« 滋賀県・琵琶湖の恵みと発酵食文化 -マジカ・鮒ずし・ブラックバス・すじえび・発酵食フレンチ- | トップページ | ロシア料理の特徴と主な料理4 -ソビエトのグレチカカーシャ・ブリヌイ・ビーツサラダ・ハルチョー- »

2019年10月15日 (火)

ポルトガル料理の特徴と主な料理 -アーモンド羊羹(天国からのベーコン)とポートワイン-

アーモンド羊羹(天国からのベーコン)

 広島市内のカフェで「アーモンド羊羹」という興味深いポルトガルのお菓子をいただきました。

(アーモンド羊羹)
Photo_20191014114601

 このお菓子は,かつて修道院で作られていたことやラードを使って作られていたことから,「天国からのベーコン(Toucinho de Ceu)」とも呼ばれています。

 卵黄,小麦粉,砂糖,バター,アーモンドパウダーが主な材料です。

 卵黄たっぷりのカステラのような生地に甘いシロップを浸み込ませたとても甘いお菓子です。

 甘さのレベルでは,パイに甘いシロップを浸み込ませた中東の「バクラヴァ」に近いように感じました。

 今回いただいたアーモンド羊羹は,中にオレンジピールも入っていました。

 私はトルコチャイと一緒に,カフェ仲間や店主さんと楽しく会話しながらいただきました。

(アーモンド羊羹とトルコチャイ)
Photo_20191014114602

 トルコチャイには角砂糖をいくつか入れていただきますが,アーモンド羊羹がすでに甘いので,私は1個入れるのがやっとでした。

 アーモンドを材料とするお菓子は,アラビアの国々から地中海を経てヨーロッパへ伝わったもので,その後ヨーロッパではアーモンドを使った様々なお菓子が生み出され,現在に至っています。

 これが東南アジアになると,ココナッツが主流となり,ココナッツ菓子が主流となります。

 こうした地域ごとの傾向をとらえてお菓子を理解するのも面白いと思います。

 ちなみにカフェでは,この卵黄を使うアーモンド羊羹にちなんで,
 「卵黄が使われた後の卵白をどうするか」
 という話から,
 「卵白だけのオムレツがおすすめ」
 という話につながり,挙句の果てには,
 「卵黄より卵白の方が好き」
 という人まで登場するという,黄身好きの私には理解しがたい話で盛り上がりました。

 私からは,
 「ポルトガルから日本にもたらされた『鶏卵素麺』は卵黄のみを使ったので,余った卵白を使ってマシュマロが作られるようになった」
 という話と,
 「そんなに白身が好きなら,今度から黄身は私にください」
 というお願いをしておきました(笑)


ポートワイン

 ポルトガルのお酒と言えば,ポートワインやマディラワインなど「酒精強化ワイン」(発酵中にアルコール度数の高いブランデーを加え,ぶどう果汁の発酵を止めて甘みを残したワイン)が有名です。

 自宅にポートワインがあったので,御紹介します。

(ポートワイン)
Photo_20191014114603 

 サンデマンのルビーポートというポートワインです。

 甘みが強いので,食前・食後のお酒として飲まれることが多いです。

 お酒が弱い私がなぜポートワインを持っているのかと疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが,その理由は料理にも使えるからです。

 フランス料理の本などを読むと,ワインより甘いポート酒,マディラ酒を使ったソースが多く登場します。

 私はこのサンデマンのルビーポートを使って,牛タンシチューやデミグラスソースを作ったことがありますが,ソースに濃厚な甘みを足すことができました。

(牛タンシチュー)
Photo_20191014114604

 御参考までに,過去に私が作ったルセット(レシピ)も添付ファイル(PDFファイル)で御紹介します。
 ※このルセットは赤ワインのみを使った際のものですが御了承ください。この時には甘みを増すよう果実(キウイ)を使いました。

 ルセット(牛タンシチュー).pdf

 今回,久しぶりにポートワインを飲んでみましたが,普段お酒を飲まないので,かなり熟成され,甘い紹興酒のようになっていました(笑)

 酒精強化ワインは濃厚で甘みが強いので,お酒が弱い人でもちょっとずつ飲んで楽しめるお酒だと思います。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<関連記事>
 「マシュマロの和洋菓子とホワイトデーの誕生 -チョコレートチャンクピザ・鶴乃子・チョコマシュマロ-」 

« 滋賀県・琵琶湖の恵みと発酵食文化 -マジカ・鮒ずし・ブラックバス・すじえび・発酵食フレンチ- | トップページ | ロシア料理の特徴と主な料理4 -ソビエトのグレチカカーシャ・ブリヌイ・ビーツサラダ・ハルチョー- »

各国料理の特徴と主な料理」カテゴリの記事

コメント

羊羹は羊肉の煮こごりの代わりに小豆を使った精進料理だと
思っていましたが、ポルトガルにも似たようなお菓子がある
のですね(^。^)
修道院とういうのも興味深いです^_^
ちょっと調べてみたら、ポルトガルには練り切り似たお菓子
もあるようで、カステラ同様ポルトガルがルーツ?
吉野家の牛丼も白ワインが隠し味だそうですから、酒は重要
な調味料ですね(^。^)
酒は百薬の長とも言いますし( ̄▽ ̄)

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

羊羹の由来,さすがよく御存知ですね!
羊肉の代わりに小豆を使うという発想は日本人っぽくていいですね。
ヨーロッパのお菓子は修道院にまつわるものが多いように思います。

ポルトガルに練り切りに似たお菓子があるというのは驚きました。
手元の本では,ポルトガル由来の「南蛮菓子」には,有平糖,金平糖,カルメル,カステラ,ボーロなどと紹介されていますが,「ザ・和菓子」とも言える練り切りもポルトガルの影響を受けているんですね。

吉野家の牛丼,私もワインと生姜,そして和牛の脂身が隠し味になっていると聞いたことがあります。
酒となれば,なーまんさんはそのまま召し上がる方がお好きですよね,確か(笑)

おはようございます。
アーモンド羊羹、見るからに激甘なのがわかります(笑)
このタンシチュー、コウジ菌さんが自宅で作られたんですか?
ずいぶん本格的で…高級レストランの一皿のようです!

chibiaya 様

chibiayaさん,こんにちは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

アーモンド羊羹,生地の中まであまーいシロップが浸み込んでいました。
ここまでシロップを浸み込ませたら,食感は羊羹に近くなりますよね(笑)

タンシチュー,はい確かに私が1から作りました。
高級レストランの料理だなんてとてもとても…でも素直にとっても嬉しいです(^O^)
自分好みのデミグラスソースを何とか作ってみようと,フランス料理の本などを参考に作ってみました。
私はレシピどおりに作るタイプではなく,自分で作ってみてそれをレシピにするタイプです。
だから失敗することも多いのですが(笑)
タンシチュー,時間と手間さえかければ,そんなに難しい料理ではないので,御興味があれば挑戦してみてください。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 滋賀県・琵琶湖の恵みと発酵食文化 -マジカ・鮒ずし・ブラックバス・すじえび・発酵食フレンチ- | トップページ | ロシア料理の特徴と主な料理4 -ソビエトのグレチカカーシャ・ブリヌイ・ビーツサラダ・ハルチョー- »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ