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2019年8月12日 (月)

ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-

ジョージアと食文化

 ジョージアは,黒海の東側に位置する日本の約5分の1ほどの大きさの国です。

 つい最近まではグルジアと呼ばれていました。

(ジョージア国の説明書き)
Photo_20190812082001
「Cafe Igel あかいはりねずみ」作成資料の一部を引用

 黒海沿岸の地中海性気候,日照条件に恵まれた盆地,万年雪を頂くコーカサス山脈,裾野の広大なステップ地帯と多様な気候を有するため,ブドウ,レモン,みかん,リンゴ,茶,桃,ザクロ,イチジク,ブルーベリー,ビルベリー,スイカ,クルミ,ヘーゼルナッツ,トウモロコシ,きび,小麦,豆類,様々な野菜類など多様な農産物が栽培されています。

 酪農や畜産も盛んで,チーズやヨーグルトの生産も盛んです。

 かつて日本で流行した「カスピ海ヨーグルト」も,ジョージアの自家製ヨーグルトが発祥だとされています。

 そして注目すべきはワインです。

 ジョージアはワイン発祥の地で,約8,000年前からと世界で最も長いワイン造りの歴史を有する国とされています。

 ワイン製造においては,タンクや木樽を使った醸造法だけでなく,地中に埋めた「クヴェヴリ」と呼ばれる素焼きの甕で醸造させる伝統的な醸造法も受け継がれていて,スペイン ラ・マンチャ地方の「ティナハ」と呼ばれる素焼きの甕で醸造されるワインとともに,世界で注目されるワインの生産国となっています。


ジョージアの料理

 広島市内のカフェでジョージア(グルジア)料理を味わうイベントがありました。

 みんなでジョージア(グルジア)料理やワインを味わい,ジョージアでワインや料理について学ばれた方からお話を聞こうというイベントです。

 私が味わったジョージア(グルジア)料理やワインを御紹介したいと思います。


【クヴェヴリワイン】

 クヴェヴリワインを2種類御紹介します。

(ルカツィテリとアラダストゥリ)
Photo_20190812082004

 写真左側のビンがカヘティ地方の「ルカツィテリ」と呼ばれる白ワイン,写真右側のビンがグリア地方の「アラダストゥリ」と呼ばれるロゼのような赤ワインです。

 ただワイングラスの配置はビンとは逆になっており(すみません…),写真中央左が「アラダストゥリ」,写真中央右が「ルカツィテリ」です。

 写真左側「ルカツィテリ」のビンに描かれた絵が「クヴェヴリ」(素焼きの甕)です。

 私は「ルカツィテリ」をいただいたのですが,見た目が黄金色でハンガリーの「トカイワイン」と似ていると思いました。

 味はさすがに貴腐ワインの「トカイワイン」ほどは甘くはありませんが,こなれた程よい甘味のあるワインでした。


ハルチョー・ジョージア風サラダ・チュルチヘラ

 メインプレートです。

(ハルチョー・ジョージア風サラダ・チュルチヘラ)
Photo_20190812082003

 写真上側のスープが「ハルチョー」,写真下側が「ジョージア風サラダ」,写真左側の紫色のお菓子が「チュルチヘラ」です。

【ハルチョー】
 ハルチョーは,肉,トマト,玉ねぎ,唐辛子などで作られるジョージアの代表的なスープで,地方により具材は様々です。
 今回のスープは,牛肉,玉ねぎ,パプリカ,雑穀,プルーンなどの具材でした。
 ハンガリー料理の「グヤーシュ」にも似ていると思いました。

【ジョージア風サラダ】
 カリフラワーとハーブ(コリアンダー,イタリアンパセリなど)を和えたサラダです。
 ハーブを多用することもジョージア(グルジア)料理の特徴の1つなのだそうです。

【チュルチヘラ】
 「チュルチヘラ」はジョージアのやわらかい飴のようなお菓子です。
 今回のチュルチヘラは,クルミと赤ワインに小麦粉やコーンスターチでとろみをつけたものでした。
 クルミやブドウが多く採れるジョージアならではのお菓子です。


豚肉のロースト・アジカソース

 メインプレートをいただいていると,豚肉のローストも出来上がりました。

(豚肉のロースト・アジカソース)
Photo_20190812082005

 豚肉のローストに赤いアジカソースがかけられています。

 「アジカ」はトマト,唐辛子,ニンニクなどが入った辛い調味料です。

 表面がカリッと香ばしく中がジューシーなローストポークに,ピリ辛のアジカソースがよく合いました。


ハチャプリ

 「ハチャプリ」はジョージアの代表的なパンで,「ハチョ」がチーズ,「プリ」がパンという意味です。

 今回は,アジャラ地方バトゥミが本場の「アジャプリ」とも呼ばれるハチャプリを御用意いただきました。

(ハチャプリ)
Photo_20190812082002

 舟形のパンで,中心部のパンのくぼみにチーズとバターを入れて焼き,真ん中に玉子を落として作られます。

 賽の目に切られたチーズは「バトゥミ風チーズ」とも呼ばれる,やわらかく塩気の効いたチーズです。

 ギリシャの「フェタチーズ」にも似ているように感じました。

 パンの端をちぎり,半熟の黄身やチーズ・バターと一緒にいただきました。

 パンに濃厚なコク,うま味,程よい塩気が加わり,ピザのような美味しいパンでした。


まとめ

 東洋と西洋の融合で形成された食文化,世界最古のワイン「クヴェヴリワイン」(製造法はユネスコ世界無形文化遺産に登録)を有する食文化,世界的な長寿の地域として知られるコーカサス地方に属し,世界保健機構も調査を続ける健康的な食文化など,ジョージアの食文化は様々な魅力にあふれています。

 今後,日本も含めてジョージアの食文化が世界的に注目される可能性は高いと思います。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)
 「究極のフードリスト500 222.ハチャプリ(グルジア) 」(「Da bin ich! -わたしはここにいます-」)
 「究極のフードリスト500 168.ヒンカリ(グルジア)」(「Da bin ich! -わたしはここにいます-」)
 「世界の車窓から ジョージア編 ジョージアのワイン」テレビ朝日
 「世界の車窓から ジョージア編 ジョージアの食」テレビ朝日

<参考文献>
 島村菜津・合田泰子・北嶋裕「ジョージアのクヴェヴリワインと食文化」誠文堂新光社

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コメント

よくタモリがキワが面白い!
と言いますが、ジョージアはまさにキリスト教国のキワ(^。^)
しかもオスマン帝国に長らく支配されていたにも関わらず、料理はしっかり
キリスト教国ですね^_^
お酒は苦手と伺っていますが、ワインは何杯位お飲みになれるのでしょうか?

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

キワでイスラム系諸国の侵略に悩まされてきたジョージア(グルジア)の人々は,その分かたくなにキリスト教(正教)を支持してきたのではないかと思います。
国旗にいっぱい十字があるのも(笑),パンやワインなどキリスト教の重要な食事を中心にしているのも,その表れではないかと思います。

お酒は苦手で,ほとんど飲めません(>_<)
ワイン,何杯レベルではありません。
実は私,過去にこちらのお店で酔いつぶれてしまったことがあり,それ以来,店主さんが私だけ特別にワイングラス半分を半額で提供してくださるのですが,これでも顔が真っ赤になります(笑)
こんなキワな質問されるなんて…(@_@;)

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