« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年10月

2019年10月28日 (月)

カンボジア料理の特徴と主な料理1 -アモック・プラホック・クティ・ラパウ・ソンクチャー・Go to Cambodia!-

カンボジア料理について

 
東南アジアの料理と言われて日本人が思い浮かべるのは,タイ料理やベトナム料理,それに次いでフィリピン料理やインドネシア料理,シンガポール料理…といったところでしょうか。

 いずれにせよ,私もそうですが,東南アジアの料理としてすぐカンボジア料理を思い浮かべる人は少ないですし,代表的な料理と言われてもピンとこない人が大半だと思います。

 カンボジア料理の特徴について理解するため,まずは東南アジア(インドシナ半島)全体の食文化の特徴を把握することからアプローチしたいと思います。


東南アジア(インドシナ半島)の食文化の特徴

 東南アジア(インドシナ半島)の国々に共通してみられる食文化は,
 ①稲作が盛んで,米食文化であること
 ②肉よりも川や湖で豊富に採れる魚が主なたんぱく源であること
 ③魚醤やナレズシ(塩とごはんで発酵させたすし)など,長期保存できる発酵食が多く作られること
 ④ココナッツミルクや果物が料理に多用されること
 ⑤インドの影響を受け,スパイス(香辛料)やハーブが使われること
 ⑥中国の影響を受け,中華鍋が普及し,麺料理も多いこと
 ⑦世界のほかの地域に比べ,昆虫食が多くみられること
 などが挙げられます。


カンボジア料理の特徴

 東南アジア(インドシナ半島)の食文化の大きな特徴を把握した上で,カンボジア料理の特徴についてまとめてみたいと思います。

 東南アジアの食文化に詳しい森枝卓士さんは,カンボジア料理は「(乱暴なのを承知の上で)タイとベトナムとラオスを足して,三で割った」ような料理だと表現されています。

 ちなみにタイ・ベトナム・ラオス各国の料理の特徴をまとめると,

○タイ料理の特徴…辛味・酸味・甘味・塩味・旨味が複雑に絡み合った味。
  →インド寄りの食文化

○ベトナム料理の特徴…米食及びフォーやライスペーパーなど米加工食品が多い。中国の調理法(炒める・焼く・煮る・揚げる・茹でる・蒸す等)の採用
  →中国寄りの食文化

○ラオス料理の特徴…モチ米が主食。調味料として魚醤や唐辛子を多用。
  →インド寄りの食文化

となります。

 こうした料理の特徴を合わせもっているのがカンボジア料理というお話ですが,歴史的な流れから言うと,カンボジアの料理がタイ・ベトナム・ラオスなど周辺国へ伝わったととらえる方が自然だともおっしゃっています。


カンボジア料理の特徴(まとめ)

 カンボジアはトンレサップ湖やメコン川,シェムリアップ川など豊かな水源に恵まれ,雨季と乾季では水量が大きく異なります。

 そのため,稲作による米と,水量の変化に伴って移動する大量の魚を食の基本とする食文化が形成されました。

 そして,限られた時期に大量に採れる小魚を1年を通じて安定的に食べるため,魚を塩や米(ご飯)とともに発酵させて保存させる技術も発達しました。

 つまりカンボジア料理は,「米と魚を基本食材とし,その食材を使った保存(発酵)食も同時に発達し,周辺の大国であるインド料理や中国料理からの影響も受けつつ様々な料理が生み出されてきた」ことが大きな特徴だと説明できます。

 そして,こうした料理がカンボジアの周囲の国々にも影響を与え,今日の東南アジア(インドシナ半島)の食文化が形成されてきたと言えるでしょう。


代表的なカンボジア料理

 続いて,私が東京のカンボジア料理店で味わった代表的なカンボジア料理を御紹介したいと思います。


アモック

 カンボジアの代表的な料理の1つ「アモック」です。

(アモック)
Photo_20191027225101

 アモックは,雷魚などの白身魚を具にしたココナッツミルク煮です。

 ターメリックやレモングラスなどのスパイス・ハーブ,魚醤などが使われているため,最初は(タイ料理の)カレーのような印象も受けましたが,いただいてみると全く辛くなく,むしろターメリックで黄色く色付けしたクリームシチューのような料理だと思いました。

 「それならこういう食べ方もありだろう」と思い,アモックを別に注文しておいたライスにかけてみました。

(アモックとライス)
Photo_20191028223601

 正解でした。白身魚入りシチューライスになり,食が進みました。

 やはりご飯とよく合うように料理されているのだと実感しました。


プラホック・クティ

 カンボジアの発酵調味料「プラホック」を使った料理「プラホック・クティ」です。

(プラホック・クティ)
Photo_20191028223701

 豚の挽き肉をプラホックとココナッツミルクで調味し,炒めたもので,野菜などと一緒にいただきます。

 「プラホック」は,淡水の小魚を塩漬けにして発酵させたペースト状の調味料で,カンボジアの代表的な発酵食です。

 お店でこのメニューを注文した際,カンボジア出身のシェフから「本当に頼む?これクサイよ!」と言われたのですが(笑),プラホックに興味があったので,強くお願いしました。

 そのため,ある程度覚悟していたのですが,実際はココナッツミルクも入っているからか,そんなに臭いは気にならず,美味しい挽き肉炒めで,キャベツやキュウリとよく合いました。

 濃い味の挽き肉炒めなので,こちらもライスにのせてみました。

(プラホック・クティとライス)
Photo_20191028223702

 こちらも正解で,野菜だけでなく,ご飯との相性も抜群の料理だと思いました。


ラパウ・ソンクチャー

 カンボジアのカボチャプリン「ラパウ・ソンクチャー」です。

(ラパウ・ソンクチャー)
Photo_20191028223901

 カボチャの種をくり抜いて,その中にカスタードプリンを詰めたお菓子です。

 今回は大きなバニラアイスも添えられていました。

 カボチャという名称は,「ポルトガル人がカンボジアを経由して日本に伝えたことに由来する」という話が有名ですが,そのカンボジアにもこんなお菓子があるのはとても興味深いです。

 カボチャのほのかな甘さとプリンがよく合っていて,美味しくいただきました。


Go to Cambodia!

 この度,私はカンボジアで現地の食文化を学んでくることにしました。

 2019年11月1日~5日(うちカンボジア滞在は11月2日~4日の2泊3日,11月1日と5日は中国・上海)の期間に旅行します。

 広島空港から上海浦東国際空港経由(乗継ぎ)でシェムリアップ国際空港へ。
 シェムリアップで1泊した後,コンポントム郊外の「サンボー・プレイ・クック遺跡」近くの村で2泊3日のホームステイをし,再びシェムリアップ・上海経由で広島へ戻ってくる予定です。

(カンボジアへの行程)
Photo_20191110161401
森枝卓士「世界の食文化4 ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー」農山漁村文化協会 p138の一部を引用・一部加工

 ホームステイでは,プラホック作りを体験し,味わえるようです。

 これまでパック旅行か出張でしか海外に行ったことのない私は,自ら海外航空券や宿泊先を手配したり,途中で飛行機を乗継ぎする旅行は結構ハードルが高いのですが,シェムリアップからは広島のカフェ仲間と合流して一緒に行動するため,とりあえずシェムリアップまで行けたら大丈夫だと思います。

 発酵食を中心としたカンボジアの食文化をしっかり学んでこようと思います。


<関連サイト>
 「カンボジア料理 バイヨン」(東京都新宿区袋町26 森田マンション1F)

<参考文献>
 森枝卓士「世界の食文化4 ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー」農山漁村文化協会
 石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫
 沼野恭子編「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会

2019年10月20日 (日)

ロシア料理の特徴と主な料理4 -ソビエトのグレチカカーシャ・ブリヌイ・ビーツサラダ・ハルチョー-

ソビエトの朝食

 広島市内のカフェでソビエトの朝食をいただきました。

(グレチカカーシャ・ブリヌイ・ビーツサラダ・ハルチョー)
Photo_20191020105401

 手前のプレートの上側で緑の器に盛られているのが「グレチカカーシャ」,その右下のクレープが「ブリヌイ」,その左側のピンク色の食べ物が「ビーツサラダ」です。

 写真右上にあるスープが「ハルチョー」です。


【グレチカカーシャ】

 蕎麦の実(グレチカ)のおかゆ(カーシャ)です。

 ミルクとバターでいただきました。

 最近では輸入食料品店などでも蕎麦の実が販売されているので,こうしたカーシャにしていただくのもいいですね。


【ブリヌイ】

 バラジャムがのせられた「ブリヌイ」(クレープ)です。

 甘いので,デザートとしていただきました。

 バラジャムは紅茶に入れてロシアンティーで楽しむのもよいと思います。


【ビーツサラダ】

 ビーツと茹でたジャガイモをマヨネーズであえたサラダです。

 このケバケバしい濃いピンク色が私は好きなのですが(笑),真っ赤なビーツにヨーグルトやサワークリーム,マヨネーズをあえるとこんな色になります。


【ハルチョー】

 「ハルチョー」はジョージアの代表的なスープで,牛肉,トマト,玉ねぎ,パプリカ,雑穀,プルーンなどの具材で作られます。

 今回のスープには,ジョージアでよく使われるコリアンダー(香菜)やよく煮込まれたフェヌグリーク・お米(ごはん)も入っていて,食べやすく,美味しくいただきました。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<関連記事>
 「ジョージア(グルジア)料理の特徴と主な料理 -クヴェヴリワイン・ハルチョー・サラダ・チュルチヘラ・アジカ・ハチャプリ-

2019年10月15日 (火)

ポルトガル料理の特徴と主な料理 -アーモンド羊羹(天国からのベーコン)とポートワイン-

アーモンド羊羹(天国からのベーコン)

 広島市内のカフェで「アーモンド羊羹」という興味深いポルトガルのお菓子をいただきました。

(アーモンド羊羹)
Photo_20191014114601

 このお菓子は,かつて修道院で作られていたことやラードを使って作られていたことから,「天国からのベーコン(Toucinho de Ceu)」とも呼ばれています。

 卵黄,小麦粉,砂糖,バター,アーモンドパウダーが主な材料です。

 卵黄たっぷりのカステラのような生地に甘いシロップを浸み込ませたとても甘いお菓子です。

 甘さのレベルでは,パイに甘いシロップを浸み込ませた中東の「バクラヴァ」に近いように感じました。

 今回いただいたアーモンド羊羹は,中にオレンジピールも入っていました。

 私はトルコチャイと一緒に,カフェ仲間や店主さんと楽しく会話しながらいただきました。

(アーモンド羊羹とトルコチャイ)
Photo_20191014114602

 トルコチャイには角砂糖をいくつか入れていただきますが,アーモンド羊羹がすでに甘いので,私は1個入れるのがやっとでした。

 アーモンドを材料とするお菓子は,アラビアの国々から地中海を経てヨーロッパへ伝わったもので,その後ヨーロッパではアーモンドを使った様々なお菓子が生み出され,現在に至っています。

 これが東南アジアになると,ココナッツが主流となり,ココナッツ菓子が主流となります。

 こうした地域ごとの傾向をとらえてお菓子を理解するのも面白いと思います。

 ちなみにカフェでは,この卵黄を使うアーモンド羊羹にちなんで,
 「卵黄が使われた後の卵白をどうするか」
 という話から,
 「卵白だけのオムレツがおすすめ」
 という話につながり,挙句の果てには,
 「卵黄より卵白の方が好き」
 という人まで登場するという,黄身好きの私には理解しがたい話で盛り上がりました。

 私からは,
 「ポルトガルから日本にもたらされた『鶏卵素麺』は卵黄のみを使ったので,余った卵白を使ってマシュマロが作られるようになった」
 という話と,
 「そんなに白身が好きなら,今度から黄身は私にください」
 というお願いをしておきました(笑)


ポートワイン

 ポルトガルのお酒と言えば,ポートワインやマディラワインなど「酒精強化ワイン」(発酵中にアルコール度数の高いブランデーを加え,ぶどう果汁の発酵を止めて甘みを残したワイン)が有名です。

 自宅にポートワインがあったので,御紹介します。

(ポートワイン)
Photo_20191014114603 

 サンデマンのルビーポートというポートワインです。

 甘みが強いので,食前・食後のお酒として飲まれることが多いです。

 お酒が弱い私がなぜポートワインを持っているのかと疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが,その理由は料理にも使えるからです。

 フランス料理の本などを読むと,ワインより甘いポート酒,マディラ酒を使ったソースが多く登場します。

 私はこのサンデマンのルビーポートを使って,牛タンシチューやデミグラスソースを作ったことがありますが,ソースに濃厚な甘みを足すことができました。

(牛タンシチュー)
Photo_20191014114604

 御参考までに,過去に私が作ったルセット(レシピ)も添付ファイル(PDFファイル)で御紹介します。
 ※このルセットは赤ワインのみを使った際のものですが御了承ください。この時には甘みを増すよう果実(キウイ)を使いました。

 ルセット(牛タンシチュー).pdf

 今回,久しぶりにポートワインを飲んでみましたが,普段お酒を飲まないので,かなり熟成され,甘い紹興酒のようになっていました(笑)

 酒精強化ワインは濃厚で甘みが強いので,お酒が弱い人でもちょっとずつ飲んで楽しめるお酒だと思います。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<関連記事>
 「マシュマロの和洋菓子とホワイトデーの誕生 -チョコレートチャンクピザ・鶴乃子・チョコマシュマロ-」 

2019年10月10日 (木)

滋賀県・琵琶湖の恵みと発酵食文化 -マジカ・鮒ずし・ブラックバス・すじえび・発酵食フレンチ-

 滋賀県には,琵琶湖の恵みである湖魚(こぎょ)を使った料理や,その湖魚を発酵させて作られる発酵料理など,独特な食文化があります。

 こうした食文化に興味を持った私は,琵琶湖沿いのお店を訪問し,直接その食文化に触れてみることにしました。


BIWAKO DAUGHTARS(ビワコドーターズ)

 広島から京都まで新幹線,京都からレンタカーを利用して,滋賀県野洲(やす)市にある「BIWAKO DAUGHTARS(ビワコドーターズ)」を訪問しました。

 「danchu」(2018年12月号)の特集「おいしい鉄道旅」の中で,食のエッセイストである平松洋子さんがこちらのお店を訪問された際の記事を読んで,琵琶湖の魚介を使った料理の種類の多さに興味を持ったのがきっかけです。

 琵琶湖畔の民家や農地が広がる地域の中に,突如,おしゃれなお店が目に飛び込んできました。

(BIWAKO DAUGHTARS)
Biwako-daughtars

 店名のとおり,祖母から母,母から娘へと代々引き継がれてきた琵琶湖の伝統食が現代風に味わえるお店です。

 鯉,鮒,鮎,ウナギ,すじえび,ビワマス,もろこ,うろり,たてぼし…琵琶湖沿岸の人以外には聞き慣れない名前の魚や貝の料理もたくさん揃えられていました。

 私の心はときめき,全品味わってみたい気持ちになりました。

 そんな心境の中,今回私が味わったものを御紹介します。

【マジカ(ニゴイ)のバーガー】

 マジカ(ニゴイ)という湖魚のバーガーが用意されていました。

 お店の方から,店頭にあまり出ることがないレアなバーガーだと伺いました。

 商品の説明書きには,「『マジカ(ニゴイ)』 姿からは想像出来ない美味しさ!!」とあり,「マジか!」(笑)と思いながら,注文しました。

(マジカ(ニゴイ)のバーガー)
Photo_20191009195801

 バンズの中身を確認してみましょう。

(マジカ(ニゴイ)のバーガー(中身))
Photo_20191009195802

 中身は,レタス,マジカ(ニゴイ)のフライ(白身魚のフライ),チーズ,タルタルソース,パプリカ,アスパラガスと具だくさんでした。

 マジカ(ニゴイ)はクセのない白身魚のフライに仕上げられていて,タルタルソースやバンズとよく合いました。

 ただ,フライには小骨が多く,取り除きながら食べる必要があることも理解しました。


【ふなずしサンド】

 琵琶湖の発酵食として有名な「鮒ずし」のサンドイッチも注文しました。

 この「ふなずしサンド」は,お客さんから注文を受けてから作られるようで,お店の方が鮒ずしを薄く切って,スライスチーズとともにパンにはさんでくださいました。

(ふなずしサンド)
Photo_20191009200201

 お腹に卵がたっぷり詰まった鮒ずしと北欧のチーズのシンプルなサンドイッチです。

 鮒ずしとチーズという発酵食品同士の組み合わせです。

 チーズの個性が強すぎても弱すぎても鮒ずしの味が損なわれるらしく,両方の味をうまく引き立たせるチーズを探すのに大変苦労されたそうです。

 確かに両方の味が見事に調和していて,鮒ずしとチーズ以外は特に何も味付けされてないのに,美味しいサンドイッチに仕上がっていました。


【琵琶湖のジェラート】

 「琵琶湖のジェラート」というメニューを知って,食べずに帰る訳にはいきません。

 どんなジェラート(アイスクリーム)なのか,興味津々で注文しました。

(琵琶湖のジェラート)
Photo_20191009200601

 一見,白い普通のバニラアイスのようですが,中に鮒ずしの漬け床「飯(いい)」(ごはん)が混ぜられているジェラートでした。

 鮒ずしの発酵で生じた乳酸菌がたっぷり含まれています。

 味は「言われてみれば鮒ずしの飯が入ってるような気もするな」という程度で,生臭みや独特なにおいは全くありませんでした。

 琵琶湖ならではの様々な食べ物・デザートを堪能し,お店を後にしました。


【琵琶湖の舶来サンド】

 夜,テイクアウトした「琵琶湖の舶来サンド」をいただきました。

(琵琶湖の舶来サンド)
Photo_20191009201001

 舶来物(外来種)のブラックバスのフライをメインに,レタス,トマト,パプリカなどの具とタルタルソースをはさんだサンドイッチです。

 ブラックバスはクセがない白身で,野菜やタルタルソースともよく合い,想像以上に食べやすかったです。


【えび豆】

 お土産に「えび豆」と「えびの生ふりかけ」を購入し,後日いただきました。

(えび豆)
Photo_20191009201101

 「えび豆」は,琵琶湖産の「すじえび」と大豆の「田舎煮」(甘辛い味で煮る素朴で家庭的な煮物)です。

 「すじえび」は,釣り好きな私が表現すると「オキアミ」とそっくりな姿かたちです。

 甘辛い佃煮風なので,ごはんとの相性も抜群でした。


【えびの生ふりかけ】

 「えびの生ふりかけ」は,琵琶湖産の「すじえび」を甘辛く炊いて,そぼろ状になるまで水分を飛ばし,ふりかけにしたものです。

(えびの生ふりかけ)
Photo_20191009201102

 甘辛い味付けや海老とゴマの香ばしさがごはんにピッタリ合いました。

 BIWAKO DAUGHTARS(ビワコドーターズ)は琵琶湖の湖畔沿いにあるので,自動車か鉄道の最寄駅(野洲駅)からタクシーで行くことになると思いますが,それだけの価値があるお店だと思いました。


ロテルド比叡 湖からのフレンチ

 滋賀県側から車で比叡山を登り,オーベルジュとして有名な「ロテルド比叡」を訪問しました。

 こちらのレストランで,近江の発酵文化をとり入れたフレンチを味わいました。

 その中で発酵食が用いられた料理を御紹介したいと思います。


【鮎のフリット 米麹と胡瓜】

 「鮎のフリット 米麹と胡瓜」は,小鮎を唐揚げにし,米麹とキュウリのソースにのせた料理です。

(鮎のフリット 米麹と胡瓜)
Photo_20191009223701

 カリカリに揚げられた小鮎は頭から丸ごと食べることができました。

 ソースは米麹とキュウリを滑らかに仕上げたもので,米麹のコクとほのかな甘みがフリットとよく合いました。


【フロマージュブラン 貴腐ワインのジュレ 繊細な鮒鮓のアルモニー】

 次に鮒ずしを使った創作料理を御紹介します。

(フロマージュブラン 貴腐ワインのジュレ 繊細な鮒鮓のアルモニー)
Photo_20191009223702

 平易に表現すると,「白チーズと貴腐ワインのゼリーソースと繊細な鮒ずしのハーモニー(調和)」です。

 白チーズの真ん中にスライスした鮒ずしがのせられ,貴腐ワインのゼリーソースがかけられた料理です。

 白チーズ,貴腐ワイン,そして鮒ずしと発酵食が勢揃いです。

 「BIWAKO DAUGHTARS(ビワコドーターズ)」の鮒ずしサンドと同様に,チーズと鮒ずしが組み合わされており,組み合わせによって相性が良くなることを改めて感じました。


滋賀県・琵琶湖と東南アジアに共通する保存食・発酵食文化

 和食の代表格と言える寿司は,魚を炊いた米で漬ける「なれずし」(鮒ずしもその一種)が発展・変化してできた料理です。

 その「なれずし」は東南アジアから日本を含む東アジアへ伝わってきた食品とされています。

 東南アジアには,その一帯を流れるメコン川やカンボジアのトンレサップ湖など,豊かな水源が数多くあり,その水源から採れるたくさんの魚と稲作が結びついて「なれずし」や「魚醤(ナンプラー・ニョクマム・プラホックなど)」などの保存食・発酵食文化が生まれ,発展してきました。

 関西の水がめとなっている琵琶湖と広大な稲作地帯を有する滋賀県は,東南アジアの自然環境・生活環境と共通するところも多く,その結果,似たような保存食・発酵食文化が現代まで受け継がれているのではないかと考えます。


<関連リンク>
 「BIWAKO DAUGHTARS」(滋賀県野洲市菖蒲230)
 「ロテルド比叡」(京都市左京区比叡山一本杉)

<参考文献>
 「danchu おいしい鉄道旅」(2018年12月号)プレジデント社

« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ