希少な高級ぶどう・藤稔(ふじみのり)の魅力 -お店であまり販売されていない理由-
「ふじみのり」とは
2020年8月に広島県福山市のフランス料理店を訪問しました。
そのお店でデザートをいただいている時,シェフから「もう少ししたらデザートにぶどうを出そうと思います。『ふじみのり』という品種なのですが,大きくてすごく甘いんですよ。ただ房落ちが多いので,一般のお店で販売されることはほとんどないんです」という情報をいただきました。
私は「へぇ,そんなに魅力的なぶどうがあるんですか。でも入手困難なぶどうのようですね」とお話しし,品種をメモして帰りました。
後日,検索エンジンに「ふじみのり」と入力し,いくつかのウェブサイトを見てみると,神奈川県藤沢市の農園で開発された品種で,「藤稔」と表記されるぶどうでした。
「世界最大級の黒ぶどう」とも呼ばれ,収穫時期が8月中旬から9月中旬にかけての限られた期間しか収穫できない品種でもあるようです。
「食材にこだわるシェフが魅力的・美味しいとおっしゃるぐらいだから,一度味わってみたいな」と思いました。
ぶどうの産地・広島県竹原市で藤稔を発見
その後,ドライブで広島県竹原市の「道の駅たけはら」へ行くことがありました。
施設内の物産直販コーナーで,何気なく産直野菜や果物を見て回っていると…何とお店にはめったに出回らないと言われる「藤稔」が1房だけ売られていたのです。
(「藤稔」店頭販売の様子)
「これがあの藤稔か!」と思わず興奮しました。
竹原市はぶどうの栽培が盛んな地域なので,藤稔以外にも様々な品種のぶどうが販売されていました。
(ぶどう品種一覧)
果物売場に掲示されていた「ぶどう品種一覧」です。
「藤稔」は「種 なし」,「皮の食べ易さ ×」と記載されていました。
貴重な「藤稔」1房を購入しました。
再び車を走らせていて,竹原市の古い地図に「葡萄」と記載された地区があったことを思い出しました。
その記憶を頼りに,車で竹原市の南部,竹原町方面へ行ってみました。
(竹原のぶどう畑)
予想どおり,一面にぶどう畑が広がっていました。はるか遠くに三井金属竹原精錬所の煙突も見えます。
ぶどう畑沿いに車を走らせていると,ぶどう畑に併設されたぶどうの直販所も多く見かけました。
藤稔への期待を膨らませつつ,広島市内の自宅へ戻りました。
藤稔の特徴・お店であまり販売されてない理由
いよいよ藤稔との御対面です。
(藤稔)
かなり大粒な黒色のぶどうです。
ずっしりとした重みもあります。
これらは藤稔の大きなメリットなのですが,その反面,一般的なぶどうに比べてどうしても房落ちする確率が高くなってしまいます。
また,その重みで底の部分の実が押しつぶされる現象もみられます。
せっかくきれいに陳列していても,粒が次々と房落ちしたり,実が押しつぶされてしまうと,商品としての見栄えが悪くなるため,お店ではあまり販売されないのです。
藤稔の味と魅力について
房落ちが多く,実もつぶれやすい藤稔ですが,それに勝る魅力があるのでしょうか。
藤稔をいただいてみました。
(藤稔の果肉・果皮)
果皮は容易にむけるので,果皮を1粒ずつ手でむいて食べたり,口の中で果皮と果肉に分けて食べることもできます。
果皮をむくと,はち切れんばかりに果汁が溢れ出てきました。
その果肉を口に運ぶと…これが驚くほど甘かったのです。
私が今まで食べたぶどうの中で最高ランクの甘いぶどうでした。
とてもジューシーで甘いので,シェフがおっしゃったように,これだけで立派なデザートになります。
まるでぶどうのゼリーをいただいているかのようでした。
この美味しさは大きな魅力です。
この日以降,藤稔が店頭に並んでいないか見て回りましたが,デパートの果物売場で1箱見かけた程度で,やはり旬の時期であってもあまり出回ってないようです。
もしお店で「藤稔(ふじみのり)」というぶどうを見かけたらラッキーですよ。
<関連サイト>
「道の駅たけはら」(広島県竹原市本町1-1-1)
<関連記事>
「岡山が誇る果物 -清水白桃とマスカット・オブ・アレキサンドリア-」
« フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ- | トップページ | べっ甲の耳かき -長崎県長崎市- »
「季節・旬の味」カテゴリの記事
- 幻の高級魚・アコウ(キジハタ)の魅力 -広島県尾道市「尾道あこう祭り」のあこう煮付御膳・おこぜ唐揚げ-(2023.09.24)
- 小田巻蒸し(おだまきむし)-小田巻蒸しの由来と「道頓堀今井」の小田巻むし-(2023.02.05)
- ルバーブの特徴を知る(2) -ルバーブジャム・ルバーブパイ・ルバーブとゆずのデニッシュ-(2022.06.05)
- 岩手県大船渡市の早採りわかめと宮城県気仙沼市のめかぶ -生わかめ・めかぶ鍋・たたきめかぶ・冷奴・おでん(わかめ)-(2022.03.27)
- 福岡県の特産品「かつお菜」 -茹でかつお菜・茹で汁のお吸い物-(2022.01.03)
コメント
« フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ- | トップページ | べっ甲の耳かき -長崎県長崎市- »
おはようございます。
いろんなものが美味しい季節になってきました。
ブドウってこんなにいろんな種類があるんですね~。
ほとんど知らないかもしれません。
一時、シャインマスカットが美味しいと思っていましたが、巨峰のような黒ブドウの方が好きであることに気づきました。
1年後、藤稔を探してみます。
投稿: chibiaya | 2020年9月 5日 (土) 08時45分
chibiaya 様
chibiayaさん,おはようございます!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
果物はたまに食べる程度なのですが,それだけに本当に美味しい果物に当たると,感動します(^-^)
御紹介されてるゴールドバレルも美味しそうで,いつか食べてみたいと思ってます。
ブドウ,たくさん種類がありますよね!広島や岡山でもブドウがたくさん作られています。
シャインマスカット,ネットでいくつかサイトを見てみると,今回御紹介した広島県竹原市のすぐ隣の東広島市安芸津町が発祥のブドウのようで,驚きました。
農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所(ブドウ・カキ)も,こちら安芸津町にあります。
黒ブドウがお好きなら,藤稔もお試しください。
今朝,近所のイオンへ買い物に行くと,なぜか売られていました(笑)
投稿: コウジ菌 | 2020年9月 5日 (土) 10時35分
藤沢生まれの藤稔v(^_^)
恥ずかしながら知りませんでしたm^_^m
コウジ菌のブログはためになりますね〜♫
早速調べてみたら青木果樹園は湘南台のお隣長後駅の近くで、通販は予約でいっぱいですが
形が少しくずれたものを販売所で売っているそうです^^
今年はもう遅いかもしれませんが、一度青木果樹園に行ってみたいと思いますv^_^
情報ありがとうございましたm^_^m
投稿: なーまん | 2020年9月 5日 (土) 11時34分
なーまん 様
なーまんさん,こんにちは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます<m(__)m>
そうです。なーまんさんに御報告でき,嬉しいです(笑)
青木果樹園,湘南台の近くなんですね!さすがにここまでは知らず,びっくりしました。
こちらこそ,ためになる情報をありがとうございました。
藤稔は大粒で重いので,形がくずれやすいのだと思いますが,味は抜群ですよ(^^)v
機会があれば,ぜひ地元の誇るぶどうをお試しください!
私もなーまんさんから神奈川のたくさんの情報をいただいてるので,次回伺う時の楽しみが増えてます!(^^)!
投稿: コウジ菌 | 2020年9月 5日 (土) 14時02分