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2021年5月

2021年5月29日 (土)

柚子果汁でマヨネーズを作る -柚子とマヨネーズの特徴を知る-

 スパイスやハーブの魅力を紹介するグルメ漫画「ぴりふわつーん」の第1巻に,柚子の果汁で作る「柚子マヨネーズ」が紹介されています。

(ぴりふわつーん 第1巻 表紙)
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(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)

(柚子マヨネーズ(漫画))
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(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)

(柚子マヨネーズの作り方(漫画))
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(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)

 マヨネーズは一般的に,卵黄,酢,塩,植物油を使って作られるのですが,「柚子マヨネーズ」は,その酢の代わりに柚子の果汁を使って作ると紹介されているのです。

 酸味を酢の代わりに柚子果汁を使うことで,柚子の香り高い,フレッシュなマヨネーズができそうです。

 未知の味のマヨネーズに興味を持った私は,この柚子マヨネーズ作りに挑戦してみました。


柚子マヨネーズ作りに挑戦

(柚子)
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 柚子マヨネーズは,次の材料・分量で作ってみました。

(柚子マヨネーズ材料・分量)
 卵黄:1個
 柚子果汁:大さじ1(小さな柚子3個分)
 塩:小さじ2分の1
 植物油:100ml

(柚子を半分に切った様子)
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 柚子を絞るため,半分に切った様子です。

 果実が少なく,種が多いです。

 この柚子をレモン絞り器で絞って,柚子果汁を得ることとしました。

(柚子とレモン絞り器)
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 レモンを絞る要領で柚子果汁を抽出しました。

 ボウルに卵黄,柚子果汁,塩を入れ,泡立て器やハンドミキサーでよく混ぜ合わせます。

(卵黄・柚子果汁・塩を混ぜ合わせる様子)
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 その後,植物油を少しずつ卵黄液に加えながら,ハンドミキサーで混ぜ合わせる作業を繰り返しました。

 植物油を少し加えては混ぜ合わせ,少し加えては混ぜ合わせ…という作業を,計量カップに用意した植物油がなくなるまで,15分~20分程度行いました。

(卵黄液に少しずつ油を混ぜて乳化させる様子)
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 ハンドミキサーが高速回転するので,中身がボウルから飛び散って大変でした(笑)

 材料を全て混ぜ終えた状態が次の写真です。

(柚子マヨネーズ完成(乳化した様子))
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 少しずつ混ぜ合わせた油が乳化し,もったりとした状態になっています。

 出来上がった柚子マヨネーズをガラスのプリンカップに移し替えました。

(柚子マヨネーズ)
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 これ,プリンではありませんよ(笑)。柚子マヨネーズです。

 ちょうどプリンカップ1個分の量ができました。

 この柚子マヨネーズを,茹でたブロッコリーとアスパラガスにかけてみました。

(ブロッコリーとアスパラガス 柚子マヨネーズがけ)
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 まずは柚子マヨネーズだけでいただきました。

 「うーん…」

 確かにマヨネーズになっていたのですが,私が期待していたほどの柚子の風味はありませんでした。

 「苦労した割には香りが…」という感想です。

 食事後,もう一度柚子マヨネーズが紹介されている「ぴりふわつーん 第1巻」を読み直してみました。

 するとこんな1コマがありました。

(柚子の特性(漫画))
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(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)

 この1コマに,柚子の特性について紹介されています。
 「こいつ(柚子)は皮に『香りカプセル』を装備したニクいヤツなんですよ」
 「香りのほとんどが皮の『油胞(ゆほう)』の中にあるので」
 「それを潰すように絞るんですね」

 つまり,柚子特有の香りは果実ではなく,皮の中にある「香りカプセル」にあるので,皮を潰すように絞らなければ,あの良い香りは出ないということなのです。

 香り高い柚子マヨネーズを味わいたいという気持ちが強かった私は,再度,柚子の香りを引き出した果汁で柚子マヨネーズを作ってみることにしました。

 柚子の香りが利かないなら,私だって融通が利きません。


柚子マヨネーズ作りに再挑戦

 翌日,新たな気持ちで再挑戦です。

 柚子の皮の中にある「香りカプセル」を潰すように,皮を下にして絞るとよいと紹介されているので,その方法で絞ってみました。

(皮を下にした柚子とレモン絞り器)
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 この状態でそのまま絞ると,柚子の果汁が飛び散ってしまいますので,ビニール袋をかけて行いました。

(レモン絞り器にビニール袋をかけた様子)
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 こうして皮と果実を一緒に,上からギュッギュッと果汁を押し出すような感じで柚子を絞りました。

 そして,前回と同じ分量・方法でマヨネーズを作りました。

 出来上がりがこちらです。

(香りを生かした柚子マヨネーズ完成)
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 前回より,ひと回り大きなボウルを使ったのですが,それでもやはり外に飛び散っています。

 この柚子マヨネーズをプリンカップに注ぎ,冷蔵庫でしばらく寝かせました。

(香りを生かした柚子マヨネーズ)
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 これ,マンゴープリンではありませんよ(笑)

 柚子の皮やワタも一緒に絞ったので,前回と比べて若干果汁の量が減り,その分マヨネーズの黄色味が強くなりました。

 茹でた海老・ブロッコリーに出来上がった柚子マヨネーズをかけてみました。

(茹でた海老とブロッコリー 香りを生かした柚子マヨネーズがけ)
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 まずは柚子マヨネーズだけでいただきました。

 確かに前回の柚子マヨネーズと比べると柚子の香りは高まっており,これならほかの人でも柚子のマヨネーズだとわかってもらえそうな感じでしたが,目が覚めるほど飛躍的に柚子の香りが増したわけではありませんでした。

 今回の柚子マヨネーズは「ほのかに柚子の香りがする手作りマヨネーズ」という表現が合っていますが,茹でた野菜や海老などと一緒にいただくと,一味違う,コース料理の前菜にもできそうな上品な味に仕上がりました。


まとめ

 今回初めて柚子マヨネーズを作りましたが,この経験で学んだことをまとめておきます。

・酢の代わりに,柚子など酸味のある柑橘を使ってマヨネーズが作ることができる
・柚子の香りは,果実ではなく皮の中の「香りカプセル」にある
・マヨネーズ作りに柚子果汁を使っても,その10倍近くの量の油を使うこととなるため,香りが前面に出ない
・逆に,グレープシードオイル,オリーブオイル,ゴマ油など使う油によって特徴のあるマヨネーズを作ることができる
・マヨネーズの「もったり感」は,主に油によるもので,油の量が少ないとマヨネーズソースになってしまう

 こうした特徴を踏まえ,皆様もお好みのマヨネーズ作りに挑戦されてみてはいかがでしょうか。

 日持ちせず,手間もかかりますが,手作りマヨネーズの味は格別ですよ。


<関連サイト>
 「なるほど!マヨネーズの作り方」(キューピー株式会社)

<参考文献>
 青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックス

2021年5月23日 (日)

「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」の旅 -地域を味わう季節限定コース(花畑駅~福岡(天神)駅)-

 走るレストラン「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」。

 後編では,花畑駅(福岡県久留米市)から終点・福岡(天神)駅までの旅を御紹介します。


THE RAIL KITCHEN CHIKUGOのオープンキッチン

 レールキッチンチクゴは,花畑駅にしばらく停車しました。

(花畑駅に停車中のTHE RAIL KITCHEN CHIKUGO)
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 せっかくの機会なので,この停車時間を利用し,列車全体を見学させていただくことにしました。

 私が乗車する3号車の車内に,沿線の観光地やレールキッチンチクゴについて紹介された手作りフォトブックが用意されていました。

 このフォトブックに,往路で「TRKC限定1日乗車券」を利用して訪問した大宰府天満宮について紹介されたページがありました。

(フォトブック・大宰府天満宮)
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 年に一度「梅酒まつり」が開催されるとか,毎月25日は天神さまの日としてよもぎ入りの「梅が枝餅」が販売されるとか,この冊子を読んで訪問するとより一層楽しめる内容ばかりでした。

 もちろん,レールキッチンチクゴの食についても紹介されていました。

(レールキッチンチクゴの食の記事1)
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(レールキッチンチクゴの食の記事2)
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 久留米市北野町産ラディッシュは全国第2位とか,大木町のエリンギは九州一の生産高とか,有明海・柳川産のお刺身海苔の紹介とか,筑後平野で作られる小麦「ミナミノカオリ」は全国第2位といった感じに,地元の食材や料理の監修者について写真入りで楽しく説明されていました。

 花畑駅ホームにも降りてみました。

 そして,ホームにおられた乗務員の方々とお話しする機会がありました。

 私が2号車のオープンキッチンに興味があることをお話ししたところ,乗務員の方の御好意で「車内の様子を御案内しましょう」と,1号車と2号車の車内を御案内いただけることになりました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・花畑駅・1号車と2号車)
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 写真手前(右側)がオープンキッチンのある2号車,奥(左側)が客室の1号車です。

 乗務員さんの先導で,1号車のドアから乗車しました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・花畑駅・1号車)
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 1号車は翌日にカフェスペースとして利用するための準備がなされていました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・花畑駅・1号車・4人掛けテーブル席)
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 こちらは2号車寄りの4人掛けテーブル席の様子です。

 テーブルや椅子などの家具は大川市の大川家具が,壁にはすべて手作業で作られた久留米市の城島瓦が使用されています。

 列車の客室というよりは,やはりレストランの室内という方が合っています。

 そしていよいよ,オープンキッチンのある隣の2号車へ連れていっていただきました。

 2号車には窯を中心とした大型キッチンが設置されています。

(オープンキッチンの窯)
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 この2つの窯でピザなどの料理が作られています。

 すべての機器が電磁・電気調理器で,SIV装置(補助電源装置)により全機器を同時使用できる電源供給能力があるとのことです。

 さらなる御好意で,この窯を開けた様子も見せていただきました。

(オープンキッチンの窯(開放))
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 この窯の中で,均等に熱が行きわたって美味しい料理ができるのですね。

 こうした写真は,私1人では撮影できなかった写真です。

 私は忙しく調理されているキッチンクルー(料理人)の皆さんにお礼を述べて,2号車を後にしました。

 その後,親切に御案内いただいた乗務員の方に深くお礼申し上げ,再び自分の席へ戻りました。

 ちなみに,報道記事によると,このレールキッチンチクゴの改装費用は約5億円かかっているそうです。


苺とキウイのフルーツピザ

 花畑駅にしばらく停車したレールキッチンチクゴは,再び福岡(天神)駅を目指し,花畑駅をゆっくりと出発しました。

 そして,次の西鉄久留米駅付近で,この列車御自慢の窯焼きピザが運ばれてきました。

(苺とキウイのフルーツピザ(西鉄久留米駅付近))
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 イチゴとキウイがのせられ,粉砂糖のかかったフルーツピザです。

 余談ですが,写真に「MOONSTAR(ムーンスター)」の看板が写っているので,何気なくネットで調べたところ,ここ久留米市に本社がある会社だと知りました。

(苺とキウイのフルーツピザ)
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 イチゴは筑紫野市産「よつぼし苺」,キウイは八女市産「博多甘香(はかたあまか)」,ピザ生地の小麦は筑後産「ミナミノカオリ」が使われていました。

 福岡県内の食材でここまで揃うとはすごいですよね。

 苺やキウイがとてもジューシーで,それぞれの甘味と酸味を,カリカリで香ばしいピザがしっかりと受け止めてくれました。

 博多弁で思わず「あまかぁー(甘い)」と言ってしまいそうな,甘くて美味しいフルーツピザでした。


ブラックファイアー・ソーセージ

 レールキッチンチクゴでは,コース料理とは別に,メニューから好きなおつまみ・ドリンクを注文することが出来ます。

 終着駅到着時刻の約30分前がラストオーダーで,その時間となったので,私は「ブラックファイアー・ソーセージ」を注文しました。

 しばらくして,窯で焼かれたソーセージが運ばれてきました。

(ブラックファイアー・ソーセージ)
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 粗挽きの豚肩肉にガーリックとブラックペッパーで味付けしたソーセージです。

 うきは市の「リバーワイルドハムファクトリー」の提供です。

 肉そのものをいただいているかのような弾力があり,ガーリック・ブラックペッパーといったスパイスのほかに,ほのかに爽やかなハーブの香りも楽しめるソーセージでした。


駅員さんからのエンターテインメントショー

 レールキッチンチクゴは,筑紫駅にしばらく停車しました。

 ふと車内からホームを眺めると,駅員さん達が楽しいエンターテインメントショーをしてくださっていました。

(駅員さんからのエンターテインメントショー)
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 コックさんが左手に持つ巨大包丁で駅員さんのお腹の肉を切って食べている様子です。

 楽しい演出に,車内のお客さんも大喜びでした。

(コックさんに扮した駅員さんからのお見送り)
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 筑紫駅出発の際の駅員さんからのお見送りです。

 コックさんに扮した駅員さんに,レールキッチンチクゴの手旗を振ってお見送りいただきました。

 西鉄の社員の皆さんや沿線住民の皆さんからの温かいおもてなしに深く感動し,またぜひ乗車したいという気持ちになりました。


THE RAIL KITCHEN CHIKUGO オリジナルグッズ

 観光列車での楽しみの1つに,オリジナルグッズの購入があります。

 レールキッチンチクゴでは,テーブル席でのオーダーで席まで持ってきていただけます。

 今回私は,「TRKC オリジナルブレンドコーヒー」,「クリアファイル」,そして「TRKC 車両パンフレット」を購入しました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO オリジナルグッズ)
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 「TRKC オリジナルブレンドコーヒー」はオリジナルの巾着にドリップバッグが4袋入ったもので,久留米市の「COFFEE COUNTRY」がこのレールキッチンチクゴ用にブレンドされたコーヒーです。

 「クリアファイル」はレールキッチンチクゴそのもののデザインで乗車記念に買いました。

 そして「TRKC 車両パンフレット」は,レールキッチンチクゴの車両について詳しく解説されたパンフレットで,今回の記事作成においても活用させていただきました。


ハーブティーとプチフール

 レールキッチンチクゴの旅もいよいよ終盤にさしかかってきました。

 食後のドリンクが用意されました。

(ハーブティー「The Townscape」)
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 「The Townscape」という名前の,和紅茶とカモミールをブレンドしたハーブティーです。

 八女市の「中村園」のオリジナルブレンドです。

 和紅茶とカモミールのやさしくてホッとするような香りに癒されました。

 続いて,プチフール(デザート)も用意されました。

(ハーブティーとプチフール)
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 車窓を流れる景色を眺めながら,お茶とデザートを味わうなんて,おしゃれですよね。

(柑橘とミルクゼリーのスープ仕立て)
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 プチフールの「柑橘とミルクゼリーのスープ仕立て」です。

 八女市産の柑橘と,うきは市産の牛乳を使ったミルクゼリーを,ひんやり冷たいシロップと一緒にいただくデザートです。

 すっきりした甘さのシロップが,柑橘やミルクゼリーの味を引き立てていました。

 デザートをいただき,ハーブティーを飲みながら景色を眺めていると,次第にビルやマンションの建ち並ぶ都会的な景色になってきました。


サービスクルーからのサプライズ

 私が食事を終えようとしていたところ,突然サービスクルーの方から「本日がお誕生日のお客様がおられます。よろしければ皆さんも御協力をお願いします」とお知らせがあり,ほどなくそのお客さんの元にデザートの誕生日プレートが運ばれてきました。

 そして数名のサービスクルー・乗務員の方々が一斉に,手拍子とともにバースデーソングを歌い始められました。

 60~70歳代と思われる御夫婦の奥様がお誕生日だったようで,3号車のお客さんみんなで手拍子しながらバースデーソングを歌い,お祝いしました。

 奥様はとても感激し,少し興奮気味に「今日が誕生日だってこと,免許証をお見せして確認していただきましょうかね」とおっしゃっていました。

 この御夫婦にとって,今回のサプライズはとても良い思い出になったでしょうし,周りのお客さん達や発案されたサービスクルー・乗務員の皆さんにとっても,きっと良い思い出になったに違いありません。

 このような感じで,楽しく感動的な時間が最後の最後まで続きました。


まとめ

 約2時間10分の列車旅は,笑いあり,感動ありで本当にあっという間でした。

 18時過ぎ,レールキッチンチクゴは終点・福岡(天神)駅に到着しました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(福岡(天神)駅))
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 駅のホームでは,乗務員・サービスクルーの方たちが勢ぞろいでお礼の御挨拶をしていただきました。

 もちろん,私からも皆様に「感動的な旅となりました」とお礼の御挨拶をさせていただきました。

 この日がデビューとなった新入社員の乗務員さんにも,「立派なデビューとなりましたね。緊張されたのでは?」とお話しすると,「はい,大変でした」と笑いながらおっしゃってました。

 わずかなひとときでしたが,乗客と社員の枠を超えた一体感が生まれ,人と人とのお付き合いをさせていただけたように思いました。

 乗務員,サービスクルー,キッチンクルー,駅員,そして沿線住民の方々からの心のこもった温かいおもてなしにより,お金では決して買えない,たくさんの喜びと感動をいただきました。

 併せて,筑後地方を中心とした福岡県の食材や特産品,地域の特色を知ることも出来ました。

 レールキッチンチクゴの旅,自信を持っておすすめします。


<関連サイト>
 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」(西日本鉄道株式会社)
 「Hellocal(ハローカル)」(西鉄沿線の情報発信サイト・西日本鉄道株式会社)
 「MOONSTAR(ムーンスター)」(福岡県久留米市白山町60)
 「リバーワイルドハムファクトリー」(福岡県うきは市吉井町橘田565)
 「COFFEE COUNTRY」(福岡県久留米市通町102-8)
 「中村園」(福岡県八女市津江1215)

<関連記事>
 「「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」の旅 -地域を味わう季節限定コース(大牟田駅~花畑駅)-

<参考文献>
 「TRKC車両パンフレット」(西日本鉄道株式会社)

2021年5月21日 (金)

鳥取大砂丘・ラクダの耳かき -鳥取県鳥取市-

鳥取を代表する観光地・鳥取砂丘にいるラクダの耳かきです。

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砂漠にはラクダということで,鳥取砂丘ではラクダに乗って砂丘散歩が体験できます。

鳥取砂丘周辺には,大きなお土産屋さんもいくつかあり,「らくだや」というラクダをモチーフにしたお土産が勢ぞろいしているお店もあります。

この耳かきのラクダには,鳥取砂丘ではなく,「鳥取大砂丘」と書かれているところが面白いです。

2021年5月15日 (土)

「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」の旅 -地域を味わう季節限定コース(大牟田駅~花畑駅)-

食堂車への憧れと「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」

 かつて新幹線や寝台特急などに連結されていた食堂車。

 子供の頃の私は,新幹線に乗るだけでも贅沢なことでしたので,食堂車での食事など,夢のまた夢でした。

 そして大人になった今,いざ食堂車を利用したいと思っても,身近な新幹線・特急には連結されていないという状況となってしまいました。

 鉄道会社が列車の速達性や効率性を重視し,乗客も車内販売や駅売店のみならず,コンビニエンスストアやテイクアウト商品の増加などにより飲食の選択肢が増えた結果と言えるでしょう。

 しかしながら,私も含めて食堂車に乗って旅と食事を楽しみたいと思う人も少なからずおられると思います。

 そんな願いをかなえてくれる列車があります。

 福岡・西日本鉄道の「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」です。

 沿線で採れた新鮮な食材を使い,季節に応じた食事が楽しめる列車です。

 列車全体が食堂車であり,まさに走るレストランなのです。

 今回私は,往路は福岡(天神)駅から「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(TRKC) 限定1日乗車券」を利用して大宰府などで観光を楽しみ,復路で大牟田駅からレールキッチンチクゴに乗車し,旅と食事を楽しみながら福岡(天神)駅へ戻りました。

(TRKC限定1日乗車券)
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 それでは,レールキッチンチクゴの旅へ御案内します。


THE RAIL KITCHEN CHIKUGO乗車・ウェルカムドリンク

 大牟田駅を15時55分に出発するレールキッチンチクゴを撮影するため,出発時刻より少し早くホームへ行きました。

 ホームには,すでにレールキッチンチクゴが入線し,出発を待っていました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・大牟田駅・出発準備)
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 車体にはキッチンクロスをモチーフにした赤と白のチェックと,筑後地方をイメージさせる「あまおう(イチゴ)」,「巨峰」,「お酒」,「柳川の川下り」,「大牟田の世界遺産」などのロゴマークがデザインされています。

 乗車前に乗務員さんから「記念撮影はいかがですか」と声をかけていただいたので,レールキッチンチクゴと一緒に記念撮影をしていただきました。

 列車の写真撮影も済ませた後,乗車しました。

 食堂車ですので,乗車とともにサービスクルーの方から御挨拶いただき,テーブル席へと案内していただけます。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・テーブル席)
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 テーブル席には紙製のテーブルマット,ナイフとフォーク,おしぼり,紙ナプキン,そして本日のコースメニューとドリンクメニューのカードが御用意されていました。

 もう,ワクワクが止まりません。

(大牟田駅を出発するTHE RAIL KITCHEN CHIKUGO(テーブル席))
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 列車内でも,レストランなどで使用される食器・カトラリーが使われているところが素晴らしいです。

 今回は「地域を味わう季節限定コース」と呼ばれる,地域ならではの食材・旬の食材を取り入れたコースをいただきました。

 手元に用意されたコースメニューを確認しました。

(本日のコースメニュー)
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 ウェルカムドリンクに始まり,アミューズ,肉料理,季節限定ピザ,プチフール,ハーブティーと続きます。

 ウェルカムドリンクはアルコール飲料の「あまおうプレミアムスパークリングワイン」か,ノンアルコール飲料の「季節のフルーツジュース」のいずれかを選べました。

 注文を受けに来られたサービスクルーの方に,私は季節のフルーツジュースを注文しました。

 全て席にいながらオーダーできるのも,レストラン列車ならではです。

(季節のフルーツジュース)
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 季節のフルーツジュースは,大牟田「橘香園」の減農薬みかんを皮ごと絞ったみかんジュースでした。

 これからの食事と旅を期待させてくれる格別な味わいでした。


食器もカトラリーもレストラン仕様の列車

 やがて出発時刻となり,レールキッチンチクゴは大牟田駅をゆっくりと出発しました。

 車内は多少なりとも揺れますし,スペースが限られるので,ガラスや陶器の食器や金属製のカトラリーを扱うのは大変なことなのですが,そうした条件でもきちんとレストランと同じものを用意されているところに感動しました。

 こうしたレストラン仕様の列車は,急発進・急加速はできませんし,カーブやレールの分岐ポイントでも徐行が必要となります。

 通常走行時にテーブルにグラスを置いておくだけでもガタガタ揺れて,カーブでは傾斜が生じてグラスが滑り,倒れて割れてしまうことだって想定されるのです。

 そのため,観光列車と言えども,車内での飲食には紙製・木製・プラスチック製の食器・カトラリーが用意されるのが一般的です。

 「なぜガラスや陶器の食器や金属製のカトラリーを扱えるのか」,疑問に思った私は席に来られた車掌さんにお話を伺ってみました。

 すると,やはりこの列車は揺れを防止するための特別な改造をされているとのことでした。

 車内にはレストランで流れるような心地よいBGMが流され,ゆったりとした時間を過ごすことが出来ました。

(2号車・オープンキッチン)
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 こちらは3両編成の真ん中,2号車のオープンキッチンの様子です。

 2号車はすべて厨房となっており,ここで作られた料理が1号車と3号車に運ばれるようになっています。


アミューズ・焼きバナナの前菜

 アミューズは「焼きバナナの前菜」でした。

(アミューズ「焼きバナナの前菜」)
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 皮付きのバナナを縦に半分にカットし,皮ごとオーブンで焼いて,松の実・パルミジャーノ・オリーブオイルをあしらった一品です。

 バナナは柳川市「杏里ファーム」で作られた国産バナナです。

(アミューズ「焼きバナナの前菜」(拡大))
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 パルミジャーノのコクとしょっぱさが,とろけるような食感のバナナの甘さを一層引き立て,隠し味のチリペッパーもアクセントを与えてくれました。


THE RAIL KITCHEN CHIKUGO 季節限定カクテル

 コースメニューとは別に,ドリンクメニューにあるオリジナルドリンクを注文しました。

 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO オリジナルの季節限定カクテル(ノンアルコール)」です。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO 季節限定カクテル(ノンアルコール))
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 福岡県産のイチゴや八女市産のキウイフルーツがたくさん入ったオリジナルドリンクでした。


沿線地域の皆さんからのおもてなし

 次の料理が用意されるまでの間,心地よいBGMとともに,車窓を流れる筑後地方の風景を楽しんでいました。

 すると「進行方向左手で,沿線の皆さんがレールキッチンチクゴの手旗を振っておられます。電車は速度を落として運転します。」と車内アナウンスがありました。

 しばらくして,車窓からたくさんの沿線の皆さんがレールキッチンチクゴに向かって手旗を振ってくださっている光景が見えました。

(沿線の皆さんからのおもてなし)
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 車内でも「うわーっ」と歓声があがり,私を含めた乗客も手を振ってお応えしました。

 1人の男の子が,鯉のぼりを手に,レールキッチンチクゴを追いかけるように並走してくれました。

(鯉のぼりを手に並走する男の子)
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 レールキッチンチクゴに追いつく限り,列車に向かって笑顔を絶やさず,ずっとずっと…。

 見ず知らずのお客さんへも,沿線の皆さんが温かく,一生懸命におもてなしいただいている様子を見て,とても感激しました。

 このシーンに出会えただけでも,はるばる福岡まで来て良かったなと思いました。

 ほかのお客さんも「あー,この町はいいね。(スマートフォンで位置を検索し,)大木町っていう所なんだ。大木町っていいね。」とおっしゃってました。

 沿線の皆さんからのおもてなしは,この後も保育園の園児の皆さんや商店街の皆さんなど何か所も続き,その都度車内アナウンスもあって,列車は速度を落として対応していただきました。

 こうした沿線の皆さんからの温かいおもてなしも,レールキッチンチクゴならではの体験です。


肉料理・博多和牛のステーキ 苺のソース

 感動が冷めやらぬ間に,温かい肉料理が運ばれてきました。

 肉料理は「博多和牛のステーキ 苺のソース」でした。

(肉料理・博多和牛のステーキ 苺のソース)
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 福岡県産の博多和牛とあまおうが使用されていました。

 ステーキにイチゴのソースを合わせた料理は初めてでしたが,意外と相性が良いことに驚きました。

 イチゴは,ステーキソース用に煮詰めたものとそのまま輪切りにしたものの2種類があり,絶妙な火加減の牛ステーキに添えていただきました。

 肉料理に甘酸っぱいベリーのソースを合わせる感覚で,美味しくいただきました。


記念乗車券発行・花畑駅停車

 しばらくして,車掌さんが来られ,レールキッチンチクゴの記念乗車券をいただきました。

 お客さん一人ひとりに,本日の日付の箇所へのはさみ入れもしていただきました。

(レールキッチンチクゴ記念乗車券)
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 車掌さんは今年度採用のフレッシュマンで,この日がデビューの日らしく,若干緊張しながら応対されていました。

 その後,レールキッチンチクゴは久留米市の花畑駅に到着し,しばらく停車しました。

(花畑駅・駅名標)
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 駅名どおり,駅名標のガラスケースの中にたくさんの花が飾られていました。

 花畑駅ホームで乗務員の方々とお話しする時間があったので,「もしかして,この花は本物ですか」と尋ねると,少し笑って「造花です」と教えていただきました。

(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO・花畑駅・3号車)
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 花畑駅に停車中のレールキッチンチクゴです。

 私が乗車した3号車の様子です。

 私はホームでレールキッチンチクゴの写真撮影をしたり,乗務員の方々とお話しさせていただきながら,しばし花畑駅でのひとときを楽しみました。


<関連サイト>
 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(レールキッチンチクゴ)」(西日本鉄道株式会社)
 「杏里ファーム」(福岡県柳川市田脇524-1)

<参考文献>
 「TRKC車両パンフレット」(西日本鉄道株式会社)

2021年5月 5日 (水)

島根県出雲市のビーントゥバーチョコレート -La Chocolaterie Nanairo(ラ ショコラトリ ナナイロ)-

ビーントゥバーチョコレートを求めて島根県出雲市へ

 島根県出雲市には,カカオ豆の買い付けから選別,焙炒,テンパリング,成形,包装まで全ての行程を自社工房で一貫して行う「Bean to Bar(ビーントゥバー)」のチョコレートを製造・販売されているお店があります。

 出雲市斐川町にあるチョコレート専門店「La Chocolaterie Nanairo(ラ ショコラトリ ナナイロ)」です。

 このお店は,広島大学名誉教授の佐藤清隆先生の講演会でお話を伺ったり,料理雑誌で紹介されているのを拝読したりと,チョコレートに興味を持つ私はいつか行ってみたいお店でした。

 そこで私はゴールデンウイークを利用してこのお店を訪問し,カフェでチョコレートをいただくこととしました。

 出雲市駅から一畑電車に乗り,川跡(かわと)駅経由で雲州平田駅で下車しました。

(一畑電車・雲州平田駅)
Photo_20210505155301

 出雲市と松江市を結ぶ一畑電車,愛称「ばたでん」です。

 こちらの駅でレンタサイクル(電動自転車)を借り,片道約4kmの道をひたすらこいでお店に到着しました。

(La Chocolaterie Nanairo 店舗)
La-chocolaterie-nanairo

 店内はお客さんで一杯でした。

 私はカウンター席に御案内いただきました。

 メニュー表には,チョコレート,ケーキ,ショコラショー(ホットチョコレート),コーヒー,カカオティー(紅茶)などが御用意されていました。

 今回私は,カカオティーとチョコレートの「コレクション6種」を注文しました。


カカオティー

 出雲市斐川町の西製茶所の和紅茶(べにふうき)にお店オリジナルのカカオパウダーがブレンドされたドリンクです。

 カカオパウダー入りの紅茶とは珍しいと思い,注文しました。

(カカオティー)
Photo_20210505155601

 カカオパウダー入りだからか,濃いオレンジ色の紅茶でした。

 和紅茶のやさしい味わいを大切に,カカオパウダーは和紅茶の風味をそっと引き立てる程度に加えられている紅茶でした。

 砂糖やミルクを加えても美味しいと伺い,後半は砂糖を少し加えていただいたのですが,こうすると甘味とコクが加わり,ひと味違ったカカオティーを楽しめました。


コレクション6種

 このお店では,シーズンごとに作られる4種類のダークチョコレートと季節の素材を取り入れたトッピングチョコレート,そしてホワイトチョコレートの全6種類のチョコレートを御用意されています。

 「コレクション6種」は今シーズンのチョコレートを全て味わうことができるセットです。

 今シーズン「Spring/Summer Collection 2021」は,ドミニカのカカオ豆を使ったダークチョコレート4種とホワイトチョコレート,そしてみかんをトッピングしたチョコレートの6種類がラインナップされています。

 ダークチョコレートには「バッチナンバー(BATCH No.)」がナンバリングされています。

 目の前でチョコレートを1つ1つ丁寧に盛り付けていただきました。

(La Chocolaterie Nanairo コレクション6種)
La-chocolaterie-nanairo_20210505160201

 プレートを運んでいただいた際,お店の方からチョコレートの配置を説明していただきました。

 この写真では手前(写真左下)から奥(写真右上)に向かって,順番にNo.56,No.57,No.58,No.59,みかんトッピングチョコレート,ホワイトチョコレートという配置となります。

 確かにダークチョコレートは見た目では区別することができないので,番号順などの規則性がないと,私のような素人にはバッチナンバーと実物のチョコレートを照らし合わせることができません。

 バッチナンバー別のフレーバーノートもお借りして,それを見ながら順番にチョコレートの味や香りを楽しみました。

(フレーバーノート(BATCH No.59 ドミニカカカオ75%))
Batch-no59-75

 ダークチョコレート4種について,私は「フルーティーな香り」,「ナッツの香り」,「酸味がある」,「ほろ苦さを感じる」程度のレベルしか特徴を見い出すことができなかったのですが,お店のフレーバーノートに紹介されている説明書きは全く次元が違いました。

 例えば「BATCH No.59 ドミニカカカオ75%」の場合だと,
「ビルベリーとチェリーのパイに,グレープフルーツのようなすっきりとした柑橘の香り,キャラメルアーモンドの香ばしさとドライプルーンの甘酸っぱさ,ほうれん草とサーモンのポタージュスープに,そば粉のガレット,ラム酒が香るミルクジャムの懐かしい香りと微かに感じるフランキンセンスの香り。琥珀色に輝く幸せの青い鳥をイメージしたチョコレートです。」
と説明されています。

 フレーバーノートを1枚1枚めくりながら,いつの間にかテイスティングよりも,その説明書きを感心しながらじっくり読みふけってしまいました。

 しばらくしてお店の方から「チョコレートの違いはわかりましたか」とお話いただき,ハッと我に返りました。

 私は,
○4種類のダークチョコレートについては,順にカカオ分(カカオマス)が多くなり,ほろ苦さが強まって,カカオの味わいが深くなっているように感じたこと
○ホワイトチョコレートの甘いフレーバーとシャリシャリした食感は初体験で,これがカカオバターから作られた本物のホワイトチョコレートかと感動したこと
をお伝えしました。

 するとお店の方から,
○4種類のダークチョコレートは,いずれも同じ産地のカカオ豆で,カカオマスの割合など製法をほんの少し変えただけのチョコレートであること
○同じ産地のカカオ豆でも,製法の変化や作る時期によってフレーバーやテイストが異なるチョコレートができあがること
○ホワイトチョコレートはお店の人気商品で,このホワイトチョコレートを求めて来店・購入されるお客さんも多いこと
を教えていただきました。

 テストの答え合わせのような感じですが(笑),改めてフレーバーノートをパラパラめくってみると,カカオの割合はほぼバッチナンバー順に高く配合されており(No.56が65%,No.57が70%,No.58が80%,No.59が75%),見当違いの感想ではなかったのだとホッと胸をなでおろしました。

 同じ産地のカカオ豆でも,製法や時期が少し違うだけで,異なる香り・味をもつチョコレートができあがることを知り,チョコレートの理解が深まりました。

 そしてホワイトチョコレートです。

 一般的なホワイトチョコレートでイメージする味・食感とは異なっていて,驚きと感動の味でした。

 チョコレートの文献などで,ホワイトチョコレートがカカオバターから作られることは理解していましたが,その製法で作られたホワイトチョコレートをいただくのは初めてでした。

 フレーバーノートにホワイトチョコレートの工程が紹介されていました。

(ホワイトチョコレートの工程)
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 「La Chocolaterie Nanairo」フレーバーノートを一部加工・引用

 カカオバター,全粉乳,砂糖だけで作られるホワイトチョコレートです。

 これまでホワイトチョコレートにはあまり関心を持ってなかったのですが,今回の体験で価値観が変わりました。

 みかんトッピングのチョコレートも,隠岐の島海士町産の乾燥みかんの濃縮された甘い香りと酸味が,ほろ苦いダークチョコレートのアクセントとなっている美味しいチョコレートでした。


縁結びの国・出雲を実感

 多くのお客さんでお忙しい中,お店の方からチョコレートについていろいろと教えていただきました。

 会話の中で,少しだけ佐藤先生の話題にも触れたのですが,それを聞いておられた店主さんが,私に自己紹介してくださった上で,「よろしければお名前を教えていただけませんか。今度,佐藤先生がこちらにいらっしゃる予定なので,お伝えしたいと思うのですが。」とおっしゃっていただきました。

 そのお気持ちが何よりも嬉しく,私は名刺とこのブログの紹介名刺をお渡ししました。

 ここ最近,新型コロナウイルスの関係で,チョコレートのイベント・講演会などでお会いする機会がない佐藤先生と,出雲の地でつながりを感じられるとは思ってもいませんでした。

 そして,店主さんの機転の効いたお取り計らいに感動しました。

 出雲は本当に縁結びのスポットなのだと実感した出来事でした。

 お店の皆さんに深くお礼申し上げ,お店を後にしました。


木綿街道とご縁電車しまねっこ号Ⅱ

 帰りに少しだけ,雲州平田駅周辺を観光しました。

(瑞穂大橋・斐伊川とレンタサイクル)
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 スサノオノミコトの八岐大蛇(ヤマタノオロチ)伝説の舞台と伝えられる斐伊(ひい)川です。

 近くには多くの銅剣が出土した「荒神谷遺跡」もあります。

 それにしてもレンタサイクルの自転車は,「茶里旅(ちゃりたび)」と書かれた前かごと言い,バックミラーといい,いい味出してます。

 出雲市平田町は,かつて木綿の生産が盛んだったことから「木綿街道」と呼ばれる町屋の通りがあります。

(木綿街道・本石橋邸)
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 老舗の醤油屋さん,酒屋さん,和菓子屋さんなどが軒を連ねています。

(來間屋生姜糖本舗)
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 日本の生姜糖の元祖で,島根のお土産としても有名な「來間屋生姜糖」の本店もここ木綿街道沿いにあります。

(持田醬油店)
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 木綿街道の醤油屋さんの1つ,持田醬油店です。

(みたらし団子(持田醤油店))
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 持田醬油店のみたらし団子です。

 大きいお団子に,ほどよい甘さの醤油だれがたっぷりかかったみたらし団子です。

 雲州平田駅でレンタサイクルをお返しし,「ばたでん」で出雲市駅へ戻りました。

 帰りの列車で,雲州平田駅から川跡駅までの区間は「ご縁電車しまねっこ号Ⅱ」でした。

(ご縁電車しまねっこ号Ⅱ)
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 ピンクのかわいい車両です。

(島根県観光キャラクター「しまねっこ」(ご縁電車しまねっこ号Ⅱ))
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 「しまねっこ」がお出迎え。

(ご縁電車しまねっこ号Ⅱ車内)
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 車内もピンク一色です。

 「もしかして女性専用車両?」と一瞬戸惑いました(笑)


 竹内まりやさん(島根県出雲市出身)の名曲「縁(えにし)の糸」の歌詞のとおり,いろんな人と出会い,物語が運ばれてくる魅力的な街でした。


<関連サイト>
 「La Chocolaterie Nanairo」(島根県出雲市斐川町坂田1934)
 「西製茶所」(島根県出雲市斐川町出西2720-1)

<関連記事>
 チョコレートの記事については,パソコン版サイト「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「チョコレートの研究」も御覧ください。

2021年5月 1日 (土)

福岡県大牟田市の食探訪2 -かすてら饅頭・三池高菜・イカタル弁当-

 福岡県の南部,大牟田市を訪問しました。

 大牟田と言えば,熊本県荒尾市にも広がる三池炭鉱(炭坑節),カルタ発祥の地,「大蛇山(だいじゃやま)」と呼ばれる大きなお祭りなどで有名な街です。

 また,三池炭鉱の発展とともに栄えてきた大牟田には,独自の食文化が育まれてきました。

 今回はそんな大牟田の食をいくつか御紹介したいと思います。


かすてら饅頭

 大牟田の「かすてら饅頭」は,明治初期に大牟田で誕生し,全国各地の有名銘菓のルーツとなっている饅頭です。

 大牟田駅の近くにある観光施設「おおむた観光案内所(大牟田観光プラザ)」で何種類か販売されていたので,購入しました。

(かすてら饅頭(包装))
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 写真上から「菓舗だいふく」,写真右下が「城屋本店」,写真左下が「相川総本舗」のかすてら饅頭です。

(かすてら饅頭)
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 こちらが「かすてら饅頭」です。

 砂糖,小麦粉,卵,はちみつなどで作られる生地に白あんを包み,焼き上げた饅頭です。

 お店によって,大きさや皮の色(生地の焼き加減)が若干異なります。

(かすてら饅頭(中身))
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 中には,きめ細やかでさっくりとした食感の白あんがたっぷり入っています。

 「かすてら饅頭」という名称からは,広島の「もみじ饅頭」や東京の「人形焼」のようなふわっとした生地(皮)を想像しがちですが,実際はしっかりと焼き上げた生地(皮)となっています。

 生地(皮)は,一般的な栗饅頭,福岡・東京の「ひよ子」,香川の「名物かまど」・「灸まん」,島根の「どじょう掬いまんじゅう」などと似ています。

 三池の炭鉱マンたちも,この「かすてら饅頭」を食べて仕事の疲れを癒したことでしょう。

 「これぞ日本の饅頭」と言えるような,どこか懐かしさを感じる素朴な饅頭です。


三池高菜

 大牟田は「三池高菜」と呼ばれる高菜が特産品です。

 三池高菜を使ったお土産品もたくさん売られています。

 私は大牟田限定の「大牟田高菜めんべい」と「刻み高菜の具」を購入しました。

(大牟田高菜めんべい(箱))
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 帰りの新幹線車内で撮影しました。

 「大牟田高菜めんべい」は,福岡のお土産として有名な山口油屋福太郎の「めんべい」シリーズの大牟田限定版です。

 箱に三池高菜についての説明書きがありました。

(三池高菜の説明書き(大牟田高菜めんべい))
Photo_20210501091502

 三池高菜について,
「三池高菜は,明治時代に柳川藩主であった立花氏が柳川市三橋町に創設した『旧立花家農事試験場』で改良された品種です。中国の四川青菜と在来種の紫高菜を掛け合わせてつくられました。それが大牟田市の里山である三池山の麓で栽培されたことから,三池高菜と呼ばれるようになりました。三池高菜の油炒めは三池炭鉱の労働者たちに愛され,現在でも地元で愛されています。」
と紹介されています。

 三池高菜の油炒めは,かすてら饅頭と同様,三池炭鉱マンに愛され育まれた料理のようです。

 高菜の油炒めと言えば,紅生姜と並び,福岡とんこつラーメンの付け合わせとしてよく食べられていますが,この三池高菜も深く関わっているのではないかと思います。

 そんな高菜の油炒めを御紹介します。

(刻み高菜の具(包装))
Photo_20210501092001

 野口食品(大牟田市)の「刻み高菜の具」です。

(刻み高菜の具)
Photo_20210501092201

 三池高菜を細かく刻み,直火窯で甘辛く油炒めしたものです。

 ゴマがふんだんに使われているので香ばしく,甘辛い高菜の油炒めをほかほかのご飯にのせていただくと最高でした。

 お土産としてもおすすめです。


イカタル弁当(タル弁)

 続いて,知る人ぞ知る大牟田名物「イカタル弁当(タル弁)」を御紹介します。

 大牟田市新栄町にある「おべんとうタル助」を訪問し,イカタル弁当を味わってみることとしました。

 お店は西鉄・新栄町駅から歩いて数分の場所にあります。

(西鉄電車・新栄町駅ホーム)
Photo_20210501092601

 新栄町駅構内には,大蛇山の山車(だし)が展示されていました。

(大蛇山・山車(新栄町駅))
Photo_20210501092701

 勇壮な大蛇で,とても迫力がありました。

 新栄町駅を出てしばらく歩くと,「おべんとうタル助」がありました。

(「おべんとうタル助」店舗)
Photo_20210501093001

 お店の前には大勢の人が弁当が出来上がるのを待っておられ,地元で人気があることを実感しました。

 弁当のメニューを見ると,「のり弁」,「イカ弁」,「ミックス弁当(イカ+白身フライ)」などがありました。

 これらの弁当にはおかずにタルタルソースがかけられています。

 またトッピングもあり,タルタルソースを増量させた「タル増し」,「溺れ(タルタルかなり多め)」,「凪 -なぎ-(タルタル超上級者用)」,「タル別」などが用意されています。

(トッピングメニュー)
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 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 具が溺れるほどタルタルソースをかけてもらうことも可能なようです。

(タル溺れ)
Photo_20210501093601
 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 タルタルソース好きにはたまらない弁当です。

 私は「イカ弁」の「タル増し」を注文しました。

(イカ弁(タル増し)パッケージ)
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 包装紙をよく見ると,「イカ」に続けて,手書きで「タル増し」を示す「まし」と加筆されています。

 果たしてどんな状態になっているのか,ふたを開けてみましょう。

(イカ弁(タル増し))
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 想像どおりイカの唐揚げを覆い隠すほどたっぷりとタルタルソースがかけられています。

 白ご飯の上に有明産の海苔,その上にイカの唐揚げ,それにたっぷりのタルタルソースがかけられており,揚げちくわ,刻みたくあん,昆布の佃煮ものせられています。

 調味用の醤油も付いています。

 タルタルソースの中で泳いでいるイカの唐揚げを取り出してみます。

(イカの唐揚げとタルタルソース)
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 イカの足(ゲソ)の唐揚げが敷き詰められていました。

 サクサク・カリカリのゲソの唐揚げと,ゆで卵たっぷりで酸味とコクのあるタルタルソースがとてもよく合っていました。

 揚げちくわとタルタルソースの相性の良さも,御説明するまでもありません。

 「タルタルソースを増量させたので,もしかしたら食べ切れないかも…」と少し心配していたのですが,ご飯と一緒にいただくと,意外とさっぱりとしていて,どんどん食が進み,当初の心配をよそに完食しました。

 ご飯とイカの唐揚げとタルタルソースの一体感を味わう料理だと思いました。

 それにしても…挑戦する勇気がありませんでしたが,タルタル超上級者用の「凪(なぎ)」が気になります。

 「溺れ」を超えて穏やかな「凪」となる量のタルタルソースとは…穏やかなレベルではなさそうです(笑)


まとめ

 大牟田市は三池の山の幸,有明海の海の幸と,豊かな食に恵まれています。

 また三池炭鉱の発展と共に,全国の人々との交流も盛んになり,それがきっかけで独自の食文化も形成されました。

 大牟田ラーメン,「ダゴ」とも呼ばれるお好み焼,おおむた洋風かつ丼などは,まさに人々の往来が盛んになったことがきっかけで名物となった料理だと言えるでしょう。

 今回御紹介した大牟田の食は一部に過ぎませんが,どこか懐かしく,素朴で,地元住民にも愛されている料理・お菓子が多い印象を受けました。


<関連記事>
 「福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪1 -三池炭鉱で炭坑節を唄う-

<参考文献>
 「おおむた観光ガイドブック」(一社)大牟田観光協会・大牟田市観光おもてなし課
 「おおむた旅手帳」大牟田市観光おもてなし課

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