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2021年5月 1日 (土)

福岡県大牟田市の食探訪2 -かすてら饅頭・三池高菜・イカタル弁当-

 福岡県の南部,大牟田市を訪問しました。

 大牟田と言えば,熊本県荒尾市にも広がる三池炭鉱(炭坑節),カルタ発祥の地,「大蛇山(だいじゃやま)」と呼ばれる大きなお祭りなどで有名な街です。

 また,三池炭鉱の発展とともに栄えてきた大牟田には,独自の食文化が育まれてきました。

 今回はそんな大牟田の食をいくつか御紹介したいと思います。


かすてら饅頭

 大牟田の「かすてら饅頭」は,明治初期に大牟田で誕生し,全国各地の有名銘菓のルーツとなっている饅頭です。

 大牟田駅の近くにある観光施設「おおむた観光案内所(大牟田観光プラザ)」で何種類か販売されていたので,購入しました。

(かすてら饅頭(包装))
Photo_20210501090201

 写真上から「菓舗だいふく」,写真右下が「城屋本店」,写真左下が「相川総本舗」のかすてら饅頭です。

(かすてら饅頭)
Photo_20210501090401

 こちらが「かすてら饅頭」です。

 砂糖,小麦粉,卵,はちみつなどで作られる生地に白あんを包み,焼き上げた饅頭です。

 お店によって,大きさや皮の色(生地の焼き加減)が若干異なります。

(かすてら饅頭(中身))
Photo_20210501090601

 中には,きめ細やかでさっくりとした食感の白あんがたっぷり入っています。

 「かすてら饅頭」という名称からは,広島の「もみじ饅頭」や東京の「人形焼」のようなふわっとした生地(皮)を想像しがちですが,実際はしっかりと焼き上げた生地(皮)となっています。

 生地(皮)は,一般的な栗饅頭,福岡・東京の「ひよ子」,香川の「名物かまど」・「灸まん」,島根の「どじょう掬いまんじゅう」などと似ています。

 三池の炭鉱マンたちも,この「かすてら饅頭」を食べて仕事の疲れを癒したことでしょう。

 「これぞ日本の饅頭」と言えるような,どこか懐かしさを感じる素朴な饅頭です。


三池高菜

 大牟田は「三池高菜」と呼ばれる高菜が特産品です。

 三池高菜を使ったお土産品もたくさん売られています。

 私は大牟田限定の「大牟田高菜めんべい」と「刻み高菜の具」を購入しました。

(大牟田高菜めんべい(箱))
Photo_20210501091501

 帰りの新幹線車内で撮影しました。

 「大牟田高菜めんべい」は,福岡のお土産として有名な山口油屋福太郎の「めんべい」シリーズの大牟田限定版です。

 箱に三池高菜についての説明書きがありました。

(三池高菜の説明書き(大牟田高菜めんべい))
Photo_20210501091502

 三池高菜について,
「三池高菜は,明治時代に柳川藩主であった立花氏が柳川市三橋町に創設した『旧立花家農事試験場』で改良された品種です。中国の四川青菜と在来種の紫高菜を掛け合わせてつくられました。それが大牟田市の里山である三池山の麓で栽培されたことから,三池高菜と呼ばれるようになりました。三池高菜の油炒めは三池炭鉱の労働者たちに愛され,現在でも地元で愛されています。」
と紹介されています。

 三池高菜の油炒めは,かすてら饅頭と同様,三池炭鉱マンに愛され育まれた料理のようです。

 高菜の油炒めと言えば,紅生姜と並び,福岡とんこつラーメンの付け合わせとしてよく食べられていますが,この三池高菜も深く関わっているのではないかと思います。

 そんな高菜の油炒めを御紹介します。

(刻み高菜の具(包装))
Photo_20210501092001

 野口食品(大牟田市)の「刻み高菜の具」です。

(刻み高菜の具)
Photo_20210501092201

 三池高菜を細かく刻み,直火窯で甘辛く油炒めしたものです。

 ゴマがふんだんに使われているので香ばしく,甘辛い高菜の油炒めをほかほかのご飯にのせていただくと最高でした。

 お土産としてもおすすめです。


イカタル弁当(タル弁)

 続いて,知る人ぞ知る大牟田名物「イカタル弁当(タル弁)」を御紹介します。

 大牟田市新栄町にある「おべんとうタル助」を訪問し,イカタル弁当を味わってみることとしました。

 お店は西鉄・新栄町駅から歩いて数分の場所にあります。

(西鉄電車・新栄町駅ホーム)
Photo_20210501092601

 新栄町駅構内には,大蛇山の山車(だし)が展示されていました。

(大蛇山・山車(新栄町駅))
Photo_20210501092701

 勇壮な大蛇で,とても迫力がありました。

 新栄町駅を出てしばらく歩くと,「おべんとうタル助」がありました。

(「おべんとうタル助」店舗)
Photo_20210501093001

 お店の前には大勢の人が弁当が出来上がるのを待っておられ,地元で人気があることを実感しました。

 弁当のメニューを見ると,「のり弁」,「イカ弁」,「ミックス弁当(イカ+白身フライ)」などがありました。

 これらの弁当にはおかずにタルタルソースがかけられています。

 またトッピングもあり,タルタルソースを増量させた「タル増し」,「溺れ(タルタルかなり多め)」,「凪 -なぎ-(タルタル超上級者用)」,「タル別」などが用意されています。

(トッピングメニュー)
Photo_20210501093401
 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 具が溺れるほどタルタルソースをかけてもらうことも可能なようです。

(タル溺れ)
Photo_20210501093601
 「おべんとうタル助」チラシから一部引用

 タルタルソース好きにはたまらない弁当です。

 私は「イカ弁」の「タル増し」を注文しました。

(イカ弁(タル増し)パッケージ)
Photo_20210501094001

 包装紙をよく見ると,「イカ」に続けて,手書きで「タル増し」を示す「まし」と加筆されています。

 果たしてどんな状態になっているのか,ふたを開けてみましょう。

(イカ弁(タル増し))
Photo_20210501094201

 想像どおりイカの唐揚げを覆い隠すほどたっぷりとタルタルソースがかけられています。

 白ご飯の上に有明産の海苔,その上にイカの唐揚げ,それにたっぷりのタルタルソースがかけられており,揚げちくわ,刻みたくあん,昆布の佃煮ものせられています。

 調味用の醤油も付いています。

 タルタルソースの中で泳いでいるイカの唐揚げを取り出してみます。

(イカの唐揚げとタルタルソース)
Photo_20210501094601

 イカの足(ゲソ)の唐揚げが敷き詰められていました。

 サクサク・カリカリのゲソの唐揚げと,ゆで卵たっぷりで酸味とコクのあるタルタルソースがとてもよく合っていました。

 揚げちくわとタルタルソースの相性の良さも,御説明するまでもありません。

 「タルタルソースを増量させたので,もしかしたら食べ切れないかも…」と少し心配していたのですが,ご飯と一緒にいただくと,意外とさっぱりとしていて,どんどん食が進み,当初の心配をよそに完食しました。

 ご飯とイカの唐揚げとタルタルソースの一体感を味わう料理だと思いました。

 それにしても…挑戦する勇気がありませんでしたが,タルタル超上級者用の「凪(なぎ)」が気になります。

 「溺れ」を超えて穏やかな「凪」となる量のタルタルソースとは…穏やかなレベルではなさそうです(笑)


まとめ

 大牟田市は三池の山の幸,有明海の海の幸と,豊かな食に恵まれています。

 また三池炭鉱の発展と共に,全国の人々との交流も盛んになり,それがきっかけで独自の食文化も形成されました。

 大牟田ラーメン,「ダゴ」とも呼ばれるお好み焼,おおむた洋風かつ丼などは,まさに人々の往来が盛んになったことがきっかけで名物となった料理だと言えるでしょう。

 今回御紹介した大牟田の食は一部に過ぎませんが,どこか懐かしく,素朴で,地元住民にも愛されている料理・お菓子が多い印象を受けました。


<関連記事>
 「福岡県大牟田市・熊本県荒尾市の食探訪1 -三池炭鉱で炭坑節を唄う-

<参考文献>
 「おおむた観光ガイドブック」(一社)大牟田観光協会・大牟田市観光おもてなし課
 「おおむた旅手帳」大牟田市観光おもてなし課

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コメント

カステラやかるかん、ザビエルは食べた事がありますが、かすてら饅頭は初めて知りました(^^)
カステラ饅頭で検索したら、浜松函館横浜といろいろ出て来ましたが、かすてらだと大牟田しかない様ですね^^
熊本ラーメンの「桂花」に以前、高菜の入った「阿蘇ラーメン」というメニューがありました^^
一押しは「太肉麺」ですが(^_^)

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

九州は南蛮菓子の影響を受けているからか,ハイカラなお菓子が多いですね。
カステラ饅頭だと浜松,函館,横浜など全国にあるのですね!
かすてら饅頭は大牟田が発祥とされますが,三池炭鉱の石炭が大牟田(三池港)から船で各地へ運送されたことから,函館や横浜など港町に伝わったのかも知れませんね。
私の方こそ,勉強になりました<(_ _)>

熊本ラーメン「桂花」,初めて知りました。
ネットで調べてみると,確かに高菜入りの阿蘇ラーメンがメニューにありますね!
大牟田市は熊本県との県境に位置する街ですが,熊本でも高菜の栽培が盛んなのですね。
あ,でも太肉麺も食べてみたいな(笑)
福岡・熊本地方で高菜が栽培され,ラーメンの具にもなっているということですね。
おかげさまで,こちらも勉強になりました。

> コウジ菌さん
おはようございます。
あんこの代わりにカステラが入った饅頭?のどに詰まりそうだなーと思ったら、
白あんでちょっと安心しました(笑)
これは間違いなく美味しい饅頭ですね。
タル弁、すごいですね。これこそカロリーを知らずに食べる方が幸せだろうな(笑)
揚げ物にタルタルソースって、なんであんなに美味しいんでしょうね~罪作りです。

chibiaya様

chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき、ありがとうございますo(^-^)o

かすてら饅頭、皮にカステラと同じ材料が使われているから呼ばれるようですが、中の白あんは水分がほとんどなく、慌てて食べると喉詰まらせるタイプです(笑)
栗饅頭に似ていて、美味しかったです。

タル弁、タルタルソースを多くかけたい一方で、カロリーが気になるという罪な弁当でしたが、実際食べてみると、全然しつこくなくて、たくさん食べられない私でも簡単に完食できたんですよ!
体力使って、がっつり食べたい時にはもってこいです。
油脂が増えるほど美味しく感じるものと割り切って食べてます(^^ゞ

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