コーヒーの研究 -エスプレッソ・アメリカーノ・カフェマキアート・カフェコンパンナ-
イタリアのカフェ文化を象徴するお店が「バール(Bar)」です。
バールはカフェ・軽食・立ち飲みが出来る飲食店のことで,イタリアのあちこちで見かけます。
そんなイタリアのバール気分を味わえる広島市内のお店を訪問しました。
今回はバールで味わえる様々なコーヒーなどを御紹介したいと思います。
エスプレッソ
エスプレッソは,英語ではexpress,つまり「速達,急行」といった意味で,細引きのコーヒー粉に蒸気圧のかかった湯で瞬間的に抽出したコーヒーのことを言います。
バールでは,主に抽出の際に高い蒸気圧が出せる「エスプレッソマシン」が使われています。
(エスプレッソ)
表面の泡は「クレマ」(クリームの意味)と呼ばれるもので,高圧で抽出することでなめらかなクレマが生じます。
イタリアでは,このエスプレッソのことをシンプルに「カフェ」と呼びます。
※ハンドドリップコーヒーは「プアオーバー」と呼びます。
エスプレッソに砂糖(グラニュー糖)をスプーン1~2杯入れ,少しかき混ぜて一気に飲み干し,その苦味と甘味の余韻を楽しむのが粋な飲み方とされます。
このエスプレッソが,バールのコーヒーの基本だと言えるでしょう。
アメリカーノ
「アメリカーノ」は,エスプレッソをお湯で割ってドリップコーヒーと同程度の濃さにした飲み物です。
深炒り豆で瞬間的に抽出させたエスプレッソで作る「アメリカーノ」と,浅炒り豆でゆっくりと抽出させた「アメリカンコーヒー」とは別の飲み物です。
(アメリカーノとチョコレートケーキ)
ドリップコーヒー感覚でチョコレートケーキとあわせてみました。
すっきりとした味わいで,お菓子や食事とも合わせやすいコーヒーです。
カフェ・マキアート
「カフェ・マキアート」は,エスプレッソに少量の「フォームドミルク」(蒸気で強く泡立てたミルク)を加えたものを言います。
「マキアート」はイタリア語で「染みのついた」という意味で,エスプレッソに染みをつける程度のフォームドミルクを加えた飲み物のことです。
(カフェ・マキアートとカフェ・ジッリのカップ)
「カフェ・ジッリ」は,イタリア・フィレンツェにある有名な老舗カフェで,「ミオバール」では敬意を表してよく似たデザインのカップを使っておられます。
カフェ・ラテとカプチーノ
「カフェ・マキアート」と「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」。
似たようなメニューなので,「カフェ・ラテ」と「カプチーノ」の特徴についても整理しておきたいと思います。
「カフェ・ラテ」
エスプレッソに「スチームドミルク」(蒸気で温めたミルク)をたっぷりと加えた飲み物
「カプチーノ」
エスプレッソに「スチームドミルク」と「フォームドミルク」を加えた飲み物
基本は「エスプレッソ」で,それをそのまま飲むかお湯を加えるか,「スチームドミルク」を使うか「フォームドミルク」を使うか,どれくらいの量のミルクを加えるか,お酒やシロップを加えるか,などによって様々なメニューができるのですね。
バリスタとのトークを楽しむ
お店の人気バリスタ・宮西さんとのお話も楽しみの1つで,今回はカウンター席でトークを楽しみました。
その一部を御紹介すると…
私:「仕事は人と人とが支えあって実現できるとつくづく感じます。」
バリスタ:「エスプレッソも同じです。ドリップコーヒーはシングルオリジン(単一産地・栽培の豆)が流行りですが,エスプレッソはいろんな個性を持つコーヒー豆をブレンドし,お互いが支えあうことから生まれる味ですから。」
トークはだんだん調子に乗ってきます…
私:「今や日本どころか世界のバリスタですよね。いや宇宙一か(笑)」
バリスタ:「バリスタの審査に私のトークが入ってれば少なくとも銀河系一です(笑)」
トークをただ単に返すのではなく,「切り」返すことが大切なのだとか。
私:「いやー素晴らしい。(エスプレッソを淹れる)動作に全く無駄がない!」
バリスタ:「無駄なのはトークだけ(笑)」
私:「さすがイタリア生まれ!」(周りのお客さんが「えっ?」という反応(笑))
過去にこんなこともありました…
バリスタ:「(電話で)チャオ!,グラツィエ!」
私:(おっ,すごい,国際電話でイタリアの人と会話してる!)
バリスタ:「ナスとトマトを…」
私:(なんだ,地元の店へ野菜を注文しているだけか…)
カフェ・コンパンナ
最後に,メニューにはないコーヒーを御紹介します。
「カフェ・コンパンナ」です。
(カフェ・コンパンナ)
「コンパンナ」の「コン」は英語の「with,~と一緒に」という意味,「パンナ」は「生クリーム」という意味です。
つまり,生クリームを浮かべたカフェ(エスプレッソ)が「カフェ・コンパンナ」なのです。
ちなみに,イタリアには「パンナコッタ」という白いプリンのようなお菓子がありますが,この「パンナ」と同じです。
生クリーム(パンナ)をコトコト煮て(コッタ)作ったお菓子が「パンナコッタ」です。
イタリア版のウインナーコーヒー(アインシュペナー)といったところでしょうか。
ビターなエスプレッソを味わった後に生クリームがその苦味をやさしく包み込んでくれました。
マキアートとはまた違った味わいが楽しめる裏メニューです。
「カフェ・コンパンナ,ペル ファヴォーレ(お願いします)!」
こんな感じに,バールで自分好みのメニューをサラリと注文できるようになればカッコイイですね。
<関連リンク>
「Mio Bar(ミオ バール)」(広島市中区幟町5-14-15)
「Caffè Gilli(カフェ ジッリ)」(イタリア・フィレンツェ)
<参考文献>
UCCコーヒー博物館著「図説コーヒー」河出書房新社
福田幸江・吉城モカ・川島良彰「僕はコーヒーが飲めない 4」小学館
辻調理師専門学校監修「イタリア料理基本用語」柴田書店
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ひと昔前にフランスに行ったのですが、おふらんすのカフェでもコーヒーといえば
エスプレッソでした(^。^)
フランスのコーヒーはまずいという評判らしいですが、イタリアのエスプレッソと
飲み比べた事がないので、広島まで飲みに行きますかね(^。^)
投稿: なーまん | 2020年3月10日 (火) 22時15分
こんばんわ。
エスプレッソって量が少ないのに値段は普通なので、
何だか損してる気がしてめったに飲みません(笑)
ミオバール、素敵なお店ですね。
投稿: chibiaya | 2020年3月10日 (火) 23時03分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
おふらんすのカフェ,おしゃれでございますね(^-^)
カフェオレが主流かと思いましたが,エスプレッソが人気なんですね。
フランスのカフェでは,スノッブなお客さん向けにインスタントコーヒーも用意されているのだとか…。
フランスはよくわかりませんが,イタリアのエスプレッソは美味しいでしょうね。
広島のバールへエスプレッソとトークを楽しみにお越しください(^^)/
投稿: コウジ菌 | 2020年3月11日 (水) 19時08分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)
エスプレッソ…言われてみれば,量が少ないですよね。
2倍量のドッピオ(ダブル)もありますが,それでもドリップコーヒーに比べると少ないですもんね(笑)
それもあって,1つはお湯を加えたアメリカーノを注文しました。
コーヒーを何杯も飲んだ私は,バリスタの宮西さんから「夜,眠れなくなりますよ…」と言われてしまいました(笑)
ミオバール,素敵なお店で,ラテアートもかわいいので,女性ファンも多いです。
私は…ラテアートよりも楽し過ぎるトークを聞きたくてお店に行っています(笑)
広島にお越しになることがありましたら,ぜひお立ち寄りください!
投稿: コウジ菌 | 2020年3月11日 (水) 19時24分