« 読売ジャイアンツ・シスタージャビット(ビッキー)の耳かき -東京都墨田区- | トップページ | あずきの研究14 -岡山の犬島ぜんざい- »

2019年1月13日 (日)

福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪1 -三池炭鉱で炭坑節を唄う-

 盆踊りなどでお馴染みの「炭坑節」。

 三池炭鉱が舞台となった歌で,その地は現在「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」の名で世界遺産登録されています。

 歌としては馴染みがあるものの,どんなところなのか漠然としたイメージしかなかったので,三池炭鉱の遺産がある福岡県大牟田市・熊本県荒尾市へ行ってみました。


福岡県大牟田市・宮浦石炭記念公園

 三池炭鉱は,福岡県の南部に位置する大牟田市と熊本県の北部に位置する荒尾市にまたがった地域にあります。

 私は博多駅から鹿児島本線・区間快速に乗って大牟田へ向かいました。

(JR大牟田駅と区間快速)
Photo

 大牟田駅からはレンタカーを利用し,三池炭鉱の遺産巡りをしました。

 最初に訪れたのが,炭坑節にも登場する煙突が現存する宮浦石炭記念公園です。

(宮浦石炭記念公園の煙突)
Photo_2

 正直な感想を言います。

 「♪あんまりー煙突がぁー低いのでー♪」びっくりしました(笑)

 高さ31.2mのれんが造りの煙突です。

 採掘した石炭の運搬や炭鉱マンの移動などには主に蒸気動力が使われましたが,その際に生じた煙を排出するために,三池炭鉱のあちこちにこうしたレンガ造りの煙突が設置されました。

 こうした経緯から,三池炭鉱のシンボルは煙突となり,炭鉱節にも唄われるようになったのです。


福岡県大牟田市・宮原坑

 続いて宮原坑を訪問しました。

(三池炭鉱・宮原坑)
Photo_3

 写真左が竪坑櫓,右のレンガ造りの建物が巻上機室です。

 竪坑櫓の昇降機により地上と地下が結ばれ,蒸気動力により炭鉱マンの移動や石炭の運搬がなされました。

 現地のボランティアガイドさんから,宮原坑の施設や三池炭鉱の歴史について学びました。

 三池炭鉱は石炭を掘り出そうとすると,湧水(地下水)がたくさん出てきて,その処理がとても大変だったそうです。

 そこで三井財閥は当時世界最新と言われたイギリスのデビーポンプを導入し,その湧水を蒸気動力で地上に汲み出すことで採炭に成功したとのことでした。

 ボランティアガイドさんからいろんな説明を受けたあと,「それでは,炭坑節でも唄いましょうか」とおっしゃっていただいたので,私は「おーっ,待ってました!ぜひ!」とお願いしました。


【炭坑節】
 月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)
 
 三池炭鉱の上に出た
 
 あんまり煙突が高いので
 
 さぞやお月さんけむたかろ(サノヨイヨイ)


 三池炭鉱で炭坑節が聴け,一緒に唄えたことにとても感動しました。

 訪問して良かったなと心から思った瞬間でした。


熊本県荒尾市・万田坑

 続いて車で熊本県荒尾市の万田坑を訪問しました。

(三池炭鉱・万田坑)
Photo_4

 こちらでもツアーガイドさんに説明を受けながら施設内を見学させていただきました。

 万田坑は国内で最も良好な状態で炭鉱設備が揃っており,施設内にも入ることが出来ます。

 石炭とコークスの違いなど,ツアーガイドさんからたくさんのことを教えていただきました。


福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪

 福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食を御紹介します。


【大牟田ラーメン】

(大牟田ラーメン)
Photo_5

 大牟田駅にほど近い「東洋軒」の大牟田ラーメンです。

 豚骨ラーメンですが,そのルーツは久留米でも博多でもなく,なんと岡山なのだとか。

 そう言えば,福岡という地名も,黒田家ゆかりの備前国邑久郡福岡(岡山県瀬戸内市長船町福岡)に由来していると聞きますし,福岡と岡山はいろんな縁があるようです。

 豚骨を高火力で焚き出した濃厚なスープで,美味しくいただきました。


【大牟田産100%落花生】

(大牟田産100%落花生)
100

 落花生と言えば千葉が有名ですが,こちら大牟田でも落花生が作られています。

 品種は「千葉半立(ちばはんだち)」です。


【炭都ぼーろ・かすてーら饅頭・ジャー坊 de COFFEE・たいらぎ最中・万田坑メロンパン】

(炭都ぼーろ・かすてら饅頭・ジャー坊 de COFFEE・たいらぎ最中)
De_coffee

 写真左が「炭都ぼーろ(津留製菓)」,中央手前が「かすてら饅頭(菓舗だいふく)」,右下が「ジャー坊 de COFFEE(自家焙煎珈琲専門店こうひいや)」,右上が「たいらぎ最中(長崎屋)」です。

 「ジャー坊」は大牟田市の公式キャラクターです。
 大蛇の化身で,炭鉱のヘルメットとつるはしを身に付けています。

 「たいらぎ最中」は有明海で採れる「たいらぎ」という貝の形をした最中で,小豆あんと抹茶あんの2種類があります。


(万田坑メロンパン)
Photo_6

 万田坑がデザインされた袋に入った「万田坑メロンパン(ふくやまベーカリー)」です。


(万田坑メロンパン・かすてら饅頭・炭都ぼーろ)
Photo_7

 写真左上が「万田坑メロンパン」,その下が「かすてら饅頭」,右が「炭都ぼーろ」の中の様子です。

 「万田坑メロンパン」は中に石炭をイメージしたチョコチップが入ったメロンパンです。
 荒尾市にある「ふくやまベーカリー」のメロンパンは全国的にも有名なお店です。

 「かすてら饅頭」は中に白あんが入った饅頭で,大牟田発祥のお菓子です。

 「炭都ぼーろ」は大牟田の石炭をイメージし,食用竹炭と黒糖を練り込んだボーロです。


まとめ

 行く先々でガイドさんが親切にしてくださり,三池炭鉱について楽しく学ぶことが出来ました。

 三池炭鉱関連や地元ならではのグルメもたくさんあり,堪能しました。

(西鉄大牟田駅と特急)
Photo_8

 帰りは西鉄大牟田駅から特急で福岡市の天神へ向かいました。

 低い煙突と炭坑節が印象的な三池炭鉱遺産の旅でした。


<参考文献>
 「おおむた観光ガイドブック」(一社)大牟田観光協会・大牟田市観光おもてなし課

« 読売ジャイアンツ・シスタージャビット(ビッキー)の耳かき -東京都墨田区- | トップページ | あずきの研究14 -岡山の犬島ぜんざい- »

日本各地の食文化」カテゴリの記事

コメント

今晩は。
大牟田ラーメンが独自のルートで誕生したという
ことではないでしょうか?

岡山ラーメンは醤油豚骨ラーメンが主流ですが、
昭和24年(1949年)に 岡山県から来た4人の男
達がラーメン屋台を出し大当たりヽ(´▽`)/

その屋台を手伝っていたのが東洋軒の創業者で
謎の男たちが2年くらいで岡山に帰ったのを機に
昭和26年に屋台からスタートしたのが東洋軒
という様な記事もありました(*^-^)

新横浜ラーメン博物館によると、豚骨ラーメンは
久留米の屋台「南京千両」が最初で、
長崎出身の店主がちゃんぽんと横浜の支那そば
をヒントに考案、同じく久留米の「三九」で偶然
白濁スープが誕生したとあります( ̄▽ ̄)

因みに、三九で白濁豚骨スープが誕生したのは、
昭和22年ですm(_ _)m


なーまん 様

とてもお詳しい情報をいただき,ありがとうございます。

大牟田ラーメンのことを記事にしようと思ったのは,岡山にルーツがあることに興味を持ったからなのですが,お調べいただいたほど詳しく理解していた訳ではないので,お恥ずかしい限りです。

いただいたコメントをそのままコピペして記事にさせていただこうかなと思ったぐらいです(笑)

大牟田市の観光ガイドさんから,当時の三池炭鉱には,西日本を中心に全国から労働者が集まったと伺いました。

ですので,その人達を通じて三池炭鉱一帯で食文化の交流はあったことでしょう。

では,岡山出身者の方だから,地元岡山ラーメンを屋台で売っていたのかと考えると,ちょっと無理があるような気もします。

お話いただいたように,岡山ラーメンは豚骨醤油が主流ですが,大牟田ラーメンは濃厚な豚骨スープが主体で,豚骨醤油スープではないからです。

それに当時からそうした岡山ラーメンが広く定着していたか,そもそも岡山ラーメンで売り出そうと考えられたのか,といったことも明確ではありませんし…。

そう考えると,やはり,なーまんさんがおっしゃるように,大牟田ラーメンは岡山出身の方たちがラーメン屋台を出したことをきっかけに,独自のラーメンを作り上げられたと整理する方が自然ですね。

福岡の豚骨ラーメンについても,久留米が発祥というぐらいしか知らず,長崎のちゃんぽんや横浜の支那そばをヒントにという話は初めて知りました。
横浜も関係しているとは驚きです。

記事にもありますように,私はあの後,福岡・天神へ行ったのですが,それは博多ラーメン目当てでした(笑)

同じ福岡の豚骨ラーメンでも,博多・久留米・大牟田と南下するにつれ,濃厚さが増すように思います。

新横浜のラーメン博物館も,単に全国のラーメンが味わえるだけでなく,ラーメンについてのいろんな勉強ができる施設のようで,興味深いです。

神奈川のサンマーメンも味わってみたいです(^o^)

今回はいろいろ勉強させていただきました。
心からお礼申し上げますm(__)m

コウジ菌さん、こんばんは~ヽ(´▽`)/
いろいろな情報が載ってて楽しい記事だったのですが、たいらぎ最中のところで!!(゚ロ゚屮)屮
たいらぎ大好きなんです( ´艸`)ふふふ
父が時々魚市場?から買ってきてくれて渡してくれるんですよー
私はお皿に乗ったたいらぎは知ってますが、貝がどんな感じのものか知らなくて・・・。
父に説明を求めたところ大きな貝であることは分かりました(゚ー゚;
でも最中の写真を見ておもしろい形なんだ~とイメージがだいぶはっきりしたような気がします。
父の子どもの頃の話を聞くきっかけになったたいらぎは私にとっておいしい貝でもあり、ちょっと恩を感じてる貝でもあります
そんな貝の形をした最中があることを知って得した気分です゜.+:。(*´v`*)゜.+:。
素敵な記事をありがとうございました(o^-^o)

ゆめはる 様

ゆめはるさん,こんばんは!
コメントいただき,ありがとうございます。

たいらぎがお好きなんですね。ゆめはるさん,グルメだなぁ(^o^)
面白い形をした貝なので,イラストにしてもいいでしょうね。
お父様の子供の頃の話をきっかけにもなった,たいらぎ貝。
いいお話を伺って,私も感動し,嬉しくなりました。

たいらぎ最中は,小豆あんと抹茶あんの2種類があり,貝柱に見立てたやわらかいお餅(求肥)も入っています。
福岡県大牟田市の「長崎屋」というお店で買いました。
http://www.nagasakiya-om.co.jp/index.html
このお店で,焼きたてのカステラをいただいたのですが,こちらもおいしかったです。

心温まるコメントをいただき,ありがとうございました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 読売ジャイアンツ・シスタージャビット(ビッキー)の耳かき -東京都墨田区- | トップページ | あずきの研究14 -岡山の犬島ぜんざい- »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ