デンマーク料理の特徴と主な料理3 -フリカデラ・赤キャベツのピクルス・フレスケスタイ・フーゴ,デンマークとドイツの食文化-
広島アンデルセンで開催された「デンマークフェア」で販売されていたデンマークゆかりの食を御紹介したいと思います。
フリカデラと赤キャベツのピクルス ラズベリー風味
フリカデラは豚の挽き肉で作られるハンバーグやミートボールに似た料理で,デンマークの代表的な料理の1つです。
(フリカデラと赤キャベツのピクルス ラズベリー風味)
フリカデラにラズベリー風味の赤キャベツのピクルスを添えてみました。
今回のフリカデラは,アグー豚の挽き肉のほかに,細かく刻まれたじゃがいもも入っており,豚肉のうまみとともに,じゃがいものホクホク感も楽しめました。
そして写真手前の紅生姜のような食べ物が,赤キャベツのピクルスです。
レッドキャベツを砂糖,りんご酢,ラズベリーピューレ,食塩で漬け込んだもので,フルーティーでとても甘いピクルスでした。
赤キャベツをイチゴ味の氷みつに漬けたような味です。
単品で食べると,まるでお菓子のような食べ物なのですが,このピクルスをフリカデラと一緒にいただくと,不思議なことにとてもよく合います。
肉団子を甘酢あんでいただくような感じがしました。
デンマークのフリカデラとラズベリー風味のピクルス,オーストリアのウィンナーシュニッツエルとベリーソース,アメリカのローストターキーとクランベリーソースなど,肉料理と甘いベリーソースは実はとても相性がよい組合せなのだと実感しました。
フレスケスタイ(クリスピーデニッシュポーク)
「フレスケスタイ」はローストポークのことです。
今回のフェアでは「クリスピーデニッシュポーク」という名称で販売されていました。
フレスケスタイの特徴は豚の皮も一緒に食べることです。
豚の皮の部分に「ハモの骨切り」のように包丁で細かく切り込みを入れ,その切れ目に塩・ローリエ・クローブなどの調味料やスパイスをすり込んで下味をつけ,オーブンで焼いた料理です。
(フレスケスタイ)
写真のこんがりと焼けた表面の皮の部分を御覧いただくと,切れ目が入っているのがおわかりいただけるかと思います。
この皮の部分がカリカリで,塩味とスパイスの味がしっかりと効いています。
一方,肉の部分はやわらかくジューシーで,豚肉本来のうま味があります。
このカリカリの皮と肉を一緒に食べることで,味のバランスがとれたローストポークを楽しむことができるのです。
ただ,豚の皮をローストした料理なので,若干ですが,焼いた豚足や豚耳に似た独特なにおいも感じられます。
このにおいについては好みが分かれそうですが,フレケスタイには欠かせない要素であることは間違いありません。
フーゴ
フーゴは,甘くさわやかなエルダーフラワーシロップの入った微炭酸のソフトドリンクです。
お店の方から,デンマークで初夏に飲まれるドリンクだと伺いました。
(フーゴ)
実際いただいてみると,すっきりとした甘さで,ミントの爽快感も感じられました。
エルダーフラワーは花の一種ですが,ライチやマスカットに似たフルーティーな風味を感じました。
暑い日は,フーゴで「スコール(乾杯)!」
デンマークとドイツの食文化における共通点
デンマークとドイツは,ユトランド半島の北側がデンマーク,付け根にあたる南側がドイツと隣国同士の関係になります。
(ユトランド半島とデンマーク・ドイツ周辺の地図)
(国土地理院の電子地形図(タイル)に国名・地名等を追記して掲載)
※地図をクリックすると拡大します。
そのため,食文化においても次のような共通点が見い出せます。
(1)両国ともニシン料理が有名だが,これはユトランド半島の付け根に位置するドイツの都市リューベックとハンブルクが中心となって発展した商業同盟「ハンザ」の存在と,「ハンザ」のニシン漁を主にデンマークの漁師が担っていたことに由来している。
(2)両国とも豚肉やじゃがいもを多く食べる。
(3)デンマークには「フリカデラ」,ドイツ・ハンブルクには「フリカデレ」(のちにアメリカに渡り,ハンブルクを英語読みした「ハンバーグ」という名称となる)と,共通した豚の挽き肉料理がある。
(4)パンが重視され,伝統的なライ麦パン(黒パン)を中心にパンの種類が豊富にある。
(5)「デンマークビール」,「ドイツビール」と呼ばれるように,両国ともビール大国である。
これらの共通点は代表的な事例で,実際にはもっとたくさんの共通点があることでしょう。
日本ではまだあまり馴染みのないデンマーク料理ですが,ドイツ料理まで視野を広げてみると,より深く理解できるのではないかと思います。
<関連サイト>
「広島アンデルセン」(広島市中区本通7-1)
<関連記事>
「デンマーク料理の特徴と主な料理1 -なぜオープンサンドイッチが伝統料理なのか-」
「デンマーク料理の特徴と主な料理2 -デンマークバター・ソフトカーネラグブロート・ダンスクウールブロート・スモーブロー-」
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コメント
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デンマークフェア?何とも珍しいフェアが開催されてるんですね!
良いですね!外国の味を楽しめるなんて~
フーゴ。美味しそうな~夏にピッタリですね。
飲みたい(笑)
アー。デンマークとドイツが近いんですね!
なるほど両国の共通点が分かりやすいです(* ̄∇ ̄*)
投稿: ヒナタ | 2018年7月 7日 (土) 17時28分
ヒナタ 様
コメントいただき,ありがとうございます。
「アンデルセン」のデンマークフェア,始まりが1968年10月からと,長く続けられているフェアのようです。
「アンデルセン」には実際にデンマークに研修に行かれた方も多く,私もデンマークの食べ物のことをいろいろ教えてもらいました。
フーゴは「広島アンデルセン」のカフェでいただきました。
程よい甘さでさっぱりした微炭酸のドリンクで,594円と少々お高めでしたが,確かに美味しかったです。
エルダーフラワーシロップなら「アンデルセン」の通信販売で購入できるようです。
デンマークとドイツはお隣さんなので,食文化も似ていますね。
こちらもお読みいただき,ありがとうございました。
お酒がほとんど飲めない私は,デンマークビールには挑戦できませんでした(笑)。
投稿: コウジ菌 | 2018年7月 7日 (土) 23時23分