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2019年7月

2019年7月25日 (木)

イエズス会士書簡集とマリーアントワネット -東洋文庫 オリエント・カフェの文庫ランチ-

東洋文庫ミュージアムとモリソン書庫

 
東京・駒込に,東洋学専門の図書館「東洋文庫」所蔵の書物や資料を展示する日本最古・最大の研究図書館「東洋文庫ミュージアム」があります。

 東洋学の世界に興味を持ち,このミュージアムを訪問しました。

(モリソン書庫)
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 写真は東洋文庫のコレクションの中で最も有名なモリソン書庫です。

 東洋文庫の創始者・岩崎久彌がモリソン博士から購入した蔵書が展示されています。

 このほか,「トルコの一休さん」と呼ばれる「ナスレッディン・ホジャ」,玉手箱を開けて白髪の老人になった浦島太郎が鶴に化身し,乙姫も亀に化身してハッピーエンドを迎える絵巻「浦島太郎物語」,司馬遷の「史記」,「ターヘル・アナトミア」と「解体新書」,中国の「科挙」の答案「殿試策」,シルクロードの旅など東洋学の世界を楽しく学ぶことができました。


イエズス会士書簡集

 東洋文庫には,国宝や重要文化財を含む約100万冊の蔵書がありますが,その1つに「イエズス会士書簡集」という蔵書があります。

 17世紀末から18世紀後半にかけて,世界中で布教活動をしたイエズス会士の書簡報告をまとめた本です。

 この本は,当時のヨーロッパに「シノワズリ(中国趣味)」の流行やヴォルテールなど啓蒙思想家の活動にも影響を与えました。

 東洋文庫が所蔵する26巻セットの「イエズス会士書簡集」は,全巻革張りの豪華な装丁がほどこされていて,マリー・アントワネットが所有していたものとされています。

 マリー・アントワネットと言えば,オーストリア・ハプスブルク家の皇女として生まれ,フランス王家(ブルボン家)に嫁いでルイ16世のフランス王妃となり,豪華絢爛な生活を送った後,フランス革命により処刑されるという波乱万丈な人生を送った女性です。

 フランスにいたマリー・アントワネットも,この書簡集を読んではるかかなた東洋の国々に憧れを抱いていたのかも知れませんね。


オリエント・カフェの文庫ランチ「マリーアントワネット」

 東洋文庫ミュージアムにはカフェ・レストランが併設されています。

 「オリエント・カフェ」という名のカフェ・レストランで,小岩井農場が運営されています。

 こちらのレストランで「マリーアントワネット」と呼ばれる1日10食限定のランチをいただきました。

(サラダとスープ)
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 最初にフレンチドレッシングがかかったサラダとオニオンスープが提供されました。

 気分はすでにマリー・アントワネット(笑)

 そしていよいよメイン料理が提供されました。

(文庫ランチ「マリーアントワネット」(重箱))
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 この文庫ランチ「マリーアントワネット」は重箱に詰められているですが,この重箱のデザインは,先程御紹介した「イエズス会士書簡集」がお手本となっています。

 蓋にはブルボン家の紋章が描かれています。

 期待が高まる中,蓋を開けました。

(文庫ランチ「マリーアントワネット」)
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 この日の料理は,写真上段左がローストビーフとスモークサーモン,上段右が茶碗蒸し,中段左がビーフコロッケ,中段右がビーフシチュー,下段が針生姜をちらした生姜ご飯でした。

 お弁当として一斉に詰められていますが,冷製オードブルは冷たく,茶碗蒸しやビーフコロッケ,ビーフシチューなど温かいものは1品づつきちんと温かい状態になっていて,1つ1つ丁寧に作られていました。

 お店の看板メニューを少しずつ一度にいただくことができました。

 重箱(弁当)スタイルで,箸を使っていただくところが東洋的だと思いました。

 どの料理も美味しかったですが,特に小岩井農場産牛をやわらかく煮込まれたビーフシチューが絶品でした。

 日本にいる私は,この書簡集の文庫ランチ「マリーアントワネット」をいただきながら,はるかかなたフランス・パリに思いを馳せたのでした。


<関連サイト>
 「東洋文庫ミュージアム・オリエント・カフェ」(東京都文京区本駒込2-28-21)

<参考文献>
 「時空をこえる本の旅50選」東洋文庫
 安達正勝「マリー・アントワネット」中公新書

2019年7月13日 (土)

中国料理の特徴と主な料理1 -水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)-

 中国少数民族料理を味わいたいと思い,神奈川県藤沢市の中国料理店「茶馬燕(ちゃーまーえん)」を訪問しました。

 今回の一番のお目当ては発酵食の「水豆鼓(スイドウチ)」の料理です。

 お店でいただいた料理を御紹介します。


お茶と前菜

 最初にお茶をいただきました。

 お茶の種類が「凍頂烏龍茶」,「東方美人」,「プーアル茶」,「茉莉花茶(ジャスミン茶)」から選べたので,私は台湾で有名な「東方美人」をホットでいただきました。

 しばらくお茶を楽しんでいると,前菜プレートが用意されました。

(前菜)
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 写真左上が「自家製叉焼(チャーシュー)」,右上が「カブの甘酢」,中心が「おつまみ唐辛子」,左下が「台湾スパイシー枝豆」,そして右下が「マダコの香菜ソース」です。

 「自家製叉焼」は,厚めにカットされていて,ジューシーなチャーシューでした。

 「カブの甘酢」は,日本の紅白なますと同じような,さっぱりと酸味の効いた前菜でした。

 「おつまみ唐辛子」は,大きめの唐辛子から辛味成分を抜いた,辛くない唐辛子のチップスとナッツのセットでした。
 辛味を抜いた唐辛子というのは初めてで,なぜ辛味を抜くことができるのだろうかととても不思議に思いながらいただきました。

 「台湾スパイシー枝豆」は,茹でた枝豆を殻ごとスパイスと一緒に炒めた料理でした。

 「マダコの香菜ソース」はマダコの刺身に香菜(シャンツァイ,コリアンダー)のソースをかけた料理でした。


水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)

 前菜を味わった後,いよいよ私が一番味わってみたかった料理が登場しました。

 「水豆鼓炒蛋(スイドウチ チャオダン)」(貴州納豆の卵炒め)です。

 「水豆鼓」は,中国雲南省,湖南省,四川省の一部などでよく使われる大豆発酵食品です。
 ※湖南省では「腊八豆(ラァバァドゥ)」とも呼ばれます。

 糸を引かない納豆のような食品で,こちらのお店では知らない人でもイメージしやすいよう「貴州納豆」と呼ばれています。

 日本の納豆との大きな違いは,納豆は納豆菌で発酵させるのに対し,水豆鼓(貴州納豆)は乳酸で発酵させ,さらに大豆の茹で汁に漬けて熟成させることです。

 納豆菌ではないため,糸は引きません。

 では料理を御紹介します。

(水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め))
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 水豆鼓(貴州納豆)を卵でふんわりと炒め合わせたシンプルな料理です。

 いただいてみました。

 大粒の納豆をお湯で洗ってねばりを落とし,サラサラにした納豆を卵とじにしたような感じです。

 発酵させているので大豆はとてもやわらかく,乳酸発酵なので酸味も強く感じました。

 香りは納豆よりも醤油や魚醤に近く,醤油になりかけの大豆をいただいているような感じでした。

 納豆と卵の相性が良いように,水豆鼓(貴州納豆)と卵の相性もとても良かったです。

 そして納豆・卵と言えば,やはり白ご飯ですよね。

(水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)と白ご飯)
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 追加で白ご飯を御用意いただいたので,レンゲで水豆鼓炒蛋(貴州納豆の卵炒め)をご飯の上にのせていただきました。

 まさに納豆卵かけご飯!相性は抜群でした。


白きくらげとメロンのコンポート

 デザートは「白きくらげとメロンのコンポート」をいただきました。

(白きくらげとメロンのコンポート)
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 白きくらげと一口大のメロンを優しい甘さのシロップに漬けたお菓子で,肉桂(シナモン)の香りも感じました。


 初めての料理や珍しい料理も多く,堪能させていただきました。

 会計の際,「茶馬燕」の中村秀行シェフも執筆された中国少数民族料理の本「ハーブ中華・発酵中華・スパイス中華」が販売されていたので購入しました。

 お店のメニューには,中国の定番料理だけでなく,「雲南タイ族白身魚の揚げなれずし」,「雲南ジノー族風チベットティーのスープ」,「猛毒豆腐」など興味をそそる中国少数民族料理もたくさんありました。

 またいつか訪問し,いろんな中国料理を味わいたいです。


<関連サイト>
 「茶馬燕」(神奈川県藤沢市南藤沢20-15 第一興産18号館6F)

<参考文献>
 小山内耕也・中村秀行・水岡孝和「ハーブ中華・発酵中華・スパイス中華」柴田書店
 「料理通信 2019年5月号 世界が夢中!"発酵"レッスン」料理通信社

2019年7月 6日 (土)

ビッグ錠先生の世界3 -ビッグ錠先生との出会いと私の似顔絵-

 2019年6月30日,神奈川県藤沢市湘南台へ行ってきました。

 こちらの「北都館」で「ハッピーフェア」というイベントがあり,ビッグ錠先生もお越しになられるとの情報を「アルスノーバ」のマスターからいただいたからです。

(ハッピーフェア(チラシ))
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※画像をクリックすると拡大します。

 画像は,ビッグ錠先生が作成されたハッピーフェアのチラシです。

 当日,14時に湘南台に着いたのですが,「アルスノーバ」のマスターからビッグ錠先生の会場入りは15時頃と伺ったので,湘南台駅前のカフェでしばらく休憩した後,「北都館」へ向かいました。

 「北都館」は初訪問だったので,少し不安な気持ちでお店に向かったのですが,歩き始めてすぐにその不安は消えました。

 私の目の前に空色のアロハシャツに麦わら帽子をかぶったビッグ錠先生らしき人が歩いておられたからです。

 私は「あっ,この方がビッグ錠先生に違いない。この人の後ろをついていけば,きっと今日の会場にたどり着けるだろう。」と心の中でつぶやき,「でも間違えていたら…」という一抹の不安もあったので,その方のすぐ後ろをストーカーのようについて歩きました(笑)

 すると北都館の手前までたどり着いたので,これはもうビッグ錠先生御本人に間違いないと確信し,私は少し勇気を出して,「あのー,ビッグ錠先生ですよね。広島から参りました。」とお声掛けしました。

 ビッグ錠先生も私のことを覚えてくださっていて,一緒にお店に入り,お店のカウンター席に並んで座り,しばらくお話させていただきました。

 ドリンクはブランデーバックを注文しました。

(ブランデーバック(アルスノーバ))
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 ブランデーベースの甘いカクテルです。
 レモンが入っていてさっぱりと飲みやすく,私のお気に入りのカクテルです。

 中におられるお客さん達も,私は広島から湘南台へ遊びに来るビッグ錠ファンとして少し有名になっているみたいで,皆さん温かく迎え入れてくださいました。

 イベントは,ピアノ音楽あり,歌あり,タロット占いあり,マジックあり,似顔絵コーナーありと盛りだくさんの内容でした。

 しばらくして,私はビッグ錠先生に私の似顔絵を描いていただくようお願いしました。

 ビッグ錠先生は快く引き受けてくださり,お互い向き合う形で,似顔絵を描いていただきました。

 色紙に鉛筆で下書きをされ,その上からマジックペンで輪郭を描かれた上で,水彩絵具を使って色付けされました。

 鼻田香作のブラックカレー,全日本おにぎり選手権,お好み女王の広島焼きなど,グルメ漫画「包丁人味平」や「一本包丁満太郎」に登場する話を中心にいろんな話もさせていただきました。

 特に面白かったのは,ビッグ錠先生からのお話で,「過去に絵の作成に集中するあまり,水彩画の筆を洗おうと水の入った容器に筆を突っ込んだつもりが,同じ机で食べていたラーメンスープの中にその筆を突っ込んでしまった」というお話でした(笑)

 そんな楽しい会話をしているうちに,私の似顔絵が完成しました。

(似顔絵)
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 ワイシャツ姿でリュックを背負っていた様子や,翌日東京へ中華粥を食べに行く予定だとお伝えしたことを絵に表現していただきました。

 ただ,ネクタイや背景の瀬戸内海・宮島の大鳥居などは,ビッグ錠先生の想像の世界で描かれたものです(笑)

 満面の笑顔で,嬉しさのあまり食べ物をこぼしながら各地の食を楽しむ,私らしい似顔絵となりました。

 この後しばらくしてビッグ錠先生は帰られ,私は引き続き会場の皆さんと楽しくお話をさせていただきました。

 その後,夕食や「アルスノーバ」での打ち上げ会まで御一緒させていただき,夜遅くまで盛り上がりました。

 22時を過ぎ,東京の宿泊先へ向かわなければならない時刻となったので,お世話になったマスターをはじめ,お店や常連客の皆様に御挨拶して店を出ようとしたその時です。

 「来たよ~」と再びビッグ錠先生がお店に来られました。

 私が出発することを知ったマスターが,ビッグ錠先生に連絡してくださったのです。

 最後の最後に,喜びは最高潮に達しました。

 ビッグ錠先生と握手をし,私はお店の皆さんに大きな声で「湘南台,最高でした!ありがとうございました。」と申し上げて,お店を出ました。

 この時,お店の外まで見送ってくださった方から「今が一番の笑顔よ!」とおっしゃっていただき,「あ,そうですか」と少し照れながら,お店を後にしました


 湘南台の皆さんに温かく迎え入れていただいたことで,本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。

 ビッグ錠先生や「アルスノーバ」のマスターだけでなく,湘南台の皆さんのファンになりました。

 また機会を見つけて訪問したいです。

 当日お世話になった皆さんに,この場をお借りして心からお礼申し上げます。


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