鳥取の食文化探訪3 -もさ海老・ゴジラエビ・ねばりっこ・ばばあ(ばばちゃん)・うなぎ-
広島から高速バスを利用し,鳥取県鳥取市を訪問しました。
(鳥取駅前)
今回は,鳥取ならではの珍しい鮮魚や農産物の料理を御紹介したいと思います。
もさ海老の刺身
「もさ海老」は甘海老のような海老で,鮮度劣化が早いため,水揚げされた鳥取でしか味わえない「幻の海老」です。
その名前は,荒々しく無骨な見た目が「猛者(もさ)」を連想させることにちなんでいます。
そんな「もさ海老」の刺身をいただきました。
(もさ海老の刺身)
氷が敷き詰められた皿の上に,とりわけ大きくて新鮮な「もさ海老」が2尾のせられていました。
やわらかい殻をむき,わさびと醤油をつけていただきました。
まさに大きな甘海老という感じで,身がとろけるような甘さでした。
(もさ海老の卵)
お腹には,卵がたっぷりありました。
「もさ海老」の活け造りと言っても良いような,贅沢感のある美味しい刺身でした。
もさ海老の唐揚げ
続いて,「もさ海老」の頭や殻ごと揚げた「もさ海老の唐揚げ」をいただきました。
(もさ海老の唐揚げ)
「もさ海老」の頭や殻は柔らかいので,揚げれば丸ごと食べることができます。
パリパリと香ばしい頭や殻と,甘海老のような柔らかくて甘味のある身を一緒に楽しめました。
最初にいただいた先付でも,「刺身の和え物」や「たこの酢味噌和え」とともに「もさ海老の唐揚げ」をいただき,鳥取の「もさ海老」を堪能しました。
(先付)
鳥取市内の飲食店を見て回りましたが,「もさ海老」料理はいろんなお店で御用意されていました。
ゴジラエビの天ぷら
「ゴジラエビ」は,「イバラモエビ」の別名です。
カニ漁などで一緒に水揚げされます。
その名前は,鋭い棘(とげ)があり,「イバラ」や「ゴジラ」を連想させることに由来します。
「もさ海老」よりも更にインパクトのある名前です。
天ぷらを注文しました。
(ゴジラエビの天ぷら)
大きな「ゴジラエビ」の身の天ぷらと,殻の素揚げ,それにゴボウと椎茸の天ぷらの盛り合わせでした。
身が大きいので,天ぷらもボリュームがあります。
ただ,その名前とは裏腹に,甘くてやわらかく,食べ応えのある海老でした。
ねばりっこの唐揚げ
「ねばりっこ」は鳥取県だけで生産されている長芋で,主に鳥取県北栄町で栽培されています。
北栄町と言えば,名探偵コナンの街。コナンもきっと「ねばりっこ」が大好きでしょう。
砂丘地帯で作られる長芋は,土に比べて抵抗が少ないことから,まっすぐ,すくすくと成長します。
そんな「ねばりっこ」の唐揚げです。
(ねばりっこ唐揚げ)
「ねばりっこ」を太く縦長に切り,軽く片栗粉をまぶして揚げた料理です。
のり塩でいただきました。
口の中で,アツアツ,サックリ,ホクホクという順に食感を楽しめました。
シンプルで直球勝負,山芋の持つ力強さと素朴な美味しさを堪能できる一品でした。
ばばあのフライ
鳥取には,「ばばあ」,「ばばちゃん」という愛称で呼ばれる魚がいます。
「タナカゲンゲ(田中玄華)」という,底引き網漁やカニ漁などで水揚げされる深海魚です。
(ばばちゃんなど鳥取・兵庫(日本海側)の魚介類)
「旬魚たつみ」・お品書きの一部を引用
こちらも「ゴジラエビ」と同様,見た目にちなんだ名前と言われています。
「ゴジラ」とか「ばばあ」とか,ハッと驚くような名前の魚介が多いですね(笑)
私は,鳥取県岩美町などに「ばばあ鍋」と呼ばれる郷土料理があることを知ってから,いつか「ばばあ」と呼ばれる魚を味わってみたいと思っていました。
今回のお店も,岩美町で「ばばあ」を味わえるお店としてみつけたもので,鳥取市内にも同じお店があることを知って訪問しました。
とは言え,私が鳥取を訪問したのは5月初めで,冬場がシーズンの「ばばあ」は時期外れだったため,あきらめていました。
ところが,お店で「本日のお品書き」を見ると,あったのです「ばばあのフライ」が。
揚げ物ばかりになることなどお構いなしに,ワクワク期待しながら注文しました。
(ばばあのフライ)
ババァーンと大きなフライが登場しました。
元が大きな魚なのでしょう。
中濃ソースとタルタルソースでいただきました。
(ばばあのフライ(拡大))
サックリと揚げられた衣に,みずみずしく,ふわふわした白身が包まれていました。
タラやアンコウに似た,とてもジューシーでやわらかい白身でした。
嚙み締めるたびに,口の中で甘みと旨みが凝縮された汁がほとばしり,幸せを感じました。
確かに鍋にしても美味しそうです。
鳥取ならではの旬の魚として,おすすめです。
ひつまぶし
漁獲量の減少が続いて「うなぎのぼり」に価格が上昇し,高嶺の花となった「うなぎ」。
そんなうなぎの「ひつまぶし」が,〆の食事として950円で紹介されていたので,「本当にこの値段で味わえるのだろうか」と半信半疑で注文しました。
(ひつまぶし(セット))
熱々の石焼き鍋にデーンと豪華なひつまぶし。
海苔の味噌汁,生卵(黄身),刻み海苔,おろしわさびがセットになっています。
しゃもじでかき混ぜ,小さな茶碗によそっていただけるように用意されていました。
うなぎの蒲焼に黄身をのせ,刻み海苔をかけました。
(ひつまぶし)
輝きを増した「ひつまぶし」です。
私の瞳はそれ以上に輝きを増しましたが(笑)
甘辛のたれがまぶされたご飯の底には,香ばしい「おこげ」ができており,うなぎの蒲焼と一緒に美味しくいただきました。
まとめ
今回いただいた鳥取の新鮮な魚介や農産物の料理は,まさに感動の連続でした。
お店を後にし,お腹いっぱい食べて幸せになった私は,いい気分で夜の鳥取市街を散歩しました。
(風紋広場「TOTTORI」ライトアップ)
「食のみやこ 鳥取県」は本物だと実感しました。
「ほっぺ焼」,「砂丘(美人)らっきょう」,「すなば珈琲」,「もさ海老」,「砂たまご」,「砂プリン」,「ゴジラエビ」,「ねばりっこ」,「ばばあ(ばばちゃん)」…食もネーミングも「うまい」鳥取県で,実際にそのうまさを味わってみてください。
コナンや鬼太郎にも出会えますよ!
<関連サイト>
「モサエビ」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
「ながいも」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
「ばばちゃん」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
「旬魚たつみ」(「鳥取店」鳥取県鳥取市弥生町347ほか)
<関連記事>
「鳥取の食文化探訪1 -ほっぺ焼・砂丘らっきょう・美人らっきょうチョコレート-」
「鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご-」
<参考文献>
尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
「まっぷる 鳥取・大山・境港 三朝温泉・蒜山高原 ’21」昭文社
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