カンボジア料理の特徴と主な料理10 -コンポントム市場をめぐる(後編) 衣料品・食肉・貝・乾物・調味料・おもちゃ-
カンボジアの首都・プノンペンとアンコール遺跡のある街・シェムリアップを結ぶ国道6号線のほぼ中間にある街がコンポントムです。
(カンボジア・コンポントム)
森枝卓士「世界の食文化4 ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー」農山漁村文化協会 p138の一部を引用・一部加工
前編に続き,コンポントム中心街にある「コンポントム市場」を御紹介したいと思います。
コンポントム市場の衣料品売場
コンポントム市場の衣料品売場です。
(衣料品売場)
道をはさんで両側に様々な衣料品が売られていました。
写真の右手前は携帯電話ショップです。
バイクの往来も激しく,バイクに乗ったまま品定めしている方も多く見受けられました。
食肉売場
続いてコンポントム市場の中へ入ってみました。
(コンポントム市場の様子(内部))
肉や野菜などの食材が並べられていて,まさにコンポントムの台所と呼べる場所でした。
お祭りのような賑やかさでした。
その一部に食肉販売のコーナーがありました。
(牛の脚)
牛の脚(足)がそのままの形で何本か陳列されていました。
肉を削ぎ落した後の残りが置かれているだけかもしれませんが,とてもリアルです。
次に豚肉売場へ行きました。
(豚肉売場)
中国の食文化の影響が大きいからでしょうが,豚肉がよく売られています。
肉の塊だけでなく,肋骨,足,内臓,レバー,果ては頭まで解体されたままの状態で売られていました。
私は沖縄の「那覇市第一牧志公設市場」で売られていた豚の頭を思い出しました。
(豚の解体)
豚をナイフで解体している様子です。
市場には保冷庫がなく,高温な環境の中で肉がそのまま陳列されるので,日本のように小分けにしたり,パック詰めしたり,長時間陳列されるようなことはありません。
肉の在庫が少なくなれば,その都度豚を解体するという作業を繰り返しておられるのでしょう。
視点を変えると,解体して間もない豚肉が入手できるというメリットもあるでしょう。
貝売場
貝がずらりと並べて売られていました。
(貝売場)
見た目は,海の岩場にくっついている小さなサザエのような貝にそっくりです。
ただ,コンポントムは内陸部で,近くにセン川やトンレサップ湖という大きな湖があるので,淡水の貝かもしれません。
乾物売場
食材を常温で長期に保存させる方法の1つとして,水分を抜いて乾物にする方法があります。
ここコンポントム市場でも,多くの乾物を見かけました。
(干し魚売場)
たくさんの干し魚が陳列されています。
15~20cmぐらいの魚を天日干しし,頭部を串刺しにして片方に10尾,それを左右対称に尾びれで合わせて計20尾を1束として売られていました。
左右対称に整然と並べられているのが印象的でした。
(干し肉・干し魚売場)
続いて,干し肉や干し魚が売られているお店へ行きました。
解体した肉や鮮魚の一部は,こうして乾物にすることで保存性を高め,常温でも陳列できるようにされているのでしょう。
見た目は,干し肉はビーフジャーキー,干し魚はアジの開きに似ていました。
調味料売場
調味料売場では,ニンニク,漬物(芋か大根),赤いペースト状の調味料,ヤシの実などが売られていました。
(調味料売場)
赤いペースト状の調味料は,見た目が香辛料っぽいですが,タマリンドペーストと説明されたような気もし,判然としません…。
記憶が定かでなく申し訳ありません。
(調味料)
こちらは見た目が味噌のような調味料です。
ハエ(写真の黒い点々)がたかっているのがちょっと気になりました。
(調味料売場と味の素)
食塩,油,醤油,魚醤,各種香辛料,粉コーヒー,「MILO(ミロ)」などが陳列されている中で,ひと際目立ったのが日本の「AJI-NO-MOTO(味の素)」でした。
東南アジアでは「アジノモト」で通じるという話を聞いたことはありましたが,至る所で味の素(「シーズニング」とも呼ばれていました)が売られており,改めてカンボジアでも主要な調味料(シーズニング)の1つなのだとわかりました。
おもちゃ売場
最後におもちゃ売場を御紹介します。
(おもちゃ売場)
男の子向けのミニカーやエレキギター,女の子向けのアクセサリーセットやままごとセットなど様々なおもちゃが売られていました。
中国語で書かれた中国製のおもちゃも多く見かけました。
まとめ
今回の市場めぐりで,コンポントムの人々の食生活が浮かび上がってきました。
市場では食材が日本よりもはるかに多い量・単位で売られていることから,大家族がメインターゲットとなっていることがわかります。
また,食材そのものが売られているケースが多いことから,自宅で調理し,ある程度調理時間を確保できる人が多いこともわかります。
プノンペンやシェムリアップのような大都市では,「食の外部化」(調理や食事を家庭外(外食や中食など)に求める現象)も進んでいるでしょうが,ここコンポントムでは,大家族で自ら時間をかけて調理するという生活スタイルが一般的なのだと思います。
今回私はシェムリアップに宿泊しておきながら,同じ場所にあるアンコール遺跡へは行けなかったのですが(広島市内に宿泊しておきながら,原爆ドームや平和公園へは行けなかったようなものです),その分,コンポントムの市場をめぐったり,ホームステイをする中で,カンボジアの人々の生活に直接触れることが出来ました。
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コメント
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牛足の蹄がとてもリアル(・∀・)
豚の頭や吊るされた肉の奥に裸の赤ちゃんがいるのもリアル(^O^)
日本人は今回のコロナ騒動で益々潔癖症なると思いますが、人間として
どちらが幸せなのでしょうね(´∀`)
投稿: なーまん | 2020年4月27日 (月) 22時42分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます!
写真を細部までよく御覧いただいていることがわかり,とても嬉しかったです(^-^)
全裸の赤ちゃんはよく見かけましたよ。しかも食品売場や食品製造現場で(笑)
日本のように保冷ケースがないので,解体したままとか,野ざらしとか,食べ物にハエがたかってるといった環境になるのは致し方ない部分もあるでしょうね。
今の日本のコロナ騒動は,2m以上離れろとか,テレワークとか,透明フィルムで遮断とか,ずっと続けば人間関係までおかしくなりそうな対応なので,人間として幸せな状況だとは思えません。
むしろ,あまり気にせず,毎日を楽しく過ごしている人々の方が,豊かで幸せな人生を送られていると思います。
あまり気にせず,のびのびと,自由で主体的に行動できる人こそ幸せなのではないかなと私は思います。
投稿: コウジ菌 | 2020年4月28日 (火) 23時15分