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2020年3月 8日 (日)

コーヒーの研究 -エスプレッソ・アメリカーノ・カフェマキアート・カフェコンパンナ-

 イタリアのカフェ文化を象徴するお店が「バール(Bar)」です。

 バールはカフェ・軽食・立ち飲みが出来る飲食店のことで,イタリアのあちこちで見かけます。

 そんなイタリアのバール気分を味わえる広島市内のお店を訪問しました。

 今回はバールで味わえる様々なコーヒーなどを御紹介したいと思います。


エスプレッソ

 エスプレッソは,英語ではexpress,つまり「速達,急行」といった意味で,細引きのコーヒー粉に蒸気圧のかかった湯で瞬間的に抽出したコーヒーのことを言います。

 バールでは,主に抽出の際に高い蒸気圧が出せる「エスプレッソマシン」が使われています。

(エスプレッソ)
Photo_20200308102901

 表面の泡は「クレマ」(クリームの意味)と呼ばれるもので,高圧で抽出することでなめらかなクレマが生じます。

 イタリアでは,このエスプレッソのことをシンプルに「カフェ」と呼びます。
 ※ハンドドリップコーヒーは「プアオーバー」と呼びます。

 エスプレッソに砂糖(グラニュー糖)をスプーン1~2杯入れ,少しかき混ぜて一気に飲み干し,その苦味と甘味の余韻を楽しむのが粋な飲み方とされます。

 このエスプレッソが,バールのコーヒーの基本だと言えるでしょう。


アメリカーノ

 「アメリカーノ」は,エスプレッソをお湯で割ってドリップコーヒーと同程度の濃さにした飲み物です。

 深炒り豆で瞬間的に抽出させたエスプレッソで作る「アメリカーノ」と,浅炒り豆でゆっくりと抽出させた「アメリカンコーヒー」とは別の飲み物です。

(アメリカーノとチョコレートケーキ)
Photo_20200308103801

 ドリップコーヒー感覚でチョコレートケーキとあわせてみました。

 すっきりとした味わいで,お菓子や食事とも合わせやすいコーヒーです。


カフェ・マキアート

 「カフェ・マキアート」は,エスプレッソに少量の「フォームドミルク」(蒸気で強く泡立てたミルク)を加えたものを言います。

 「マキアート」はイタリア語で「染みのついた」という意味で,エスプレッソに染みをつける程度のフォームドミルクを加えた飲み物のことです。

(カフェ・マキアートとカフェ・ジッリのカップ)
Photo_20200308104501 

 「カフェ・ジッリ」は,イタリア・フィレンツェにある有名な老舗カフェで,「ミオバール」では敬意を表してよく似たデザインのカップを使っておられます。


カフェ・ラテとカプチーノ

 「カフェ・マキアート」と「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」。

 似たようなメニューなので,「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」の特徴についても整理しておきたいと思います。


「カフェ・ラテ」
 エスプレッソに「スチームドミルク」(蒸気で温めたミルク)をたっぷりと加えた飲み物

「カプチーノ」
 エスプレッソに「スチームドミルク」と「フォームドミルク」を加えた飲み物

 基本は「エスプレッソ」で,それをそのまま飲むかお湯を加えるか,「スチームドミルク」を使うか「フォームドミルク」を使うか,どれくらいの量のミルクを加えるか,お酒やシロップを加えるか,などによって様々なメニューができるのですね。


バリスタとのトークを楽しむ

 お店の人気バリスタ・宮西さんとのお話も楽しみの1つで,今回はカウンター席でトークを楽しみました。

 その一部を御紹介すると…

私:「仕事は人と人とが支えあって実現できるとつくづく感じます。」
バリスタ:「エスプレッソも同じです。ドリップコーヒーはシングルオリジン(単一産地・栽培の豆)が流行りですが,エスプレッソはいろんな個性を持つコーヒー豆をブレンドし,お互いが支えあうことから生まれる味ですから。」

 トークはだんだん調子に乗ってきます…

私:「今や日本どころか世界のバリスタですよね。いや宇宙一か(笑)」
バリスタ:「バリスタの審査に私のトークが入ってれば少なくとも銀河系一です(笑)」

 トークをただ単に返すのではなく,「切り」返すことが大切なのだとか。

私:「いやー素晴らしい。(エスプレッソを淹れる)動作に全く無駄がない!」
バリスタ:「無駄なのはトークだけ(笑)」
私:「さすがイタリア生まれ!」(周りのお客さんが「えっ?」という反応(笑))

 過去にこんなこともありました…

バリスタ:「(電話で)チャオ!,グラツィエ!」
私:(おっ,すごい,国際電話でイタリアの人と会話してる!)
バリスタ:「ナスとトマトを…」
私:(なんだ,地元の店へ野菜を注文しているだけか…)


カフェ・コンパンナ

 最後に,メニューにはないコーヒーを御紹介します。

 「カフェ・コンパンナ」です。

(カフェ・コンパンナ)
Photo_20200308105901

 「コンパンナ」の「コン」は英語の「with,~と一緒に」という意味,「パンナ」は「生クリーム」という意味です。

 つまり,生クリームを浮かべたカフェ(エスプレッソ)が「カフェ・コンパンナ」なのです。

 ちなみに,イタリアには「パンナコッタ」という白いプリンのようなお菓子がありますが,この「パンナ」と同じです。

 生クリーム(パンナ)をコトコト煮て(コッタ)作ったお菓子が「パンナコッタ」です。

 イタリア版のウインナーコーヒー(アインシュペナー)といったところでしょうか。

 ビターなエスプレッソを味わった後に生クリームがその苦味をやさしく包み込んでくれました。

 マキアートとはまた違った味わいが楽しめる裏メニューです。


 「カフェ・コンパンナ,ペル ファヴォーレ(お願いします)!」

 こんな感じに,バールで自分好みのメニューをサラリと注文できるようになればカッコイイですね。


<関連リンク>
 「Mio Bar(ミオ バール)」(広島市中区幟町5-14-15)
 「Caffè Gilli(カフェ ジッリ)」(イタリア・フィレンツェ)

<参考文献>
 UCCコーヒー博物館著「図説コーヒー」河出書房新社
 福田幸江・吉城モカ・川島良彰「僕はコーヒーが飲めない 4」小学館
 辻調理師専門学校監修「イタリア料理基本用語」柴田書店

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コメント

ひと昔前にフランスに行ったのですが、おふらんすのカフェでもコーヒーといえば
エスプレッソでした(^。^)
フランスのコーヒーはまずいという評判らしいですが、イタリアのエスプレッソと
飲み比べた事がないので、広島まで飲みに行きますかね(^。^)

こんばんわ。
エスプレッソって量が少ないのに値段は普通なので、
何だか損してる気がしてめったに飲みません(笑)
ミオバール、素敵なお店ですね。

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

おふらんすのカフェ,おしゃれでございますね(^-^)
カフェオレが主流かと思いましたが,エスプレッソが人気なんですね。
フランスのカフェでは,スノッブなお客さん向けにインスタントコーヒーも用意されているのだとか…。
フランスはよくわかりませんが,イタリアのエスプレッソは美味しいでしょうね。

広島のバールへエスプレッソとトークを楽しみにお越しください(^^)/

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)

エスプレッソ…言われてみれば,量が少ないですよね。
2倍量のドッピオ(ダブル)もありますが,それでもドリップコーヒーに比べると少ないですもんね(笑)
それもあって,1つはお湯を加えたアメリカーノを注文しました。

コーヒーを何杯も飲んだ私は,バリスタの宮西さんから「夜,眠れなくなりますよ…」と言われてしまいました(笑)

ミオバール,素敵なお店で,ラテアートもかわいいので,女性ファンも多いです。
私は…ラテアートよりも楽し過ぎるトークを聞きたくてお店に行っています(笑)
広島にお越しになることがありましたら,ぜひお立ち寄りください!

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