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2020年3月

2020年3月28日 (土)

広島のレモン菓子・レモンケーキ13 -ウィークエンドシトロン・トリプルピールベーグル・ヴィクトリアケーキ-

 広島市安佐南区川内にあるベーグル・焼菓子店「BONO BAKE(ボノベイク)」。

 ベーグルを中心に,マフィンや焼菓子,ジャムなどを販売されているお店です。

 今回はレモンや八朔など,広島ならではのお菓子・ベーグルを購入してみました。


ウィークエンドシトロン

 アイシングがたっぷりかかったウィークエンドシトロンです。

(ウィークエンドシトロン)
Photo_20200328155901

 このウィークエンドシトロンの特長は,しっかり丁寧に焼き上げられていることと,アイシングにレモンの酸味が効いていることです。

 「他店のウィークエンドシトロンのアイシングと比べ,レモンの酸味がしっかり効いている」という感想をいただいたこともあるそうです。

 しっかり詰まったケーキ生地に,レモンの酸味が効いたアイシングがよく合いました。


トリプルピールベーグル

 3種類の柑橘のピール(黄レモン・青レモン・オレンジ)が練り込まれたベーグルです。

(トリプルピールベーグル)
Photo_20200328155903

 このお店のベーグルは,カナダ・モントリオールスタイルで,その特徴は,
(1)生地に塩を使わない
(2)卵・油を使用する
(3)茹でる時にはハチミツを使用する
にあります。

 一般的なベーグルに比べて,生地の弾力が強く,噛み締めるほどに旨味が増すベーグルです。

 トリプルピールベーグルは,大きめのほろ苦いピールがザクザク入っており,ハチミツで茹でられたほんのり甘いベーグル生地との相性が抜群でした。


ヴィクトリアケーキ

 ヴィクトリアケーキは,ベーキングパウダーを使ったサクサクの生地を使い,ジャムをはさんでいるのが特徴のケーキです。

 名称はイギリスのヴィクトリア女王にちなんでいます。

 お店に八朔(はっさく)ジャムを使ったヴィクトリアケーキがあったので,購入しました。

(ヴィクトリアケーキ(八朔ジャム))
Photo_20200328155902

 八朔は広島県尾道市因島が原産地で,広島レモンと同様,広島ならではの柑橘と言えます。

 今回のヴィクトリアケーキは,ほろ苦く酸っぱい八朔のマーマレードジャムと,ほど良い甘さの生クリームが挟まれていました。

 サクサクのケーキ生地とうまく調和し,とても美味しいケーキに仕上がっていました。

 八朔は外皮も中の薄皮も厚いので,マーマレードを作る作業も大変らしく,店主さんは「今期はこれで最後にします(笑)」とおっしゃってました。


 1つ1つ手作りで丁寧に作られているお店です。


<関連サイト>
 「BONO BAKE(ボノベイク)」(広島市安佐南区川内5-21-17)
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 chibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。

<関連記事>
 「イギリス料理の特徴と主な料理4 -ヴィクトリアケーキ-

2020年3月21日 (土)

マグレブ料理の特徴と主な料理 -ハリラ・クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん-

 マグレブは,北アフリカの3か国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)の地名です。

 7世紀末から8世紀にかけて,アラブの軍団がバグダッドから西方(アフリカ北部)に進攻し,城塞やイスラム教の拠点となった地域です。

 アラビア語で「マグレブ」は「西」を意味しますが,現在のモロッコ・アルジェリア・チュニジアは,アラブ人から見ればまさに「西」に位置する地域なので「マグレブ」と名付けられたのでしょう。

 こうした歴史的経緯もあって,マグレブではイスラム教が中心となっています。

 今回,広島市内のカフェでマグレブの代表的な料理をいただいたので,御紹介したいと思います。


ハリラ

 ハリラ(harira)は,マグレブの代表的なスープです。

(ハリラ)
Photo_20200320172101

 トマトが入った具だくさんのスープです。

 今回のハリラはトマト,ヒヨコ豆,レンズ豆,ショートパスタなどが入っていて,トマトスープのヌードルのような感じでした。


クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん

 続いてメインプレートの御紹介です。

(クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん)
Photo_20200320173201

 写真の右手前が「レンズ豆の煮込み」,その左上・中心部が「チキンの煮込み」,一番左上の赤いスティックが「モロッコにんじん」,右上の黄色い粒々が「クスクス」です。

(クスクス)
 クスクス(couscous)は,硬質の小麦粉(セモリナ粉)などを少量の塩水で練り,転がしながら,もろもろの粒状に仕上げた食べ物です。
 小麦粉以外に,大麦,トウモロコシ,ドングリ粉,パン粉などでも作られます。
 蒸し器で蒸して,粒食のごはんのように食べます。
 マグレブ諸国はイスラム教徒が多いため,安息日である金曜日には,同時に調理することが可能な,肉や野菜などの煮込み料理とその蒸気を利用して作るクスクスを食べる習慣があります。
 今回のクスクスにはスライスアーモンドも入っていました。
 これは店主さんがチュニジアを訪問された際,砂漠に咲く桜のようなアーモンドの花を御覧になった御経験を踏まえてのことだそうです。

(チキンの煮込み)
 鶏のモモ肉・手羽元を野菜や香辛料で煮込んだ料理です。
 鶏肉をフライパンで焼き,そのあとハチミツを絡めてオーブンに,その後玉ねぎ・ピーマン・香辛料などと一緒に鍋でグツグツ煮込んで作られたとのことです。

(ヒヨコ豆の煮込み)
 ヒヨコ豆をグリーンピース,玉ねぎ,ショウガ,青菜などと一緒に煮込んだ料理です。
 ヒヨコ豆は一晩水に浸けて戻し,茹でて食べられる状態にした後にオーブンで空焼きし,表面の水分を飛ばすなど,手の込んだ下拵えが必要だったそうです。

(モロッコにんじん)
 縦にスティック状に切った人参をクミンやシナモンなどの香辛料で味付けした料理です。
 人参の甘味とカレーの香りがするクミン,さわやかなシナモンの風味がよく合っていました。


まとめ

 マグレブを旅された店主さんのお話では,マグリブの料理は全体的にカオスな味付けのイメージなのだとか。

 私はクスクスをいただきながら,お客さん達との会話も楽しんだのですが,口の周りにクスクスを付けたまま話をしていたようで,何度も注意され,クスクス笑われました…。

 人前でクスクスを召し上がる際は,口の周りに御注意を!(笑)


<関連サイト>
 「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)

<参考文献>
 石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫

2020年3月18日 (水)

グリコのビスコのコジコ -スマイルビスコでオリジナルビスコを作る-

 インターネットサイト「スマイルビスコ」で注文したオリジナルビスコ「コジコ」がついに届きました。

(コジコ(箱))
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 おなじみのビスコのデザインの箱です。

 早速箱を開けてみましょう。

(コジコ(箱と個包装))
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 「コジコ」「コジコ」「コジコ」…。テンションが上がります!

 1箱に個包装(ビスコ5枚入り)が20個入っています。

 今回は3箱(60個分)注文しました。

(コジコ(個包装))
Photo_20200317184501  

 「スマイルビスコ」は,ビスコの包装にオリジナル画像(今回は似顔絵)とスタンプ(今回は「おいしくてつよくなる」),そして文字(最大7文字,今回は「コジコ」)が掲載出来るという企画商品です。

 私の似顔絵はグルメ漫画家のビッグ錠先生に描いていただいたものです。

 スタンプは食に興味がある私らしさをアピールすべく,「おいしくて強くなる」としました。

 ビスコのキャッチコピーそのままですが…(笑)

 オリジナル文字は,ビスコと同じ3文字で「コ」で終わる文字にしたいと思い,実際に私のことを「こーじ」→「こーじ子」→「コジコ」と呼ぶ人がおられるので,「コジコ」に決めました。

 「グリコ」の「ビスコ」の「コジコ」。

 上から読んでも下から読んでも「コジコ」。

 包装の裏には…

(コジコ(裏面・コウジ菌))
Photo_20200317190801

 えっ「コウジ菌が1億個!」?

(コジコ(裏面))
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 ゴメンナサイ,本当は乳酸菌が1億個(5枚当たり)です…(笑)

 久しぶりにビスコをいただきましたが,さわやかなクリームの香りがして,工場直送ということもあり,とても美味しかったです。

 このコジコは,職場仲間や親戚などへ配ったり,カフェの店主さんからカフェ仲間へ配っていただいたりしたのですが,皆さんからの感想は…

○そもそもなぜ作ろうと思ったのですか?
○一体いくらかかったんですか?
○セレブですねー
○なぜコジコなの?
○ほんまに中身はビスコでっか?
○これ見て昨夜のモヤモヤが吹っ飛んだ
○わーいコジコだ,コジコだ~
○きもかわいい
○いい歳した男が自分のビスコを作って配るとは…
○ビスコの男の子が(市販のビスコに比べて)かなり老けてる
○デザインより賞味期限が気になる
○開けると顔が半分に切れる
○コウジ菌が体内に入った
○なーんだコウジ菌じゃなくて乳酸菌じゃないですか
○包装を捨てる際はシュレッダーと燃やすのとどっちがいい?
といった,ありがたーい感想をいただきました。

 今回のビスコのおかげで確実に強くなっていく自分を実感しました(笑)


 冗談はともかく,このようなオリジナルお菓子を作れば,仲間で盛り上がること間違いなしです。


<関連サイト>
 「スマイルビスコ」(江崎グリコ株式会社)

2020年3月13日 (金)

翔庵工房 黒竹(双)の耳かき -広島県広島市-

 広島市南区宇品神田,電車通り沿いにある「翔庵工房」の手作り耳かきです。

 黒竹で作られた珍しい耳かきです。

3417253 

 理容院「ネクストクラウン」の店主さんが理容院の隣に工房を併設され,理容業と並行して耳かきなどの製作に取り組んでおられます。

 店主さんは「耳かきがしたい」(上野 玲著・ジャイブ)という本や広島のテレビなどでも紹介された有名な方です。

 耳かきコレクターの私は,購入した耳かきを実際に使うことはないのですが,今回の耳かきは興味を持って使ってみました。

 先が細くて弾力があり,耳垢をしっかりと掻き出すことができました。

 双方向が耳かきになっているので,好みで使い分けることも出来ます。

 1本1本,時間をかけて丁寧に作られているので,使い心地がいいです。

 この度,当ブログを御覧いただいた翔庵工房の御親戚の方から,こうした手作り耳かきのネット販売を始められたとのお知らせをいただきました。

 サイトを御紹介しますので,御興味がある方は御覧ください。


 「翔庵工房」(広島市南区宇品神田5-19-24)


<関連記事>
 「翔庵工房 黒竹の耳かき -広島県広島市-

2020年3月 8日 (日)

コーヒーの研究 -エスプレッソ・アメリカーノ・カフェマキアート・カフェコンパンナ-

 イタリアのカフェ文化を象徴するお店が「バール(Bar)」です。

 バールはカフェ・軽食・立ち飲みが出来る飲食店のことで,イタリアのあちこちで見かけます。

 そんなイタリアのバール気分を味わえる広島市内のお店を訪問しました。

 今回はバールで味わえる様々なコーヒーなどを御紹介したいと思います。


エスプレッソ

 エスプレッソは,英語ではexpress,つまり「速達,急行」といった意味で,細引きのコーヒー粉に蒸気圧のかかった湯で瞬間的に抽出したコーヒーのことを言います。

 バールでは,主に抽出の際に高い蒸気圧が出せる「エスプレッソマシン」が使われています。

(エスプレッソ)
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 表面の泡は「クレマ」(クリームの意味)と呼ばれるもので,高圧で抽出することでなめらかなクレマが生じます。

 イタリアでは,このエスプレッソのことをシンプルに「カフェ」と呼びます。
 ※ハンドドリップコーヒーは「プアオーバー」と呼びます。

 エスプレッソに砂糖(グラニュー糖)をスプーン1~2杯入れ,少しかき混ぜて一気に飲み干し,その苦味と甘味の余韻を楽しむのが粋な飲み方とされます。

 このエスプレッソが,バールのコーヒーの基本だと言えるでしょう。


アメリカーノ

 「アメリカーノ」は,エスプレッソをお湯で割ってドリップコーヒーと同程度の濃さにした飲み物です。

 深炒り豆で瞬間的に抽出させたエスプレッソで作る「アメリカーノ」と,浅炒り豆でゆっくりと抽出させた「アメリカンコーヒー」とは別の飲み物です。

(アメリカーノとチョコレートケーキ)
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 ドリップコーヒー感覚でチョコレートケーキとあわせてみました。

 すっきりとした味わいで,お菓子や食事とも合わせやすいコーヒーです。


カフェ・マキアート

 「カフェ・マキアート」は,エスプレッソに少量の「フォームドミルク」(蒸気で強く泡立てたミルク)を加えたものを言います。

 「マキアート」はイタリア語で「染みのついた」という意味で,エスプレッソに染みをつける程度のフォームドミルクを加えた飲み物のことです。

(カフェ・マキアートとカフェ・ジッリのカップ)
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 「カフェ・ジッリ」は,イタリア・フィレンツェにある有名な老舗カフェで,「ミオバール」では敬意を表してよく似たデザインのカップを使っておられます。


カフェ・ラテとカプチーノ

 「カフェ・マキアート」と「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」。

 似たようなメニューなので,「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」の特徴についても整理しておきたいと思います。


「カフェ・ラテ」
 エスプレッソに「スチームドミルク」(蒸気で温めたミルク)をたっぷりと加えた飲み物

「カプチーノ」
 エスプレッソに「スチームドミルク」と「フォームドミルク」を加えた飲み物

 基本は「エスプレッソ」で,それをそのまま飲むかお湯を加えるか,「スチームドミルク」を使うか「フォームドミルク」を使うか,どれくらいの量のミルクを加えるか,お酒やシロップを加えるか,などによって様々なメニューができるのですね。


バリスタとのトークを楽しむ

 お店の人気バリスタ・宮西さんとのお話も楽しみの1つで,今回はカウンター席でトークを楽しみました。

 その一部を御紹介すると…

私:「仕事は人と人とが支えあって実現できるとつくづく感じます。」
バリスタ:「エスプレッソも同じです。ドリップコーヒーはシングルオリジン(単一産地・栽培の豆)が流行りですが,エスプレッソはいろんな個性を持つコーヒー豆をブレンドし,お互いが支えあうことから生まれる味ですから。」

 トークはだんだん調子に乗ってきます…

私:「今や日本どころか世界のバリスタですよね。いや宇宙一か(笑)」
バリスタ:「バリスタの審査に私のトークが入ってれば少なくとも銀河系一です(笑)」

 トークをただ単に返すのではなく,「切り」返すことが大切なのだとか。

私:「いやー素晴らしい。(エスプレッソを淹れる)動作に全く無駄がない!」
バリスタ:「無駄なのはトークだけ(笑)」
私:「さすがイタリア生まれ!」(周りのお客さんが「えっ?」という反応(笑))

 過去にこんなこともありました…

バリスタ:「(電話で)チャオ!,グラツィエ!」
私:(おっ,すごい,国際電話でイタリアの人と会話してる!)
バリスタ:「ナスとトマトを…」
私:(なんだ,地元の店へ野菜を注文しているだけか…)


カフェ・コンパンナ

 最後に,メニューにはないコーヒーを御紹介します。

 「カフェ・コンパンナ」です。

(カフェ・コンパンナ)
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 「コンパンナ」の「コン」は英語の「with,~と一緒に」という意味,「パンナ」は「生クリーム」という意味です。

 つまり,生クリームを浮かべたカフェ(エスプレッソ)が「カフェ・コンパンナ」なのです。

 ちなみに,イタリアには「パンナコッタ」という白いプリンのようなお菓子がありますが,この「パンナ」と同じです。

 生クリーム(パンナ)をコトコト煮て(コッタ)作ったお菓子が「パンナコッタ」です。

 イタリア版のウインナーコーヒー(アインシュペナー)といったところでしょうか。

 ビターなエスプレッソを味わった後に生クリームがその苦味をやさしく包み込んでくれました。

 マキアートとはまた違った味わいが楽しめる裏メニューです。


 「カフェ・コンパンナ,ペル ファヴォーレ(お願いします)!」

 こんな感じに,バールで自分好みのメニューをサラリと注文できるようになればカッコイイですね。


<関連リンク>
 「Mio Bar(ミオ バール)」(広島市中区幟町5-14-15)
 「Caffè Gilli(カフェ ジッリ)」(イタリア・フィレンツェ)

<参考文献>
 UCCコーヒー博物館著「図説コーヒー」河出書房新社
 福田幸江・吉城モカ・川島良彰「僕はコーヒーが飲めない 4」小学館
 辻調理師専門学校監修「イタリア料理基本用語」柴田書店

2020年3月 1日 (日)

カンボジア料理の特徴と主な料理8 -ライスプディング,クボン,ノムチャン,クロサンオ,カンボジアと日本の食文化の共通点-

 カンボジアの食の旅。

 今回は,カンボジアのお菓子と果物を御紹介します。


ライスプディング パームシュガーがけ

 カンボジア・コンポントム州郊外のホームステイ先で,デザートとして「ライスプディング パームシュガーがけ」をいただきました。

(パームシュガーとライスプディング)
Photo_20200225195101

 写真左が褐色のパームシュガー(ヤシ砂糖)のシロップ,右が緑色のライスプディングです。

(ライスプディング パームシュガーがけ)
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 緑色のライスプディングは,麺状のニュルニュルした「わらび餅」のようなお菓子でした。

 甘くてコクのあるパームシュガーのシロップをかけていただきました。


ライスプディング作りの見学

 翌日夕方,このライスプディングを作っていただいたホアンさん宅を訪問し,ライスプディングの作り方を教えていただきました。

(ホアンさん宅)
Photo_20200225195301

 ホアンさんはコンポントム州にお住まいの50~60歳代(推定)の女性です。

 今回のライスプディングは準備に1時間,調理に1時間かけて作られたそうです。

(パンダンリーフ)
Photo_20200225195401

 この写真がパンダンリーフで,ライスプディングの色付けと香り付けに使われた食材です。

 ライスプディングがなぜこんな緑色をしているんだろうと思いながら食べたのですが,このパンダンリーフの鮮やかな緑色だったのです。

(米粉と葉っぱ)
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 ライスプディングに使われた米粉と,それを固める凝固剤「クボン」を作るために使われた葉っぱです。

 米粉の作り方は,
(1)米に水を加え,その米をとぐ
(2)しばらく水に浸して米を柔らかくする
(3)柔らかくなった米を石臼でひく
 という方法でした。

(石臼)
Photo_20200225195602 

 こうして作られた米粉は,日本では「粢(しとぎ)」と呼ばれています。

 そして,東北地方や九州地方などでは「しとぎ餅」と呼ばれるお餅が作られています。

 今回いただいたカンボジアのライスプディングは,この「粢(しとぎ)」に水やパンダンリーフを加え,「クボン」で固めたお菓子です。


ライスプディングの調理器具

 続いて,ライスプディングの調理器具を見せていただきました。

(ライスプディングの調理器具)
Photo_20200225195901

 米粉液にクボンを混ぜ合わせて寒天状に固める鍋(写真中央左)と,そのライスプディングを麺状にする器具(写真中央右)です。

(ライスプディングの調理器具(拡大))
Photo_20200225195902

 鍋底にたくさん穴を開け,それにライスプディングを通すことにより麺状に仕上げています。


カンボジアの凝固剤「クボン」

 次にライスプディングの凝固剤として使われた「クボン」を見せていただきました。

 クボンは,葉っぱを焼いて得られた灰を水で溶かした「灰汁(あく)」を言います。

(クボン)
Photo_20200225200101

 クボンの保存容器の底を棒で掻き出すと,写真のようにドロドロした灰が沈殿していることがわかります。

 この上澄み液を凝固剤として使うのです。

 ホアンさんのお話では,この村でクボンを手作りする人は1人か2人だろうとのことでした。


カンボジアの「ノムチャン」と日本の「あくまき」

 クボンのお話の中で,カンボジアにはもち米にクボンを加え,笹の葉に包んで蒸した「ノムチャン」と呼ばれるお菓子があることを知りました。

 パームシュガー(やし砂糖)をつけて食べるとのことでした。

 私はそのお話を伺った瞬間,少し興奮気味に,「日本にも同じようなお菓子があります。九州の『あくまき』と呼ばれるお菓子で,もち米を灰汁に漬けて竹の皮に包んで蒸して作るんですよ。黒蜜やきな粉をつけて食べるところまでそっくりです。」とお話しし,御案内いただいたナプラワークス代表の吉川舞さんからカンボジア語でホアンさんに伝えていただきました。

 吉川さんのスマートフォンで「あくまき」を検索し,みんなでその画像を見た時,ホアンさんも「なるほど」という顔をされていました。

 この「ノムチャン」と「あくまき」のつながりには,私も含めみんなが驚きました。

 はるか遠い日本にも共通した食文化があることをみんなで認識でき,カンボジアを訪問して良かったなと思った出来事でした。


クロサンオとクロサンオのペースト

 ホアンさんから,「クロサンオ」と呼ばれる小さな緑色のみかんを紹介していただきました。

(クロサンオ)
Photo_20200301075401

 みかんと言っても,レモンのようにかなり酸っぱい果物です。

 日本の梅干しと同じくらいの酸味があるため,果肉をペーストにし,ホームステイ先で食事中におかずとして出していただきました。

(クロサンオのペースト)
Photo_20200301075501

 私はこの写真を見ただけでも梅干しのように唾液が出ます(笑)


カンボジアと日本の食文化の共通点

 今回のお菓子作り見学で,遠く離れた日本との食文化のつながりを現地で確認することが出来ました。

 カンボジアの「米粉」と日本の「しとぎ餅」,カンボジアのお菓子「ノムチャン」と鹿児島や宮崎など南九州の郷土菓子「あくまき」,カンボジアの「クロサンオのペースト」と日本の「梅干し」等々。

 中国の食文化の影響も大きいのですが,東アジア・東南アジア一帯で共通する食文化があることを現地で実感出来たことは,私にとって大きな収穫でした。

 そしてカンボジア在住の人々も,日本の食文化との共通点を知る機会になったのではないかと思います。

 「当たり前のように作り,食べている料理やお菓子にも,実はいろんなつながりや歴史があることがわかる」
 
 それが食文化を学ぶ面白さだと思います。


<参考文献>
 石毛直道・森枝卓士「考える胃袋」集英社新書

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