« 鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご- | トップページ | 山陰本線の観光列車「あめつち」の旅(鳥取駅-倉吉駅編)-あめつちどら焼き・ホットコーヒー- »

2021年6月27日 (日)

鳥取の食文化探訪3 -もさ海老・ゴジラエビ・ねばりっこ・ばばあ(ばばちゃん)・うなぎ-

 広島から高速バスを利用し,鳥取県鳥取市を訪問しました。

(鳥取駅前)
Photo_20210626165201

 今回は,鳥取ならではの珍しい鮮魚や農産物の料理を御紹介したいと思います。


もさ海老の刺身

 「もさ海老」は甘海老のような海老で,鮮度劣化が早いため,水揚げされた鳥取でしか味わえない「幻の海老」です。

 その名前は,荒々しく無骨な見た目が「猛者(もさ)」を連想させることにちなんでいます。

 そんな「もさ海老」の刺身をいただきました。

(もさ海老の刺身)
Photo_20210626165401

 氷が敷き詰められた皿の上に,とりわけ大きくて新鮮な「もさ海老」が2尾のせられていました。

 やわらかい殻をむき,わさびと醤油をつけていただきました。

 まさに大きな甘海老という感じで,身がとろけるような甘さでした。

(もさ海老の卵)
Photo_20210626165601

 お腹には,卵がたっぷりありました。

 「もさ海老」の活け造りと言っても良いような,贅沢感のある美味しい刺身でした。


もさ海老の唐揚げ

 続いて,「もさ海老」の頭や殻ごと揚げた「もさ海老の唐揚げ」をいただきました。

(もさ海老の唐揚げ)
Photo_20210626165701

 「もさ海老」の頭や殻は柔らかいので,揚げれば丸ごと食べることができます。

 パリパリと香ばしい頭や殻と,甘海老のような柔らかくて甘味のある身を一緒に楽しめました。

 最初にいただいた先付でも,「刺身の和え物」や「たこの酢味噌和え」とともに「もさ海老の唐揚げ」をいただき,鳥取の「もさ海老」を堪能しました。

(先付)
Photo_20210626165901

 鳥取市内の飲食店を見て回りましたが,「もさ海老」料理はいろんなお店で御用意されていました。


ゴジラエビの天ぷら

 「ゴジラエビ」は,「イバラモエビ」の別名です。

 カニ漁などで一緒に水揚げされます。

 その名前は,鋭い棘(とげ)があり,「イバラ」や「ゴジラ」を連想させることに由来します。

 「もさ海老」よりも更にインパクトのある名前です。

 天ぷらを注文しました。

(ゴジラエビの天ぷら)
Photo_20210626170301

 大きな「ゴジラエビ」の身の天ぷらと,殻の素揚げ,それにゴボウと椎茸の天ぷらの盛り合わせでした。

 身が大きいので,天ぷらもボリュームがあります。

 ただ,その名前とは裏腹に,甘くてやわらかく,食べ応えのある海老でした。


ねばりっこの唐揚げ

 「ねばりっこ」は鳥取県だけで生産されている長芋で,主に鳥取県北栄町で栽培されています。

 北栄町と言えば,名探偵コナンの街。コナンもきっと「ねばりっこ」が大好きでしょう。

 砂丘地帯で作られる長芋は,土に比べて抵抗が少ないことから,まっすぐ,すくすくと成長します。

 そんな「ねばりっこ」の唐揚げです。

(ねばりっこ唐揚げ)
Photo_20210626193701

 「ねばりっこ」を太く縦長に切り,軽く片栗粉をまぶして揚げた料理です。

 のり塩でいただきました。

 口の中で,アツアツ,サックリ,ホクホクという順に食感を楽しめました。

 シンプルで直球勝負,山芋の持つ力強さと素朴な美味しさを堪能できる一品でした。


ばばあのフライ

 鳥取には,「ばばあ」,「ばばちゃん」という愛称で呼ばれる魚がいます。

 「タナカゲンゲ(田中玄華)」という,底引き網漁やカニ漁などで水揚げされる深海魚です。

(ばばちゃんなど鳥取・兵庫(日本海側)の魚介類)
Photo_20210626194001
 「旬魚たつみ」・お品書きの一部を引用

 こちらも「ゴジラエビ」と同様,見た目にちなんだ名前と言われています。

 「ゴジラ」とか「ばばあ」とか,ハッと驚くような名前の魚介が多いですね(笑)

 私は,鳥取県岩美町などに「ばばあ鍋」と呼ばれる郷土料理があることを知ってから,いつか「ばばあ」と呼ばれる魚を味わってみたいと思っていました。

 今回のお店も,岩美町で「ばばあ」を味わえるお店としてみつけたもので,鳥取市内にも同じお店があることを知って訪問しました。

 とは言え,私が鳥取を訪問したのは5月初めで,冬場がシーズンの「ばばあ」は時期外れだったため,あきらめていました。

 ところが,お店で「本日のお品書き」を見ると,あったのです「ばばあのフライ」が。

 揚げ物ばかりになることなどお構いなしに,ワクワク期待しながら注文しました。

(ばばあのフライ)
Photo_20210626194901

 ババァーンと大きなフライが登場しました。

 元が大きな魚なのでしょう。

 中濃ソースとタルタルソースでいただきました。

(ばばあのフライ(拡大))
Photo_20210626195101

 サックリと揚げられた衣に,みずみずしく,ふわふわした白身が包まれていました。

 タラやアンコウに似た,とてもジューシーでやわらかい白身でした。

 嚙み締めるたびに,口の中で甘みと旨みが凝縮された汁がほとばしり,幸せを感じました。

 確かに鍋にしても美味しそうです。

 鳥取ならではの旬の魚として,おすすめです。


ひつまぶし

 漁獲量の減少が続いて「うなぎのぼり」に価格が上昇し,高嶺の花となった「うなぎ」。

 そんなうなぎの「ひつまぶし」が,〆の食事として950円で紹介されていたので,「本当にこの値段で味わえるのだろうか」と半信半疑で注文しました。

(ひつまぶし(セット))
Photo_20210626215001

 熱々の石焼き鍋にデーンと豪華なひつまぶし。

 海苔の味噌汁,生卵(黄身),刻み海苔,おろしわさびがセットになっています。

 しゃもじでかき混ぜ,小さな茶碗によそっていただけるように用意されていました。

 うなぎの蒲焼に黄身をのせ,刻み海苔をかけました。

(ひつまぶし)
Photo_20210626215301

 輝きを増した「ひつまぶし」です。
 私の瞳はそれ以上に輝きを増しましたが(笑)

 甘辛のたれがまぶされたご飯の底には,香ばしい「おこげ」ができており,うなぎの蒲焼と一緒に美味しくいただきました。


まとめ

 今回いただいた鳥取の新鮮な魚介や農産物の料理は,まさに感動の連続でした。

 お店を後にし,お腹いっぱい食べて幸せになった私は,いい気分で夜の鳥取市街を散歩しました。

(風紋広場「TOTTORI」ライトアップ)
Photo_20210626215701

 「食のみやこ 鳥取県」は本物だと実感しました。

 「ほっぺ焼」,「砂丘(美人)らっきょう」,「すなば珈琲」,「もさ海老」,「砂たまご」,「砂プリン」,「ゴジラエビ」,「ねばりっこ」,「ばばあ(ばばちゃん)」…食もネーミングも「うまい」鳥取県で,実際にそのうまさを味わってみてください。

 コナンや鬼太郎にも出会えますよ!


<関連サイト>
 「モサエビ」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
 「ながいも」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
 「ばばちゃん」(「食のみやこ 鳥取県」鳥取県)
 「旬魚たつみ」(「鳥取店」鳥取県鳥取市弥生町347ほか)

<関連記事>
 「鳥取の食文化探訪1 -ほっぺ焼・砂丘らっきょう・美人らっきょうチョコレート-
 「鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご-

<参考文献>
 尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教えるご当地グルメの地理学」ベレ出版
 「まっぷる 鳥取・大山・境港 三朝温泉・蒜山高原 ’21」昭文社

« 鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご- | トップページ | 山陰本線の観光列車「あめつち」の旅(鳥取駅-倉吉駅編)-あめつちどら焼き・ホットコーヒー- »

日本各地の食文化」カテゴリの記事

コメント

タイトルを拝見して「モスラエビ、ゴジラエビ、砂かけババア、うなぎ犬」を連想しました^o^
ネーミングやタイトルは大事ですね^^
まずは注目されないと(^_^)
鳥取でしか食べられない!と言われると行きたくなるし(^。^)
写真もとても美味しいそうに撮れてますね(^_^)v
飯櫃に入っているからひつまぶしだと思っていましたが、料理などの文化はこうやってバリエーションを広げてゆくのでしょうね^^

なーまん 様

なーまんさん,こんにちは!
早速コメントをいただき,ありがとうございます。

「モスラエビ、ゴジラエビ、砂かけババア、うなぎ犬」…笑いが止まりません( *´艸`)
確かに,そんな感じに見えますね(笑)
鳥取の人々はネーミングで引き寄せるのがお得意なのだと思います。

これまで御紹介した鳥取の食は,鳥取でしか食べられないものも多く,それを食べに行くだけでも価値のあるような,新鮮で美味しいものばかりでした。
今回のお店は,なーまんさんにもおすすめしたいなと思いながら記事を書きました。
新鮮で,美味しくて,良心的なお値段のお店でした。

写真,なーまんさんには及びませんが,そのなーまんさんにお褒めいただき,とても嬉しいです。

ひつまぶし,おっしゃるとおり普通はおひつに入っており,今回のは石焼きビビンバに近いですが(笑),それだけに熱々でおこげもできて,香ばしいうなぎ飯をいただくことができました。
美味しさから申し上げて,これはこれで「あり」だと思います。
ひまつぶしに考えられたアイデアではない…と思います(^^ゞ

日本海に面しているだけあって、やっぱり海の幸が豊富なんですね。
ばばちゃんの名前は見た目が由来って、ずいぶんひどい(笑)
じじちゃんやじじいじゃダメなのか?!(笑)
イラストは可愛らしい感じに見えましたが、ググって画像を見たら
かなり特徴のある顔(特に正面)した魚で笑っちゃいました。

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)

鳥取は,海の幸が豊富で,新鮮で,しかもお安いので,欲張って色々食べました。

ばばちゃん,ユニークなネーミングですよね。
あっ,「おじさん」と呼ばれる魚もいるようですよ(笑)
https://macaro-ni.jp/34353
こちらの魚はヒゲがあるからそう呼ばれるようです。
実はこの魚もいつか味わってみたいと思っています(^^ゞ

ばばちゃん,身がフワフワととても柔らかく,美味しい魚でした。
私も気になって,ばばちゃんの顔の画像を見ましたが,とても愛嬌のある,悪さをしそうにない顔してますね(笑)
一般的にはあまり流通してないと思いますが,鳥取に行かれることがあればお試しください(^^)/

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 鳥取の食文化探訪2 -すなば珈琲・もさ海老ブラックカレー・砂たまご- | トップページ | 山陰本線の観光列車「あめつち」の旅(鳥取駅-倉吉駅編)-あめつちどら焼き・ホットコーヒー- »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ