ゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」とシャルロッテ -ロッテの「CHARLOTTE 生チョコレート」-
ドイツの小説家・ゲーテの「若きウェルテルの悩み」。
ファンの方も多いと思います。
また内容までは知らなくても,その名前は御存知の方も多いでしょう。
かのナポレオンも愛読し,陣中で7回読んだと言われるほど,今も昔も人気の高い恋愛物語です。
今回は,そんな「若きウェルテルの悩み」の魅力と,その小説にまつわる会社やチョコレートの話に触れてみたいと思います。
ウェルテルとシャルロッテの出会い
作者であるゲーテ自身の恋愛体験をもとに書かれた小説「若きウェルテルの悩み」。
世界的な名作として,日本でも様々な本が出版されています。
(ゲーテ「若きウェルテルの悩み」)
この作品は,主人公の青年・ウェルテルがその親友・ウィルヘルムへ宛てた手紙(日記)を,ウェルテルの死後,ウィルヘルムが読者に紹介することで展開します。
失恋をしたウェルテルがウィルヘルムと一緒に住んでいた街を離れ,感傷旅行をすることから物語が始まります。
旅先のワールハイムと呼ばれる村で様々な人とふれあい,次第にその村で前向きに人生を送るようになったウェルテルにある転機が訪れます。
知り合いから「舞踏会をしたいので,参加してほしい」とお願いされたウェルテルは,踊り相手となる女性を誘ってその舞踏会に参加することにしました。
舞踏会当日,ウェルテルは踊り相手の女性やその従妹と一緒に馬車に乗り,会場を目指します。
途中,同伴の女性からある提案がありました。
「舞踏会にシャルロッテも誘いましょう。美しい方ですよ」
ウェルテルは訳も分からないまま,これに同意します。
すると同伴の女性の従妹から,
「恋をなさらないように御用心を」と釘を刺されてしまいます。
ウェルテルがその理由を尋ねると,
「あの方はもうお決まりになっていますの」との返事。
ウェルテルはこの話をさして気にも留めず,馬車でウェルテルの住む屋敷へと向かいます。
しかしながら,シャルロッテの住む屋敷へ到着し,シャルロッテに出会った瞬間からウェルテルの気持ちは一転してしまいます。
(シャルロッテとの出会い)
(ゲーテ「まんがで読破 若きウェルテルの悩み」イースト・プレスから一部引用)
ウェルテルは亡くなった母親代わりとして幼い弟や妹たちの面倒を見ているシャルロッテに出会い,その姿,声,しぐさにすっかり心を奪われてしまいます。
幼い子供たちもすぐにウェルテルに慣れ親しみ,寄り添ってきました。
やがて誘いを受けたシャルロッテは身支度を整え,ウェルテルらと共に舞踏会に参加します。
会場でウェルテルは最初に舞踏会へ誘った女性とダンスを踊るのですが,お互い相性が合わずギクシャクしてしまいます。
そこでウェルテルはダンスを上手に踊っていたシャルロッテに「一緒に踊ってほしい」と申し入れます。
それを受け入れたシャルロッテとワルツを踊ってみると,息がピッタリ合いました。
(ウェルテルとシャルロッテのダンス)
(ゲーテ「まんがで読破 若きウェルテルの悩み」イースト・プレスから一部引用)
ウェルテルはウィルヘルムに手紙でその時の様子をこう伝えています。
「ロッテ(シャルロッテの愛称)の身ごなしの,なんと軽く,なんと人を魅了するものだろう」
「これほどにも愛らしい娘を腕に抱いて…」
「ほかの男とは踊らせない。たとえわが身はそのために滅びようとも…」
「私はもう人間ではなくなった」
最後のセリフはちょっとヤバイですね。
こうしてウェルテルは完全に恋愛のスイッチが入ってしまい,ドロドロの恋愛劇が始まることとなります。
アルベルトの登場とウェルテルの絶望
シャルロッテに恋心を抱いたウェルテルは,シャルロッテの弟妹(ていまい)にも気に入られたこともあり,シャルロッテの住む屋敷に足繁く通うようになります。
ウェルテルは,シャルロッテにはアルベルトという婚約者がいることを知っていながら,旅に出ている彼の事は考えないようにして,シャルロッテやその弟妹たちと楽しく人生を謳歌していたのです。
しかし,そんな生活も長くは続きませんでした。
シャルロッテの婚約者アルベルトが旅から帰ってきたのです。
(アルベルトの登場)
(ゲーテ「まんがで読破 若きウェルテルの悩み」イースト・プレスから一部引用)
ウェルテルにとって,身分に恵まれ,才能があり,容姿端麗で,包容力があるアルベルトは到底手の届かない,ライバルにすらなれないような存在でした。
「人間に喜悦を与えるまさにそのものが,かえってその悲惨のもととなる」
ウェルテルは悩んだ末,シャルロッテとの付合いに終止符を打ち,ワールハイムを離れることとします。
しかしながらシャルロッテのことが忘れられないウェルテルは,その離れた地での生活に馴染めず,結局再びシャルロッテの住むワールハイムに戻ってくるのです。
シャルロッテに再会した時,彼女はすでにアルベルトと結婚していました。
ウェルテルの決意
思い詰めたウェルテルは,使いの少年を通じてアルベルトへ手紙を送り,1つのお願いをします。
その内容は「旅行がしたいので,護身用にピストルを貸してほしい」というものです。
アルベルトは何も怪しまずに妻(シャルロッテ)に「ピストルを渡してあげなさい」と言い,使いの少年には「旅行中お大事に,と申し上げておくれ」と言付けます。
この時シャルロッテはウェルテルの行動を悟ったのですが,夫にウェルテルとの関係を言い出せないため,震える手で使いの少年へピストルを渡します。
やがてウェルテルのもとにピストルが届き,ウェルテルはピストル自殺を決意します。
(ピストル自殺の決意)
(ゲーテ「まんがで読破 若きウェルテルの悩み」イースト・プレスから一部引用)
「こいつで,すべての僕の悲惨な運命ともお別れだ」
「僕らは永遠にひとつになれる」
友人のウィルヘルム宛ての最後の手紙(遺書)をしたためます。
「決まりました,ロッテ,私は死にます」
「これは絶望ではありません。確信です。自分はたえぬいてきた,そしてあなたのために犠牲になる,その安心です」
「われわれ3人のうち1人が去らなくてはならないのです。私がその1人になろうと思うのです」
「弾はこめてあります。12時が鳴っています。では,ロッテ,ロッテ。さようなら,さようなら」
そしてウェルテルの部屋に銃声が鳴り響いたのでした。
ウェルテルの自殺の知らせに,アルベルトは驚愕し,シャルロッテは悲嘆し,ウィルヘルムは親友の苦悩に無力だった自分を責めます。
翌日の正午12時,ウェルテルは亡くなりました。
こうしてこの物語は静かに幕を閉じるのです。
永遠の恋人「シャルロッテ」からお口の恋人「ロッテ」へ
お菓子メーカーの「ロッテ」の社名は,これまで御紹介した「若きウェルテルの悩み」に登場するヒロイン・シャルロッテの愛称に由来しています。
「永遠の恋人」として知られるシャルロッテのように,世界中の人々から愛される会社でありたいという願いが込められているのです。
(ロッテ・ブフ(シャルロッテ))
(ゲーテ(竹山道雄訳)「若きウェルテルの悩み」岩波文庫から一部引用)
ロッテの「CHARLOTTE 生チョコレート」シリーズ
お菓子メーカーの「ロッテ」から,秋冬限定で,ずばり「CHARLOTTE(シャルロッテ)」という名称の生チョコレートが販売されています。
「会名や店名を冠し,なおかつ少し高価な商品・メニューは,かなり気合いが入っていて,得することが多い(ハズレが少ない)」というのが私の経験談です。
今季(2020年~2021年 秋冬)の「CHARLOTTE 生チョコレート」を購入しました。
(「CHARLOTTE 生チョコレート」(箱・2020-2021 キャラメル・カカオ))
(「CHARLOTTE 生チョコレート」(箱・2020-2021 カカオ))
包装は紙製で,1枚ずつ個包装されています。
(「CHARLOTTE 生チョコレート」(2020-2021 カカオ))
チョコレートの表面には,シャルロッテの頭文字にちなんだ「C」と「L」のマークが施されています。
ロッテの「CHARLOTTE(シャルロッテ)」シリーズは,平たいチョコレートの中に生チョコレート(ガナッシュ)が入っているもので,それらが口の中で溶け合い,豊かで深い味わいが楽しめるチョコレートとなっています。
まさに「お口の恋人」と呼ぶにふさわしい,ロッテを代表するチョコレートです。
今季のラインアップは,アクセントにヘーゼルナッツを加えた「カカオ」,ソルトを加えた「キャラメル」,そしてカシスを加えた「ストロベリー」の3種類となっています。
(「CHARLOTTE 生チョコレート」(箱・2020-2021 ストロベリー))
社名そのものが商品名だけに,チョコレートはもちろん,パッケージのデザインなどにもかなり力を入れておられます。
「若きウェルテルの悩み」のウェルテルやシャルロッテに思いを馳せながら,ロッテの「CHARLOTTE 生チョコレート」を味わってみるのもいいかも知れませんね。
<関連サイト>
「ロッテ(LOTTE)」(東京都新宿区西新宿3-20-1)
<関連記事>
「千葉ロッテマリーンズ スティッチの耳かき -千葉県千葉市-」
<参考文献>
ゲーテ「まんがで読破 若きウェルテルの悩み」イースト・プレス
ゲーテ(竹山道雄訳)「若きウェルテルの悩み」岩波文庫
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コメント
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「若きウェルテルの悩み」、知ってはいますが読んだことはありません。
漫画なら読めそう!と思ったけど、たぶん読まないですね、ハイ (^^;
ロッテの社名の由来って、この物語からなんですね~。
今日も勉強になりました(笑)
ストロベリーのが食べてみたいです。
投稿: chibiaya | 2021年2月14日 (日) 16時21分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)
「若きウェルテルの悩み」,私は先に漫画を読んで,その後小説を読みました。
これまでは,こうした世界の名作シリーズは全く興味がなかったのですが,名作として読み継がれている理由は,みんなに共感されやすいようなテーマが中心で,内容は至ってシンプルだとわかってから興味を持つようになりました。
よく本を読まれるchibiayaさんなら,楽に読めると思いますよ。
ヒロインのシャルロッテがロッテの社名の由来になったことを知ってから,早くブログネタとなるチョコレート「CHARLOTTE」が発売されないかなーと待っていました(笑)
1つ「コウジ菌の悩み」を聞いていただけますか。
実はストロベリーのCHARLOTTEはみんなに配ってしまい,私は食べてないんです(^^ゞ
カカオとキャラメルは食べてその美味しさを確認済みなのですが…。
ゴメンナサイ<(_ _)>
言われたら,確かに食べたくなりました(笑)
投稿: コウジ菌 | 2021年2月14日 (日) 18時13分
恥ずかしながらタイトルしか知らなかったので勉強になりましたm(_ _)m
お口の恋人というキャッチコピーは知っていましたが(^.^)
お話の結末を読んで何故か思い出したのがカフカの「断食芸人」という小説。
かつて人気だった断食芸が廃れてしまう中、プライドの高い断食芸人が誰にも見向きもされない中、檻の中でひたすら断食を続け「自分に合った食べ物を見つける事が出来なかった」と呟いて生き絶えるというお話ですが、断食芸人に比べたらウェルテルは幸せかも?
最近チョコはカカオ70以上を食べるよう心がけていますが、恋はほろ苦いより甘い方が良いですね(^_^)
投稿: なーまん | 2021年2月15日 (月) 00時03分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
歴史にお詳しいなーまんさんには,いつも頭が下がる思いなので,恐縮しております。
今回の記事は小説のあらすじを書くという新たな試みだったのですが,こんな文章でも御理解いただけたなら,とても嬉しいです。
逆にカフカの「断食芸人」という小説は,恥ずかしながら初めて知りました(^^ゞ
わかりやすいあらすじをありがとうございました。
確かに自分のことだけにとらわれて,自らその犠牲になるというストーリーは共通していますね。
ただ,断食芸人の場合は誰にも見向きされず,ウェルテルの場合は死後に周りにかなり影響を与えたという点では異なりますし,そういう意味ではウェルテルの方が恵まれていたと言えるかも知れませんね。
勉強になったのは私の方です。どうもありがとうございました<(_ _)>
まとめが,今回のテーマの恋とチョコレートにかけられてますね!
いいです。うん,すごくいいです。今回の記事のまとめにしたかったです(笑)
甘ーい恋に飢えるてるコウジ菌より(^-^)
投稿: コウジ菌 | 2021年2月15日 (月) 23時18分