柚子果汁でマヨネーズを作る -柚子とマヨネーズの特徴を知る-
スパイスやハーブの魅力を紹介するグルメ漫画「ぴりふわつーん」の第1巻に,柚子の果汁で作る「柚子マヨネーズ」が紹介されています。
(ぴりふわつーん 第1巻 表紙)
(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)
(柚子マヨネーズ(漫画))
(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)
(柚子マヨネーズの作り方(漫画))
(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)
マヨネーズは一般的に,卵黄,酢,塩,植物油を使って作られるのですが,「柚子マヨネーズ」は,その酢の代わりに柚子の果汁を使って作ると紹介されているのです。
酸味を酢の代わりに柚子果汁を使うことで,柚子の香り高い,フレッシュなマヨネーズができそうです。
未知の味のマヨネーズに興味を持った私は,この柚子マヨネーズ作りに挑戦してみました。
柚子マヨネーズ作りに挑戦
(柚子)
柚子マヨネーズは,次の材料・分量で作ってみました。
(柚子マヨネーズ材料・分量)
卵黄:1個
柚子果汁:大さじ1(小さな柚子3個分)
塩:小さじ2分の1
植物油:100ml
(柚子を半分に切った様子)
柚子を絞るため,半分に切った様子です。
果実が少なく,種が多いです。
この柚子をレモン絞り器で絞って,柚子果汁を得ることとしました。
(柚子とレモン絞り器)
レモンを絞る要領で柚子果汁を抽出しました。
ボウルに卵黄,柚子果汁,塩を入れ,泡立て器やハンドミキサーでよく混ぜ合わせます。
(卵黄・柚子果汁・塩を混ぜ合わせる様子)
その後,植物油を少しずつ卵黄液に加えながら,ハンドミキサーで混ぜ合わせる作業を繰り返しました。
植物油を少し加えては混ぜ合わせ,少し加えては混ぜ合わせ…という作業を,計量カップに用意した植物油がなくなるまで,15分~20分程度行いました。
(卵黄液に少しずつ油を混ぜて乳化させる様子)
ハンドミキサーが高速回転するので,中身がボウルから飛び散って大変でした(笑)
材料を全て混ぜ終えた状態が次の写真です。
(柚子マヨネーズ完成(乳化した様子))
少しずつ混ぜ合わせた油が乳化し,もったりとした状態になっています。
出来上がった柚子マヨネーズをガラスのプリンカップに移し替えました。
(柚子マヨネーズ)
これ,プリンではありませんよ(笑)。柚子マヨネーズです。
ちょうどプリンカップ1個分の量ができました。
この柚子マヨネーズを,茹でたブロッコリーとアスパラガスにかけてみました。
(ブロッコリーとアスパラガス 柚子マヨネーズがけ)
まずは柚子マヨネーズだけでいただきました。
「うーん…」
確かにマヨネーズになっていたのですが,私が期待していたほどの柚子の風味はありませんでした。
「苦労した割には香りが…」という感想です。
食事後,もう一度柚子マヨネーズが紹介されている「ぴりふわつーん 第1巻」を読み直してみました。
するとこんな1コマがありました。
(柚子の特性(漫画))
(青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックスから一部引用)
この1コマに,柚子の特性について紹介されています。
「こいつ(柚子)は皮に『香りカプセル』を装備したニクいヤツなんですよ」
「香りのほとんどが皮の『油胞(ゆほう)』の中にあるので」
「それを潰すように絞るんですね」
つまり,柚子特有の香りは果実ではなく,皮の中にある「香りカプセル」にあるので,皮を潰すように絞らなければ,あの良い香りは出ないということなのです。
香り高い柚子マヨネーズを味わいたいという気持ちが強かった私は,再度,柚子の香りを引き出した果汁で柚子マヨネーズを作ってみることにしました。
柚子の香りが利かないなら,私だって融通が利きません。
柚子マヨネーズ作りに再挑戦
翌日,新たな気持ちで再挑戦です。
柚子の皮の中にある「香りカプセル」を潰すように,皮を下にして絞るとよいと紹介されているので,その方法で絞ってみました。
(皮を下にした柚子とレモン絞り器)
この状態でそのまま絞ると,柚子の果汁が飛び散ってしまいますので,ビニール袋をかけて行いました。
(レモン絞り器にビニール袋をかけた様子)
こうして皮と果実を一緒に,上からギュッギュッと果汁を押し出すような感じで柚子を絞りました。
そして,前回と同じ分量・方法でマヨネーズを作りました。
出来上がりがこちらです。
(香りを生かした柚子マヨネーズ完成)
前回より,ひと回り大きなボウルを使ったのですが,それでもやはり外に飛び散っています。
この柚子マヨネーズをプリンカップに注ぎ,冷蔵庫でしばらく寝かせました。
(香りを生かした柚子マヨネーズ)
これ,マンゴープリンではありませんよ(笑)
柚子の皮やワタも一緒に絞ったので,前回と比べて若干果汁の量が減り,その分マヨネーズの黄色味が強くなりました。
茹でた海老・ブロッコリーに出来上がった柚子マヨネーズをかけてみました。
(茹でた海老とブロッコリー 香りを生かした柚子マヨネーズがけ)
まずは柚子マヨネーズだけでいただきました。
確かに前回の柚子マヨネーズと比べると柚子の香りは高まっており,これならほかの人でも柚子のマヨネーズだとわかってもらえそうな感じでしたが,目が覚めるほど飛躍的に柚子の香りが増したわけではありませんでした。
今回の柚子マヨネーズは「ほのかに柚子の香りがする手作りマヨネーズ」という表現が合っていますが,茹でた野菜や海老などと一緒にいただくと,一味違う,コース料理の前菜にもできそうな上品な味に仕上がりました。
まとめ
今回初めて柚子マヨネーズを作りましたが,この経験で学んだことをまとめておきます。
・酢の代わりに,柚子など酸味のある柑橘を使ってマヨネーズが作ることができる
・柚子の香りは,果実ではなく皮の中の「香りカプセル」にある
・マヨネーズ作りに柚子果汁を使っても,その10倍近くの量の油を使うこととなるため,香りが前面に出ない
・逆に,グレープシードオイル,オリーブオイル,ゴマ油など使う油によって特徴のあるマヨネーズを作ることができる
・マヨネーズの「もったり感」は,主に油によるもので,油の量が少ないとマヨネーズソースになってしまう
こうした特徴を踏まえ,皆様もお好みのマヨネーズ作りに挑戦されてみてはいかがでしょうか。
日持ちせず,手間もかかりますが,手作りマヨネーズの味は格別ですよ。
<関連サイト>
「なるほど!マヨネーズの作り方」(キューピー株式会社)
<参考文献>
青木幸子「ぴりふわつーん 第1巻」芳文社コミックス
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ゆずといえば和食、マヨネーズといえば洋食のイメージがありますが、カツオの刺身に醤油とマヨネーズをつけて食べると結構美味しいですね^^
ゆずマヨネーズだともっとうまいと思いますが、レモンマヨネーズだとどうなんでしょうか?
ウチの関東風雑煮は、ゆずの皮を細かく刻んだ物を載せていただきますが、あると無しでは大違いです^o^
投稿: なーまん | 2021年5月29日 (土) 21時20分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
あーっ,そうですね!
ゆずと言えば高知,高知と言えばカツオ。
カツオ漁に出かけた漁師さんたちのまかないから生まれたと言われるカツオの刺身に醤油マヨネーズ。
これは間違いなく合いますね!
高知の郷土料理にもなりそうです。
柚子だけでなく,レモン果汁でもマヨネーズがきっとうまくできると思います。
関東風雑煮に細かく刻んだ柚子,これはとても美味しそうです!(^^)!
今回いただいたコメントは柚子の香りのように,パッと目が覚めた思いです。
さすが,ゆずの本場・横浜市磯子区岡村を取材されたなーまんさんは素晴らしい\(^o^)/
https://na-mannoeyelevel.hatenablog.com/entry/2021/02/21/114924
投稿: コウジ菌 | 2021年5月29日 (土) 22時00分
おはようございます。
柚子のすり下ろした皮を料理の上に散らしたら、柚子味は高まって、見た目的にも美しくなる気がしました(ミモザサラダのイメージ)。
酢の代わりに柑橘類を使えば、いろんな味のマヨネーズが作れますね。
…と思ったらすでに市販のすだちマヨとかぼすマヨが存在してました(笑)
投稿: chibiaya | 2021年5月30日 (日) 07時56分
chibiaya 様
chibiayaさん,おはようございます!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
確かに,柚子の皮をすりおろして添えるのが,柚子の香りを一番良く味わえる方法ですね。
今回私が作った柚子マヨネーズにも,すりおろした柚子の皮のレベルの香りがするのではないかと期待していたのですが,そこまではいきませんでした(^^ゞ
そして,見た目的にも映えますね。
せっかくマヨネーズ作ったなら,海老があれば見た目が映えるなと思い,仕事帰りにスーパーで買ってきたのですが,すりおろした柚子の皮を散らすことまでは思いつきませんでした。
chibiayaさんはいいセンスをお持ちです!
すだちマヨとかかぼすマヨ,そしてレモンマヨまで販売されているんですね!
そんなことを知らずに記事を作成したのですが(笑),こうしていただいたコメントから勉強できて嬉しいです\(^o^)/
投稿: コウジ菌 | 2021年5月30日 (日) 10時05分