埼玉県秩父地域の国産メープルシロップ・カエデ糖菓子2 -秩父のカエデ糖菓子と天然カエデ樹液(メープルウォーター)-
秩父のカエデ糖菓子
埼玉県・秩父の森には日本全国に生息するカエデのほぼ全ての種類(28種類あるうちの21~22種類)が生息していると言われています。
そんな秩父では,地域活性化の一環として,秩父のカエデを使った様々なカエデ糖菓子が販売されています。
今回はこの秩父のカエデ糖菓子を御紹介したいと思います。
(秩父のカエデ糖菓子(包装))
秩父では,カエデ糖(メープルシュガー)やメープルシロップ入りのケーキ,ゼリー,タルト,クッキーなど様々な種類のお菓子が販売されています。
「メープル」よりも和名の「カエデ」という名称を使った商品が多いのですが,これは国産・秩父産を意識されているからとも説明できるでしょう。
それでは,それぞれのお菓子を御紹介したいと思います。
すのうぼうる・秩父の森の贈り物・カエデ山の玉手箱・カエデの樹
(すのうぼうる・秩父の森の贈り物・カエデ山の玉手箱・カエデの樹)
写真右上から時計回りに,「すのうぼうる」,「秩父の森の贈り物」,「カエデ山の玉手箱」,「カエデの樹」です。
(「すのうぼうる」)
「和銅鉱泉旅館 栗助」の「すのうぼうる」です。
秩父カエデ糖とアーモンドプードル入りのクッキーです。
ホロッとやわらかく,ほのかにメープルとアーモンドの香りがするクッキーです。
(「秩父の森の贈り物」)
「有限会社ちちぶ工房」の「秩父の森の贈り物」です。
メープルシュガーとメープルシロップが使われた寒天ゼリーです。
弾力があるゼリーで,甘露飴のような味わいです。
オブラートに包まれており,昔ながらの果物味の寒天ゼリーに似た食感です。
(カエデ山の玉手箱)
「御菓子司 栄誠堂」の「カエデ山の玉手箱」です。
秩父カエデ糖で作られたメープルケーキです。
ケーキ生地の上にはカエデ糖で煮詰めたクルミがのせられ,中にはうぐいす豆,干しブドウ,栗と色々な食材が入っています。
まさに秩父の恵みいっぱいの玉手箱のようなお菓子です。
(カエデの樹)
「株式会社 水戸屋本店」の「カエデの樹」です。
カエデ形の最中生地に秩父カエデ糖と生クリーム,バター,蜂蜜を煮詰めたヌガーをのせたお菓子です。
キャラメルとメープルの風味に,スライスアーモンドも加わり,香ばしさとコクを堪能することができます。
なお,これと似たお菓子はモミジを売りとする広島でも,「もみじのもなか」(パティスリー・イマージュ)や「もみじキャラメルフィーユ」(バッケンモーツァルト)などの名称で販売されています。
メープルウォーターゼリー・秩父カエデ糖タルト・かえでモン・カエデのしずく
(メープルウォーターゼリー・秩父カエデ糖タルト・かえでモン・カエデのしずく)
写真右上から時計回りに,「メープルウォーターゼリー」,「秩父カエデ糖タルト」,「かえでモン」,「カエデのしずく」です。
(メープルウォーターゼリー)
「本家 松月」の「メープルウォーターゼリー」です。
カエデ樹液とメープルシロップで作られたやわらかいゼリーです。
かすかに紅茶の風味もあります。
カエデ樹液をそのままゼリーにしたような,ほのかなメープルの香りとスッキリとした甘みを楽しむことができるゼリーです。
(秩父カエデ糖タルト)
「水戸屋」の「秩父カエデ糖タルト」です。
クッキーのような厚手のタルトカップに秩父カエデ糖,バター,蜂蜜などで作られたキャラメルを流し込んだタルトです。
やわらかいキャラメルの中にスライスアーモンドとクルミがたっぷりと入っており,甘味と深いコクを楽しめるお菓子となっています。
(かえでモン)
「菓子工房玉木家」の「かえでモン」です。
バター,砂糖,小麦粉,卵,メイプルシロップなどを原料に作られたホットケーキのようなしっとりとしたケーキです。
メイプルシロップの香りがアクセントとなっています。
(カエデのしずく)
「御菓子司 栄誠堂」の「カエデのしずく」です。
カエデの若葉で作られた「カエデ茶」から作られた「かえでのラムネ」入りのゼリーです。
コラーゲンが配合されているため,半透明でサックリとした食感のゼリーに仕上がっています。
ほのかなメープル風味が楽しめるお菓子で,ゼリーの中には深緑色のカエデの形をしたゼリーも入っています。
Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液)
「秩父観光土産品協同組合」の「Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液)」です。
毎年2月~3月のひと月だけ採れる秩父の天然カエデの樹液で,2018年は3千本の限定商品です。
「MAPLE BASE(メープルベース)」で購入しました。
(Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液))
シリアルナンバーは「1341」とあり,限定3千本のうちの1341本目であることがわかります。
御覧いただくとお分かりのように,見た目は水のような透明な液体です。
(Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液)(封緘紙))
ビンの封緘紙には,「この商品の事業収益は,秩父の森林資源の再生に還元されます」と記載されています。
ちなみに,この商品は360ml入りで756円(税込)です。
市販の水やソフトドリンクに比べるとずいぶんと高い飲み物なので,多少緊張しながら栓を開け,いただきました。
水に比べて多少ドロッとした粘りがある透明な液体でした。
スポーツドリンクとまではいかなくても,ニアウォーターぐらいの甘さはあるだろうと想像していたのですが,実際に飲んでみると,本当に甘味があるのかどうか判断が難しいほどかすかな甘味しかありませんでした。
水だと言って出されたら,その価値もわからないままゴクゴクと飲み干してしまうでしょう(笑)。
ちなみにこのカエデ樹液の糖度は約2度です。
ゴクゴクと飲み干せるような値段の飲み物ではないので,ゆっくり味わっていただきました。
天然カエデ樹液からメープルシロップを作る
「Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液)」を味わいながら,ふと,「この天然カエデ樹液を煮詰めたらメープルシロップが作れるのではないか」と思いつきました。
そこで少々もったいない気もしましたが,この天然カエデ樹液を鍋に注ぎ,ガス火でゆっくりと煮詰めてみました。
ビンの約3分の1の量の樹液を半分ずつ,2回に分けて約10分間煮詰めてみました。
するとだんだんと褐色を帯びた色に変化し,あのメープル独特の甘い香りが漂ってきて,飴のような粘りも出てきました。
元の天然カエデ樹液と出来上がったメープルシロップを並べてみました。
(天然カエデ樹液と手作りメープルシロップ)
写真左が「Chichibu MAPLE WATER(天然カエデ樹液)」の原液,写真右がその原液を鍋で煮詰めて作った手作りメープルシロップです。
カナダ産に比べてミネラル分が多いからか,多少濁りも出ました。
約120mlのカエデ樹液から出来上がったメープルシロップはわずかティースプーン1杯。この量で約250円です。
秩父産メープルシロップは高価なのですが,天然カエデ樹液を約40分の1・糖度約67度になるまで時間と労力をかけて煮詰めて作られることを考えると,相応の価格なのだろうと思います。
この煮詰めて作ったメープルシロップは感動的な美味しさでした。
そして,甘みがあるかないか程度のカエデの樹液を煮詰めて甘いメープルシロップを作り出すことを発見した先人はすごいなと思いました。
今回御紹介したカエデ糖菓子は各店舗のほか,「秩父地場産センター 物産館」や西武秩父駅前温泉「祭の湯」施設内の「ちちぶみやげ市」,「MAPLE BASE(メープルベース)」などで購入できます。
「秩父地場産センター 物産館」や「ちちぶみやげ市」には秩父のカエデ糖菓子が揃っていて,バラ売りもされているので,いろんな種類のお菓子を味わってみたい方はこちらが便利です。
東京(池袋)から秩父へは西武池袋線・秩父線の特急で約1時間20分です。
(西武鉄道(特急レッドアロー・ちちぶ36号・池袋行))
西武秩父駅にて撮影
秩父のメープルスイーツやメープル料理を味わう旅はいかがでしょう。
きっと楽しい旅行になると思います。
<関連リンク>
「カエデ樹液プロジェクト」(特定非営利活動法人「秩父百年の森」)
「西武秩父駅前温泉「祭の湯」」(埼玉県秩父市野坂町1-16-15)
「秩父地場産センター」(埼玉県秩父市宮側町1-7)
「MAPLE BASE(メープルベース)」(埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1 秩父ミューズパーク内)
<関連記事>
「埼玉県秩父地域の国産メープルシロップ・カエデ糖菓子1 -メープルドック・パンケーキとメープルシロップ食べ比べ-」
<参考文献>
尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
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コメント
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コウジ菌さん、こんばんは(*'▽')
メープルシロップ!!(≧▽≦)♪
おいしいですよね、大好きです。
私はたぶん本物は食べたことがないと思うんですけど、それでもおいしいです。
本物はもっとおいしいんだろうなぁと思いながら読みました。
どのお菓子を一番食べたいかなと考えたんですけどどれも食べたいな( *´艸`)になりました。
カエデ樹液がすごく珍しくて(゜0゜)そんなものがあるんですね。
とてもおいしそうな記事でした!
ありがとうございます(*^▽^*)
投稿: ゆめはる | 2018年10月17日 (水) 18時37分
ゆめはる 様
ゆめはるさん,こんばんは!
コメントいただき,ありがとうございます。
メープルシロップお好きですか(笑)。
私はワッフルにかけて食べるのが好きです。あと,メープルウォルナッツベーグルも(^o^)
秩父が本物という訳ではなく,秩父では国産のメープルシロップが味わえるというお話ですから大丈夫です。
私もこれまで本物のカナダ産メープルシロップを食べたことがあるかどうかと言われたら,自信ありませんし…(笑)。
国産のメープルシロップは市販のメープルシロップに比べて,とてもサラサラして,淡い味わいがしました。
ゆめはるさんにどのお菓子がおすすめか…。
多分メープルケーキがお好みだと思います。
メープルシロップの甘味や香りがはっきりわかるお菓子だからです。
そしてカエデ樹液もおすすめです。
私と同じように鍋で煮詰めて,メープルシロップを作ってみられると面白いですよ~。
通販で購入できる商品もあるようですよ。
中国地方でもいろんなメープルスイーツを味わえるようになればいいですね!
投稿: コウジ菌 | 2018年10月17日 (水) 22時10分