マグレブ料理の特徴と主な料理 -ハリラ・クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん-
マグレブは,北アフリカの3か国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)の地名です。
7世紀末から8世紀にかけて,アラブの軍団がバグダッドから西方(アフリカ北部)に進攻し,城塞やイスラム教の拠点となった地域です。
アラビア語で「マグレブ」は「西」を意味しますが,現在のモロッコ・アルジェリア・チュニジアは,アラブ人から見ればまさに「西」に位置する地域なので「マグレブ」と名付けられたのでしょう。
こうした歴史的経緯もあって,マグレブではイスラム教が中心となっています。
今回,広島市内のカフェでマグレブの代表的な料理をいただいたので,御紹介したいと思います。
ハリラ
ハリラ(harira)は,マグレブの代表的なスープです。
(ハリラ)
トマトが入った具だくさんのスープです。
今回のハリラはトマト,ヒヨコ豆,レンズ豆,ショートパスタなどが入っていて,トマトスープのヌードルのような感じでした。
クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん
続いてメインプレートの御紹介です。
(クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん)
写真の右手前が「レンズ豆の煮込み」,その左上・中心部が「チキンの煮込み」,一番左上の赤いスティックが「モロッコにんじん」,右上の黄色い粒々が「クスクス」です。
(クスクス)
クスクス(couscous)は,硬質の小麦粉(セモリナ粉)などを少量の塩水で練り,転がしながら,もろもろの粒状に仕上げた食べ物です。
小麦粉以外に,大麦,トウモロコシ,ドングリ粉,パン粉などでも作られます。
蒸し器で蒸して,粒食のごはんのように食べます。
マグレブ諸国はイスラム教徒が多いため,安息日である金曜日には,同時に調理することが可能な,肉や野菜などの煮込み料理とその蒸気を利用して作るクスクスを食べる習慣があります。
今回のクスクスにはスライスアーモンドも入っていました。
これは店主さんがチュニジアを訪問された際,砂漠に咲く桜のようなアーモンドの花を御覧になった御経験を踏まえてのことだそうです。
(チキンの煮込み)
鶏のモモ肉・手羽元を野菜や香辛料で煮込んだ料理です。
鶏肉をフライパンで焼き,そのあとハチミツを絡めてオーブンに,その後玉ねぎ・ピーマン・香辛料などと一緒に鍋でグツグツ煮込んで作られたとのことです。
(ヒヨコ豆の煮込み)
ヒヨコ豆をグリーンピース,玉ねぎ,ショウガ,青菜などと一緒に煮込んだ料理です。
ヒヨコ豆は一晩水に浸けて戻し,茹でて食べられる状態にした後にオーブンで空焼きし,表面の水分を飛ばすなど,手の込んだ下拵えが必要だったそうです。
(モロッコにんじん)
縦にスティック状に切った人参をクミンやシナモンなどの香辛料で味付けした料理です。
人参の甘味とカレーの香りがするクミン,さわやかなシナモンの風味がよく合っていました。
まとめ
マグレブを旅された店主さんのお話では,マグリブの料理は全体的にカオスな味付けのイメージなのだとか。
私はクスクスをいただきながら,お客さん達との会話も楽しんだのですが,口の周りにクスクスを付けたまま話をしていたようで,何度も注意され,クスクス笑われました…。
人前でクスクスを召し上がる際は,口の周りに御注意を!(笑)
<関連サイト>
「Cafe Igel あかいはりねずみ」(広島市南区的場町1-7-2)
<参考文献>
石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫
« グリコのビスコのコジコ -スマイルビスコでオリジナルビスコを作る- | トップページ | 広島のレモン菓子・レモンケーキ13 -ウィークエンドシトロン・トリプルピールベーグル・ヴィクトリアケーキ- »
「各国料理の特徴と主な料理」カテゴリの記事
- カナダ料理の特徴と主な料理 -ブルーベリーパンケーキ・プーティン・チーズカード・ピーミールベーコン・プディングショムール-(2025.01.12)
- 中央アジア・コーカサス諸国の料理(ラグマン・カザフシャルガム・オジャクリ・カラムリピログ)と協力隊珈琲(2024.12.08)
- クロアチア料理の特徴と主な料理 -シュトゥルクリ・チェヴァプチチ・アイバル・フリタヤ・ポレンタ・山羊のチーズ・クレームシュニッタ-(2024.10.27)
- カリブ諸国の料理とお菓子 -チキンシチュー・フリホレス ネグロス・エンサラダ デ レイポヨ・コーンプディング-(2024.09.22)
- デンマーク料理の特徴と主な料理6 -サーモン・ニシンのマリネ・豚バラ煮込み・サムソーチーズ・フレスケスタイ・赤キャベツのピクルス・スメアブロ・キャロットケーキ-(2024.07.07)
コメント
« グリコのビスコのコジコ -スマイルビスコでオリジナルビスコを作る- | トップページ | 広島のレモン菓子・レモンケーキ13 -ウィークエンドシトロン・トリプルピールベーグル・ヴィクトリアケーキ- »
普通に美味しそうな見た目ですが、カオスな味付けって
どういう感じなのか全然イメージできません(笑)
投稿: chibiaya | 2020年3月22日 (日) 19時15分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
カオスな味付け…私は,マグレブでは香辛料やドライフルーツの種類が多く,多用されているので,複雑な味に仕上げられた料理が多かったという意味かなと思いました。
でもよく考えたら,店主さんがカオスな味付けだと思われた料理をどうやって再現されたのか,謎ですよね~(笑)
カオスな感覚で味付けされたのではないと信じたいです(笑)
投稿: コウジ菌 | 2020年3月22日 (日) 22時56分
料理の本題だけでなく、いつもくすぐりを楽しませていただいておりますm(^.^)m
あかいはりねずみのオーナーは、いったい何カ国位訪問されているのでしょう?
レパートリーも相当有るのでは(^。^)
実際に食べてこられた料理だと思いますが、現地の料理人に習ったりされているの
でしょうかね?
投稿: なーまん | 2020年3月25日 (水) 21時33分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
そうなんです。「くすぐり」を御理解いただけるとは,もうこのコメントだけで感動しました!
あかいはりねずみの店主さんは,75か国以上御旅行されています。
「朝食トラベラー」とも呼ばれています。
レパートリーも相当お持ちでしょうね。
ドイツでパンの修行をなされたり,ウイーンでザッハトルテの作り方を学ばれたりと,現地の人々から習いながら,観光は二の次で旅行と食を学び,楽しんでこられたようです。
今回の料理もそうですが,店主さんは大変な苦労をされて料理を作られています。
だから単純に味わって帰るだけでは申し訳ないという気持ちや,応援したい気持ち,そして,できるだけブログでも御紹介して読者の皆様と食情報を共有したいという気持ちで,記事を作成しています。
なにより私自身も勉強になっています。
え,急に真面目な話をしたからって,クスクス笑わないでくださいよー(^-^)
投稿: コウジ菌 | 2020年3月25日 (水) 23時24分