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2019年1月 5日 (土)

ドイツ料理の特徴と主な料理 -シュバルツヴァルトとドイツ音楽-

ドイツの食文化

 ドイツは森の国と呼ばれています。

 ドイツの豊かな森が,「ヘンゼルとグレーテル」などグリム童話をはじめとする文学を育み,オペラなどの音楽を育み,豚などの家畜を育んでドイツ人の食を支えてきたと言えるでしょう。

 ドイツは丘陵地帯が多く,冬の寒さが厳しいため,ジャガイモやライ麦・大麦などの野菜・穀物の栽培が中心となり,畜産は豚の飼育が中心となって食文化が形成されてきました。

 ドイツ料理と言えば,豚肉料理,パン(※),ジャガイモ料理,ビールなどが有名ですが,これらは全てドイツの地理的環境によるところが大きいのです。
 ※ドイツのパン(ブロート)は,寒さに強いライ麦などの雑穀を混ぜて作られることが多く,あまり膨らまないため,褐色を帯び,酸味があり,重厚で詰まった食感のパンが多い。

 また,豚肉を加工したハム(シンケン)・ソーセージ(ヴルスト)や,キャベツを漬物にしたザワークラウトなど,限られた食料を長期に保存するための工夫もなされ,伝統的なドイツ料理として現代に受け継がれています。

 そして,ドイツで忘れてはならない食材がホワイトアスパラガスです。

 ホワイトアスパラガスはドイツに春を告げる最も代表的な食材であり,各地でアスパラガス祭りも行われています。


「黒い森の夜」イベント参加

 ドイツの南西部,フランス・アルザス地方に隣接する地域の森や山地は,「黒い森(シュバルツヴァルト,Schwarzwald)」と呼ばれています。

 この地域にちなんだお酒や食事が楽しめるイベントが広島市内のカフェであったので,興味を持って参加させていただきました。


ヴルツェルペーター(ジンジャーペーター)

 ヴルツェルペーター(Wurzel Peter)は,ハーブ入りのリキュールです。

 私はジンジャーエールで割ったジンジャーペーターをいただきました。

(ヴルツェルペーター(ジンジャーペーター))
Photo

 ビンにはグリム童話に登場しそうな赤い帽子をかぶったおじいさんの絵がありますが,アルコール度数35度の強いお酒です。

 シナモン,アニス,コリアンダーなど多くのハーブ・スパイスが入ったリキュールで,味・風味は,小児用かぜシロップに近いとか,養命酒などの薬用酒の味に近いという話が出ました。

 私は小児用かぜシロップの味は好きなので,ジンジャーエール割(ジンジャーペーター)を美味しくいただきました。

 翌日,職場でヤクルトのタフマン(高麗人参エキス入り)を飲んだのですが,このタフマンをジンジャーエールで割っても近い味になるように思います(笑)


ドイツ料理プレート

 黒い森のイベントで用意されたドイツ料理プレートです。

(ドイツ料理プレート)
Photo_2

 写真中央が「黒い森のじゃがいもスープ」,左上のパンが「ライ麦パン」,その右隣が「キャベツのサラダ」,右上が「アイスバイン」です。

 それぞれの料理を御紹介します。

【黒い森のじゃがいもスープ(シュヴァルツヴェルダー・カルトッフェル・ズッペ)】 
 「シュヴァルツ」が「黒」,「ヴェルダー(ヴァルト)」が「森」,「カルトッフェル」が「じゃがいも」,「ズッペ」が「スープ」という意味です。
 じゃがいも,玉ねぎ,人参,キャベツ,ハム,ソーセージなどの具が入った澄んだスープです。
 このスープがなぜ「黒い森」という名前なのか,店主さんに伺ってみると,スープの具に「シュヴァルツヴェルダー(シンケン)」と呼ばれるハムが用いられるからなのだそうです。

【ライ麦パン(ロッゲンブロート)】
 ライ麦(ロッゲン)入りのパンで,ドイツの代表的なパンの1つです。
 褐色で,サワー種が使われるため多少酸味もあります。
 ドイツに留学された方のお話では,これがまさにドイツの日常のパンなのだそうです。

【キャベツのサラダ(コールサラダ)】
 キャベツ,人参,玉ねぎなどを合わせたキャベツのサラダです。
 ドイツのキャベツ料理と言えば「ザワークラウト」と呼ばれるキャベツの漬物(千切りキャベツを塩やキャラウェイシードなどの香辛料で漬けた漬物)も有名で,ソーセージ(ヴルスト)やアイスバインの付合せとしても用いられます。

【アイスバイン】
 アイスバインは豚のすね肉を数種類の野菜とともに煮込んだドイツの代表的な料理の1つです。
 皮までゼラチン質になっています。
 すね肉を煮込んでいるので脂身はほとんどなく,弾力があります。
 写真左上の小皿はバターと甘いベリーソースなのですが,この甘いベリーソースと一緒にアイスバインを食べるのがドイツの食べ方のようです。
 オーストリアのウィンナーシュニッツェル(カツレツ)と甘いベリーソースの組み合わせもそうですが,肉と甘い果実ソースの組み合わせは,実際に食べてみると美味しいというのが私の感想です。


黒い森のケーキ(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)

 「キルシュ」は「サクランボの蒸留酒」,「トルテ」は「ケーキ」という意味です。

 ドイツではケーキを横に倒し,ケーキにフォークを刺した状態でお客さんに提供されるようで,今回もケーキを倒して出していただきました。

(黒い森のケーキ(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ))
Photo_3

 ココアパウダー入りの黒いケーキにキルシュ(ワッサー)入れて煮詰めたチェリーと生クリームをはさんだケーキです。

 チョコ(ココアパウダー)の見た目が黒く,シュバルツヴァルトの森ではチェリーがたくさん採れることから,「黒い森のケーキ」と呼ばれています。


ドイツの音楽

 お酒を飲み,食事しながら,集まったメンバーでドイツの話題で盛り上がりました。

 食文化だけでなく,ドイツ語,車,カメラ,サッカーなどいろんな話で盛り上がりましたが,一番盛り上がった話題は音楽でした。

 店主さんを含め,クラシック音楽好きな人が多かったからです。

 自ら「クラオタ」(クラシックオタク)とか,さらに上の「クラ変」(クラシック変態)だとおっしゃるぐらいでしたので,相当なクラシックファンなのでしょう。

 3B(バッハ,ベートーベン,ブラームス)とか,ブラームス派とワグナー派とか,ロマン派のメンデルスゾーンとか,クラシック音楽のいろんな話が出ました。

 私は…バッハと言えば「主よ,人の望みの喜びよ」,ベートーベンと言えばどん兵衛のCMで知った「第九」,ブラームスはピンとこないし,ワグナーは「ワルキューレの騎行」と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」,メンデルスゾーンに至っては「ほら,結婚式で定番の『結婚行進曲』!」と言われてはじめてわかる程度の知識でした。

 「でもこの歌ならドイツ語で歌える」と,恥ずかしげもなく私はベートーベン作曲の「Ich liebe dich(イッヒ・リーベ・ディッヒ)」を皆さんの前で歌わせていただきました。

 ブラームスの曲って何があるのだろうと思い,後日調べてみると,1つだけ私の知っている好きな曲がありました。

 ブラームスの「大学祝典序曲」です。

 この曲は,初めて生でオーケストラを聴いた時に最も印象に残った曲でした。

 エルガーの「威風堂々」にも似た,誇り高さや勇ましさを感じるのです。

(ブラームス「大学祝典序曲」)


 私は受験時代「大学受験ラジオ講座(ラ講)」を聴いて勉強していたのですが,この「大学祝典序曲」はそのオープニング曲で使われたことでも有名です。(動画4:30から4:46にかけての音楽です。)

 黒い森をさまようような受験時代に聴いた曲,だから印象に残っているのかも知れません(笑)


まとめ

 ドイツの食文化と音楽を中心にまとめさせていただきましたが,改めてドイツの魅力・奥深さを感じたように思います。

 今年(2019年)は,広島・似島で日本初のバウムクーヘンが誕生して100周年を迎える年でもあり,広島もドイツの話題で盛り上がりそうです。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<関連記事>
 「「バウムクーヘン博覧会」 -広島からはじまる日本のバウムクーヘンの歴史-
 「聖マルティンの日とドイツのヴェックマン(パイプマン)
 「オーストリア料理の特徴と主な料理1 -カイザーゼンメル,グーラッシュ,キプフェル,ウィンナーシュニッツェル-

<参考文献>
 玉村豊男「パンとワインとおしゃべりと」中公文庫
 岡田 哲「食の文化を知る事典」東京堂出版
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

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コメント

あれー?シュトーレンの紹介はなしですか??(笑)
ケーキはフランス語だとだとフォレノワールですね。
私も年末に食べました

chibiaya 様

chibiayaさんすごいw(゚o゚)w
よく覚えてらっしゃいますね!
そうなんです。シュトーレンも味わったんです。
行かれたことのある松戸市の「Zopf(ツオップ)」のシュトーレンを。
写真撮るのを忘れてしまいまして…(^^ゞ

ケーキの名前,私はドイツ語よりもフランス語で「フォレノワール」と表現される方がまだわかりやすいです(笑)
ザワークラウト(独)とシュークルート(仏)など,呼び名が違うだけで同じ食べ物・お菓子も多いんでしょうね。

年末にフォレノワールを召し上がったんですね。
この季節にぴったりのお菓子。ナイスな選択です!

昔ドイツの村で豚を屠りソーセージを造る様子を
追ったドキュメンタリーを観た事があります。
血の一滴も無駄にしない、始末の良さに感心した
記憶があります( ̄▽ ̄)

鎌倉には名物女将のいるドイツ料理やがあって
アイスバインも食べた事が有ります( ̄ー+ ̄)
腸詰屋も好きなお店です( ^ω^ )

なーまん 様

素晴らしいコメント,ありがとうございます。

「豚の血の一滴も無駄にしない」…ドイツの食文化の特徴をとてもうまく表現した言葉だと思います。
いただいたコメントで今回の記事がうまくまとまりました(^o^)

私はNHKスペシャル「人間は何を食べてきたか」シリーズの「一滴の血も生かす ~肉~」を観たことがあるのですが,ドイツの豚の解体・ソーセージ作りの様子が紹介されており,血の一滴・臓物の一片も無駄にしない精神が徹底されていました。
ドイツでは昔から,豚は人々を支える貴重な食料なのでしょうね。

鎌倉と言えば,鎌倉野菜や鎌倉ハムのイメージがありますが,本格派のドイツ料理店もあるんですね。
アイスバイン…だけじゃなくビールやドイツワインも堪能されたのでは(笑)

広島に「グリュックスシュバイン」というドイツのハム・ソーセージが美味しいお店があるのですが,こちらの店主さんは神奈川県厚木市の「厚木ハム」でいろいろと学ばれたようです。

神奈川県は美味しいドイツのお店が多いですね!

こんばんは。

「大学祝典序曲」力強くて、キャッチ―なところもあって(その部分は
テレビやラジオの番組なので使われてるおぼえがあります)、
「威風堂々」に似た趣ありますね。男前の曲。
中学生の頃に音楽の授業で初めて聞いたのを思い出しました^^
ケーキ、「黒い森のケーキ」って良いネーミングですね。

サウスジャンプ 様

サウスさん,こんばんは!
音楽へのコメント,お待ちしておりました。ありがとうございます。

「大学祝典序曲」を御存知ですか!さすがです。
音楽もお得意なんですね。
私はたまたま知っただけに(笑),こういう分野の話をさらりと語れる人は尊敬します。
中学生の頃に音楽で習われたとは,結構レベル高いなぁと思いました。

私はエルガーの「威風堂々」のほかに「愛の挨拶」とか,サティの「ジュ トゥ ヴ(Je te veux)」,ボロディンの「韃靼人の踊り」など,大人しい曲も好みです。

ちなみに…今回のメンバーの皆さんに,「私はミミカキストです」と真面目にお話ししたら,思いっきり笑われました(^^ゞ

「黒い森のケーキ」,確かに印象に残るネーミングですよね。
意味がわかれば納得しますが,知らずに最初に聞いたら,どんなケーキなのかドキドキするネーミングです。
ましてや「黒い森の夜」というイベントなんて,知らない人が聞いたら,怪しさ満点です(笑)

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