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2019年3月

2019年3月31日 (日)

日本のバウムクーヘン100周年イベント -2019広島みなとフェスタ・バウムクーヘン博覧会 2019-

 今から100年前(1919年)の3月4日,広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でドイツ人捕虜による技術工芸品展示会が開催されました。

 その展示会で,ドイツの菓子職人カール・ユーハイム(後の「ユーハイム」の創業者)が焼き上げたバウムクーヘンが紹介されました。

 これが日本で最初に紹介されたバウムクーヘンです。

 これを記念して,毎年3月4日は「バウムクーヘンの日」とされ,広島が日本のバウムクーヘン発祥の地となりました。

 今年(2019年)の3月4日で100周年を迎えたことから,広島では数多くの記念イベントが開催されています。

 数あるイベントのうち,私は3月に開催された「2019広島みなとフェスタ」と「2019バウムクーヘン博覧会」へ出かけました。


2019広島みなとフェスタ

 「広島みなとフェスタ」は,広島市南区の「広島みなと公園」とその周辺地域,そして日本で最初にバウムクーヘンが焼かれた似島を会場として毎年開催されている広島の一大イベントです。

 今年は日本のバウムクーヘン100周年を記念して,様々なイベントが実施されました。

【似島バウムクーヘン】
 広島市南区の進徳女子高等学校と「パティスリーアニバーサリー」で考案された伝説スイーツ「似島バウムクーヘン」が販売されていました。

(似島バウムクーヘン)
Photo_10

 「安芸小富士」と称される似島の形をイメージした三角形のバウムクーヘンです。

 このバウムクーヘンの特徴は,似島でも生産されているレモンが使われていることです。

 もっちりとした厚みのある生地に,大きめのレモンピールがザクザク入っており,外側はレモンチョコでコーティングされています。

 レモンケーキに近い,広島ならではのバウムクーヘンでした。


【Baumコロコロステーキ】
 広島市の洋菓子店「櫟(くぬぎ)」の出店ブースで販売されていた「Baumコロコロステーキ」です。

(Baumコロコロステーキ)
Photo_11
 バウムクーヘンをホットプレートの上で焼き,サイコロステーキのように一口大に切って,チョコレートソース・ピスタチオ・ドライフルーツをトッピングしたお菓子です。

 バウムクーヘンは焼いたり温めたりして食べると,風味が増してより美味しくなることがわかりました。


【ギネスに挑戦!世界一長いバウムクーヘン】

 今年は特別イベントとして「ギネスに挑戦!世界一長いバウムクーヘン」というイベントが開催されました。

 2019年にちなんで,世界最長となる2019cmのバウムクーヘンを100人で焼き,観客がその証人になろうという企画です。

 この長いバウムクーヘンの作り方は,
(1)長い鉄の棒をゆっくり回転させながらバウムクーヘンの生地を流し込む
(2)棒を炭火の上に平行移動させ,ゆっくり回転させながら生地を焼く
(3)生地が焼き上がったら,再度棒を手前に平行移動させ,焼けた生地の上にバウムクーヘンの生地を流し込む
(4)(2)~(3)の作業を繰り返し,バウムクーヘンの年輪を一層ずつ作る
というものです。

(世界一長いバウムクーヘンを作る様子)
Photo_12

 焼けた生地の上にバウムクーヘンの生地を流し込んでいる様子です。

 写真手前にも用意されている炭火を使ってじんわり・ふっくらと焼き上げられます。

(鉄の棒を平行移動させている様子)
Photo_13

 長さ36mに及ぶ鉄の棒の端で,バウムクーヘン生地の上と炭火の上とを交互に平行移動させている様子です。

 緩やかな山なり(アーチ形)の鉄棒ですが,バウムクーヘンの層が増すにつれ,その重みでMの字に変化していたのが印象的でした。

 こうした作業が約2時間続けられ,14層のバウムクーヘンが完成しました。

(世界一長いバウムクーヘン完成の様子)
Photo_14  

 歓声に沸く参加者の様子です。

 続いて,ギネス認証に向けた審査が行われました。

(ギネス審査員による審査)
Photo_15

 ギネス審査員により,バウムクーヘンとしてどの箇所もきちんとムラなく焼き上がっているかどうかが審査され,次に出来上がったバウムクーヘンの全長がメジャーで計測されました。

 そしていよいよ,メインステージで大勢の観客が注目する中,審査結果発表が行われました。

 結果は20m87cm

 目標の2019cm(20m19cm)を優に超えています。

 見事世界記録達成です!

(ギネス認定の様子)
Photo_16

 最後は全員で合言葉「ブンダバー」(※)と発声し,ギネス認定の喜びを分かち合いました。
 ※ドイツ語で「素晴らしい」・「美味しい」という意味


2019年バウムクーヘン博覧会

 今回で3回目の開催となる「バウムクーヘン博覧会」へ行きました。

【焼きたてバウムクーヘン】

 会場内でユーハイムのマイスターの方が手作りで丁寧に焼き上げられた「焼きたてバウムクーヘン」をいただきました。

(焼きたてバウムクーヘン)
Photo_17

 焼きたて・ホカホカで,しっとり・もっちりした食感があり,バターの風味が豊かなバウムクーヘンでした。


【バウムクーヘンBAR47】
 会場内では,日本全国47都道府県のバウムクーヘンが販売されており,それらのバウムクーヘンを一口サイズで味わえる企画もありました。

 そこで,私もいくつか味わってみました。

(バウムクーヘンBAR47・その1)
Photo_18

 写真上から時計回りに
 茨城県:「バームクーヘン専門店クローネ」の「クローネバウムクーヘン」
 青森県:「お菓子のみやきん」の「ふっくらバームクーヘン年輪焼」
 福島県:「お菓子の蔵 太郎庵」の「メープルバウム会津桐」
 静岡県:「リーベンローザ」の「リーベンバウム」
 山梨県:「パティスリー ザ・エレン」の「エレンバウム「時のなる木」ハードタイプ」
です。

(バウムクーヘンBAR47・その2)
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 写真右上から時計回りに
 兵庫県:「杵屋」の「書写千年杉(小倉)」
 奈良県:「BAUM283」の「プレーン」
 滋賀県:「サロン・ド・カフェ・アプリ」の「さきらバウム」
 沖縄県:「大家スイーツ工房」の「福ブラウン(沖縄黒糖のこだわりバウム)」
 香川県:「フランス菓子工房ラ・ファミーユ」の「黄金バウムクーヘン」
です。

 バウムクーヘンと言っても,「しっとり系・ふんわり系・ハード系」,「プレーン(バター)風味・キャラメル風味・チョコレート風味・メープル風味・黒糖風味・抹茶風味・果物風味」,「年輪形・長方形・天然木形・スティック形」,「食材(米粉・卵・砂糖・生クリーム・はちみつなど)の重視」など,実にバラエティ豊かです。


【100周年記念バウムクーヘン】
 広島みなとフェスタ会場内でバウムクーヘン100周年記念スタンプラリーのカードをいただきました。

 広島市内の各デパートのバウムクーヘン記念イベント会場でスタンプを集めると,オリジナルバウムクーヘンがもらえると知り,頑張ってスタンプを集めました。

 そしてオリジナルバウムクーヘンをいただきました。

(100周年記念バウムクーヘン)
Photo_20

 博覧会会場では100周年記念シールもいただき,いずれも良い記念となりました。


 現在,広島の洋菓子店やお土産店では,バウムクーヘン100周年にちなんだバウムクーヘンがたくさん販売されています。

 今年はぜひバウムクーヘン発祥の地・広島でバウムクーヘンを御賞味ください。


<関連サイト>
 「バウムクーヘン博覧会」(バウムクーヘン博覧会)

<関連記事>
 「「バウムクーヘン博覧会」 -広島からはじまる日本のバウムクーヘンの歴史-

2019年3月23日 (土)

特急リバティ会津・会津鉄道リレー号の旅1 -浅草 鶏シューマイ弁当と浅草の和菓子-

浅草と会津を結ぶ「リバティ会津」・浅草駅-春日部駅

 東京(浅草)から福島(会津田島)までを結ぶ特急があります。

 「リバティ会津」です。

 「Revaty(リバティ)」とは,多線区で運行する「多様性」を意味する「Variety」と,路線を縦横無尽に走り回る「自由」を意味する「Liberty」を組み合わせた愛称です。

 「東武鉄道」(浅草-新藤原),「野岩鉄道」(新藤原-会津高原尾瀬口),「会津鉄道」(会津高原尾瀬口-会津田島)と3つの鉄道会社線を走る特急です。

 日本の私鉄で最長の乗車時間(浅草-会津田島間 約3時間20分)とトップレベルの距離(浅草-会津田島間 190.7km)を誇る「リバティ会津」。

 私はいつかこの特急に乗ってのんびり鉄道旅を楽しみたいと思っていました。

 そこで今回(2019年3月),広島空港から朝一番の飛行機で羽田空港へ向かい,羽田空港からは京急空港線・都営浅草線経由で浅草へ,そして東武浅草駅から「リバティ会津」に乗車して会津田島・会津若松を目指すこととしました。

(東武浅草駅・松屋浅草)
Photo

 東武浅草駅構内売店や松屋浅草で駅弁やお菓子を買い,東武浅草駅11:00発の「リバティ会津117号」に乗車しました。
 
 東武浅草駅に「リバティ会津」が入線すると,旅情感が一気に高まり,夢中で写真を撮りました。

(リバティ会津と行先表示)
Photo_1

 ここまで来ても,本当に浅草から会津まで行くのかと半信半疑だったのですが,行先表示(通称「サボ」)を見ると,確かに行き先が「会津田島」となっており,徐々に会津へ行く実感がわいてきました。

(リバティ会津・車内の様子)
Photo_2

 私は1号車に乗車しました。

 乗客でほぼ満席となった「リバティ会津117号」は,定刻に東武浅草駅を出発しました。

 途中,春日部駅ではクレヨンしんちゃんの「オラはにんきもの」が発車メロディーとして流れていて,思わず笑みがこぼれました。


車内で昼食・春日部駅-下今市駅

 車窓から関東平野を眺めながら,駅弁をいただきました。
(鮒忠「浅草 鶏シューマイ弁当」)
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 今回私が選んだ「浅草 鶏シューマイ弁当」は,チキンシューマイ,厚焼玉子,鶏そぼろごはんなどがセットになった弁当です。

 豚肉ではなく鶏肉で作ったシューマイが珍しいので購入しました。

 シューマイは,よく練られた鶏肉のあんが入っており,上品でさっぱりとした味わいでした。

 甘辛いの鶏そぼろがかかったごはんとの相性も抜群でした。

 利根川を渡り,栃木県に入ったあたりから,間近に山が見えるようになりました。

 栃木駅から先は,私にとって初めての地でした。


下今市駅-新藤原駅-会津高原尾瀬口駅

 下今市駅で併結していた東武日光行「リバティけごん17号」と別れ,「リバティ会津117号」は会津田島を目指し,さらに北上しました。

(下今市駅・リバティ会津とSL大樹)
Photo_4

 写真右手前がリバティ会津,左奥がSL大樹です。

 栃木といえば,真岡市にある真岡鐡道の「SLキューロク館」へも行ったことがあるのですが,栃木はSLが多方面で活躍している印象を受けました。

 鬼怒川温泉駅で多くの乗客が下車され,席に余裕できました。

 新藤原駅から会津高原尾瀬口駅の区間は野岩(やがん)鉄道の路線となります。

 途中,ふと興味深い看板を見つけました。

(野岩鉄道・行先案内看板)
Photo_6

 浅草方面と会津方面を示す行先案内看板です。

 標高が高いからか,3月上旬ですが雪が残っていました。

 浅草出発時に比べて,車内も空いてきたので,松屋浅草で買ったお菓子をいただきました。

(舟和「おいものプリン」・梅園「梅園まんじゅう」・「きんつば」)
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 テーブル上側が舟和の「おいものプリン」,下側が左から梅園の「きんつば」と「梅園まんじゅう」です。

 「おいものプリン」はスプーンが付いてなかったので,お土産にしました。


会津高原尾瀬口駅-会津田島駅

 しばらくすると,会津高原尾瀬口駅に到着しました。

(リバティ会津と野岩鉄道普通列車(会津高原尾瀬口駅))
Photo_7

 リバティ会津(写真左)と野岩鉄道・新藤原行の普通列車(写真右)です。

 この駅から先,会津方面は会津鉄道の路線となります。

 車窓から雪の残った山々をぼーっと眺めたり,普段なかなかできない読書を楽しんだりするうち,リバティ会津117号は終点の会津田島駅に到着しました。


会津田島駅-七日町駅

 特急リバティ会津は,この会津田島駅が終点(起点)です。

 会津若松市内へは,この駅で列車を乗り換える必要があります。

 ただ,会津鉄道の路線はこの会津田島駅で終わりではなく,会津若松市の玄関口・西若松駅まで続いています。

 そして西若松駅から会津若松駅まではJR只見線となりますが,会津鉄道が乗り入れているので,乗り換えなしに会津若松駅まで行くことができます。

 ここで私は疑問に思うことがありました。

 「なぜリバティ会津は浅草駅から会津鉄道の途中駅『会津田島駅』までしか走らないのだろうか」

 3つの鉄道会社線を走り抜けるリバティ会津なら,会津田島駅から先も,そのまま会津若松駅まで走らせた方が乗客の利便性は向上するはずです。

 なぜだろうと思いながら,終点会津田島駅でリバティ会津を下車し,隣のホームで待っていた2両編成の会津鉄道「リレー117号」に乗り換えました。

(会津田島駅・会津鉄道リレー117号)
Photo_8

 しばらくしてリレー117号が出発した瞬間,その謎が一発で解けました。

 ディーゼルモーター音を鳴らして走る「リレー117号」。

 つまり,会津田島駅から西若松駅(会津若松駅)までの区間は非電化区間なのです。

 だからリバティ会津のような「電車」を走らせることができないのです。

 特急もいいけど気動車も旅情があるなと思いつつ,列車はさらに1時間強かけて会津若松市を目指しました。

 途中,車内で車掌さんに西若松駅から七日町駅のきっぷを精算していただきました。(浅草駅では西若松駅までのきっぷを購入できます。)

 そして浅草を出発して約4時間半。

 会津若松市の観光拠点の1つ,七日町駅に到着しました。

(七日町駅とリレー117号)
Photo_9
 私はこの七日町駅で下車し,会津若松の観光を楽しみました。


 長いようで,あっという間の約4時間半の鉄道旅でした。

 復路は,会津若松駅からJR磐越西線で郡山駅へ,郡山駅からは東北新幹線で東京駅まで戻ったのですが,往路に比べ,東京-会津若松間を一気に早送りして戻ったような感じでした。

 日常の喧騒を離れ,車窓の移り変わりを楽しみながらのんびりと走るリバティ会津・リレー号の旅。
 
 思い出に残る鉄道旅になること間違いなしです。


<関連リンク>

2019年3月16日 (土)

イラン料理の特徴と主な料理 -セカンジャビン・シャルバット,トルシ,ククサブジ,バルバリ,パニール,イランのお菓子-

 東京で世界各国の朝ごはんが味わえるお店「World Breakfast Allday(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)」外苑前店を訪問しました。

 2019年2月,3月はイランの朝ごはんが特集されていました。


セカンジャビン・シャルバット

 朝ごはんをいただく前に,お店の方にイランのドリンクについて尋ねたところ,「セカンジャビン・シャルバットはいかがでしょう」とお話いただいたので,このドリンクを注文してみました。

 酢とミントで作られた「セカンジャビン」と呼ばれるシロップが入ったドリンクです。
(イランではドリンクのことを「シャルバット」と呼び,この名称は「シャーベット」の語源ともなっています。)

(セカンジャビン・シャルバット)
Photo

 ミントの葉ものせられています。

 程よい甘さの,さっぱり,スッキリとしたドリンクで,梅酒かベリー系リキュールを炭酸水で割ったような風味でした。

 イランと言えばバラ水(ローズウォーター)も有名で,飲用だけでなく,料理やお菓子の香り付け・メイクなどにも幅広く使われています。


イランの朝ごはん

 続いてイランの朝ごはんプレートが運ばれてきました。

(イランの朝ごはんプレート)
Photo_2

 プレートの上側が「野菜サラダ」と「トルシ」,それから時計回りに緑色のオムレツ「ククサブジ」,手前が「ナン(バルバリ)」,小皿に入った「生クリームとはちみつ」,中心には白いチーズ「パニール」が盛り付けられています。

【野菜サラダとトルシ】
 ベビーリーフ・トマト・ラディッシュ・クルミなどの野菜サラダと,「トルシ」と呼ばれる漬物(ピクルス)のセットです。
 トルシは,オリーブの実とミニキュウリ(ガーキン)でした。

【ククサブジ】
 野菜とハーブ入りのオムレツ「ククサブジ」です。
 「クク」はオムレツ,「サブジ」は野菜(料理)という意味です。
 上に飾られた赤い実はラズベリーです。
 イラン原産のホウレンソウをはじめとする野菜やハーブがたっぷり入っており,本来は黄色いはずのオムレツが濃い緑色に仕上がっていました。
 ハーブは主に乾燥ハーブを使われたそうです。

【ナン(バルバリ)・生クリームとはちみつ】
 イランの主食「ナン」です。
 今回のナンは「バルバリ」と呼ばれる,大きなわらじのような比較的厚みのあるナンでした。
 パリッと香ばしいナンを小皿に入った生クリームや甘いはちみつと一緒にいただくと,「ナンなんだこのうまさは」と思えるほど美味しかったです。

【パニール】
 中央の白い塊は「パニール」と呼ばれるチーズです。
 クセがなく食べやすいチーズで,サラダやナンと一緒にいただきました。


イランのデザートプレート

 イランのデザートプレートも注文しました。

(イランのデザートプレート)
Photo

 皿の一番上が「サフラン風味のアーモンドタフィー」,以降時計回りに,「ローズウォーター&カルダモン風味のミルクプリン」,「イラン産のデーツ」,「ハルワ」,「サフランアイスクリーム」です。

【サフラン風味のアーモンドタフィー】
 細かく刻んだアーモンド入りのタフィー(トフィー)です。
 緑色のピスタチオ(イランは世界有数のピスタチオ生産国です)も添えられています。
 板状のキャラメルと香ばしいアーモンドのお菓子です。

【ローズウォーター&カルダモン風味のミルクプリン】
 イランでよく使われるローズウォーターとカルダモンを使ったミルクプリンです。
 シナモンパウダーがかけられています。
 私はミルクが苦手なのですが,バラやカルダモンの香りがする上品なミルクプリンに仕上がっており,美味しくいただくことができました。

【イラン産のデーツ】
 ドライフルーツの1つ干しデーツ(ナツメヤシの実)です。
 私は「神戸ムスリムモスク」でもこの干しデーツを見かけたことがあるのですが,それだけイスラム圏ではポピュラーな食べ物です。
 また,デーツはそのコク深い甘さから,お好みソースの原材料に採用している広島のメーカーもあります。

【ハルワ】
 ハルワは,バターで小麦粉をじっくり炒め,しっかりとかためたお菓子です。
 バラとピスタチオが飾られています。
 カボチャかサツマイモの甘いあんこ,もしくはスイートポテトをかたく丸めたような食感・風味のお菓子でした。

【サフランアイスクリーム】
 サフラン入りアイスクリームです。
 ピスタチオと生クリームを冷凍した白いアイスが添えられています。
 サフランは世界一高価なハーブ・スパイスとして有名ですが,イランではアイスクリームや「チェロウ」と呼ばれる黄色いバターライスなど,料理やお菓子に幅広く使われています。
 サフランの色や香りを楽しめるアイスクリームでした。


 イランの朝ごはんプレートだけでなく,イランのドリンクやデザートプレートもいただき,とても豪華な朝食となりました。


<関連リンク>
 「World Breakfast Allday」(東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F(外苑前店)ほか)
 「デーツとは~お好みソースとデーツの深い関係~」(オタフクお好みソース)

<関連記事>
 「ギリシャ料理の特徴と主な料理2 -ティロピタ・グリークサラダ・ギリシャヨーグルト・フルーツ・ガラトピタ-

<参考文献>
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

2019年3月14日 (木)

翔庵工房 黒竹の耳かき -広島県広島市-

 広島市南区宇品神田,電車通り沿いにある「翔庵工房」の手作り耳かきです。

3416242

 職場の方からいただきました。

 黒竹で作られています。

 理容院「ネクストクラウン」の店主さんが理容院の隣に工房を併設され,理容業と並行して耳かきなどの製作に取り組んでおられます。

 店主さんは「耳かきがしたい」(上野 玲著・ジャイブ)という本や広島のテレビなどでも紹介された有名な方です。

 工房を訪問し,店主さんから直接お話を伺う機会があったのですが,耳かきの製作以外にも,写真,料理,旅行,音楽など様々な趣味をお持ちで,軽く1時間以上楽しくお話しさせていただきました。

 私が「ご当地耳かきのコレクターなので,実際に耳かきを使うことはないのです」というお話をすると,店主さんから「この耳かきは使ってこそ価値があるんです!」と注意されてしまいました(笑)

 散髪用のはさみを2本に分解して,耳かき製作用のナイフまで作られていたのが印象的でした。

 自宅の近くに,耳かきつながりの人がいらっしゃるなんて,とても不思議です。


 「翔庵工房」(広島市南区宇品神田5-19-24)

2019年3月 9日 (土)

ウズベキスタン・キルギス料理の特徴と主な料理 -ノン・ラグマン-

シルクロードベーカリーと中央アジア料理店

 埼玉県春日部市にウズベキスタンのパン屋さんがあります。

 「Silkroad Bakery SHER(シルクロードベーカリー シェル)」というお店です。

 興味を持ってインターネットでお店の情報を調べてみると,この春日部のお店に加えて,今年(2019年)2月22日,東京・高田馬場に新しく中央アジア料理とパンが味わえるお店をオープンされたことを知りました。

 そこで,私は開店して間もない東京のお店に伺い,ウズベキスタン・キルギス料理をいただくこととしました。

(「Vatanim(ヴァタニム)」)
Vatanim

 お店の看板には,シルクロードの風景とともに,ウズベキスタンとキルギスの国旗も描かれています。

 オープン直後ということもあり,夕方早い時間にもかかわらず,店内はほぼ満席でした。

 お客さんは私以外は全て中央アジア出身の方で,店内は店名の「Vatanim(ヴァタニム)」(「ふるさと」という意味)のように,皆さんとても盛り上がってお食事を楽しんでおられました。

 後から来た私のためにカウンター席を空けていただき,皆さんと一緒に食事をさせていただきました。

 私の隣の方は東京・小平市から車で春日部のベーカリーへ通われているようで,高田馬場にもお店ができたことを喜んでおられました。
 
 その方から私は,「どうやってこの店を知ったのか」,「中央アジアに行ったことがあるか」,「なぜノンを知っているのか」などいろんな質問を受け,会話が弾みました(笑)

 今回私は,ミニサイズのパン「ノン」と中央アジアの代表的な麺料理「ラグマン」を注文しました。

 メニューには「トゥヴァロージニィレモンケーキ」と呼ばれるレモンケーキもあったのですが,この日はなかったので,次回のお楽しみとなりました。


ノン

 ウズベキスタン,キルギスなど中央アジアで食べられているパン「ノン」です。

(ノン)
Photo

 パンの表面の黒いゴマのようなのは,ブラッククミン(ブラックシード)です。

 「ノン」の特徴は,生地を一次発酵のみか短時間の発酵で済ませてずっしりと食べ応えのあるパンに仕上げられること,生地を「タンディール」(タンドール)と呼ばれる釜で焼き上げられること,そして,パンの表面に独特な幾何学模様がつけられることにあります。

 パンの模様は「チェキチ」と呼ばれる金属の型でつけられます。

 今回私はミニサイズのノンを注文しましたが,それでも結構な大きさがあり,レギュラーサイズのノンはそれだけでお腹一杯になりそうなほどの大きさでした。

 主食用としてシンプルな味つけなので,そのまま食べても,スープなどと一緒に食べても美味しいです。


ラグマン

 ウズベキスタンやキルギスなど中央アジアで広く食べられている料理の1つに「ラグマン」という麺料理があります。

 中央アジアで麺料理,とりわけ日本のうどんのような麺料理が食べられていることに興味を持ち,このラグマンを注文しました。

(ラグマン)
Photo_2

 うどんのような太めの小麦麺に,肉(羊・牛)と野菜(パプリカ,玉ねぎ,セロリ,インゲンなど)のスープがたっぷりとかけられ,仕上げに香菜(パクチー)がのせられています。

 スープは,ラタトゥイユやシルクロードのイスラム圏で食べられているスープ「シュルパ」に近いと思いました。

 クミンや唐辛子といったスパイスも使われています。

 お店に箸は用意されてなかったので,麺をフォークでクルクル巻いていただきました。


中央アジアに麺料理がある理由

 麺を食べる文化は,中国とその食文化の影響を受けた東アジア・東南アジア,パスタを中心としたイタリア,それに中東から北アフリカにかけてのイスラム圏が中心です。

 ヨーロッパではイタリアで突出して麺(パスタ)が食べられている状況ですが,これは中国の麺がペルシャ商人やアラブ人によって中央アジア経由でイタリアにもたらされたからとする説が有力となっています。

 中央アジアにラグマンをはじめとする麺料理が存在する理由も,こうした食の伝播の結果だと言えるでしょう。

 そういう観点からも,「ラグマン」という言葉が,中国で手延べ麺を意味する「拉麺(ラアミエン)」を起源とする言葉だとする仮説は説得力があり,興味深いです。


まとめ

 中央アジアはロシア・中国・中近東・インドなどに囲まれた一帯で,シルクロードの主な中継地でもあることから,「文明の十字路」と呼ばれています。

 食においても,ペルシャ圏から伝わった「ノン」・「ナン」,炊き込みご飯「プロフ」,中国から伝わった麺を用いた「ラグマン」,イスラム圏から伝わった串焼肉「シシケバブ」,インドなど南アジアから伝わった各種スパイスなど,様々な食文化が中央アジアに集結しているのです。

 中央アジアの多様な食文化は,ユーラシア大陸全般の食文化の縮図とも言えるでしょう。


<関連サイト>
 「Vatanim(ヴァタニム)」(東京都新宿区高田馬場3-33-3)
 「本場の「ノン」が埼玉にあった!! 中央アジアのパン事情/2」(「丸ごと小泉武夫マガジン」)
 「美しき中央アジアのパン「ノン」が日本で売り切れ続き!? 春日部『シルクロード ベーカリー シェル』」(dressing)
 「レモンのトゥヴァロージニィケーキ」(「明治ブルガリアヨーグルト倶楽部」)

<関連記事>
 「アルメニア・ウズベキスタン・ロシア・モルドバのスープとパン

<参考文献>
 石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫
 石毛直道・森枝卓士「考える胃袋」集英社新書
 佐原秋生・大岩昌子「食と文化の世界地図」名古屋外大新書

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