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2019年9月16日 (月)

インド料理の特徴と主な料理 -南インドのティファンとチャイ-

 東京都大田区にある「ケララの風モーニング」で,南インド・ケララ州の伝統的な軽食「ティファン」をいただきました。


ティファン

(ティファン)
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 ティファンの料理を1つずつ簡単に御紹介します。

【ワダ】

(ワダ)
Photo_20190916164101

 ワダは,ウーラッド豆のダル(※)を吸水させた上でペースト状にし,それをドーナツのように油で揚げたものです。
 ※ダル:豆の挽き割り
 豆乳とおからを混ぜた生地をドーナツにしたような軽い食感の食べ物でした。

【イドゥリ】

(イドゥリ)
Photo_20190916164201

 イドゥリは,インディカ米とウーラッド豆(ダル)を茹でてペーストにし,発酵で膨らませて蒸したものです。
 中心が膨らんだ,どら焼きのような形で,食感は鹿児島の「かるかん」や蒸しパンに近い食べ物でした。

【ラッサム】

(ラッサム)
Photo_20190916164301

 ラッサムは,さらりとした少し酸味のあるスープです。
 根野菜にタマリンド,カレーリーフ,コリアンダー,胡椒,マスタードシードなどを加えて作られます。
 前述の「ワダ」や「イドゥリ」と一緒にいただきました。

【ココナッツチャトニ】

(ココナッツチャトニ)
Photo_20190916164401

 ココナッツチャトニは,細かく刻んだココナッツで作られるペースト状の調味料です。
 黒い粒々はマスタードシード(マスタードの種)です。
 シャリシャリした食感で,甘いココナッツの風味が食事のアクセントになりました。
 こちらも「ラッサム」と同様に「ワダ」や「イドゥリ」に添えていただきました。

【サンバル】

(サンバル)
Photo_20190916164501

 サンバルは,ダルや野菜にスパイスを入れて煮込んだスープです。
 カレースープかコンソメスープを連想するようなあっさりしたスープで,ほかの料理と合わせやすいと思いました。

【マサラオムレツ】

(マサラオムレツ)
Photo_20190916164601

 様々なスパイスを混ぜたものを「マサラ」と呼びます。
 マサラオムレツは,溶き玉子にトマト,細かく刻んだパプリカなどの具やスパイス(マサラ)を加えて焼き上げたオムレツです。

【キャベツのトーレン・マンゴーチャトニ】

(キャベツのトーレン・マンゴーチャトニ)
Photo_20190916164701

 「キャベツのトーレン」は,刻んだキャベツやココナッツを炒めて作られる料理です。
 黒い粒々はマスタードシードです。
 インド版コールスローのイメージです。
 写真左下の赤い食べ物はマンゴーチャトニです。


ジャガイモのマサラとココナッツチャトニのサンドイッチ

(ジャガイモのマサラとココナッツチャトニのサンドイッチ)
Photo_20190916164801

 ジャガイモ入りマサラ(写真右)と御紹介したココナッツチャトニ(写真左)を具にした食パンのサンドイッチです。
 カレー風味のポテトサラダサンドとデザートのようなココナッツサンドの組み合わせでした。


チャイ

 食後にチャイ(スパイス入りミルクティー)をいただきました。

(チャイ)
Photo_20190916164901

 飲んだ瞬間,「あっ,これまで味わったチャイと違う。スパイスの風味が抜群にいい」と思いました。

 そこで私はお店の方に「このチャイの際立った甘い風味は,フェンネルかカルダモンをたくさん入れておられるからですか」と質問させていただきました。

 するとお店の方から「カルダモンの香りです。そして,あえてクローブは入れていません。南インドの人でもよくわからないままクローブを入れる人がいるのですが,クローブは漢方薬にも使われているように人間の本能がスパイスよりは『薬』として受け止めてしまい,風味が重くなってしまうので,あえて加えない方がカルダモンの香りが生きてくるのです」
と詳しく教えていただきました。

 このお話を聴けただけでも,お店を訪問した価値がありました。

 広島に戻り,食に詳しい人たち(海外経験豊富なカフェ店主さんと食通の常連さん,広島で有名な食の研究者,料理人)にこのお話をすると,

 「チャイにカルダモンを入れるのは南インドの特徴(北インドでは入れない)」
 「インドでは,その日の体調に合わせて入れるスパイスを変える」
 「(ホールのスパイスで煮出しせず,)ミルクティーにカルダモンパウダーを入れるだけでもチャイはできる」
 「カルダモンは高価なスパイスだから,クローブなどほかのスパイスも加えられるのではないか」
 など,さらに興味深いお話・お考えを伺うことが出来ました。


 広島にも「ケララ食堂」という南インド料理をいただけるお店があり,化学調味料・食品添加物なしで体に優しい料理をコンセプトに様々な南インド料理を提供しておられます。


<関連リンク>
 「ケララの風モーニング」(東京都大田区山王3-1-10)
 「ケララ食堂」(広島県安芸郡府中町鶴江1-24-5)

<参考文献>
 「ELLE gourmet」(JULY 2019 No.14)

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コメント

ちょっとした下町の商店街にもインド料理店はありますが、
南インド料理のお店はなかなかお目にかかりません(^-^;
さすがはコウジ菌様でございますね(^。^)
食に関する人脈も凄い!
あらためて感心致しましたm(^_^)m

つぶやきを見て何をしに大森に?と思っていたのですが、このお店でしたか。
早朝から昼過ぎまでしかやっていないなんて、変わったお店ですね。
チャイ、美味しそうです。
私は、クローブは歯医者の味みたいで苦手です(^^;

なーまん様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

私達日本人が思い浮かべるインド料理と,実際現地で食べられているインド料理はギャップがあるので,日本のインド料理店はネパール人など,インド出身以外の方がされているお店も多いようですし,今回御紹介した2つの南インド店についても,いずれも日本人の方が経営されています。
そういう事情もあり,日本で南インド料理に特化したお店は少ないのかも知れませんね。

ただ,私は珍しいお店・料理を追い求める傾向にあるだけですので,なーまんさんからのお言葉はもったいないです。

広島に戻ってすぐに,広島在住の様々な食の分野の方からお話が伺えたのはラッキーでした。
それを記事のネタにしてしまうところが,私らしい(笑)

私こそ,なーまんさんの美しいお写真にいつも感心しておりますし,応援しております(^O^)

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

大森,確かchibiayaさんの勤務先から近いんですよね。
おっしゃるとおり朝ごはんの時間帯中心の営業なので,広島から朝一番の飛行機で羽田に着いた私は,この時間帯を有効に過ごそうと思い,京急蒲田駅からJR蒲田駅までの歩きも含めて,大田区のお店を訪問させていただきました。

チャイですが,私は牛乳が苦手なので,実はチャイを注文することはあまりないのですが,そういう人間が美味しいと感じたチャイなので,おすすめですよ!

クローブは確かに歯医者さんを連想させる香りがしますね。
そして歯医者さんと言えば,chibiayaさんを連想してしまいます(笑)

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