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2020年12月23日 (水)

福岡県北九州市の食文化 -八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)・かしわごぼ天うどん・ぼた餅-

 福岡県北九州市を訪問しました。

 今回は,北九州市で地元の人たちに愛され続けている料理・お菓子を御紹介したいと思います。


八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)について

 北九州市・八幡と言えば,「八幡製鉄所」(現在の日本製鉄九州製鉄所八幡地区)を思い浮かべる方も多いでしょう。

 八幡は,鉄鉱石を近くの中国から輸入でき,石炭をすぐ近くの国内最大規模を誇った筑豊炭田から入手でき,石灰石を近くの山口県秋吉台や福岡県平尾台などから入手できるなど,製鉄における地理的条件に恵まれていたことから,巨大な製鉄所が建設されました。

 その八幡で働く人々の胃袋を支えてきたのが,安くてボリュームがあり,栄養もある「八幡ぎょうざ」(鉄なべ餃子)です。

 製鉄の原料となる鉄鉱石の輸入などで日本と中国との取引が盛んになった際,中国から北九州・八幡へ餃子の食文化も伝わり,地域に定着しました。

 戦後の食糧難時代,アメリカから小麦が援助物資として提供され,ご飯の代わりにパンやラーメンなどの小麦粉食がよく食べられるようになったことで,この地域での餃子(皮)の消費量もさらに増加したことでしょう。

 こうした様々な地理的・歴史的背景をもとに,北九州・八幡の地で「八幡ぎょうざ」(鉄なべ餃子)が生まれ・定着していったのです。

 ちなみに,八幡ぎょうざは餃子を鉄鍋で焼き,そのままお客さんに提供されることが特徴ですが,餃子の調理器具・皿に鉄鍋が使われるようになった背景には,お客様に熱々の餃子を食べてもらいたいという気持ちが込められているようです。


鉄なべ餃子

 JR小倉駅から鹿児島本線普通列車に乗り,JR黒崎駅を目指しました。

 JR九州の813系電車・普通・南福岡行です。

(鹿児島本線・普通列車・南福岡行(JRスペースワールド駅))
Photo_20201220223701

 JRスペースワールド駅で停車中の電車を撮影しました。

 その後,再び電車に乗り,JR黒崎駅で下車しました。

 そして,駅前を数分歩いたところにある鉄なべ餃子発祥の店「本店 鉄なべ」を訪問しました。

(本店 鉄なべ)
Photo_20201220223901

 レンガ造りの歴史を感じさせるビルの一角にあります。

 店内でメニューを見ると,鉄なべで焼く「焼きぎょうざ」のほかに,スープ餃子,たんめん,ちゃんぽん,焼きそば,焼きうどん,焼きめし,あんかけ丼,野菜炒め,スープ,ドリンク(ビール・ソフトドリンクなど)が用意されていました。

 皆さん「焼きぎょうざ」をおつまみにビールを飲んだり,「焼きめし」と「焼きぎょうざ」をセットで味わったりと,お好きなようにお食事を楽しんでおられました。

 私は「焼きぎょうざ」を注文しました。

 注文を受けてから鉄鍋を使って餃子が焼かれる方式です。

 しばらくすると,鉄なべにのせられた熱々の餃子が提供されました。

(焼きぎょうざ(鉄なべ餃子))
Photo_20201220223902

 熱々・パリパリの餃子で,一皿10個入りです。

 餃子が小ぶりなので,1人10個でも軽く食べられる量ですし,ビールのおつまみにも良いと思います。

 パリパリになった羽根付きの皮と,中のジューシーなあんの調和が絶妙で,これならいくらでも食べられそうです。

 実際,このお店の常連の方は,最初からメニューにはない1.5人前(餃子15個)を注文されてました。


ごぼ天かしわうどん・ぼた餅(おはぎ)

 再びJR小倉駅まで戻り,駅前から延びる商店街を散策しました。

 途中,旦過市場入口付近の路上で,自転車利用者向けの面白い路面標示を見つけました。

(路面標示(降りチャリ 押しチャリ))
Photo_20201220224901

 北九州地方の方言で「~しちゃり」は「~しよう」・「~してください」といった意味になるのですが,その言葉が「自転車」を意味する「チャリ(ンコ)」とかけられていて,とても面白かったです。

 しばらく散策した後,魚町の「資さんうどん」(すけさんうどん)を訪問しました。

 「資さんうどん」は,北九州発祥の地元で人気の高いうどん店です。

 福岡や北九州ならではのうどんと言えば,ごぼうの天ぷらをのせた「ごぼ天うどん」,鶏肉(かしわ)を甘辛く煮込んで具にした「かしわうどん」,丸天(魚のすり身を丸い形にして揚げたもの)をのせた「丸天うどん」などがあります。

 こちらのお店では,ごぼうの天ぷらとかしわが一緒になった「ごぼ天かしわうどん」というメニューがあったので,これを注文しました。

(ごぼ天かしわうどん)
Photo_20201220225601

 かけうどんに,ごぼうの天ぷらと甘辛く煮込まれた鶏肉がのせられています。

 ごぼうの天ぷらは,だし汁に浸かったところとそうでないところで異なる食感が楽しめるサクサクの天ぷらで,ごぼうも太すぎもせず細すぎもせず絶妙な大きさでした。

 一方かしわは,ほどよい弾力があり,噛み締めるほどに味わいが増す鶏肉でした。
 醤油ベースの甘辛く煮込まれたかしわとだし汁を一緒にいただくと,コクと深みのあるひと味違っただし汁に変化し,美味しかったです。

 だし汁にとろろ昆布をのせると,さらに深い旨味が加わって美味しいです。

 そして,この「資さんうどん」にはもう1つ,おすすめのメニューがあります。

 「ぼた餅」です。

(ぼた餅(資さんうどん))
Photo_20201221113201

 「ぼた餅」はお店の手作りです。

 粒が少し残る程度に搗いた(いわゆる「半ごろし」の)もちと,小豆の風味が楽しめるほどよい甘さのあんこで作られています。

 あんこの層が厚く,あんこ好きにはたまりません。

 「資さんうどんと言えばぼた餅」と言われ,年間400万個も販売されるメニューです。

 かつて小倉・旦過市場周辺には,「おはぎはあるけど酒はない」おでん屋台があり,「おでんの締めはおはぎ」,「酒が飲みたいなら向かいのコンビニで買ってくる」,「電話でおはぎを注文し,テイクアウトする」といったこの地域独特の食文化がありました。

 お酒が飲めず,あんこ好きな私には実に好都合な屋台だったのですが,現在は規制が厳しくなり,こうしたおでん屋台はなくなってしまったようです。

 ただ,現在も店舗でおでんとおはぎを提供されているお店はあります。

 おはぎ(ぼた餅)は,これほどまでに北九州の人々に愛されている食べ物なのです。


 北九州で美味しい「八幡ぎょうざ(鉄なべ餃子)」,「ごぼ天うどん」,「かしわうどん」,「ぼた餅」を食べちゃり!


<関連サイト>
 「八幡ぎょうざ協議会
 「本店鉄なべ」(福岡県北九州市八幡西区黒崎1-9-13)
 「資さんうどん」(魚町店・福岡県北九州市小倉北区魚町2-6-1ほか)

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
 北尾トロ「夕陽に赤い町中華」集英社インターナショナル

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コメント

「所変われば品変わる」旅の楽しみは珍しい景色や食べ物を楽しむ事ですね^^
チャリで何か面白い事を言おうと思いましたが、何も思いつかない……
悔しいです( T_T)
うどんというと最近では讃岐うどんを食べる事が多いですが、日本に最初にうどんが渡来したのは福岡なんですよね^^
おはぎの食べられる屋台とは珍しい!
なーまんならおでんを肴にチューハイを呑み、デザートにおはぎをいただきます(^^)v

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

おっしゃるとおり,旅の魅力は,異なる景色や文化を楽しむことができることにあると言えますね。
日常の生活で行き詰ったり,ちょっと気分転換したいと思った時に,環境を変えるために旅に出たいという気持ちが強くなります。

私の場合は旅先で食の「宝探し」をすることに興味があり,宝が見つかるととても幸せな気分になります(^-^)
関東ではそばのお店が多いイメージがありますが,讃岐うどんを味わえるお店もあるんですね。
そうそう,秦野市の白笹うどんも御紹介いただきましたね。

やはりおでんは酒の肴ですか(笑)
甘党・辛党の二大政党制のなーまんさんは最強です!

歳末チャリティーコメントへの御投稿,誠にありがとうございました\(^o^)/

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