富山の薬膳料理・菓子 -やくぜんカレー・やくぜん茶・富山飴・ゲンゲ・薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ-
富山と薬膳料理・薬膳菓子
薬のまちとして有名な富山。
富山市では,薬を販売するだけでなく,医食同源や東洋医学の思想に基づき,古くから健康に良いとされる食材を食事に取り入れた薬膳料理・薬膳菓子の普及・推進に取り組まれています。
薬都・富山ならではの薬膳食に興味を持ち,富山市を訪問しました。
(富山駅・あいの風とやま鉄道)
やくぜんカレー・やくぜん茶・富山飴
富山の製薬会社「廣貫堂」がプロデュースする薬膳カフェ「癒楽甘 春々堂(ゆらくかん ちゅんちゅんどう)」で薬膳料理をいただくこととしました。
メニュー表に薬膳食材が紹介されていました。
(薬膳食材の紹介)
えごま,なつめ,くこの実,松の実,陳皮,ハト麦,百合根などの薬膳食材が紹介されています。
【やくぜんカレー】
(やくぜんカレー)
富山の食材と薬膳食材が使われた「やくぜんカレー」です。
今回のやくぜんカレーは「鶏ひき肉と根菜のカレー」で,富山米と雑穀を紅花で炊いた黄色いライスと,鶏ひき肉と里芋のカレーで構成されていました。
ライスの上には,カボチャ,さやいんげん,クコの実がのせられています。
ジャスミンティーとカレーの風味を強くするスパイス(ガラムマサラ)も付いています。
スパイスの香り豊かな,体にやさしいカレーライスでした。
「ターメリックとウコン」,「クローブと丁子」,「シナモンと桂皮」,「ジンジャーと生姜」など,カレーに使うスパイスと漢方薬の生薬は,呼び名が異なるだけで同じ原料であることも多く,カレー用のスパイスを調合するための知識・技術と,漢方薬の生薬を調合するための知識・技術にも共通点があるように思いました。
【やくぜん茶】
(やくぜん茶)
ウーロン,プーアル,ハトムギ,なつめ,クコの実で作られた廣貫堂オリジナルやくぜん茶です。
手前にスプーンがありますが,これはガラスポットに入っている赤いクコの実をすくって食べるためです。
ウーロンやプーアルは中国で,なつめやクコの実は朝鮮半島でよく用いられる食材ですね。
【富山飴】
富山では,昔から薬と一緒に水あめが販売されてきました。
苦い薬を飲みやすくするため,麦芽水飴が用いられたのです。
こうした飴関連で,春々堂の販売コーナーに「富山飴」という飴が売られていたので購入しました。
(富山飴)
個包装には,
「とやまの薬は お金はあ・と・か・ら『先用後利』」
「とやまの売薬さんは 柳行李を背負って全国を行商」
「とやまの売薬さんは 情報と文化の配達人」
など,80種類の薬都・富山の物語が記載されています。
商品説明には,「バンランコン,エキナセア,カンゾウ,キンギンカ,カリンのエキスに21種類のハーブを使ったエキスを組み合わせた健康飴」と説明されています。
スッキリとさわやかなハーブの風味が楽しめる健康のど飴です。
ゲンゲ
富山湾の深海に棲む深海魚「ゲンゲ」。
昔は雑魚(ざこ)扱いで,魚の「下の下(げのげ)」に由来する呼び名でしたが,今では幻の魚として「幻魚(げんげ)」と表現されるようになりました。
富山の食材の1つとして,富山市が「富山やくぜん」に認定した魚でもあります。
そのゲンゲを乾燥させ,塩とバジルで調味した珍味が販売されていました。
(げんげ塩バジル)
カネツル砂子商店の「げんげ塩バジル」です。
バジル風味がきいた洋風の干物で,噛みしめるほどにゲンゲのうま味が味わえる富山の珍味です。
薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ
富山駅に隣接する,きときと市場「とやマルシェ」で「食やくスイーツ」というお菓子が販売されていました。
(薬都富山のめぐみ 食やくスイーツ)
外箱には「食」,「クスリではない」,「ただのスイーツでもない」と意味深い言葉が記載されています。
「食」という字は人に良いと書きますが,そういう意味も含んだデザインなのだと思います。
このスイーツセットの面白いところは,食品の中で健康に良いとされる食材や成分である「食薬」を食べやすいお菓子にしていることと,富山市内のいろんなお店のお菓子が1箱ずつ詰められたアソートセットになっていることです。
3個セットが中心でしたが,薬膳料理・食薬に興味を持って富山を訪問した私は,箱売りの9個セットを購入しました。
それぞれのお菓子を簡単に御紹介します。
【赤粒丹・白桑丸・紫甘丹】
(赤粒丹・白桑丸・紫甘丹)
写真左から順に,赤粒丹(セキリュウタン),白桑丸(ハクソウガン),紫甘丹(シカンタン)です。
「赤粒丹」は,食やくとして「いちじく」と富山産の「トマト」が入ったラズベリーの香り豊かなクッキーです。
「オークスカナルパークホテル」製です。
「白桑丸」は,食やくとして富山市八尾の「桑の葉」が入ったクッキーです。
桑の葉の香ばしさが楽しめる,ホロッとやわらかいクッキーです。
「大野菓子舗」製です。
「紫甘丹」は,食やくとして「紫芋」が使われたタルト風スイーツです。
しっとりした紫芋のタルト生地に粒々の香ばしいエゴマがかけられています。
「大野菓子舗」製です。
【檎黄丸・蓬柿丹・緑餅丹】
(檎黄丸・蓬柿丹・緑餅丹)
写真左から順に,檎黄丸(ゴオウガン),蓬柿丹(ホウシタン),緑餅丹(リョクヘイタン)です。
「檎黄丸」は,食やくとして「リンゴ」と「生姜」が使われたフランス風焼菓子です。
焼菓子の中にリンゴと生姜を煮詰めたジャムが入っています。
「シャルロッテ」製です。
「蓬柿丹」は,食やくとして富山県産の「蓬」と「柿」が使われたクッキーです。
緑色が蓬のクッキー,赤色が柿とドライいちじくのクッキーです。
「シャルロッテ」製です。
「緑餅丹」は,食やくとして「昆布」が使われた餅菓子です。
弾力のある餅をかむと,昆布のうま味とほのかな甘味を感じます。
「新栄堂」製です。
【黒鳩丸・橙安丹・褐米丹】
(黒鳩丸・橙安丹・褐米丹)
写真左から順に黒鳩丸(コッキュウガン),橙安丹(トウアンガン),褐米丹(カツベイタン)です。
「黒鳩丸」は,食やくとして「はと麦」が使われた黒まんじゅうです。
まんじゅうの皮は竹炭や黒ゴマで黒く輝いており,中の白あんと見事なコントラストとなっています。
はと麦の香ばしさや黒ゴマの風味を感じました。
「佐々木千歳堂」製です。
「橙安丹」は,食やくとして「安納芋」が使われたプチケーキです。
ケーキ生地の中に安納芋の餡が入っており,表面はホワイトチョコでコーティングされています。
「佐々木千歳堂」製です。
「褐米丹」は,食やくとして「黒米」と「ゆず」が使われたクッキーです。
富山県産の黒米の米粉が使われており,ゆず・黒胡椒・ココアの3つの味が楽しめます。
「和スイーツ健太郎」製です。
富山には,このほかにも,美都家の「反魂旦(はんこんたん)」,ボン・リブランの「甘金丹(かんこんたん)」,御菓蔵の「越中富山の常備菓子」など富山の薬にちなんだお菓子がたくさん販売されています。
まとめ
人体に直接作用する薬を開発・製造するためには,相当高度な知識・技術が要求されます。
例えば薬の原料1つ取り上げてみても,その特性は何か,人体に有害か無害か,何がいつどのように作用するのか,他の原料との調合によりどんな効果が期待されるかといったことをよく研究し,理解しておく必要があるでしょう。
古くから薬を開発・製造してきた富山には,薬の原料・食材に関する豊富な知識や取扱いのノウハウがあります。
その知識やノウハウを食の分野で生かし,地元の食材を中心とした健康的な料理・菓子を提供する試みは注目に値すると思います。
薬膳料理・薬膳菓子は,「体が喜ぶ料理・お菓子」でもあります。
皆様もぜひ富山の薬膳料理・薬膳菓子を御賞味ください。
<関連リンク>
「富山やくぜん」(富山やくぜん普及推進会議)
「癒楽甘 春々堂」(富山市新富町1-2-3 富山駅前CiCビル1階ほか)
「薬都富山のめぐみ 食やくシリーズ」
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コメント
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「医食同源」といいますが、料理や食材にも
用法や用量がありますよね( ^ω^ )
「食べ過ぎに注意しましょう」なんて注意書き
があったら面白いですね( ̄▽ ̄)
投稿: なーまん | 2019年2月 7日 (木) 18時29分
こんばんは。
私は富山に2年間住んでいたことがあります。
(ちなみに金沢にも8ヵ月くらい住んでいました)
生活していたころは
お魚が美味しい、お安くて新鮮で最高!と
思いながら暮らしていたものです。
もう少しコウジ菌さんのように、
富山の食に気を配っていろいろと試せばよかったと
今さらながら残念に思いました。
でも今回の記事も楽しく読むことができました!
ありがとうございました!
投稿: ケロ | 2019年2月 7日 (木) 20時25分
なーまん 様
こんばんは。
面白いコメントをいただき,ありがとうございます(笑)
なるほどー。言われてみれば,薬膳料理・菓子に一定効果がみられるなら,薬とまではいかなくても,用法・用量はあるはずですよね。
よく「クセになる味」と言われますが,本当にクセになったらヤバイんじゃないかといつも思います(笑)
富山の人は,薬の扱いに慣れてらっしゃるでしょうから,料理や食材の用法・用量もきちんと理解されているのだと思いますよ。
実は,やくぜんカレーとやくぜん茶をいただいた後,富山ブラックラーメンもいただきました(^^ゞ
旅行先ではあれもこれも食べたいと,「食べ過ぎ注意」の用法・用量を守ることができないのが悩みです(笑)
投稿: コウジ菌 | 2019年2月 7日 (木) 22時54分
ケロ 様
ケロさん,こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます!
へぇー,ケロさん富山や石川にお住まいだったんですね。
今回私は,富山の宇奈月温泉へ行き,宇奈月温泉から富山市内まで富山地方鉄道でのんびり戻り,翌日は富山駅から普通列車で金沢へ向かいました。
富山や石川は魚が新鮮で美味しく,種類も豊富ですね。
今回御紹介した薬膳料理・薬膳菓子も富山ならではの食で,健康食ということもあり,今後ますます注目されるのではないかと思います。
地域と食の関係を調べてみると,面白い発見があり,なるほどと思うこともよくあります。
そういうお話を,ブログを通じてお伝えできればいいなと思っております。
今回の記事が,ケロさんが富山を思い出していただくきっかけになり,嬉しかったです。
こちらこそ,嬉しいコメントありがとうございました!
投稿: コウジ菌 | 2019年2月 7日 (木) 23時32分
こんにちは、コウジ菌さん
どのような食べ物でも、きっとそうで、おいしくいただければ、
おなかもほほえんで、心も和みますし、
それって健康になるってことと同意ですよね。
体が喜ぶ料理、いい言葉ですね。
おいしく喜びそしていただくこと、色々考えさせられます。
幻の魚と書いて、ゲンゲ。呼び名の由来に関心です。
//////////////////////////
ごめんなさい、
記事にさかのぼって少しつづらせていただきますね。
ハントンライス、そのネーミングも面白いですね。
ご当地メニュー、ソウルフードでもあるのでしょうね。
タンバルライスのネーミングもおやって感じで
妖怪アンテナが(ようかい?!)ぴぴぴってなりますね。
ボルガライスのポスター、力の入れようがすごいです。
池上先生の妹さま経営のお店だなんてある意味聖地ですってば。
ボルガライス自体は。。。めっさボリューミー(過ぎるっ)
んっ?!日本ボルガラー協会!ボルガチョフ会長^^覆面会長みたいな?
外国からの文化流入があって、そこにもちろん食文化もあって、
日本の食文化とのかかわりから生まれ育っていった洋食。
その苦労があって、今わたしたちも味わえているわけですね。
(思えば、外国にあっての日本料理も、その国ふうに育ってますね)
犬島ぜんざい、あまいにゅうめん、でふと、
漫画家手塚治虫先生が食べてたおしるこラーメン(だったかな)思い出しました。
(手塚先生はあまいもの、チョコレート好き)
ミミカキスト道まっしぐら~^^
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たくさんお出かけされてますね。今年はわたしも…。
季節にまだまだきびしい日々ですので、
風邪などにお気をつけてくださいね。
投稿: サウスジャンプ | 2019年2月 9日 (土) 17時13分
サウスジャンプ 様
コメントいただき,ありがとうございます。
サウスさんがお忙しい中書いてくださったのがわかるだけに,感謝の気持ちで一杯です。
体が喜ぶ料理についてお褒めいただき,ありがとうございます。
実は私も気にいってる言葉なので嬉しかったです(^^ゞ
サウスさんのコメントでハッと気付きました。
健康的な食生活って,つい食材ばかりに目を向けがちですが,実はそれだけでなく「おいしく喜んでいただけるかどうか」も大切だということを。
とても良いお話だと思いました。
ゲンゲ,妖怪のお話とも重なって,「ゲゲゲの鬼太郎」が頭に浮かびました(笑)
「下(ゲ),下,下下下の下」の魚からトップの「幻魚」まで登りつめるなんてスゴイ!
今回は特にネーミングに興味を持っていただいたようですね。
ゲンゲ,ハントンライス,タンバルライス,ボルガライス…ネーミングの由来には諸説あるようですが,誰となく呼ばれていた名称が,やがて地元の人達に支持されて,ご当地洋食の名称として定着してきたのでしょうね。
ボルガライスのお店,店内にポスターやサイン色紙,お仲間の漫画家から寄せられたイラストなどが飾られていて,そちらがお目当てのお客さんもおられるとか。
実は駅からお店へ歩いて行く際に迷ってしまい,慣れない雪道の中,1時間近くかけてたどり着きました。
なのでボリューミーなボルガライスありがたかったです(笑)
ボルガラー協会やボルガチョフ会長も,ナイスなネーミングですよね!
明治以降,未知の西洋料理を,日本の食事の中心となるご飯と組み合わせることによって,「洋食」として見事に受け入れてきた訳ですが,西洋の人達から見れば,「全く別の料理」と思われるぐらい進化?してしまった料理も多いのでしょうね。
おっしゃるとおり,海外で食べられている和食もそうだと思います。
これはこれで興味ありますが(^o^)
手塚治虫先生って,おしるこラーメンなるものを召し上がってたんですか?!
これは無理かも(笑)
サウスさんのブログに登場する鉄腕アトムの定規を見るたびに思い出しそうです(笑)
ミミカキストも頑張ります。
記事をお読みいただき,御丁寧なコメントまでいただき,心から感謝しております。
お忙しい毎日をお過ごしのようですが,リフレッシュでどこかお出かけになるのもよいかと思いますよ。
健康第一でお互い頑張りましょう。
サウスさんのブログも応援してまーす(^_^)/
投稿: コウジ菌 | 2019年2月10日 (日) 09時42分