聖マルティンの日とドイツのヴェックマン(パイプマン)
毎年11月11日は聖マルティンの日です。
ヨーロッパを中心に聖マルティンにちなんだ様々な行事が行われます。
聖マルティンはキリスト教の聖人で,「凍てつく寒い夜,聖マルティンが着ていたマントを剣で2つに切り裂き,裸同然で寒さに震えていた乞食に分け与えた」という話で有名です。
聖マルティンの日は食文化関連の本でもたびたび登場します。
こうした本には,たいてい「(聖マルティンの日は,)収穫祭と一致し,迫り来る厳しい冬に備えて豚を大量に処理(屠殺)し,生肉を食べ,ハム・ソーセージ・ベーコンなどの保存食が作られてきた日」だと説明されています。
私もその話しか知らなかったのですが,広島のカフェ「Cafe Igel あかいはりねずみ」で,聖マルティンの日にちなんだ面白いパンが販売されているのを見つけました。
(パンマン)
人の形をしたパンです。
ドイツでは「ヴェックマン(Weckmann)」とか,「パイプマン(司教の杖を意味するパイプを持った姿のパンであることから)」などと呼ばれています。
ただ,このパンは(パイプが日本で売られておらず,)パイプを持っていないため,「パイプマン」ではなく「パンマン」と呼ぶのだそうです(笑)。
毎年11月11日に行われるドイツの聖マルティン祭には欠かせない食べ物のようです。
さらに店主さんから,「ドイツではガチョウ料理やガチョウの玉子を食べる日でもある」というお話も伺いました。
さかのぼれば,パンがキリストの肉であるという思想に基づいたパンなのでしょう。
実際にこのパンをいただきましたが,あまりにもリアルなので,手や足,頭をちぎりながら食べるのことに少し抵抗を感じてしまいました(笑)。
<関連リンク>
「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)
<参考文献>
宮崎正勝「知っておきたい「食」の世界史」角川ソフィア文庫
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