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2020年2月

2020年2月18日 (火)

ソーセージのイベントとソーセージ・豚肉の基礎知識 -フランクフルター・ホワジャオヴルスト・クラカウワー・レバーケーゼ-

 2020年1月11日,広島市佐伯区にあるドイツ製法のハム・ソーセージ店「グリュックスシュバイン」さんと,同市南区のカフェ「あかいはりねずみ」さんのコラボイベント「ソーセージ4種食べ比べ」と「できたてレバーケーゼを食べよう」に参加しました。

 「グリュックスシュバイン」は,広島県安芸太田町で営業されていた時からのファンで,ハム・ソーセージ・ベーコンの本当の美味しさを教えてくださったお店です。

 今回のイベントでは,いろんなソーセージを味わえただけでなく,店主さんからハム・ソーセージにまつわる様々な興味深いお話を伺うことが出来たので,御紹介したいと思います。


「ソーセージ4種食べ比べ」

 「ソーセージ4種食べ比べ」では,フランクフルター(エマルジョン・粗挽き)・ホワジャオヴルスト・クラカウワーの4種をいただきました。

(フランクフルター・ホワジャオヴルスト・クラカウワー)
Photo_20200216182101

 写真上から,フランクフルター(エマルジョン),フランクフルター(粗挽き),ホワジャオヴルスト,クラカウワーです。

(ソーセージ食べ比べ説明書き)
Photo_20200216182102

 フランクフルターは,ドイツ・フランクフルトの地名を冠した日本でもお馴染みのソーセージです。

 エマルジョンは,原料肉を細かくカッティングして結着・乳化させるソーセージの製法の1つです。

 きめ細やかな食感のエマルジョンタイプと肉の味わいを生かした粗挽きタイプを食べ比べることが出来ました。

(フランクフルター・ホワジャオヴルスト・クラカウワー(断面))
Photo_20200216182501

 ホワジャオヴルストは,麻婆豆腐など四川料理によく使われるスパイス「ホワジャオ(花椒)」入りのソーセージ(ドイツ語でソーセージは「ヴルスト」と呼ばれます)です。

 ホワジャオは,広島では「汁なし担々麺」のスパイスとしても有名で,広島ならではのソーセージとも言えます。

 クラカウワーは,馬蹄形のサラミタイプのソーセージで,その名称はポーランドのクラクフという地名に由来しています。
ボリュームのある肉のようなソーセージをお好みの人向けです。


ソーセージ・豚肉の基礎知識

 ソーセージの食べ比べを楽しみながら,グリュックスシュバインの店主さんからソーセージや豚肉にまつわるいろんな興味深いお話を伺うことが出来ました。

 今回私が学んだことをまとめておきます。

【エマルジョン製法】
 肉と脂と氷をカッティングしながら,乳化・結着させる製法。肉と脂だけだとカッティングの際に摩擦熱が生じ,結着できなくなるため,氷を入れて肉を冷ます。

【食品添加物(「亜硝酸」,「リン酸塩」,「ビタミンC」)を使用する理由】
 ・「亜硝酸」はポツリヌス菌(毒素)を抑制するため,そして熟成臭(部位独特の香り)を引き出す(ケモノ臭を抑える)ために使用(メイキングフレーバー)。
 ・「リン酸塩」は死後の肉にはリンが減り,結着度が弱まるため,食塩とともに結着材として使用。
 ・「ビタミンC」は亜硝酸の毒性を弱め,劣化を抑えるために使用。

【ウインナーという名称の由来】
 ドイツ・フランクフルト出身のソーセージ職人がウィーンで作った牛と豚の合挽き肉のソーセージをウィーン風フランクフルターと名付けたのがはじまり。

【ソーセージの形】
 動物の腸で作られたソーセージはアール(円形カーブ)を描く。人工の腸のようにまっすぐにはならない。

【肉のアク】
 きめが細かい肉は保水力が高く,茹でてもアクがほとんど出ない。

【カッティングと塩の「遊び」】
 原料肉がよくカッティングされていると塩がよく馴染む。逆にカッティングが不十分だと塩にバラつきが出て(塩が「遊んで」)塩味を強く感じるようになる。

【三元豚】
 豚の3品種を交配させて生まれた豚のこと。日本ではランドレース,大ヨークシャー,デュロックの三元交配豚が普及している。

【豚のウデ肉とモモ肉】
 豚肉の場合,モモ肉よりもよく動かす前足のウデ肉の方が肉質は固いが美味。

【日本のハム・ソーセージの普及は第一次世界大戦後のドイツ人捕虜から】
 日本では,第一次世界大戦後のドイツ人捕虜によってハム・ソーセージの製造技術が広まった。
  ※広島から全国に広まったバウムクーヘンと同じ歴史的経緯


 ハム・ソーセージを理解することは,結局はその素材である豚肉の特徴を理解することなのだということがよくわかりました。


できたてレバーケーゼとピッツアケーゼ

 ソーセージの食べ比べをしつつ興味深いお話を伺っていると,オーブンのレバーケーゼ・ピッツアケーゼが焼き上がりました。

(レバーケーゼとピッツアケーゼ)
Photo_20200216220801

 食パンに近いほど大きな型焼きソーセージです。

 写真左がレバーケーゼ,写真右・手前がピッツアケーゼです。

 レバーケーゼは原料肉をペースト状になるまでよく練り,型に流し込んで焼き上げたソーセージです。

 ケーゼはドイツ語で「チーズ」の意味ですが,チーズを入れるからではなく,その型に由来するようです。

 一般的にレバーが配合されていれば「レバーケーゼ」,配合されていなければ「フライシュケーゼ」と呼ばれますが,レバーなしでも「レバーケーゼ」と呼ぶ地域もあります。

 ピッツアケーゼには,レバーケーゼの中にチーズ・パプリカ・マッシュルーム・ベーコン・カバノス(ソーセージ)といった食材が入っていました。

 9人で囲んだテーブルの真ん中に用意された出来たて熱々のレバーケーゼとピッツアケーゼ。

 次にこれを誰が切り分けるかという話になったのですが,たまたま包丁を手に取って眺めていた私が切ることとなりました。

 できたての巨大な厚焼き玉子を切るような感触なので,まっすぐ均等な厚さで切るのは容易ではありませんが,まず3等分し,それをさらに3等分する方法で何とか9枚に切り分けました。

(レバーケーゼ切り分けの様子)
Photo_20200216221701
  グリュックスシュバインfacebookの写真を引用

 グリュックスシュバインさんが撮影された写真ですが,切り分けているのは私なのでお許しください。
 
 みんな均等になるよう,黙って真剣に切り分けました。

 するとどこからか「こーじさんが(お店で)黙っているところ初めて見た」という声が…。

 最後にカットした端の1枚だけが分厚くなってしまい,皆さんにすすめられて切り分けた私がいただきました。

 「これはかなり分厚い」ということで,お店のパンではさみ,「レバーケーゼゼンメル」を作らせていただきました。

(レバーケーゼとピッツアケーゼ(1人分))
Photo_20200216222301

 パンと全然バランスがとれてません…(笑)

(レバーケーゼを撮影する様子)
Photo_20200216222401
 グリュックスシュバインfacebookの写真を引用

 私のこんな行動まで写真撮影されてたとは…(笑)

(超厚切りレバーケーゼゼンメル)
Photo_20200216222501

 こんな厚切りのレバーケーゼゼンメル,商品にすると一体いくらになるのでしょう(笑)

 結局,この超厚切りレバーケーゼはさらにカットしてお店の方々と美味しくいただきました。


 今回はドイツのソーセージと,ソーセージ・豚肉にまつわるお話を御紹介しました。

 何か1つでも御参考になるお話があれば幸いです。


<関連サイト>
 「グリュックスシュバイン」(広島市佐伯区五日市町石内5842-2)
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)
 「厚木ハム」(神奈川県厚木市及川1142-1)

<参考文献>
 「ハム&ソーセージ大全」スタジオ タック クリエイティブ

<関連記事>
 「「バウムクーヘン博覧会」 -広島からはじまる日本のバウムクーヘンの歴史-

2020年2月11日 (火)

エクアドル料理の特徴と主な料理 -鶏のスープ・チチャモラーダ・チチャ-

 広島市内のカフェで南米・エクアドルの料理をいただきました。

(鶏のスープ・ライス・サラダ・チチャモラーダ)
Photo_20200211080201


鶏のスープ

 「鶏のスープ(Sopa de Pollo)」は,鶏肉と野菜のスープです。

(鶏のスープ)
Photo_20200211080301

 鶏の手羽元,ジャガイモ,人参,キヌア,キャッサバ,グリーンピース,ジャイアントコーンなどの食材を煮込んで作られています。

 このスープの特徴は,「ユカ」と呼ばれるキャッサバ(芋)と,「チョクロ」と呼ばれる白く大きな粒が特徴のトウモロコシ(ジャイアントコーン)が食材に用いられていることです。

(ユカ(キャッサバ))
Photo_20200211080501 

 キャッサバは中南米原産の芋です。

 そのままでは毒性があるので,水に漬けたり,加熱するなどの「毒抜き」が必要です。

 また,キャッサバのデンプンは「タピオカ」の原料となります。

 店主さんが前日に「毒見」をされて問題のなかったキャッサバをいただいたのですが(笑),やわらかく煮たゴボウのような,しっかりした歯ごたえの芋でした。

(チョクロ(ジャイアントコーン))
Photo_20200211080502

 チョクロ(ジャイアントコーン)は,白くて大粒のトウモロコシです。

 日本でよく見かける黄色くて甘いトウモロコシと比べて甘味が少なく,粒に弾力があるように思いました。


チチャモラーダ

 紫トウモロコシに水を注ぎ,シナモンやクローブなどのスパイス,果物,砂糖などを加え,煮出して作られる飲料です。

(チチャモラーダ)
Photo_20200211081601

 見た目はぶどうジュースですが,酸味は控えめで,スパイスの香りが効いた甘い飲料でした。

(紫トウモロコシ)
Photo_20200211081602

 こちらの写真は紫トウモロコシです。

 茹でても粒はあまりやわらかくなりません。

 1粒いただいてみましたが,甘味はなく,しっかりした皮付きの豆をいただいているような味・食感でした。


 ちなみにチチャモラーダとは別ですが,中南米には「チチャ」と呼ばれるトウモロコシを発酵させて作られるお酒もあります。

(チチャ)
Photo_20200211081801

 この写真は,カフェのお客さんが南米に旅行された時に撮影されたチチャです。

 チチャの伝統的製法は,トウモロコシを口で噛んで,唾液に含まれる酵素アミラーゼによりデンプンを糖に分解し,その糖をアルコール発酵させて作るというものです。

 現代においては,こうした伝統的製法で作られるチチャはごくわずかとなっていますが,中南米はこうした「口かみ酒」の食文化圏として特徴づけられることを認識しておくと,中南米の食文化への理解が深まると思います。


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<参考記事>
 「ペルー料理の特徴と主な料理

<参考文献>
 石毛直道 鄭大聲 編「食文化入門」講談社

2020年2月 3日 (月)

ロシア料理の特徴と主な料理5 -松ぼっくりのヴァレーニエ-

 広島から成田空港経由でロシアのウラジオストクへ旅行されたカフェ仲間からのお土産,「ヴァレーニエ」を少しいただきました。

 ロシアでは,果実などのシロップ漬けを「ヴァレーニエ」と言います。

 お土産のヴァレーニエは,松ぼっくりで作られたヴァレーニエでした。

(松ぼっくりのヴァレーニエ)
Photo_20200202164901 

 シロップをいただいてみると,松葉を嗅いだ時と同じ,松独特の香りが口の中に広がりました。

 松ぼっくりの風味が楽しめるシロップだけを味わい,中の松ぼっくりまでは食べないのではないかと思いましたが,カフェ仲間から「これだけ松ぼっくりが入っているなら,松ぼっくりも食べられるはず」というお話が出て,興味本位でみんなで松ぼっくりも食べてみることとしました。

(松ぼっくりのヴァレーニエ(松ぼっくり))
Photo_20200202165001

 1個が1~2cm程度,キイチゴほどの大きさの小さな松ぼっくりです。

 お店のナイフとフォークをお借りして,松ぼっくりを食べやすく切ってみました。

(松ぼっくりのヴァレーニエ(松ぼっくり中身))
Photo_20200202165002

 シロップに漬けてあるとは言え,松ぼっくりなのでそれなりに硬さがありました。

 切り分けた松ぼっくりをいただいてみると,弾力があり,かみしめるほどに甘い松の香りがしました。

 (食べ物ではありませんが)食感はコルクやおがくずに似ていると思いました。

 季節の果実などを使って作られるロシアの保存食「ヴァレーニエ」。

 パンに塗るだけでなく,紅茶に入れてロシアンティーにしたり,ヨーグルトやアイスクリームに添えたりと,様々な楽しみ方ができそうです。

2020年2月 2日 (日)

信州りんごちゃんの耳かき -長野県軽井沢町-

信州りんごちゃんの耳かきです。

軽井沢のお土産店で購入しました。

軽井沢土産物店

りんごの形をしていますが,手や足もあります。

葉っぱの上にちょこんと座って微笑んでいますね。

長野を訪問した際,長野ではブドウで作られるワインだけでなく,リンゴで作られる発泡酒「シードル」の製造も盛んなことがわかりました。

耳かきで信州シードルちゃんもないかな(笑)

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