懐かしのうどん・そば・ラーメン自動販売機1 -広島県三次市「福原酒店」の天ぷらそば・自動販売機のうどん・そばの魅力-
自動販売機の「絶滅危惧種」・麺類の自動販売機
うどん・そば・ラーメンといった麺類の自動販売機を御存知でしょうか。
しかも即席カップ麺にお湯を注いで作る自動販売機ではなく,自動販売機から調理済みの麺が出てくる懐かしの自動販売機を。
うどん・そば・ラーメンの自動販売機は,かつて郊外の主要道路沿いやドライブイン,港湾エリアなどの自動販売機コーナーに設置されていましたが,コンビニエンスストアやファミリーレストランの増加,モータリゼーションの変化などの影響で減少の一途をたどり,あわせてこうした特殊な自動販売機を修理・技術伝承できる技術者も非常に少ないことから,今や自動販売機の「絶滅危惧種」とまで呼ばれています。
また,そうした自動販売機を見かけたことはあっても,買って食べたことはないという方も少なからずおられると思います。
今回は,日本が誇る麺類の自動販売機の技術と珍しい麺の食文化を御紹介したいと思います。
うどん・そば自動販売機で天ぷらそばを購入する
福原酒店は,広島県三次市秋町,広島市から三次市街地へ向かう国道54号沿いにあります。
お店の一角に自動販売機コーナーがあり,飲料の自動販売機に並んで「うどん・そば自動販売機」も設置されています。
(福原商店・うどん・そば自動販売機)
私が子供の頃から見かけるうどん・そばの自動販売機です。
富士電機製の自動販売機で,正式名称は「めん類自動調理販売機」と言います。
江戸時代の絵かと思わせるようなうどん・そばのイラストです。
この自動販売機に出会うたびに買って食べてみたいと思ったのですが,本当に買うまでの勇気がなく,ずっとモヤモヤしながら生きてきました。
そんなモヤモヤも,今回で解消です。
自動販売機に近づくと,天ぷらそばと天ぷらうどんが選べるようになっていました。
(うどん・そば自動販売機の選択ボタン)
自動販売機にお金を入れ,天ぷらそばのボタンを押すと,「調理中」のランプがつき,できあがりまで「○○秒」とカウントダウンが始まって待ち時間を知らせてくれます。
このワクワク感がたまりません。
そして約30秒後に調理された天ぷらそばが完成しました。
取出口を開けてみると…
(うどん・そば自動販売機取出口)
調理された天ぷらそばが,みずみずしいプラスチックの丼に入って出てきました。
(私はそばを注文したので)前のお客さんのものと思われるうどんが1~2本,ニョロッと残っているのもいい味を出しています(笑)
この一線を越えられた者だけに自動販売機の麺料理を味わう資格が与えられるのです。
食事系の自動販売機を利用する際,こんな感じで,ついハイテンションになりがちですが,冷静に確かめておくべきことがあります。
箸の在庫があるかどうかの確認です。
(うどん・そば自動販売機はし・やくみ入れ)
ボックスの左半分が箸入れ,右半分(手を突っ込んで底のあたり)がやくみ入れです。
箸がないとその場ですぐ食べられないことになるので,注意してください。(箸がない状況はレアケースですが。)
やくみは小袋に入った七味唐辛子でした。
あと,ゴミ箱や残った汁を捨てるポリ容器も確認しておいた方が良いでしょう。
(ゴミ箱とポリ容器)
こちらのお店は,自動販売機の隣に清潔な食事スペースが用意されていました。
(食事スペース)
空の丼の積み上げ具合から,すでに先客も何人かおられた様子です。
用意された椅子にこしかけ,テーブルでいただきました。
(自動販売機の天ぷらそば(調理完了時))
「あれっ,天ぷらがない。かけそばだ…」
最初の感想です。
念のため麺を持ち上げてみると…何と丼の底に天ぷらなどの具がありました。
セルフで盛り付け直し,ようやく天ぷらそばらしくなりました。
(自動販売機の天ぷらそば)
かき揚げ天ぷら,紅白かまぼこ,とろろ昆布,青ねぎ,それにやくみの七味唐辛子をかけた天ぷらそばです。
自動販売機のうどん・そばの魅力とは
いただいてみました。
太くて柔らかめの茹で麺,塩辛めの関西風のつゆ,衣重視の天ぷら,スライスされた紅白かまぼこ,ちょこんと加えられたとろろ昆布と刻み青ねぎ,そして七味唐辛子。
これこそが自動販売機のうどん・そばの王道であり,オリジナルの味なのだと思いました。
お湯を入れて3分かかる即席カップ麺に比べ,オーダーして約30秒という驚異的なスピードで調理し提供できること,また24時間営業で食品をある程度長く保存させる必要があること,などを踏まえた結果のうどん・そばなのです。
言い換えれば,自動販売機のうどん・そばならではの味が存在するということです。
その魅力には,
(1)自動販売機で買うというワクワク感・エンターテインメント感
(2)旅先や外出先で景色を眺めながら食べるという非日常感・解放感
(3)店舗でも自宅でもない特別感
(4)空腹時のお腹を満たすことができる満足感
(5)自動販売機に漂うレトロな雰囲気・ノスタルジー
などが挙げられるでしょう。
(自動販売機の天ぷらそばと外景)
私が訪問した時も,この自動販売機目当てに訪れた方々を多く見かけました。
わずか数百円で,それ以上に楽しめ,幸せを感じられる自動販売機のうどん・そば。
ひょっとすると,こうした自動販売機のうどん・そばも,グルメ本で言う三つ星レベルの「そのために旅行する価値のある卓越した料理」と言えるのかも知れませんね。
<店舗情報>
「福原酒店」(広島県三次市秋町977-1)
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コメント
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プラスチックの丼に入って出で来る自販機のそばうどんというのは、生まれて初めて知りました(^。^)
調べたら神奈川県の相模原市の中古タイヤ店の社長が、趣味で集めた昭和の自販機の聖地があるよう
なので、機会があったら行ってみたいと思いますv(^.^)
投稿: なーまん | 2020年6月13日 (土) 10時32分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
コメントいただき,ありがとうございます。
(2記事同時にいただいたことに気付くのが遅くなり,大変申し訳ございませんでした。)
自動販売機のうどん・そば,御紹介できて良かったです。
私の住む中国地方では,幹線道路沿いなどでたまに見かけます。
プラスチックの丼は,かつては,駅そばや軽トラのラーメン屋台などでも見かけたものですが,今はなかなか見かけません…。
相模原市の「中古タイヤ市場相模原店」,ウェブで確認しましたが,ここはスゴイですね!
まさにレトロ自動販売機の聖地スポットです!
私もトーストサンドやハンバーガーまでは実際に見たことないです。
あぁ,行ってみたいなぁ。お近くにあるなーまんさんが羨ましいです(笑)
興味ある情報を教えていただき,ありがとうございました<(_ _)>
投稿: コウジ菌 | 2020年6月13日 (土) 22時18分