« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年9月

2018年9月29日 (土)

ギリシャ料理の特徴と主な料理2 -ティロピタ・グリークサラダ・ギリシャヨーグルト・フルーツ・ガラトピタ-

東京で世界の朝ごはんを味わう

 東京に世界各国の朝ごはんが味わえるお店があります。

 「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)というお店です。

 「朝ごはんを味わうことで世界各地の伝統的な食文化に触れる」ことを目的として,世界各国の様々な料理が用意されています。

 各国大使館,政府観光局,航空会社,各国出身の方などの協力を得て料理を作られており,お店を訪問すれば,そんな世界各国を代表する料理をワンプレートで味わうことができます。

 メニューは「イギリスの朝ごはん」,「台湾の朝ごはん」,「スイスの朝ごはん」などのレギュラーメニューと,2か月ごとに国を変えて提供されるスペシャルメニュー(朝ごはんプレートと単品料理),そして世界各国のドリンクで構成されています。

 私は,東京に泊まった翌朝,「World Breakfast Allday 原宿店」へ行き,訪問時(2018年9月)に用意されていたスペシャルメニュー「ギリシャの朝ごはん」をいただきました。


ティロピタ・グリークサラダ・ギリシャヨーグルト・フルーツ

 注文してしばらくすると,作り立てのギリシャの朝ごはんプレートが運ばれてきました。

(ギリシャの朝ごはんプレート)
Photo

 手前に2つある大きなパイが「ティロピタ」,皿の左上が「グリークサラダ」,その右側が「ギリシャヨーグルト」,そして「フルーツ(マスカットとイチジク)」です。


(ティロピタ)
 パイ生地(ピタ)の中に山羊乳や羊乳を使ったギリシャの代表的なチーズ「フェタチーズ」のクリームがたっぷりと入った料理です。
 パイ生地は「フィロ」と呼ばれる薄い生地で,熱々パリパリなので,ナイフとフォークで切り分けようとすると皿の外に飛んで大変でした(笑)。
 中のフェタチーズは,軽めで,においやクセが少ないので,チーズが苦手な人にも割合食べやすいチーズだと思います。
 フェタチーズの塩味とパイ生地の甘味・バター風味がよく合いました。
 ギリシャには,この「ティロピタ」に似た料理で,「スパナコピタ」と呼ばれるホウレンソウのパイ包み料理も有名です。


(グリークサラダ)
 スライスしたトマト,キュウリ,玉ねぎ,オリーブなどの野菜に,オリーブ油や白ワインビネガーをベースにしたドレッシングをかけ,仕上げにオレガノがふりかけられたギリシャのサラダです。
 このサラダに賽の目に切ったフェタチーズをかけ,たっぷりと皿に盛った料理は「ホリアティキ」(田舎風・自家製サラダ)と呼ばれます。
 夏には角切りのスイカを入れた,日本人から見ると一風変わったサラダも好まれています。


(ギリシャヨーグルト)
 ギリシャヨーグルトの特徴は,ヨーグルトの水切りを行う(水分や乳清を除去する)ことです。
 そのため,他のヨーグルトに比べて,ギリシャヨーグルトは濃厚でクリーミーな味わいとなります。
 今回のギリシャヨーグルトには,ギリシャ産の蜂蜜や粉末のシナモンがかけられており,そのままでは酸味の強いギリシャヨーグルトを食べやすくする工夫がされていました。


(フルーツ)
 ギリシャではブドウ,イチジク,ザクロ,スイカ,メロンといったフルーツがよく食べられています。
 こうしたフルーツの中で,今回はマスカットとイチジクが用意されました。
 ヨーグルトと果物の組み合わせは,朝食にぴったりです。


ガラトピタ

 せっかくの機会なので,朝ごはんプレートとは別にアラカルトで,デザートの「ガラトピタ」を注文しました。

(ガラトピタ)
Photo_2

 「ガラトピタ」はセモリナ粉を使ったカスタードクリームのパイです。

 御用意いただいた「ガラトピタ」は,表面がパリッと香ばしいパイ生地で,中にはバニラビーンズ入りのカスタードクリームがたっぷり詰められており,ホイップクリームとミントも添えられていました。

 少しかためのプリンかカタラーナをパイ生地で包んだような食感・風味でした。


 今回御紹介した「ティロピタ」(「ティロ」はチーズという意味),「スパナコピタ」(「スパナコ」はホウレンソウという意味)そして「ガラトピタ」(「ガラ」は牛乳という意味)など,ギリシャでは「ピタ」(パイ)を使った料理やお菓子が多いのも特徴の1つです。


 世界の朝食を味わいながら世界各地の伝統的な食文化の理解を目指す取組みはとても興味深く,注目に値すると思います。


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(東京都渋谷区神宮前6-15-14-1F(原宿店)ほか)

<関連記事>
 「ギリシャ料理の特徴と主な料理1 -サガナキ・ホリアティキ・スブラキ・ムサカ・マスティクア-

<参考文献>
 「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」産経新聞出版

2018年9月24日 (月)

埼玉県秩父地域の国産メープルシロップ・カエデ糖菓子1 -メープルドック・パンケーキとメープルシロップ食べ比べ-

「秩父の奇跡」とメープルプロジェクト

 埼玉県・秩父の森には日本全国に生息するカエデのほぼ全ての種類(28種類あるうちの21~22種類)が生息していると言われています。

 これは,秩父地域が暖温帯と冷温帯の間に位置し,温かい気候を好む植物と寒い気候を好む植物の両方が生息できる地域(中間温林帯)にあたるからです。

 こうしたカエデをはじめとした秩父地域の豊かな植生環境は「秩父の奇跡」と呼ばれています。

 このことに着目し,秩父地域で自生するカエデの木から樹液を採取し,秩父産のメープルシロップ「和メープル」や様々なカエデ糖菓子などを販売して,秩父地域の活性化と豊かな森林づくりを目指すプロジェクトに取り組む人々がおられます。

 多種多様なカエデが自生する秩父地域はどんなところなのか,国産のメープルシロップとはどんな味なのか,秩父地域ではどんな取組みがなされているのか,どんなカエデ糖菓子が販売されているのか,次々と興味がわいてきます。

 そこで今回,もみじの本場・広島からカエデの本場・秩父へ行ってみることとしました。


日本初のシュガーハウス「MAPLE BASE」

 当日は,広島空港から空路で羽田空港へ,羽田空港から京浜急行電鉄本線,JR横浜線,JR八高線,西武鉄道秩父線と乗り継いで秩父へ行きました。

(西武鉄道(各駅停車・西武秩父行))
Photo
西武鉄道「東飯能駅」にて撮影

 ライオンズカラーの電車です。

 西武秩父駅に着き,メープルシロップが味わえるカフェや日本初のシュガーハウス(※)を有する「MAPLE BASE(メープルベース)」というお店を訪問しました。
 ※シュガーハウス…メープルシロップを製造する小屋

 西武秩父駅(または秩父鉄道・秩父駅)から西武観光バス「ミューズパーク線ぐるりん号」に乗って「ミューズパークスポーツの森」で下車し,ミューズパークの敷地に入って奥の右側にあります。

(「MAPLE BASE」店舗)
Photo_2

 カフェのメニューを見ると,パンケーキ,フレンチトースト,ナッツ,ジェラート,ソーダ,マキアート,ラテなどメープル入りの軽食・デザート・飲み物がたくさん用意されていました。

 私はこの店オリジナルのものを味わいたいと思い,「メープルドック」と「オリジナルパンケーキ(3枚)カナダ産メープルシロップ付き」のドリンクセット(アイスコーヒー),それにオプションで「秩父産メープルシロップ食べ比べ<アンバー&ダーク>」を注文しました。

 各テーブルには様々な種類のカエデの鉢が置かれていました。

(コミネカエデ)
Photo_3

 私が利用したテーブルには日本固有種のコミネカエデ(小峰楓)が置かれていました。

 さすがメープル専門店ですね。

 しばらくして,お店の方が出来上がった料理を運んできてくださいました。

 まずはメープルドックです。

(メープルドック)
Photo_4

 見た目は普通のホットドッグです。

 緑のきゅうり,赤いプチトマト,黄色いパプリカのピクルス付きです。

(メープルドック(拡大))
Photo_5

 いただいてみると,ジューシーなソーセージの下に,玉ねぎのメープルシロップ炒めがはさまれていました。

 ソーセージの塩気とメープルシロップで炒めた玉ねぎのほのかな甘みがマッチした,上品な味わいのホットドッグでした。

 野菜のピクルスもよいアクセントになっていました。


 しばらくすると,オリジナルパンケーキも焼き上がりました。

(オリジナルパンケーキと秩父産メープルシロップ食べ比べセット)
Photo_6

 「MAPLE BASE」特製のオリジナルパンケーキとメープルシロップのセットです。

 3枚のパンケーキがのせられたプレートの左横には3種類のメープルシロップが用意されています。

 上の白いリーフ皿に入っているのが,このパンケーキとセットの「カナダ産メープルシロップ」です。

 そしてその下に2つある透明なガラスのリーフ皿に入っているのがオプションの「秩父産メープルシロップ」で,上側の色がやや濃いのが「ダーク」,下側の色がやや薄いのが「アンバー」と呼ばれるメープルシロップです。

 パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットは700円,オプションで注文した秩父産メープルシロップ(2種類)は何とそれだけで1,500円です。

 つまり,パンケーキ3枚とカナダ産メープルシロップのセットよりも,オプションの秩父産メープルシロップ1種類の方が高いこととなります。

 お店の方から随時御説明いただきながら味わいました。

 まずはカナダ産をいただきました。

 濃厚なコクと甘味で,馴染み深いメープルシロップの味でした。


 次に秩父産をいただきました。

 「アンバー」と「ダーク」の2種類がありますが,その違いは収穫時期から生じます。

 メープルシロップのもととなる樹液の収穫時期は2月から3月が中心で,その期間でもわずか2~3週間の違いで,早い時期だと淡いアンバー(琥珀色)に,遅い時期になると濃いダークになるのだそうです。


 まずは「アンバー」からいただきました。

 とてもサラリとして,上品な香りと甘さを感じました。

 その淡い味わいは,まさに「和」のテイストです。


 次に「ダーク」をいただきました。

 「アンバー」に比べてコクがあるのですが,それでもカナダ産と比べるとはるかに淡い風味・甘さに感じました。


 「ダーク」の方が甘そうに見えますし,実際味わってみても甘いと感じたのですが,実は「アンバー」も「ダーク」も糖度は同じ67度なのだそうです。

 好みはそれぞれと思いますが,私は上品な甘さで程よいコクのある秩父産メープルシロップの「ダーク」が一番好みでした。

 いずれにせよ,とても高価で貴重なメープルシロップなので,一滴残らずいただきました。


メープルシロップ製造機

 食事後,お店の方の御好意でメープルシロップ製造機を見学させていただきました。

(メープルシロップ製造機)
Photo_7

 樹液を煮詰め,蒸発させるエバポレーター(蒸発機)です。

 メープルシロップの本場,カナダ製の機械で,日本ではこのお店だけにあるそうです。

 手前に管の断面がありますが,製造時にはこれらの管をパイプでつなげて各槽を結びます。

 採取した樹液の糖度は2度前後なのですが,この製造機の樹液の水分を各槽で徐々に蒸発させて糖度を上げ,最終的には糖度が67度になるよう調節されます。

 メープルシロップは,元の樹液量の40分の1程度となります。

 燃料には山から採ってきた木(薪)が使われるそうです。

 カエデの樹液の採取時期が2月~3月なので,メープルシロップの製造時期はその後の3月~4月にかけて行われるとのお話でした。

 また,この製造機でメープルシロップを作るには丸一日かかるそうです。

 稼働中は,昼夜を問わず薪をくべて火加減を調節したり,シロップの仕上がりを確かめたりする必要があるとのことで,メープルシロップ作りはとても大変な作業だということが理解出来ました。

 メープルシロップに仕上げるまでには,このほかにも樹液の採取,木(薪)の運搬,スギ・ヒノキの間伐・運搬,カエデの植林など,その多くが人手に頼らざるを得ません。

 秩父産のメープルシロップが高価である一番の理由は,この人件費なのだそうです。


秩父産メープルシロップの魅力

 秩父産メープルシロップは,現在はまだ高価で贅沢な甘味料であることは間違いありませんが,それに勝る魅力があることも確かです。

 カナダ産のメープルシロップは数種類のカエデから作られるのですが,秩父産のメープルシロップは20種類以上ものカエデから作られています。

 そのため,ポリフェノール,カリウム,カルシウムなどが多く含まれ,風味豊かで上品な甘さの理由にもなっています。

 また,砂糖に比べてカロリーが低いという利点もあります。


 秩父地域の自然の恵みの結晶とも言える秩父産メープルシロップ(和メープル)とそれを使った秩父のカエデ糖菓子。

 皆さんも秩父産メープルシロップやカエデ糖菓子を味わい,その魅力を感じ取ってみてください。


<関連リンク>
 「MAPLE BASE(メープルベース)」(埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1 秩父ミューズパーク内)

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版

2018年9月16日 (日)

ハンガリー料理の特徴と主な料理2 -冷たい桃のスープ・グヤーシュスープ・マンガリッツァ豚のソテー・ショムロ地方のスポンジケーキ-

冷たい桃のスープ

 ハンガリー料理の特徴の1つとして特筆すべきは,食事として冷たく甘い果物のスープが飲まれることです。

 果物を絞った汁にサワークリーム(または生クリーム),牛乳,香辛料などを加えて煮立たせた後,冷やしたスープです。

 ハンガリー出身の店員さんのお話では,桃のほかにも,サクランボやイチゴ(ベリー)など様々な果物が使われ,特に夏によく飲まれているそうです。

 店員さんが満面の笑顔で「デザート!デザート!」と言いながら出していただいたスープがこちらです。

(冷たい桃のスープ)
Photo

 確かに見た目もデザートのようなスープです。

 でも,メインの前の食事用スープとして出されている訳ですし,ジャガイモの冷製スープ「ヴィシソワーズ」のような感じだろうと思いながらいただいてみました。

 「普通に甘い…。これはデザート…。」

 私の正直な感想です。

 桃の果汁がほとんどで,クリームが入った桃のジュースを飲んでいるかのようでした。

 中には賽の目に切った桃も入っていました。

 次にグヤーシュスープを御紹介しますが,通常のコースではこの「冷たい桃のスープ」か「グヤーシュスープ」いずれか1品を選ぶようになっていて,いずれも同等の「料理」の扱いです。


グヤーシュスープ

 伝統的なグヤーシュスープです。

 「冷たい桃のスープ」とは対照的に,寒い時期向けの温かいスープです。

 グヤーシュがハンガリーの国民的料理となったのは1800年代後半のことです。

 ハプスブルク家に支配された「オーストリア・ハンガリー二重帝国」の時代にあって,グヤーシュはハンガリーのアイデンティティを示す料理として確立したのです。

 屋外で大鍋で作られるグヤーシュを軽めにしたのがグヤーシュスープです。

 牛肉,玉ねぎ,トマト,パプリカ,香辛料などを煮込んで作られます。

 店員さんから,「グヤーシュは『牛飼い』という意味です。」と教えていただきました。

(グヤーシュスープ)
Photo_2

 スープの表面に点々と浮かんでいる緑色はバジル入りのオイルです。

 そしてスープカップの左隣に置かれている緑色の野菜は,スープの辛さを調節するためのパプリカ(青唐辛子)です。

 いただいてみると,ビーフシチューのような深い味わいのスープで,中には角切りの牛肉・人参・ジャガイモがゴロゴロ入っていました。

 主な食材がパプリカかビーツかで異なりますが,ボルシチにも似ているように思いました。

 あまり辛味はないので,途中で試しに青唐辛子をスープに入れ,少しかじってみました。

 すると,この青唐辛子が激辛で,一気に辛いスープへと変化しました。

 ヨーロッパの料理の中でも辛い料理が多いとされるハンガリー料理ですが,グヤーシュはその意味でも代表的な料理と言えるでしょう。


マンガリッツァ豚のソテー ポテトと紫キャベツ添え

 ハンガリーの代表的な料理ということで,ハンガリーの食べる国宝「マンガリッツァ豚」のソテーを御用意いただきました。

(マンガリッツァ豚のソテー ポテトと紫キャベツ添え)
Photo_3

 マンガリッツァ豚をソテーし,デミグラスソースに似た肉と香味野菜のうまみたっぷりのソースをかけた料理で,マッシュポテトや紫キャベツ,スライスしたリンゴ,ミニトマトなどが添えられています。

 マンガリッツァ豚は肉質がとてもやわらかく,脂肪も溶けやすいので,肉の食感と脂肪のうま味の両方をバランスよく味わうことができました。

 また,添え野菜やソースに着目すると,オリジナルソースはもとより,紫キャベツ,スライスリンゴ,ベリーソースなど甘い食べ物が多いことに気付きます。

 フォアグラとトカイワインの組み合わせもそうですが,肉と甘い食べ物を組み合わせた料理が多いのもハンガリー料理の特徴の1つと言えるでしょう。
(オーストリア料理のカツレツ(ウィンナーシュニッツェル)と甘いベリーソースの組み合わせも同じ流れにあると言えます。)

 お店の方から,マンガリッツァ豚のパンフレットを見せていただきました。

(マンガリッツァ豚(ピック))
Photo_4

 モコモコした毛に覆われた,羊のような豚です。

 ハンガリーで誕生した特殊な豚で,その希少性からハンガリーの国宝にも認定されていますが,飼育と消費がうまく循環させることで頭数も安定するため,食べ続けることも必要なことのようです。

 このパンフレットはハンガリーサラミでも有名なピック社のものですが,このピック社のあるハンガリー南東部の都市セゲドはサラミとパプリカの主要産地となっています。

 そのため,ピック社の工場内に「ピックサラミ・セゲドパプリカ博物館」が設けられており,サラミとパプリカの歴史や製造法を学ぶことができます。


ショムロ地方のスポンジケーキ

 デザートは「ショムロ地方のスポンジケーキ」という珍しいケーキを用意していただきました。

(ショムロ地方のスポンジケーキ)
Photo_9

 ケーキの底から順に,ナッツのスポンジケーキ,洋酒・ベリーのケーキ,その上に白いバニラクリームケーキがのせられ,仕上げにチョコレートソースがたっぷりとかけられています。

 生クリームと甘い果実のソースも添えられています。

 このケーキの特徴はたっぷりかかったチョコレートソースと白いバニラクリームケーキです。

 チョコレートソースはココアパウダーから作られています。

 白いバニラクリームケーキは,食感が牛乳かんか名古屋のういろうのように感じ,一般的なケーキ生地とは少し異なったものでした。

 3層のケーキに3種のソース。様々な味を楽しみながら,コーヒーと共に美味しくいただき,食事を締めくくりました。


モーツァルトクーゲル

 お土産として,店頭のミニショップで販売されていたオーストリアのチョコレート菓子「モーツァルトクーゲル」を買いました。

(モーツァルトクーゲル)
Photo_6

 ヘーゼルナッツクリームとマジパンクリームをチョコレートでコーティングしたお菓子です。
 ※マジパン…砂糖とアーモンドを練り合わせた製菓材料。

 中のマジパンがしっとりとやわらかく,かたいチョコレートと対照的な組み合わせで,日本ではあまり見かけないチョコレート菓子です。

 ハンガリーとオーストリアと言えば,かつてのオーストリア皇紀で,ハンガリーびいきだった「エリザベート(シシー)」を思い浮かべますが,そのシシーのグッズも販売されていました。


 今回いただいた料理は,基本のコース料理とアラカルトの中から代表的なハンガリー料理をアレンジしていただいたものです。

 こころよく応対してくださったお店の方に感謝の意を申し上げ,お店を後にしました。

 その際,店主さんから,「また東京にお越しの際はお寄りください。今度は気負わずに。」と声をかけていただきました。

 ハンガリー政府から依頼を受けてオープンし,ハンガリー大使館のお墨付きで,ディナーはドレスコードもある東京のレストランとなると,それなりに意識して訪問したことは確かなのですが,お店はとても和やかな雰囲気で,興味深いハンガリーのお話もたくさん伺え,とても居心地の良いひとときを過ごすことができました。

 今度は気負わずに訪問できそうです(笑)。



<参考文献>
 キース・ベローズほか「世界の食を愉しむ BEST500」日経ナショナル ジオグラフィック社
 関田淳子「ハプスブルク家の食卓」新人物文庫

<店舗情報>
 「AZ Finom(アズフィノム)」(東京都渋谷区神宮前2-19-5 AZUMAビル地下1階)

<関連リンク>
 「ピック(ピックサラミハンガリー)」(ハンガリーサラミ・マンガリッツァ豚)

<関連記事>
 「ハンガリー料理の特徴と主な料理1 -トカイワイン・豚肉のパテ・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ・スズキのソテー-
 「オーストリア料理の特徴と主な料理 -カイザーゼンメル,グーラッシュ,キプフェル,ウィンナーシュニッツェル-

2018年9月14日 (金)

千葉ロッテマリーンズ スティッチの耳かき -千葉県千葉市-

 2018年9月,千葉へ行ってきました。

 ネットで千葉ロッテマリーンズの耳かきがあることがわかっていたので,千葉ロッテマリーンズのオフィシャルショップ「マリーンズストア」を中心に千葉市内のお土産店を回ってみることとしました。

 東京を出発し,総武本線・新京成電鉄・京成電鉄と乗り継いで京成千葉駅に着きました。

 千葉駅やその周辺の店でご当地耳かきを探したのですが,見当たりませんでした。

 そこで更に千葉モノレール・京葉線と乗り継ぎ,海浜幕張駅へ行きました。

 ZOZOマリンスタジアム横の「マリーンズストア ミュージアム店」や海浜幕張駅前の「マリーンズストア 海浜幕張駅前店」へ行き,千葉ロッテマリーンズの耳かきを探したのですが見当たらず,お店の方に尋ねても販売されてない様子でした。

 万事休す…。

 再び京葉線に乗り,東京ディズニーランドを横目に東京へ戻りました。(東京ディズニーランドの耳かきは持っていますので…。)

 後日,私は千葉ロッテマリーンズの本拠地まで足を運んだのだからよかろうと意を決し,「マリーンズオンラインストア」(通信販売)で耳かきを購入しました。

 発送元の住所は千葉市美浜区美浜1番,やっぱり私が行った場所から送られてきました(笑)。

1204231

 ディズニーアスリーツシリーズ,千葉ロッテマリーンズ スティッチの耳かきです。

 ただ…私はスティッチを知りません(笑)。

 なので,スティッチよりも千葉ロッテマリーンズのユニフォームの方に目がいってしまいます(笑)。

 通販で,耳かき本体(400円)より送料(540円)の方が高かったのですが(笑),千葉の球団・千葉ロッテマリーンズの耳かきが入手できて良かったです。

2018年9月 8日 (土)

ハンガリー料理の特徴と主な料理1 -トカイワイン・豚肉のパテ・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ・スズキのソテー-

ハンガリーの概要と食文化

 ハンガリーは中央ヨーロッパに位置する国で,首都はブダペストです。

 「ブダペスト」のことを日本では「ブタペスト」と呼ぶ人もいますが,かつてドナウ川をはさんで両岸にあった王宮のある都市「ブダ」と商業で栄えた都市「ペスト」が一緒になった経緯を踏まえると,「ブタ」ではなく「ブダ」の方が正しい呼び方となります。

(ドナウ川から見るブダ王宮の夜景)
Photo
菊池良生「図解雑学 ハプスブルク家」ナツメ社 p177から引用

 地理的にトルコに近いこともあり,ブダ王宮がオスマン・トルコ軍に占領され,支配された時代もありました。

 このトルコ支配からハンガリーを解放したのが隣のオーストリア・ウィーンを拠点にしていたハプスブルク家ですが,今度はハプスブルク家の支配下に置かれることとなりました。

 その後,独立機運が高まった中での「オーストリア・ハンガリー二重帝国」体制や,第一次世界大戦後のハプスブルク帝国崩壊など,幾たびかの政変を経て,現在のハンガリー国家が形成されました。

 ハンガリー人は自らをマジャール人と呼び,言語もマジャール語と呼んでいます。

 この「マジャール」はもともとアジア系遊牧民を指し,人名表記も日本と同じ姓・名の順となっているなどアジアとの関わりも強いことから,ハンガリーは「ヨーロッパの中のアジア」とも呼ばれています。

 こうした歴史的・地理的・民族的背景から,ハンガリーはヨーロッパとアジア,キリスト教圏とイスラム教圏,農耕民と遊牧民など様々な文化を受け入れてきた国だと言えます。

 そのため,食文化においても,トルコ料理,オーストリア料理をはじめとして,多種多様な料理・食材・調理法が存在しています。


 それでは代表的なハンガリー料理を御紹介しながら,ハンガリー料理の特徴についてお話ししたいと思います。


トカイワイン

 東京のハンガリー料理店でハンガリー料理をいただきました。

 予約時に「いろんなハンガリー料理を味わってみたい」と御相談したところ,わがままな要望にもかかわらず快く応じてくださり,私向けのコースを組み立てていただきました。

 ドレスコードがスマートカジュアルとあったので,少しおしゃれして伺いました。

 カウンターでハンガリーのお話を伺いながら,ハンガリー料理を味わいました。

 最初に飲み物を何にするか問われたのですが,ハプスブルク家やハンガリーの食文化について学んだ上で,どうしても飲んでみたいワインがありました。

 トカイワインです。

 ハンガリー東北部トカイ地方から産出されるワインで,建国の祖イシュトバーン1世がキリスト教を国教とするにあたり,ブドウ(フルミント種)の栽培・ワインの製造をはじめた時から続くハンガリーを代表するワインです。

 フランス国王ルイ14世をして「これぞ王様のワイン,これぞワインの王様」言わしめたワインでもあります。(ちなみにルイ14世は日本の醤油も好んだことでも有名です。)

 店主さんから,「世界三大貴腐ワイン」(フランスの「ソーテルヌ」,ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」,ハンガリーの「トカイワイン」)の1つであることを教えていただきました。

 そしてグラスに注いでいただきました。

(トカイワイン)
Photo_2

 トカイワインはよく「黄金色に輝くワイン」と称されますが,本当に黄金色の輝きをもつワインでした。

 オーストリアのマリア・テレジア(マリー・アントワネットの母)が,トカイワインの黄金色の輝きを見て,本当の金が入っているかどうか調べさせたという逸話も残っているほどです。

 口に含んでみると,アプリコット(アンズ)のお酒のような,甘みが強くフルーティーなお酒でした。

 一般的にランクの高いトカイワインほど,甘美な味わいが増すとされています。

 田舎者の私をして「田舎者にしてトカイワイン」と言わしめた,おすすめのワインです。


豚肉のパテ・パン・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ

 ハンガリーの代表的な食材を使ったオリジナルの前菜盛合せを作っていただきました。

(豚肉のパテ・パン・ハンガリーサラミ・パプリカ・フォアグラ)
Photo_3

 写真上から時計回りに,甘いパン(フォアグラ用),豚肉のパテと自家製パン,ハンガリーサラミ,パプリカとフォアグラのパテ・ソース,立ててある切身がフォアグラ,そして紫キャベツのピクルスです。

(豚肉のパテ)
 ハンガリー料理の特徴の1つに豚肉の料理が多いことが挙げられます。
 豚肉のパテもその1つで,自家製パンと共に美味しくいただきました。

(ハンガリーサラミ)
 程よい塩味でやわらかく,脂肪のしつこさもなかったので,お店の方に「このサラミは美味しいですね」とお話しすると,「ハンガリーの食べられる国宝『マンガリッツァ豚』で作られたサラミです」と教えていただき,納得しました。
 ハンガリーサラミはサラミの原点とも言われ,有名なイタリアのサラミもハンガリーをお手本に作られたという説もあります。

(パプリカ)
 輪切りのパプリカにフォアグラのパテやソースをかけた料理を御用意いただきました。
 パプリカは,オスマン帝国のトルコ人によってハンガリーに持ち込まれた唐辛子をもとにハンガリーで生まれた食材とされています。
 パプリカも含め,ハンガリーはヨーロッパの中で最も唐辛子類が食べられる国で,辛い料理が多いのも特徴の1つです。
 ハンガリーには,グヤージュ・ロールキャベツ・鶏の煮込み・鯉やナマズの煮込みなどパプリカを使った料理が多く,「パプリカなくしてハンガリー料理は存在しない」と言われるほどハンガリー料理には必要不可欠な食材となっています。

(フォアグラ)
 フォアグラは,紫キャベツで作られた甘いピクルスや甘いパン,そしてトカイワインと一緒にいただきました。
 フォアグラは甘い食べ物や飲み物と相性が良いことで知られています。(フォアグラとソーテルヌ・トカイワインの相性の良さは有名で,昔から最高の贅沢とされてきました。)
 ハンガリーはフォアグラの生産がフランスに次いで世界第2位で,日本が輸入しているフォアグラの約8割はハンガリー産です。
 ハンガリーはフォアグラの一大生産国と言えますが,これはハンガリーが水鳥(グース(ガチョウ)やダック(アヒル)など)を飼育するのに適した自然環境に恵まれており,良質の羽毛(ダウン)を産出してきたことと関係していると言えるでしょう。


スズキのソテー ポルチーニのソース

 ハンガリーはヨーロッパの内陸にあるため,魚料理は淡水魚が中心となります。

 鯉やナマズなどの淡水魚をパプリカと一緒に煮込んだ辛いスープ「ハラースレー」などが有名です。

 今回のコース料理では,スズキのソテーを御用意いただきました。

(スズキのソテー ポルチーニのソース)
Photo_4

 皿の中心にスズキのソテーにマッシュポテト,きのこ,ディル,白いパプリカが添えられ,全体にポルチーニソースがかけられています。

 外は皮も含めてパリッと,中は柔らかくジューシーにソテーされたスズキを,ポルチーニ茸と生クリームで仕上げられたソースでいただきました。

 マッシュポテトは刻んだホウレンソウとクリームチーズが入っており,コクのあるグラタンのような仕上がりでした。


【メモ】
貴腐ワイン
 ブドウの収穫を遅らせ,乾燥させたり,カビ(貴腐菌)をつけさせたりすることでブドウの水分を減らし,糖度を増した果汁で作られたワイン。
 トカイワインの場合,糖度を増したブドウ果汁と通常のブドウ果汁を混ぜて作られ,前者の果汁の含有率は「プトーニュ」という単位で表現される。

酒精強化ワイン
 貴腐ワインと同様に甘いワイン。
 ワインの製造過程の途中でブランデーなどのアルコール(酒精)を添加し,アルコール濃度を高めてその後の発酵を止めてしまうことでブドウ本来の甘さを残したワイン。
 スペインの「シェリー酒」,ポルトガルの「ポルト酒(ポートワイン)」や「マディラ酒」などが有名。

甘いワインとフォアグラのマリアージュ
 フォアグラは貴腐ワインと相性が良いが,これは酒精強化ワインにも当てはまる。
 例えばフランス料理では,フォアグラのソテーやテリーヌなどにマディラ酒のソース(ソース・マディラ)やポルト酒のソース(ソース・ポルト)が組み合わされることが多い。
 ちなみに「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ風」に用いられるソース「ソース・ペリグー」はソース・マディラに刻んだトリュフを加えて作られる贅沢なソースである。


<参考文献>
 岡田 哲「世界の味探究事典」東京堂出版
 関田淳子「ハプスブルク家の食卓」新人物文庫
 菊池良生「図解雑学 ハプスブルク家」ナツメ社
 21世紀研究会編「食の世界地図」文春新書
 21世紀研究会編「民族の世界地図」文春新書
 玉村豊男「食卓は学校である」集英社新書

<店舗情報>
 「AZ Finom(アズフィノム)」(東京都渋谷区神宮前2-19-5 AZUMAビル地下1階)

<関連記事>
 「ハンガリー料理の特徴と主な料理2 -冷たい桃のスープ・グヤーシュスープ・マンガリッツァ豚のソテー・ショムロ地方のスポンジケーキ-

« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ