美味しそうでやばぃです、なんかずるいです(食べてないので)
イメージキャラクターにくろねこ、くろねこは福猫ですからね、
縁起いいです(そのくろねこの記憶がないんです…うーん)
くろねこのたんがっ♪たんがっ♪たんがっ♪ ~(^o^)/♪
壁┃_ ̄) ジィー あ、だれか唄ってる…あの人がコウジ菌さんかフフフッ
投稿: サウスジャンプ | 2018年7月24日 (火) 22時35分
サウスさん,こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます。
前回のコメントでサウスさんも小倉の旦過市場へ行かれたことがあり,京都の錦市場とよく似ていたと教えていただきましたね。
モノレールの旦過駅で降りて旦過市場へ向かわれたとのことですが,大學堂を目指すならこのルートの方が見つけやすくて良いと思います。
私の場合,小倉駅方面から徒歩で訪ねたこともあり,何往復かしてやっと大學堂を見つけられたんですよ(笑)。
旦過市場は観光客だけでなく,地元の方や飲食店向けの食品売場でもあるようです。
日本発の24時間スーパーマーケット(「旦過市場入口」写真の右側の「丸和小倉店」)も有名ですね。
旦過市場は,今回御紹介した「ぬか炊き」や「カナッペ」のほかにも,鯨肉やおでん,おはぎなども有名なので,今度機会がありましたらぜひどうぞ。
旦過市場はおっしゃるとおり,変に飾ったところがなく,美味しいものを安く,気軽に買えるところがいいです。
私が大學堂で食事していると,店番の学生さんも奥の席にちょこんと座って遅い昼食をとっておられたのですが,その姿がお客さんに気を遣うでもなく,自宅で食べているのと何ら変わりないような,とっても自然なふるまいでした。
その姿が印象的で,「自分が好きなように,自由に,楽しく旦過市場や大學堂でひとときを過ごせばいいんだ」と悟り,しばらく旅の疲れを忘れてのんびり過ごさせていただきました。
この考えは大學丼にも当てはまると思います。
私は小倉・旦過市場名物を意識した具を選びましたが,果物屋さんでマスカットのっけてもらおうが,「レモンチーズまんじゅう」のようなお菓子をのっけてもらおうが,要は自分が好きなように,自由に楽しめたら,それが正解なのだと思います。
大學丼,いつかお互いリベンジしたいですね!
旦過市場の気さくで温かい皆さんなら,果物でもお菓子でも,きっと何でも喜んで丼にのせてくれるでしょう。
「♪くろねこのたんが…♪」,口ずさみながら歩いてたのが私だってよくわかりましたね(笑)
私だと気付かれた上で,恥ずかしいから見て見ぬふりされたのでは?(爆笑)
投稿: コウジ菌 | 2018年7月25日 (水) 19時44分