フランス料理の特徴と主な料理11 -フォアグラクッキー・アナグマのリエット・生牡蠣とウニ・和牛のロティ・アナグマの煮込み・ベッコフ-
今回は,お気に入りのフレンチレストランで味わった,ちょっと珍しい食材・料理などを御紹介したいと思います。
フォアグラクッキー
ガチョウや鴨の肝臓を肥大化させた世界三大珍味の1つ「フォアグラ」。
アミューズとして,そのフォアグラを使ったクッキーをいただきました。
(フォアグラクッキー)
大きな松ぼっくりに刺さっているクッキーがフォアグラクッキーです。
クッキーにフォアグラを混ぜている程度ではなく,クッキーに使うバターの代わりにフォアグラが使われているという,とても贅沢なクッキーです。
フォアグラの深いコクが味わえる,珍しいクッキーでした。
アナグマのリエットとマッシュルームの燻製
前菜に,地元で捕獲したアナグマのリエットのシュー包みと,マッシュルームの燻製をいただきました。
(アナグマのリエットとマッシュルームの燻製)
「リエット」は,肉の塊を脂身とともに煮崩れるまで煮てペースト状にし,塩などで調味した料理です。
パンと一緒にいただくのが一般的ですが,今回はシュー生地でいただきました。
ジビエで想像しがちな獣特有のクセがなく,言われなければ豚肉か鶏肉かという感じの美味しいリエットでした。
一方,マッシュルームの燻製は,桜チップで燻製されていました。
中にクリームチーズが詰められた「ファルス」(詰め物料理)で,燻製したマッシュルームとクリームチーズの相性が抜群でした。
生牡蠣とウニ
生牡蠣とムラサキウニです。
(生牡蠣とウニ)
生牡蠣は広島県福山市に近い,岡山県笠岡市北木島産のものです。
味付けはされておらず,生の牡蠣そのままをいただいたのですが,生臭さは全くなく,海の香りが口の中一杯に広がりました。
ウニはムラサキウニで,中には生ウニとトウモロコシのムースが入っていました。
殻付きのウニなので,贅沢な気持ちになりました。
和牛モモ肉のロティとアナグマの煮込み
メインとして提供された「和牛モモ肉のロティとアナグマの煮込み」です。
(和牛モモ肉のロティとアナグマの煮込み)
写真中央が和牛モモ肉のロティ(ロースト),右上の肉の塊がアナグマの煮込み(ラグー)です。
和牛モモ肉のロティは,ソースとして赤ワインの代わりに福山・鞆の浦の有名な薬味酒「保命酒(ほうめいしゅ)」が使われていました。
シェフは地元・福山の食材等を使い,その美味しさをお客様と共有することを重視されており,私も共感しています。
そしてアナグマの煮込みです。
アナグマの肉の塊をナイフがいらないほど柔らかく煮込まれた一品で,クセがなく,程良く脂ものっていたので,とても美味しくいただきました。
アナグマ料理からも,食材にこだわっておられるシェフの意気込みを感じることが出来ました。
ベッコフ
ベッコフはフランス・アルザス地方の郷土料理です。
シェフが渡仏されていた際に出会った料理とのことでした。
(ベッコフ)
豚肉,玉ねぎ,人参,ジャガイモなどの食材を,白ワイン,ローリエ,タイム,塩,こしょうなどで調味し,鍋でコトコトと煮た料理で,例えるならフランス版「肉じゃが」です。
シェフが興奮気味に「白ワインで煮るのに,仕上がりの味は醤油・酒・みりん・砂糖で作る日本の肉じゃがと同じ味になるんですよ!」とおっしゃってましたが,本当にそのとおりで,味は肉じゃがそのものでした。
醤油やみりん・砂糖を使ってないのに,なぜ似たような味になるのかとても不思議でした。
白ワインを煮込むことにより,醤油やみりん・砂糖を煮た時と同じような「メイラード反応(褐変反応)」が起こって,肉じゃがと同じような味になるのでしょう。
まとめ
お店へ電話で予約する際,シェフから「お苦手なものやアレルギーはございますか?」と聞かれたので,私は冗談で「うーん,あえて言えばシェフが…」とお答えすると,シェフから「ではお席へお伺いするのを自粛します」と切り返され,お互い大笑いしました。
そんな気軽に本格的なフランス料理を味わえる,居心地の良いレストランです。
最後に…
(バースデープレート)
「Joyeux Anniversaire Kouji」と書かれたデザートプレートです。
「Joyeux Anniversaire」は,フランス語で「ジョワイヨ アニヴェルセル」と読み,「お誕生日おめでとう」という意味です。
「Kouji」は…ローマ字だと「コウジ」ですが,フランス語では「クジ」となります(笑)
冗談はさておき,皆様のおかげで,本日誕生日を迎えることが出来ました。
当ブログにお付き合いいただき,ありがとうございます。
これからもよろしくお願い申し上げます。
<関連サイト>
「ラルドワーズ」(広島県福山市御幸町上岩成455-3)
<参考文献>
辻調理師専門学校監修「基礎からわかるフランス料理」柴田書店
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クジ様
お誕生日おめでとう御座いますm(^。^)m
日本で牡蠣というとフライか鍋が多いですが、フランス人はもっぱら生牡蠣の様ですね^^
なーまんも冷たい白ワインと頂いた事がありますv(^ ^)
夏季ではなく冬季だったと思いますが(^。^)
アナグマとは珍しいと思いましたが、日本でもたぬき汁というのがありましたね^o^
肉じゃがフランス発祥説ですね^_^
チラッとお店のHPを覗いてみましたが、楽しそうなシェフですね^^
投稿: なーまん | 2020年8月26日 (水) 18時28分
コメントを拝見した最初から,大笑いしました(^-^)
よく読んでくださっているのですね。
感謝の気持ちで一杯です。
お祝いのお言葉までいただき,ありがとうございます<m(__)m>
やっぱり生牡蠣と白ワインが合うのですね。
牡蠣は夏季でないのですか(笑)(←失礼しました…)
夏季は日本では岩牡蠣が主流だと思いますが,広島では冬季の牡蠣が一般的なので,珍しいなと思いながらいただきました。
たぬき汁,召し上がったことがおありなんですか。私は緑のたぬきしか知りません…(笑)
アナグマ,クマと聞いて大きいクマを想像しましたが,小さいクマのようですね。
肉じゃが,ドイツの食文化の影響もあるフランス・アルザス地方でも日本の肉じゃがと同じような料理があるとは驚きでした。
ただ冷静に考えると,西洋の料理を日本が受け入れ,日本の調味料で作った料理なのでしょうが…。
こちらのお店はフランス料理ですが,肩ひじ張らず,和やかな雰囲気で本格的な料理をいただくことが出来ます。
シェフからいろんな食材を教えていただけるのも魅力の1つです。
広島市内の自宅から約100km離れていますが,そんな魅力を求め,何度も伺っています。
クジ菌
投稿: コウジ菌 | 2020年8月26日 (水) 20時04分
遅ればせながらお誕生日ございました(笑)
クッキーが松ぼっくりにはさまって出てくるなんて、なかなかないですね。
一瞬普通の大きさの松ぼっくりかと思ったので、小指の先ぐらいしかないクッキーかと思いました(笑)
シェフの方は猟師もされている?自分で捕ったアナグマ??
投稿: chibiaya | 2020年8月29日 (土) 08時26分
chibiaya 様
chibiayaさん,おはようございます。
お祝いのメッセージまでいただき,ありがとうございます。
誕生日だ~と騒ぐ歳ではないんですけど,衝動的に書いてしまいました(笑)
松ぼっくりは,お店に飾られているような大きなものです。
フォアグラクッキーの大きさは,ブルボンのプチシリーズのクッキーぐらいでした。
後で私からシェフに「トリュフクッキー,贅沢で美味しかったですよ~」と間違った感想を言ってしまい,シェフから「トリュフだともっと高いでしょうね」と笑われてしまいました(笑)
アナグマは猟師さんから提供してもらったものだと思います。
シェフは農家さん,漁師さん,猟師さんなどを自ら訪問され,地元ならではの良い食材を探し求めておられます。
そうした食材のお話を伺うのも,お店の楽しみの1つです!(^^)!
投稿: コウジ菌 | 2020年8月29日 (土) 10時48分