« 法隆寺・柿の耳かき -奈良県斑鳩町- | トップページ | 出雲の勾玉の耳かき -島根県松江市- »

2020年8月 2日 (日)

安芸津のじゃがいもと肉じゃが・杜氏と広島の日本酒 -広島県東広島市安芸津町-

安芸津のじゃがいも

 広島県沿岸部の真ん中あたりに位置する東広島市安芸津町は,じゃがいもの名産地です。

 東広島市安芸津町や隣の竹原市の沿岸部は,見た目が赤い「赤土」の土壌が広がっており,レンガ作りで栄えました。

 また,赤土のミネラルが多く,水はけもよいという性質を利用し,じゃがいもの栽培も盛んになりました。

 安芸津のじゃがいもは,「出島」と呼ばれる品種を中心に栽培されています。

 安芸津のじゃがいもと言えば,私は以前,仕事仲間と安芸津のスナックで飲んだことがあるのですが,その際に仲良くなったママから「これ息子に送ろうと思っているじゃがいもだけど食べてみて」と言われ,みんなで蒸かしたじゃがいもをいただいたことがあります。

 このじゃがいもが何とも美味しく,息子さんに送るはずの大切なじゃがいもを分けていただいたお気持ちも含め,感動しながら食べたことを思い出します。

 そんな思い出のある安芸津のじゃがいもですが,私はこの度,安芸津の方から地元のじゃがいもをいただきました。

(安芸津のじゃがいも)
Photo_20200802065701

 例年6月から7月が春じゃがいもの収穫時期にあたります。(11月から12月が秋じゃがいもの収穫時期となります。)

 大きくてきれいな丸形をしたじゃがいもです。

 何より表面の皮が美しいだと思いました。


安芸津のじゃがいもで肉じゃがを作る

 このじゃがいもを見た瞬間,私は「肉じゃがで味わいたい」と思いました。

 自宅に玉ねぎと豚肉のストックがあったので,早速肉じゃがを作ってみました。

 片手鍋にわずかに水をはり,日本酒,みりん,醤油を加えます。

 この煮汁を中火で煮ながら,適当な大きさに切ったじゃがいも,玉ねぎ,豚肉を順に入れ,蓋をして煮込みます。

 途中,豚肉から出るアクをすくい取りながら,じゃがいもが中までやわらかくなったら完成です。

(肉じゃが(安芸津のじゃがいも))
Photo_20200802071401

 じゃがいもをいただいてみると,見た目どおり,甘みがあって上品な味がしました。

 食感はキメ細かく,しっとりホクホクしていました。

 玉ねぎや豚肉もお互いの美味しさを引き立て合っており,美味しい肉じゃがに仕上がりました。

 でも,これは私が料理上手だからではありません。

 安芸津のじゃがいもが良かったからです。

 あと,次のことを踏まえたら,より美味しい肉じゃがが出来ると思います。

(1)基本となる調味料(日本酒・みりん・醤油)はできるだけ良いものを使う。
(2)水は控えめにし,その分,酒を使う
(3)甘みをみりんで出す
(4)アクを丁寧に取る
(5)煮るばかりでなく,途中で火を止めて冷まして具に味をしみ込ませる(※)
 ※「ソレー効果」と言います。


日本三大酒処・広島の酒は安芸津から

 今回,肉じゃがの調味料としても使った日本酒ですが,安芸津は日本酒とも深いかかわりがあります。

 安芸津は,広島の軟水を使った日本酒の醸造法を考案・確立した三浦仙三郎さんの出身地であり,その醸造法を受け継いだ杜氏を多く輩出してきた「杜氏の郷」でもあるのです。

 この杜氏の活躍により,東広島市の西条が酒の街として発展し,兵庫・灘,京都・伏見と並ぶ「日本三大酒処」と呼ばれるまでになりました。


 機会があれば,安芸津のじゃがいもや広島の日本酒を味わってみてください。


<関連サイト>
 「杜氏のふるさと安芸津」(北村浩司)
 (当ブログ「滋賀県・琵琶湖の恵みと発酵食文化 -マジカ・鮒ずし・ブラックバス・すじえび・発酵食フレンチ-」にもコメントをくださった北村浩司さんの関連記事。食にお詳しい広島のコウジさんです。)

<関連記事>
 「マグロの目玉の煮付け」(ソレー効果関連)

« 法隆寺・柿の耳かき -奈良県斑鳩町- | トップページ | 出雲の勾玉の耳かき -島根県松江市- »

季節・旬の味」カテゴリの記事

コメント

私もジャガイモ大好きですv(^.^)
呉と舞鶴の肉じゃが本家争いは、その後どうなったのでしょうか?
以前ニッカの創業者竹鶴政孝をモデルにしたドラマがありましが、彼の実家が造り酒屋で
軟水で日本酒を仕込む苦労話があった様な気がします。
私は新潟の純米を飲む事が多いですが、山口の獺祭もたまに頂いております^^
広島の賀茂泉一度飲んでみたいお酒ですv^_^

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます<m(__)m>

じゃがいも,美味しいですよね。
今回御紹介した安芸津のじゃがいもも,ホクホクしていて,おすすめです。

肉じゃがの本家争い,広島の人間としては呉発祥説を信じたいですが,結着はついてませんね。
食生活研究家の魚柄仁之助さんによると,肉じゃがという料理名が料理本に掲載されたのは1964年で,それ以前は「うま煮」と呼ばれていたようです。
しかも,「おふくろの味」というイメージも1975年の料理本から付与されたようです。
つまり,「おふくろの味」「肉じゃが」はずっと最近の話のようなのです。

ニッカの竹鶴政孝さんの日本酒仕込みのお話,さすが歴史とお酒にお詳しいなーまんさんだと思いました。
ブラボー(^-^)
竹鶴政孝さんは安芸津町の隣の竹原市で,安芸津の杜氏の作る日本酒の影響も受けて,ウイスキーの創業をされたようですね。

日本酒の造詣が深いなーまんさんには,ぜひ広島の日本酒も飲んでいただきたいです。
西条にお越しになれば,賀茂泉をはじめ,いろんな酒蔵巡りが出来ますよ!
私は数年前まで広島から西条に通勤していて,よく酒蔵通りを散歩しました。
お酒がほとんど飲めないので,味の違いはよくわかりませんが(^^ゞ
私にとって,日本酒は料理の調味料なのです…すみません(笑)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 法隆寺・柿の耳かき -奈良県斑鳩町- | トップページ | 出雲の勾玉の耳かき -島根県松江市- »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ