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2019年5月

2019年5月25日 (土)

セルビアの朝食(コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト)と手作りアイバル

 広島市内のカフェでセルビアの朝食を味わう機会がありました。

 いつか「アイバル」を味わってみたいと思っていた私は,興味を持ってこのセルビアの朝食を注文しました。


コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト

(コーンブレッド・アイバル・ヨーグルト)
Photo_62

 写真左上の黄色の四角いパンが「コーンブレッド」,写真右上の小皿に入った赤色のペーストが「アイバル」,写真手前の小皿に入った白い食べ物が「ヨーグルト」です。

【コーンブレッド】
 コーンブレッドは,小麦粉のほかにトウモロコシ粉を混ぜた生地を,ベーキングパウダーで膨らませて焼いたパンです。
 ベーキングパウダーで膨らませているので,サクサクとした食感のパンに仕上がっていました。

【アイバル・ヨーグルト】
 アイバルは,セルビアなどバルカン半島の国々で広く食べられているパプリカのペーストです。
 セルビアはその位置関係から,トルコやハンガリーの食文化の影響を受けた料理が多いのですが,アイバルについてはトルコが起源とされています。
 パプリカの皮を直火やオーブンで黒焦げになるぐらい焼いて取り除き,オイル・ニンニク・塩などとあわせて煮込み,ペースト状にした保存食です。
 このアイバルやプレーンヨーグルトをコーンブレッドに塗って,美味しくいただきました。


アイバルを自分で作ってみる

 パプリカの表面を黒焦げになる程焼くと皮がむけることは知っていましたが,これまでやってみたことはありませんでした。

 また,「パプリカの皮さえむけば,パプリカはやわらかく調理しやすくなるのではないか」とも思ったので,実際に試してみることにしました。

 仕事帰りに赤色と黄色のパプリカを購入しました。

 購入直後に「赤色と黄色だったら,一緒に調理すると色が混ざってしまう」ことに気付いたのですが…(笑)

(パプリカ(赤・黄))
Photo_63


【パプリカの皮を焼く・皮を取り除く】

 パプリカの芯をフォークで刺し,ガスコンロの直火でクルクル回しながら焼きました。

(パプリカを直火で焼く様子)
Photo_64

 パプリカの皮に黒い焦げ目がつくまでに,結構時間がかかりました。

(パプリカの皮を焼いた様子)
Photo_65

 黒焦げになる程焼くと,ズルズルと皮をむくことができました。

 ただ,「まんべんなく」,「しっかりと」焼かないと,こうはなりません。

(パプリカの皮を取り除いた様子)
Photo_66

 黄色のパプリカは皮を焼いたことで,ややくすんだ色になりました。

【パプリカをペーストにする】

○大根おろしを使ってみる
 レシピには,皮を取り除いたパプリカをミキサーやフードプロセッサなどでペースト状にすると説明されているのですが,私は持ってないので,大根おろしでパプリカをすりおろしてみました。
 これで簡単にできると思ったのですが,実際は皮をむいていることもあり,ツルツル滑ってまともにすりおろせませんでした。   
 またパプリカをすりおろすと無駄に水分も出てしまい,ペースト状にはならないこともわかりました。
 仕方なく,調味用のニンニクだけすりおろしました。

○パプリカを煮詰める
 次に,パプリカを煮詰めたらやわらかくなるかもと思い,フライパンにオリーブ油をひき,みじん切りにしたパプリカとすりおろしたニンニクを入れ,塩で味を調えてしばらく煮詰めてみました。
 しかし私の予想に反し,少々煮詰めた程度ではパプリカはやわらかくなりませんでした。

○パプリカをすり鉢でする
 パプリカはちょっとやそっとではやわらかくならないことがよく理解できました。
 しかしここであきらめるわけにはいきません。
 そこですり鉢を用意し,その中へみじん切りにしてしばらく煮詰めたパプリカを入れ,すりこぎですってみることにしました。

(みじん切りで煮詰めたパプリカとすり鉢(赤パプリカ))
Photo_67

(みじん切りで煮詰めたパプリカとすり鉢(黄パプリカ))
Photo_68

 この状態でアイバルだと言うのはちょっと無理がありますね…。
 でも少々煮詰めたぐらいではこの程度にしかならないのです。
 そこで,すり鉢とすりこぎですれば簡単にペースト状になるだろうと思ったのですが,実際はパプリカが固く,かなりの時間がかかりました。
 1つ1つのパプリカ片をすりこぎで押しつぶすようにしながら,何とかペースト状にまでしたものがこちらです。

(すり鉢でペースト状に仕上げた様子(赤パプリカ))
Photo_69

(すり鉢でペースト状に仕上げた様子(黄パプリカ))
Photo_70

 ペースト状にすることで,フワフワした感じになり,赤パプリカに限っては赤色から濃いオレンジ色に変化しました。
 世界広しと言えども,すり鉢とすりこぎを使ってアイバルを作った人間はなかなかいないでしょう。
 あ,威張るつもりはありませんが…(笑)

【アイバルを作ってみてわかったこと】

 これで何とかアイバルの完成です。

(アイバル(赤パプリカ・黄パプリカ))
Photo_71 

 ニンニクとオリーブ油で煮詰めたことで食欲をそそる香ばしさが出て,パプリカ本来の甘みも感じるペーストに仕上がりました。

 バターのようにパンに塗ったり,野菜などのディップソースとするなど,いろんな楽しみ方ができるように思いました。

 試しに温かいご飯にのせて食べてみたのですが,これはやり過ぎでした(笑)

 今回,アイバルを作ってみてわかったことは,
 ・パプリカの表面をまんべんなく焼かないと皮がきれいにむけない。
 ・パプリカの皮を取り除く作業は,生のイカの皮むきに似て意外と面倒。
 ・黄色のパプリカは焼くと褐色がかった色になる。
 ・皮を取り除いただけではパプリカはやわらかくならない。
 ということで,
 「アイバル作りは簡単そうで意外と時間と手間がかかる」というのが私の正直な感想です。

 自分で作ってみて,つくづくアイバルを作ることの大変さがわかりました。

 ハンガリーのスープ「グヤーシュ」などパプリカを使う料理のレシピに,パプリカではなくパプリカパウダーがよく用いられるのも,パプリカの扱いの難しさによるものではないかと思います。

 私は当初,カフェで朝食として気軽にアイバルをいただきましたが,そのアイバルを御用意された店主さんの,お客さんに伝えたかった思いや御苦労も少しは理解できたように思います。

 アイバルの手作りは確かに面倒ですが,その美味しさは格別ですので,興味を持たれた方はぜひ挑戦してみてください。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<参考文献>
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

2019年5月19日 (日)

福島県会津地方の食文化1 -馬刺し・ニシン・鯉・くきたち菜・三五八漬け・こづゆ・天ぷら・揚げまんじゅう・そば・会津山塩・なめこ茸-

 2019年3月に福島県会津若松市を訪問しました。

 会津若松は,周りを山に囲まれた盆地にあり,交通手段が発達していない昔は,人や物資の交流もままならなかったため,独自の生活文化圏・食文化が形成されてきました。

 そのため,会津若松の食文化は,桜肉(馬肉),ソースかつ丼,輪箱(わっぱ)飯,こづゆ,会津蕎麦,日本酒,鯉料理,羊羹など,会津若松ならではの,他地域では珍しい料理もたくさんあります。

 会津若松ならではの食文化を知りたいと思い,会津若松市内のそば・郷土料理店を訪問しました。


馬刺し・ニシンの山椒煮・鯉の甘煮・くきたち菜

 今回訪問したお店では,会津若松のいろんな郷土料理が一度に堪能できる「おもてなし御膳」というメニューが用意されていたので,こちらを予約注文させていただきました。

 1人でも快く予約を引き受けてくださり,きちんとした席も御用意いただいたので,遠方(広島)から訪問した私にとっては,とてもありがたかったです。

(馬刺し・ニシンの山椒煮・鯉の甘煮・くきたち菜のお浸し)
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 写真左上が馬刺し,中央がニシンの山椒煮,右上が鯉の甘煮,左下がくきたち菜のお浸しです。

 個別に料理を御紹介します。

【馬刺し】

(馬刺し)
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 会津地方には桜肉(馬肉)を食べる文化があり,桜肉を売る精肉店もあります。

 これは会津地方が旧越後街道の交通の要衝として栄え,人々の生活と密接に関わりを持っていたことや,会津坂下町に馬の「せり場」があったことに由来します。

 今回の馬刺しは,醤油に「にんにく唐辛子みそ」(写真手前の薬味)を溶いていただきました。

【ニシンの山椒煮】

(ニシンの山椒煮)
Photo_51

 かつて海から離れた会津地方は,海産物と言えば乾物が中心でした。

 身欠きニシン,棒タラ,スルメ,貝柱などが挙げられます。

 そのため,会津地方では,そうした乾物を一旦戻して調理した料理も多く存在します。

 ニシンの山椒煮(山椒漬け)は,そんな会津地方の保存食の1つです。

 同じような料理に,スルメを人参と漬け込んだ「いかにんじん」や,棒タラを砂糖・醤油で味付けして長時間煮込んだ「棒たら」などがあります。

【鯉の甘煮】

(鯉の甘煮)
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 私は,会津にも鯉の甘煮があることにとても興味を持ちました。

 かつて訪問した山形県米沢市でいただいた鯉の甘煮と同じだったからです。

 会津と米沢はいずれも盆地であること,地理的にも近いこと,藩政改革をきっかけに鯉料理が食べられるようになったことなど,共通点が多くみられます。

 醤油・砂糖・酒などで甘辛く煮た鯉の甘煮は泥臭さもなく,美味しくいただきました。

【くきたち菜のお浸し】

(くきたち菜のお浸し)
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 くきたち菜は会津に春の訪れを知らせる野菜とされています。

 辛子醤油で味付けされ,すりゴマがたっぷりかけられたお浸しでした。


三五八漬け・こづゆ

 続いて,「三五八(さごはち)漬け」と「こづゆ」を御紹介します。

【三五八漬け】

(三五八漬け)
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 三五八漬けは,ご飯に米麹を加えて糖化させたものに塩を加えた漬け床に野菜などを漬けて作られます。

 野菜の持ち味を生かし,ほんのりとした甘味が楽しめる漬物です。

【こづゆ】

(こづゆ)
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 こづゆは,会津地方で江戸時代後期から明治時代初期にかけて武家料理や庶民の御馳走として広まり,冠婚葬祭の料理として振る舞われる郷土料理です。

 干し貝柱,きくらげ,干しシイタケ・里芋・人参・糸こんにゃく・豆麩などが主な食材で,乾物を多く用いられることが特徴となっています。

 具だくさんのすまし汁なのですが,いろんな乾物からよい出汁が出ていました。


会津の天ぷら盛合せ・揚げまんじゅう

 会津の郷土料理でぜひ食べてみたかった料理の1つが,会津の天ぷらです。

 会津には,ほかでは例のなさそうな,珍しい食材の天ぷらが多いのです。

【会津の天ぷら盛合せ】

(会津の天ぷら盛合せ)
Photo_56

 天ぷらにすると衣で元々の食材がわかりにくいですが,写真左から右へ順に,スルメ,ニシン,鯉,まんじゅう,ふきのとうの天ぷらです。

 保存食である乾物のスルメやニシンは天ぷらにするとやわらかく,美味しくいただくことができます。

 鯉の切身を天ぷらにするのも,鯉を美味しく食べるための工夫から生まれた発想なのでしょう。

 ふきのとうは春の訪れを感じさせてくれる天ぷらでした。

 なお,今回の天ぷらに添えられた大根おろしは,金山町で採れた野生の大根「アザキ大根」です。

【まんじゅうの天ぷら】

 続いて「まんじゅうの天ぷら」です。

 この料理は会津訪問前からとても気になっていたので,単品でも注文しました。

(まんじゅうの天ぷら)
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 この天ぷら,私はその見た目や大きさから,一瞬「しいたけの天ぷら」かと思いました。

 それでは天ぷらの中身を見てみましょう。

(まんじゅうの天ぷら(中身))
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 こしあんが入った薄皮饅頭の天ぷらです。

 私はこの饅頭を見て,福島県郡山市の日本三大まんじゅうの1つ,「柏屋の薄皮饅頭」を思い出しました。

 饅頭自体が大きい上に,衣をつけて揚げてあるので,結構ボリュームがあります。

 私はこのまんじゅうの天ぷらを,盛合せと単品を合わせて2つもいただき,とてもお腹いっぱいになりました。

 私の住む広島にもホルモンの天ぷら(広島市)やもみじ饅頭の天ぷら(宮島)といった珍しい天ぷらありますが,会津の天ぷらも強者です。


盛りそば

(盛りそば)
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 盛りそばです。福島県が育成したオリジナルそば品種「会津のかおり」が使われています。

 白くてコシのある美味しいそばでした。


会津山塩

 会津の郷土料理を堪能した後,私はお店の方に気持ちばかりの広島のお土産をお渡しし,お礼申し上げました。

 1人の予約にも快く応じてくださり,きちんとした席も用意していただき,いろんな会津の郷土料理を味わわせていただいたことが嬉しかったからです。

 すると厨房でお忙しくされていた店主さんが出てこられ,「これをお土産にどうぞ」とお店でも使われている会津の山塩をいただきました。

(会津山塩)
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 大塩裏磐梯温泉(福島県耶麻郡北塩原村)の温泉水を薪窯で煮詰めて作られる珍しい塩です。

 一般的な食塩に比べて,結晶が細かく,その分塩辛さも強いように感じました。

 そしてただ塩辛いだけでなく,その塩辛さをやさしく包み込むような甘味やうま味が後から追い掛けてくるようにも感じました。

 海から遠く離れた会津ならではの塩です。

 店主さんの温かい人情にも触れることができ,思い出に残る食事となりました。


地元のお店で会津の食探し

 お店から会津若松駅に向かう途中,会津ならではの食品が売られていないかと,地元のスーパーマーケット(「リオンドール千石店」)に寄ってみました。

 店内には,身欠きニシン,馬肉,揚げまんじゅうなど,会津地方ならではの食品がたくさん売られていました。

 また別のお店へ行くと,「なめこ茸」の缶詰が売られており,これも会津の名産だと伺いました。

(なめこ茸(缶詰))
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  大根おろしと一緒にいただくのがおすすめだそうです。

 これらの食品は,会津の食生活とかかわりが深いことが理解できました。


まとめ

 今回の旅で,私は「会津の三泣き」(※)を実感しました。

 ※「会津に来たときはその閉鎖的な人間関係に泣き,なじんでくると人情の深さに泣き,去るときは会津人の人情が忘れ難く泣く」こと(福島県庁ウェブページから抜粋)

 訪問したどのお店でも広島から来た私を歓迎してくださり,話が盛り上がって自然と滞在時間が長くなりました。

 特にNHK大河ドラマ「八重の桜」で八重を演じた綾瀬はるかさん(広島市出身)の話題はどこでも盛り上がりました。

 そうした会津のみなさんの人情深さには,涙が出る思いがしました。

 そしてわずか半日の滞在でしたが,夜,会津若松駅を出発した電車の中で温かい人々にめぐり会えたことを思い出すと,会津を離れがたい気持ちになりました。

(会津若松駅・磐越西線・郡山行)
Photo_48

 会津若松駅から磐越西線の電車で郡山駅へ行き,郡山駅から東北新幹線で東京駅まで戻りました。

 次回会津を訪問する際は,もっとゆっくり滞在するプランにし,また会津の温かい人情に触れたいと思いました。

 その時もきっと,西田敏行さん(福島県出身)のように,涙もろくなってしまうんだろうな(笑)


<関連リンク>
 「徳一」(福島県会津若松市東千石1-5-17)
 「電車で会津の旅 会津の隠れた名物郷土料理『鯉の甘煮(うまに)』を食べる」(東武鉄道)
 「会津山塩」(会津山塩企業組合)

<関連記事>
 「あずきの研究12 -なぜ冬に水ようかんを食べる地方があるのか-」(東山温泉「松本家」の水ようかんと湯の花羊羹)
 「山形の食文化の特徴1 -米沢の鯉料理と食用菊-
 「広島の名物・郷土料理1 -ホルモン天ぷら,ホルモン天ぷらの種類と特徴-
 「広島の名物・郷土料理2 -ホルモン天ぷら(ビチ・チギモ),スマートな注文方法-

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
 「dancyu おいしい鉄道旅 2018年12月号」プレジデント社

2019年5月11日 (土)

ムーミンの耳かき -埼玉県飯能市-

埼玉県飯能市にある「ムーミンバレーパーク」で販売されていたムーミンの耳かきです。

1103244

ムーミンの耳かきが販売されているとは思ってもなかったので,ショップで見つけた時はとても嬉しかったです。

私が広島から埼玉の「ムーミンバレーパーク」へ行った一番の目的は,ムーミンやフィンランドに関連する料理を味わうことでした。

なので,入場すると真っ先に「コケムス」と呼ばれる施設の中のレストランへ向かったのですが,入口に240分待ちとあったので,中に入らず,あきらめました。

当日は雨が降っていたので,屋内のムーミングッズのお店を中心に見てまわったのですが,そこでたまたま見つけたのがこの耳かきでした。

その時私は思いました。「この耳かきがあっただけでも,来た価値があった」と(笑)

後日,実は「コケムス」の中には,レストランだけでなく,パーク内で最も大きなムーミングッズショップなどもあることを知りました(笑)

「こちらにもムーミン一家の耳かきがあったかも」と思うと,もう少し調べて行けばよかったと少し後悔しましたが,また行った時の楽しみにしようと思います。

2019年5月 8日 (水)

フィンランド料理の特徴と主な料理2 -ムーミンビスケット・サルミアッキ・ソルティッド リコリス・チョコレート リンゴンベリー-

 今年(2019年)は,「日本フィンランド外交樹立100周年」にあたります。

 そこで私は,埼玉県飯能(はんのう)市にある「メッツアビレッジ」と「ムーミンバレーパーク」,そして「フィンランドフェア」(2019年3月1日~5月31日)が開催されている東京・池袋の「タイムズ・スパ・レスタ」を訪問し,日本でフィンランドの世界を楽しんできました。

 今回は,フィンランドのお菓子をいくつか御紹介したいと思います。


ムーミンビスケット

 ファッツエル(Fazer)社のムーミンビスケットです。

 埼玉県飯能市の「ムーミンバレーパーク」で購入しました。

(ムーミンビスケット(箱))
Photo_43

  ファッツエル社はフィンランドのお菓子メーカーで,「サルミアッキ」のメーカーとしても有名です。

(ムーミンビスケット(ムーミンとリトルミー))
Photo_44

 ビスケットは一口大の大きさで,日本でもおなじみのビスケットの味です。

 写真左がムーミン,写真右がリトルミーのビスケットです。

 このほか,ムーミンパパやムーミンママなどのビスケットも入っていました。


サルミアッキ

 フィンランドを代表するお菓子と言えば,「サルミアッキ」が挙げられると思います。

 サルミアッキはリコリスと塩化アンモニウムを主成分とする飴で,その独特な味から「世界一まずい飴」とも呼ばれています。

(サルミアッキ)
Photo_45 

 写真左が原形,右が半分にした様子です。

 約1cm角の大きさの平べったい飴で,深緑色をしています。

 広島市内のカフェで,お客様からのフィンランド土産を分けていただきました。

 外側の新緑色の部分が飴で,リコリス(甘草)というハーブが入っています。

 中の白いパウダーが塩化アンモニウムだと思います。

 飴の部分は,ほのかな甘味を感じ,ディルかフェンネルのような香りがしました。

 カフェでは,アニスの香りに近いというお話もありました。

 そして中のパウダーは,いろんな味が混ざった複雑な味がしました。

 イメージとしては,岩塩とうま味調味料と砂糖とタンサン(重曹)を一緒にして粉末にしたような,しょっぱくて,独特のうま味があって,甘みがあって,少し苦味も感じるような味でした。

 世界一まずいと感じるかどうかは人によりけりと思いますが,複雑な味が舌の上で長時間残ることは確かです。

 私は以前,黒いゴムのようなサルミアッキも食べたことがあるのですが,それはゴムか昆布飴のような食感・風味だったと記憶しています。

 サルミアッキはフィンランドで人気のお菓子だけに,種類も豊富にあるようです。


ヘルシンキ ソルティッド リコリス・チョコレート リンゴンベリー


 続いて,ダンメンベルグ(Dammenberg)社の「ヘルシンキ ソルティッド リコリス」とビオキア(Biokia)社の「チョコレート リンゴンベリー」を御紹介します。

 埼玉県飯能市の「メッツアビレッジ」内の北欧ショップで購入しました。

(ヘルシンキ ソルティッド リコリス・チョコレート リンゴンベリー(箱))
Photo_46

 写真左が「ヘルシンキ ソルティッド リコリス」,写真右が「チョコレート リンゴンベリー」のパッケージです。

 ちなみに,この「ヘルシンキ ソルティッド リコリス」の箱の絵は,カフェの店主さんから,フィンランド・ヘルシンキの街と中央の筒状の建物が「テンペリアウキオ教会」だと教えていただきました。

(ヘルシンキ ソルティッド リコリス・チョコレート リンゴンベリー)
Photo_47 

 写真左が「ヘルシンキ ソルティッド リコリス」,写真右が「チョコレート リンゴンベリー」です。

 「チョコレート リンゴンベリー」は,その名称のとおり,乾燥させたリンゴンベリー(こけもも)にチョコレートをコーティングしたお菓子で,甘酸っぱいリンゴンベリーとチョコレートがよく合う,麦チョコみたいな形のお菓子でした。

 そして謎のお菓子「ヘルシンキ ソルティッド リコリス」です。

 「White chocolate with salty liquorice」ですから,「しょっぱいリコリス風味のホワイトチョコレート」なのでしょうが,「SALMIAKKI(サルミアッキ)」という言葉にやはり少し抵抗を感じました。

 そこで私がいただく前に,カフェの皆さんに試食をおすすめしました(笑)。

 すると意外に平気な様子でしたので,それならと私もいただきました(笑)。

 ホワイトチョコがベースなのですが,サルミアッキ風味が添加されているので,ホワイトチョコに岩塩とうま味調味料と砂糖とタンサン(重曹)が混ぜられたような,複雑な味のホワイトチョコでした。

 御興味がある方は,ぜひ味わってみてください。


<関連リンク>
 「日本-フィンランド外交関係樹立100周年」(駐日フィンランド大使館)
 「メッツアビレッジ・ムーミンバレーパーク」(埼玉県飯能市宮沢327-6)

<関連記事>
 「フィンランド料理の特徴と主な料理1 -日本フィンランド外交関係樹立100周年・ムーミンバレーパーク・フィンランドフェア-

2019年5月 3日 (金)

フィンランド料理の特徴と主な料理1 -日本フィンランド外交関係樹立100周年・ムーミンバレーパーク・フィンランドフェア-

日本フィンランド外交関係樹立100周年

 今年(2019年)は「日本フィンランド外交関係樹立100周年」にあたります。

 この記念すべき年を迎え,日本各地ではフィンランドにまつわる様々なイベントが実施されています。

 フィンランドと言えば,私はトーベ・ヤンソンのムーミンを思い出します。

 そこで今回,私は埼玉県飯能(はんのう)市に今年3月19日にオープンしたムーミンのテーマパーク「ムーミンバレーパーク」と,「フィンランドフェア」(2019年3月1日~5月31日)が開催されている東京・池袋の「タイムズ・スパ・レスタ」を訪問し,日本でフィンランドの世界を楽しんできました。


埼玉県飯能市・ムーミンバレーパーク

 広島から新幹線で東京駅へ,東京駅から東京メトロ丸ノ内線で池袋駅へ,池袋駅から西武鉄道池袋・秩父線に乗って飯能駅に到着しました。

(西武鉄道飯能駅とムーミンの駅名標)
Photo_29

 飯能駅からムーミンバレーパークのある「メッツア」へはシャトルバスを利用しました。

 この日は雨が降っていたのですが,大勢の人で賑わっていました。

 私もムーミンバレーパークを散策し,ムーミンの世界を楽しみました。

(ムーミン屋敷(ムーミタロ))
Photo_30

 レストランやショップでムーミンやフィンランドにまつわる料理・ドリンクが味わえるため,それも楽しみに訪問したのですが,ゴールデンウィーク期間中ということもあり,どのお店も長蛇の列で,待つにも240分待ちと気の遠くなるような時間だったので,今回はあきらめました。

 次に行く機会があれば,スナフキンの緑の帽子をイメージした「緑の帽子パスタ」や,「リンゴとプルーンの本格ローストポーク」などを味わってみたいです。

 パークには,飲食店やムーミングッズのショップはもちろん,ムーミンとトーベ・ヤンソンの企画展やムーミン世界の体験コーナーなど,数多くの施設・イベントがありました。

 「リトルミイの店」や「はじまりの店」には,リトルミイ・ムーミン・スナフキンの耳かきもありました(笑)


フィンランドフェアのフィンランドプレート

 翌日,東京・池袋のサンシャインシティ前にある「タイムズ・スパ・レスタ」を訪問しました。

 こちらのレストランで駐日フィンランド大使館商務部監修のフィンランド料理を味わいました。

(フィンランドフェア「フィンランドプレート」)
Photo_31

 この「フィンランドプレート」は,今回のフェアで用意されているフィンランド料理をワンプレートで味わうことができるお得なセットです。

 フィンランドの人気ブランド「ペンティック」のお皿が使用されています。

 それでは個別に料理を御紹介します。


【ライ麦パンのオープンサンドとライ麦パン】

(ライ麦パンのオープンサンドとライ麦パン)
Photo_32

 写真左がライ麦パンのオープンサンド,写真右がライ麦パンです。

 フィンランドなど北欧ではライ麦パンが主流で,どっしりとしたライ麦パンの上にいろんな具をのせたオープンサンドも好まれます。

 今回のオープンサンドは,レタス・トマト・オリーブの実・チーズなどがのせられていました。


【ジャガイモとソーセージのバター炒め】

(ジャガイモとソーセージのバター炒め)
Photo_33

 ジャガイモとソーセージのバター炒めです。
 (プレートの中にあり,わかりにくくて申し訳ありません)

 フィンランドはパンと並んでジャガイモも主食となっています。

 ソーセージがジャガイモに負けず大きくて,食べ応えがありました。


【鹿肉のペッパーグリル リンゴンベリーソース添え】

(鹿肉のペッパーグリル リンゴンベリーソース添え)
Photo_34

 フィンランドでは,鹿やトナカイ,ウサギなども食べられます。

 鹿は少しクセのある肉ですが,写真手前の甘いリンゴンベリー(こけもも)のソースを添えていただくと,美味しくいただけました。

 まさかフィンランドのサンタクロースさんもトナカイを食べて…(笑)


【牛肉の煮込み】

(牛肉の煮込み)
Photo_35

 牛肉をビーツと一緒にやわらかく煮込んだ料理です。

 フライドポテトも添えられていました。


【サーモンのグリル ホワイトソース仕立て】

(サーモンのグリル ホワイトソース仕立て)
Photo_36

 サーモンはフィンランドで好んで食べられる魚で,それをオーブンでパリッとグリルして,ホワイトソースをかけた料理です。

 ホワイトソースにはキドニービーン(赤いんげん豆)などの豆が入っており,これもフィンランド料理の特徴の1つなのだそうです。


【ベリーソースのチーズケーキ】

(ベリーソースのチーズケーキ)
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 デザートとして,ベリーソースのかかったチーズケーキをいただきました。

 レアチーズケーキに似た白いフワフワしたケーキ生地で,甘酸っぱいベリーソースとよく合いました。


リンゴンベリーのドリンク

 フィンランドは国土の7割以上が森で覆われていることもあり,ベリーが豊富に採れます。

 ブルーベリーに似た「ビルベリー」や,「こけもも」とも呼ばれる「リンゴンベリー」が代表的なベリーです。

 今回のフェアでは,この2つのベリーのドリンクが用意されており,フィンランドプレートのセットドリンクにもなっていたので,私はリンゴンベリーのドリンクをお願いしました。

(リンゴンベリーのドリンク)
Photo_38

 イチゴシロップかザクロジュースに近いイメージですが,野イチゴのような独特の風味も感じました。

 ほどよく酸味が効いた,すっきりした甘さのドリンクでした。


フィンランドは面白い

 フィンランドフェアの会場で,駐日フィンランド大使館が作成された冊子のパンフレットをいただいたのですが,その内容がとても面白かったので,少し御紹介したいと思います。

(フィンランド紹介パンフレット表紙)
Photo_39
駐日フィンランド大使館「FINLAND」から引用

 いきなり「もい!」って何?と思いますが,これは「やあ!こんにちは」という意味で,「もいもい」と続けると逆に「バイバイ!」という意味になるそうです。

 これはパンフレットの「フィンたんのフィンランド語講座」に説明されています。

 私は高校時代,音楽でシベリウスの「フィンランディア」の歌を習い,その歌詞に出てくる「スオミ」の意味もわからず歌っていましたが,この講座で改めて「スオミ」が「フィンランド」という意味だと理解できました。

 そして,さらに面白いのが「絵文字で見るフィンランド」です。

 フィンランド外務省がフィンランドの特徴をイラストで表現した「絵文字スタンプ」として発表しているものです。

 駐日フィンランド大使館セレクションの絵文字スタンプの一部を御紹介します。

(失敗を祝う日)
Photo_40 
駐日フィンランド大使館「FINLAND」から引用

 説明文:「フィンランドでは10月に『失敗を祝う日』があります。失敗なくして成功はありえないという気持ちから生まれた日です」
 
 とてもユニークな日があるのですね。

 次に,

(真冬に鉄をなめる子ども)
Photo_41 
駐日フィンランド大使館「FINLAND」から引用

 説明文:「フィンランドの子どもはたいてい,真冬に鉄をなめる衝動に襲われ,はがれなくなる経験を一度はしています」
 
 何となくわかる気が…(笑)

 そして,

(パーソナルスペース重視の行列)
Photo_42
駐日フィンランド大使館「FINLAND」から引用

 説明文:「フィンランド人はパーソナルスペースを大事にします。バスに並ぶときもこんな感じです」

 ホントですかぁ?(笑)


 こうした楽しい絵文字スタンプが30種類以上紹介されています。

 フィンランドについて楽しく学べる優れたパンフレットだと思います。


まとめ

 今回御紹介したイベントのほかにも,「日本フィンランド外交関係樹立100周年」を記念して,日本各地で様々なイベントが開催されます。

 皆さんもこの機会に「♪はずかしがらないで~ モジモジしないで~」フィンランドとムーミンの世界を楽しんでみられてはいかがでしょうか。

 ねぇ,ムーミン(笑)


<関連リンク>
 「日本-フィンランド外交関係樹立100周年」(駐日フィンランド大使館)
 「ムーミンバレーパーク」(埼玉県飯能市宮沢327-6 メッツァ内)
 「ムーミン公式サイト
 「タイムズ・スパ・レスタ」(東京都豊島区東池袋4-25-9 タイムズステーション池袋10階~12階)

<参考文献>
 駐日フィンランド大使館「FINLAND」

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