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2021年10月

2021年10月31日 (日)

BISTRO de SKY -JALの機内食オリジナルメニュー(賛否両論監修 牛すき焼き重・和風カレー重・塩だれ焼鳥重)-

日本航空(JAL)の機内食「BISTRO de SKY」

 日本航空(JAL)は,2021年7月21日から通販サイトで機内食の販売を開始されています。

 「BISTRO de SKY(ビストロですかい)」という名称で,北海道・九州・和食・洋食・人気和食店など,テーマを決めて販売されているのが特徴です。

 6食セット(3種類の機内食が2食ずつ)と12食セット(3種類の機内食が4食ずつ)が用意されており,お試しで購入するか,まとめてお得に購入するかを選ぶことができます。

 また,機内で提供されているビーフコンソメスープが付いてくる特典もあります。

 さらに,3種類の機内食のうちの1種類は,「TABLE FOR TWO(二人のための食卓)」プログラム参画メニューとなっており,1食につき20円(給食1食分)が開発途上国の子供たちに贈られるしくみとなっています。


通販サイトで機内食を購入

 JALの通販サイト「JALショッピング」で機内食について調べてみると,人気和食店「賛否両論」の笠原将弘氏監修の機内食セットが販売されていました。

 機内食で笠原将弘さん監修の料理が味わえることに興味を持ち,通販サイトでの機内食購入にチャレンジしました。

 しかしながら,人気が高くてなかなか注文できない状況が続きました。

 そんな感じで何度かJALの通販サイトを訪問していたところ,ある日たまたま機内食の注文ページが「カートに入れる」ボタン(注文可能な状態)になっていたので,「今がチャンス」と注文ボタンをクリックしました。

 購入した機内食は,「<BISTRO de SKY>賛否両論監修 機内食オリジナルメニュー(6食セット)」という商品で,JAL機内食第二弾のものです。

 梱包配送料込みで税込5,890円。6食セットなので,1食あたり約980円でした。


機内食到着

 注文後,半月近く経っても商品発送の連絡がなかったので,少し心配になっていた頃,「JALショッピング」から商品発送メールが届きました。

 その数日後,宅配便(クール便)で,自宅に機内食のセットが届けられました。

【空港ロビーのチャイム】
 ピーン ポーン パーン ポォーン
【アナウンス】
 「到着便の御案内をいたします。東京からの『日本航空 機内食』便は,ただいま到着致しました。」

 早速,自宅の保安検査場へ持っていき,ワクワクしながら段ボール箱を開けてみました。

(JAL機内食・通販・梱包)
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 「牛すき焼き重」2食,「和風カレー重」2食,「塩だれ焼鳥重」2食の計6食分が梱包されていました。

 調理方法の案内も同梱されていました。

 おすすめの調理方法は,「24時間冷蔵解凍後,フタを点線まで開けた状態で,電子レンジ(500W)で3分加熱する」というものです。

 JALの機内食のパッケージは,レトルトご飯と同様,フタを少し開けた状態で水蒸気を適度に逃しながら加熱するしくみとなっています。

(JAL機内食パッケージ)
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 ANA機内食との違いは,フタの作りの違いから,電子レンジでフタを閉めたまま加熱する(ANA)か,少し開けて加熱する(JAL)かだけで,あとは同じ調理法となっています。

(JAL機内食パッケージ(トレー))
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 パッケージのトレー部分は,JALをイメージさせる赤色で,「JAL」と刻印されています。

 それでは,今回の機内食を個別に御紹介したいと思います。


そぼろと味わう牛すき焼き重

 最初に「そぼろと味わう牛すき焼き重」を御紹介します。

 端のフタを少し開けて,電子レンジで加熱しました。

 出来上がりがこちらです。

(そぼろと味わう牛すき焼き重(JAL機内食))
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 フタをした状態で電子レンジで加熱することにより,熱が全体に行き渡り,ご飯も程良く蒸らされました。

 ご飯に牛肉のすき焼きと玉子そぼろがのせられたお重です。

 すき焼きには,絹さやと山ゼリがのせられ,焼き豆腐煮,ささがきごぼう煮,シイタケ煮,しそ風味の大根漬けが添えられています。

 すき焼きは,牛肉と玉ねぎのほか,そぼろ状に細かく刻んだタケノコ・シイタケ・油揚げをたまり醤油と砂糖でじっくり煮込んだもので,見た目も食欲をそそりました。

 黄色が映える玉子そぼろは甘めの味付けで,すき焼きと交互にいただくことによって味にメリハリができ,最後まで美味しくいただくことができました。

 焼き豆腐煮,ささがきごぼう煮,シイタケ煮は,すき焼きの具のイメージで,おかずとしていただきました。

 一旦冷凍された豆腐が,電子レンジで加熱後に元のふんわりとした豆腐に戻っているのが不思議でした。

 ご飯もふっくらとして粘りがある,炊飯器で炊いたご飯と変わらないレベルの仕上がりで,「ベチャベチャで普段食べているご飯には程遠いけど,機内でご飯が提供されるだけでもありがたい」レベルのご飯は,もはや過去のものとなっていることを実感しました。

 牛丼と言うよりは「すき焼き重」と呼ぶ方が合う,和食の流れを汲んだ上品な料理でした。


かつおだし香るまろやか和風カレー重

 続いては「かつおだし香るまろやか和風カレー重」を御紹介します。

(かつおだし香るまろやか和風カレー重(JAL機内食))
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 トレーの半分がご飯,半分がカレーという盛り付けで,彩りも美しいお重です。

 ご飯は,白ご飯の上に玉子と鶏肉のそぼろがのせられています。

 カレーには,野菜(人参,タケノコ,カボチャ,レンコン)の素揚げと茹でたほうれん草がのせられています。

(かつおだし香るまろやか和風カレー重・拡大(JAL機内食))
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 玉子そぼろや甘めに炊かれた鶏そぼろは,それとご飯だけでも十分美味しくいただける仕上がりでした。

 そしてカレーですが,ネーミングからイメージしたのは和風だしをきかせた「お蕎麦屋さんのカレー」でした。

 いただくとイメージどおりの味で,日本人好みの,かつおだし香るまろやかな味わいのカレーでした。

 やさしい味わいの和風カレーだからこそ,そぼろご飯や野菜の素揚げ,茹でたほうれん草など繊細な味わいの料理と良く合い,美味しさの相乗効果が生み出されていると思いました。


きんぴらと彩り野菜の塩だれ焼鳥重

 最後に「きんぴらと彩り野菜の塩だれ焼鳥重」を御紹介します。

 笠原将弘さんのお父様が焼き鳥店を営まれ,御本人もその焼き鳥店を受け継いでスタートされた経緯もあって,焼き鳥やつくねは看板メニューの1つとなっています。

 その塩だれ焼き鳥とつくねが入った,笠原将弘さんらしさが詰められたお重です。

(きんぴらと彩り野菜の塩だれ焼鳥重(JAL機内食))
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 白ご飯の上に錦糸玉子が敷かれ,塩だれ焼き鳥,鶏のつくね,シイタケ煮,野菜の素揚げ(人参,玉ねぎ,ししとう),きんぴらごぼう,しそ風味大根漬けがのせられています。

 焼き鳥と鶏のつくねは,粒こしょう入りのトロッとした塩だれに包まれていました。

 鶏のつくねは,香り高い柚子の風味も楽しめました。

 白ご飯にタレはかけられておらず,味付けは塩だれの一本勝負なのですが,この塩だれが鶏の旨味を最大限引き出す役割を果たしていました。

 きんぴらごぼうは,太めに切られたごぼうと人参に甘辛い醤油の煮汁がしっかりとしみ込んでおり,これだけでもご飯のおかずになる一品でした。

 この機内食は「TABLE FOR TWO」プログラム参加商品となっており,ちょっぴり良いことをした気持ちになりました。


ビーフコンソメスープ

 機内食と一緒にJALオリジナルのビーフコンソメスープをいただきました。

(ビーフコンソメスープ(JAL)
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 JAL機内のドリンクサービスで味わえるビーフコンソメスープです。

 牛肉のエキスが詰まったコクのあるコンソメスープで,機内食の気分をより一層盛り立ててくれました。


まとめ

 JAL機内食を3種類いただいてみて,そのクオリティの高さに驚きました。

 時代の流れや技術進歩と共に,航空会社は全クラスの機内食で,単にお客様に食事の機会を提供するだけでなく,さらに一歩進めて,料理を味わい楽しんでもらうコンセプトまで重視されるようになったことを実感しました。

 飛行機は,もはや単なる移動手段ではなく,乗客に乗ること自体も楽しんでもらえる移動空間となっているのです。

 機内食の時間は,国際線や上位クラスの国内線など,乗客にとって特別なひとときでもあります。

 機内食を提供される航空会社も,それを味わう乗客も,そのひとときを大切にする気持ちが,旅の楽しみや思い出につながるのではないでしょうか。


【「JET STREAM」のテーマ曲「ミスター・ロンリー」の曲とともに…】
 お伝えしておりますこの記事が,美しくあなたの夢に溶け込んでいきますように…。
 日本航空・JALショッピングがお送りする機内食の宅配便,「BISTRO de SKY」。
 機内食フライトのお供をしましたパイロットは,わたくしコウジ菌でした。


 賛否両論の御感想,お待ちしております。


<関連サイト>
 「JALショッピング」(JAL機内食の通販サイト)
 「賛否両論」(恵比寿店:東京都渋谷区恵比寿2-14-4 ほか)
 「JET STREAM(ジェットストリーム)」(TOKYO FM AND JAPAN FM NETWORK)

<関連記事>
 「機内食の事例紹介 -搭乗時間帯による機内食の比較-
 「おうちで機内食 -ANA国際線エコノミークラス機内食(シーフードドリア・紅鮭の彩りご飯・天丼)-

2021年10月24日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力1 -ジャルダンプレート・ピスタチオのムース・黒ねこクッキー・白磁彩菓・トンバイ有田-

 芸術の秋がやってきました。

 私は休暇を利用して,広島市内の美術館・カフェめぐりをしました。

 平日に美術館でゆっくりと芸術の世界に浸り,併設のカフェでのんびりと過ごすことへの憧れもありました。

 今回は広島市中区にある「ひろしま美術館」と「広島県立美術館」,そして併設のカフェを御紹介したいと思います。


ひろしま美術館「シダネルとマルタン展」

 広島市中区基町にある「ひろしま美術館」を訪問しました。

 平日の朝,通勤・通学時間帯に,仕事を忘れて普段着で美術館へ行けるとは,とても贅沢な気分です。

 ひろしま美術館へ到着すると,特別展「シダネルとマルタン展」(2021年9月11日~10月24日)の案内がありました。

(ひろしま美術館・特別展案内)
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 「あ,あった,あった」

(「シダネルとマルタン展」特別メニュー案内)
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 見つけたのは端っこにあった特別メニューの小さな案内板です。

 私の一番の目的はこちらです(笑)

 「シダネルとマルタン展」にちなんだケーキがあることがわかり,意気揚々と構内に入りました。

 正面玄関横には,フランス・日本・ひろしま美術館の旗が掲揚されていました。

(フランス・日本・ひろしま美術館の旗)
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 アンリ・ル・シダネル(Henri Le Sidaner)とアンリ・マルタン(Henri Martin)は,いずれもフランスを中心に活躍した画家です。

 その特徴から「最後の印象派」・「アンティミスム(親密派)」・「象徴主義」・「ベル・エポック」の画家と呼ばれています。

 私は,「アンスティチュ・フランセ 東京」の書店やブラッスリーを何度か訪問したことがあるのですが,今回の特別展で「アンスティチュ・フランセ日本」が後援されていたことも,美術館へ足を運んでみようと思ったきっかけの1つでした。

(アンスティチュ・フランセ 東京)
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 エントランスで受付を済ませ,入館しました。

(ひろしま美術館・本館)
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 中央の薄緑色の屋根は,原爆ドームをイメージした丸いドームになっています。

 出品リストを片手に,約70点の作品を見てまわりました。

 その中で私が特に印象に残ったのは,シダネルの「ジェルブロワ,青い食卓」と「ジェルブロワ,胸像」,マルタンの「マルケロルの池」と「コリウール」でした。

 その後,常設展の絵画も鑑賞したのですが,フランスの近代絵画を中心に,ドラクロワ,ミレー,マネ,ドガ,モネ,ルノワール,ロートレック,ピカソ,ゴーギャン,マリー・ローランサン,レオナール・フジタ(藤田嗣治)など有名な画家の作品がたくさん展示されており,こちらも感動の連続でした。

 ミュージアムショップでは,シダネルの「ジェルブロワ,青い食卓」と,レオナール・フジタの「三王礼拝」・「十字架降下」・「受胎告知」の絵葉書を購入しました。


ひろしま美術館の「カフェ・ジャルダン」

 約1時間ほど絵画を観賞した後,休憩も兼ねて,館内のカフェ「カフェ・ジャルダン(Café Jardin)」へ行きました。

(カフェ・ジャルダン)
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 白と赤が基調のオーブンテラス付きカフェです。

 まるでパリのカフェのようです。

 私は庭の眺めがよい店内テーブル席で,軽食とコーヒー・お菓子をいただきました。


【ジャルダンプレート】

 食事でいただいたのは,サンドイッチのセット「ジャルダンプレート」です。

 サンドイッチのメニューは季節ごと・特別展ごとに変わるようで,今回は「スモークサーモンとアボカドのサンド」でした。

(ジャルダンプレート(スモークサーモンとアボカドのサンド))
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 背景は,黒ねこ(ひろしま美術館所蔵のゴッホ「ドービニーの庭」に描かれていた猫)とジャルダン(庭)です。

 「アンデルセン」のパンが使われ,中の具はスモークサーモン,アボカド,レタス,そしてシソの葉でした。

 スモークサーモンとアボカドの組合せは,サンドイッチの王道を行く美味しさです。

 シソの葉がはさまれているのが意外でしたが,これが良いアクセントになっていました。

 レタスが新鮮でシャキシャキだったことと,マヨネーズが全体のサンドイッチの味をうまくまとめていたことも印象的でした。

 サンドイッチのほかにも,トマトスープ,ポテトサラダ,ヨーグルトがセットになっていました。

 トマトスープは,角切りの玉ねぎやにんじんがトマトと一緒にじっくりと煮込まれたスープでした。

 ポテトサラダは,サイコロ状に角切りされたポテトをマヨネーズなどで和えたもので,ナッツが入れられていることでコクとうまみが増していました。

 ヨーグルトは,プレーンヨーグルトにイチゴジャムとミントの葉が添えられたもので,デザート感覚でいただきました。

 飲み物付きのセットを注文したのですが,ドリンクは食後に単品のデザートと一緒に出していただきました。


【ピスタチオのムース~陽だまりの花束~】

 食後のデザートとして,「シダネルとマルタン展」特別メニューのムースケーキとコーヒーをいただきました。

 ムースケーキは,ベリーのムースとピスタチオのムースの2種類が用意されていたので,私はピスタチオのムースを注文しました。

(特別メニューのムースケーキとコーヒー)
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 ムースケーキは,特別展のために用意された期間限定メニューです。

(ピスタチオのムース~陽だまりの花束~)
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 アンリ・マルタンの色彩をイメージしたムースケーキ「ピスタチオのムース~陽だまりの花束~」です。

 ピスタチオの風味とコクがしっかりと感じられる,とてもなめらかな食感のムースでした。

(ピスタチオのムース~陽だまりの花束~(中身))
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 ムースにのせられた赤い花束は,ラズベリーで淡く色づけられたクリームです。

 土台はスポンジケーキで,中には赤いイチゴのジュレが入っていました。

 イチゴのジュレの酸味と甘味が,ピスタチオのムースに変化とアクセントを与えていました。

 ピスタチオのムースだけでも嬉しいぐらい,ピスタチオの香り豊かな美味しいケーキでした。

 印象派らしく,とても印象に残ったケーキです。


【黒ねこクッキー】

 お土産として「カフェ・ジャルダン」のキャラクターでもある「ドービニーの庭」の黒ねこのクッキーを買いました。

(黒ねこクッキー)
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 長さ約8cmの大きなクッキーです。

 白いバタークッキーの上に黒いカカオパウダー入りクッキーがのせられた二層構造で,ねこの目の部分だけ白いバタークッキーが見えるようにデザインされています。

 ひろしま美術館のお土産としても喜ばれるでしょう。


広島県立美術館「はるかなる古伊万里 400年の物語」

 続いて徒歩で広島県立美術館へ行きました。

(広島県立美術館)
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 広島県立美術館では,「はるかなる古伊万里 400年の物語」(2021年10月8日~12月5日)が開催されています。

(「はるかなる古伊万里 400年の物語」案内)
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 この特別展にちなんで,ティールームでは有田焼の特別メニューが用意されています。

 この企画に興味を持ち,ティールームを訪問しました。


ティールーム「徒夢創家(トムソーヤ)」

 広島県立美術館3階にあるティールーム「徒夢創家(トムソーヤ)」です。

(ティールーム「徒夢創家(トムソーヤ)」)
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 特別メニューとして「有田焼・カレー」と「有田焼・ティーセット」の2種類が用意されていたので,私は有田焼のカップや有田焼にちなんだお菓子が楽しめる「有田焼・ティーセット」を注文しました。


【有田焼・ティーセット】

(有田焼・ティーセット)
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 有田焼のコーヒーカップに注がれたコーヒーと,有田焼にちなんだお菓子のセットです。

(トンバイ有田・白磁彩菓)
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 有田焼にちなんだお菓子は,カステラのような四角い焼菓子「トンバイ有田」と丸いクッキー「白磁彩菓」です。

 有田焼のカップでコーヒーを味わいながら,2種類のお菓子を楽しみました。


【トンバイ有田】

 「トンバイ有田」は,「トンバイ塀」(登り窯を築くために用いられた耐火レンガ(トンバイ)などを赤土で塗り固めて作った塀)をイメージして作られた焼菓子です。

 佐賀県有田町は,同じく磁器で有名なドイツのマイセン市と姉妹提携を結び,交流されています。

 このことを踏まえ,「トンバイ有田」もドイツ菓子の手法を取り入れたお菓子となっています。

 ケーキ生地に抹茶ようかんや甘い小豆が入った和洋折衷の美味しい焼菓子でした。


【白磁彩菓】

 「白磁彩菓(はくじさいか)」は,有田焼や伊万里焼の絵柄がプリントされた焼き物風クッキーです。

 クッキーに白いアイシングがなされ,それに絵柄がプリントされています。

 様々な絵柄のクッキーが用意されている中,今回は「古伊万里金襴手様式」を御用意いただきました。

 赤や紫,黄緑などの色絵や金彩が使われた華やかな「金襴手(きんらんで)」の磁器は,豪華な装飾を好んだヨーロッパにも数多く輸出されました。

 細かな文様と鮮やかな色使いが施されたクッキーで,食べるのがもったいないと思いつつ,ゆっくりと味わいました。

 コーヒーとお菓子をいただきながら,平日の昼下がり,のんびりとしたひとときを過ごしました。

(ティールームから眺めた縮景園)
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 「芸術の秋」と言うより「食欲の秋」のお話になってしまいましたが,食をきっかけに芸術の世界を理解するのも面白いですし,これも芸術への1つのアプローチ法だと思います。

 そのきっかけづくり,橋渡しをしてくれるのが,美術館のカフェなのです。


<関連サイト>
 「ひろしま美術館」(広島市中区基町3-2)
 「広島県立美術館」(広島市中区上幟町2-22)
 「アンスティチュ・フランセ日本」(東京都港区南麻布4-11−44)
 「エトワール・ホリエ」(「有田店」佐賀県西松浦郡有田町本町丙1023 ほか)
 「トンバイ塀のある裏通り」(「ありたさんぽ」有田観光協会)
 「天馬堂」(佐賀県西松浦郡有田町大野乙1925-3)

<関連記事>
 「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展と食 -ラクレット・カスクノーフル-」(広島県立美術館特別展)

<参考文献>
 佐々木健一「美学への招待」中公新書
 池上英洋監修「マンガでわかる「西洋絵画」の見かた」誠文堂新光社

2021年10月17日 (日)

ジャマイカ料理の特徴と主な料理 -アキーアンドソルトフィッシュ・アイタルシチュー・エスコビッチ・ジャークチキン・ブルーマウンテン-

ジャマイカの歴史とラスタファリ運動

 カリブ海に浮かぶ島国ジャマイカ。

 17世紀にイギリスがジャマイカを支配した際,イギリス人は西アフリカから多くの奴隷をジャマイカへ連れてきました。

 こうした歴史があるため,ジャマイカでは「ラスタファリ運動」(※)と呼ばれるアフリカ回帰の思想を掲げた宗教的運動がみられます。
 ※ラスタファリはアフリカで独立を守ったエチオピアの皇帝「ハイレ・セラシエ」の戴冠前の名前「ラス・タファリ」に由来。

 ラスタファリ運動の一例として,旧約聖書に基づく断髪の禁止や,豚やうろこのない魚を食べないことなどが挙げられます。

 世界的に有名なレゲエ歌手ボブ・マーリーはジャマイカ出身ですが,レゲエ歌手の独特な髪型「ドレッドロックス(ドレッドヘアー)」は,この断髪禁止の思想に基づくものです。

 また,太陽を示す黄色,大地を示す緑色,戦いの流血を示す赤色,そしてアフリカを示す黒色の4色は「ラスタカラー」と呼ばれ,アフリカ各国やジャマイカの国旗にも採用されています。

 このラスタカラーを意識しながら,アフリカの国旗やレゲエ音楽の画像,そしてこれから御紹介する代表的なジャマイカ料理の写真などを御覧いただくと面白いと思います。


アキーアンドソルトフィッシュとフェスティバル

 「アキーアンドソルトフィッシュ(AcKee & Saltfish)」はジャマイカの代表的な料理の1つです。

 「アキー」は西アフリカ原産の果実で,ジャマイカで栽培され,食用とされています。

 アキーの熟した黄色い実を茹でて食べます。ただし,熟してないアキーは有毒なので注意が必要です。

 そのアキーとソルトフィッシュ(塩漬けの魚)をさっと炒めた料理が「アキーアンドソルトフィッシュ」です。

 今回は「フェスティバル」と呼ばれるトウモロコシ粉を使った棒状の揚げドーナツと一緒にいただきました。

(アキーアンドソルトフィッシュとフェスティバル)
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 中央手前の炒め料理が「アキーアンドソルトフィッシュ」,左右に半分ずつある揚げドーナツが「フェスティバル」です。

 黄色いスクランブルエッグのような食べ物がアキーです。

 アキーはスクランブルエッグか蒸した白子のような食感で,あっさりした味わいと濃厚な味わいが合わさった不思議な食べ物でした。

 クセが少ないので,塩鱈のようなソルトフィッシュや野菜(玉ねぎ・トマトなど)と一緒に炒めるとよく合います。


アイタルシチュー

 「アイタルシチュー」は,豆やカボチャ・トウモロコシなどの野菜だしで作られたスープです。

 ラスタフェリアン(ラスタファリ運動家)にみられる,ベジタリアン(菜食主義者)向けの料理です。

(アイタルシチュー)
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 今回のスープは,トウモロコシをベースに豆やトマト,そしてショートパスタが入っていました。

 とろみがある優しい味のスープでした。


エスコビッチ・フィッシュとライスアンドピーズ

 ジャマイカでは「エスコビッチ・フィッシュ」と呼ばれる魚の南蛮漬け(エスカベッシュ)も食べられています。

 「ライスアンドピーズ」と呼ばれる豆ご飯と一緒にいただきました。

(エスコビッチ・フィッシュとライスアンドピーズ)
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 「エスコビッチ・フィッシュ」は,白身魚を揚げてハーブやスパイスを加えた酢でマリネした料理です。

 ジャマイカで栽培されている香辛料「オールスパイス」が用いられるのが特徴です。

 今回いただいたエスコビッチ・フィッシュは,玉ねぎがたっぷりのせられていて,酢やレモンの酸味がよく効いていたので,さっぱりと美味しくいただけました。

 「ライスアンドピーズ」は,米を玉ねぎやニンニクなどと一緒に油で炒め,豆・水・ココナッツミルクを加えて炊いた豆ご飯です。

 レッドキドニービーンズが使われており,日本の赤飯のような仕上がりでした。

 ただ,日本のご飯や赤飯の感覚でいただくと,結構塩辛く感じました。

 ブラジル料理の少し塩辛いご飯に似ていると思いました。


ジャークチキン

 ジャマイカの代表的な料理の1つが「ジャークチキン」です。

 鶏肉にシーズニング(オールスパイス,チリペッパー,ブラックペッパーなどのスパイスを調合したもの),ニンニク,ライム,酢,塩などを加えてしっかり味を馴染ませた後,フライパンやオーブンでじっくり焼いた料理です。

(ジャークチキン)
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 写真では赤いケチャップがたっぷりと添えられていますが,これもジャマイカの特徴です。

 もともとスパイシーで濃い味付けの料理なので,ケチャップまで必要なのかと思ったのですが,ケチャップを加えることでトマトの酸味による味の変化が生まれ,たくさんの量でも美味しくいただくことが出来ました。

 ラスターカラー(赤)を意識しての彩りなのかも知れません。

 ジャマイカには,「ジャークチキン」だけでなく,豚肉で作る「ジャークポーク」や海老で作る「ジャークシュリンプ」など,シーズニングで馴染ませて焼く様々な料理があります。


ブルーマウンテンコーヒー

 ブルーマウンテン(コーヒー)と言えば,日本では昔から高級なコーヒーの代名詞ともなっています。

 「ブルーマウンテン(コーヒー)」と呼べるのは,ジャマイカの首都キングストンの北部に広がるブルーマウンテン山脈の「ブルーマウンテンエリア」で栽培されたコーヒーだけです。

 高価で,なかなか普段飲みできるコーヒーではありませんが,このお店ではジャマイカの代表的な飲み物として,普通にブルーマウンテンコーヒーが用意されています。

(ブルーマウンテンコーヒー)
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 香り高く,バランスのとれた飲みやすいコーヒーでした。

 食後にブルーマウンテンコーヒー。贅沢な締めくくりとなりました。

 ちなみに,ブルーマウンテンと他のコーヒー豆とでは,明らかに異なる特徴があります。

 コーヒー豆は,一般的に麻袋に詰めて運搬されるのですが,ブルーマウンテンの高級なコーヒー豆だけは伝統的な樽に詰めて運搬されるのです。

(樽詰めのブルーマウンテンコーヒー)
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 これがブルーマウンテンを運搬する樽です。

 神戸の「UCCコーヒー博物館」に展示されています。

 この博物館では,ブルーマウンテンコーヒーをはじめとするコーヒーの世界について,楽しみながら学ぶことができます。
 また,併設されているカフェで様々な産地のコーヒーを味わうこともできます。


 神戸は様々な魅力にあふれた街ですが,食に興味をお持ちの方には,ちょっと珍しいジャマイカ料理を味わい,コーヒー博物館でコーヒーについて楽しく学ぶという過ごし方もおすすめです。


<関連サイト>
 「レストラン&バー ジャマイカーナ」(神戸市中央区中山手通1-22-27 DOM'Sビル8F)
 「UCCコーヒー博物館」(神戸市中央区港島中町6-6-2)

<参考文献>
 UCCコーヒー博物館著「図説コーヒー」河出書房新社
 福田幸江 原作・吉城モカ 作画・川島良彰 監修「僕はコーヒーが飲めない5」ビッグコミックス
 井上順孝「図解雑学 宗教」ナツメ社

2021年10月10日 (日)

山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(復路:東萩駅-下関駅編)-「長門ゆずきち」のお菓子とカフェ「Agawa」-

 山口県の日本海・響灘(ひびきなだ)に沿って走る観光列車「○○のはなし(まるまるのはなし)」に乗車しました。

 今回は東萩駅(萩市)から下関駅(下関市)までの列車旅と,長門市仙崎を観光したお話を中心に御紹介したいと思います。

 「○○のはなし」の進行方向に従って,「は」(萩市),「な」(長門市),「し」(下関市)の順に御紹介します。


○○のはなし・東萩駅-萩駅

 東萩駅近くの松陰神社・松下村塾や洋菓子店を駆け足で巡った後,再び東萩駅から「○○のはなし」に乗車し,下関駅を目指しました。

 私と同じく,この観光列車に乗ることを一番の目的として,往復で乗車される方も多くいらっしゃいました。

(○○のはなし・東萩駅・1号車(先頭車両))
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 東萩駅からの復路は,1号車が先頭で走ります。

(○○のはなし・東萩駅・2号車)
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 往路は1号車(和風タイプ)に乗車したので,復路はこちらの2号車(洋風タイプ)に乗車しました。

(○○のはなし・2号車・車内から見た東萩駅ホーム)
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 2号車は,すべての座席が横一線で展望台のようになっており,日本海や響灘の絶景を眺めながら列車旅を楽しむことができます。

 私は後方(山側)の席に座りました。

 やがて列車は東萩駅を出発し,萩駅に到着しました。

(萩市観光協会の皆様によるお出迎え・お見送り(萩駅))
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 萩駅のホームでは,萩市観光協会の皆様から歓迎のおもてなしを受けました。

 次回は萩駅を起点とした観光・市内巡りもしてみたいと思いつつ,萩駅を後にしました。

 しばらくして,車窓から萩市の代表的な山「指月山(しづきやま)」が見えてきました。

(指月山)
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 指月山周辺は萩城跡(指月公園)や城下町が広がり,一大観光スポットとなっています。


長門市駅から仙崎駅,そしてセンザキッチンへ

 「○○のはなし」は萩市から長門市に入りました。

 長門市駅到着です。

(長門市駅と在来線)
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 「○○のはなし」の復路のみ,ここ長門市駅からさらに仙崎駅へ向かいます。
 そして仙崎駅で途中下車することが出来るという特典があるのです。

 「○○のはなし」は長門市駅で方向転換し,山陰本線支線(仙崎支線)でわずか1駅先の仙崎駅へ向かいました。

 乗務員さんからの車内放送で,「仙崎駅で30分間停車時間があるので,その時間を利用して『金子みすゞ記念館』や『センザキッチン』へ行くことが出来ます」とのお知らせがありました。

 そして希望者に「仙崎マップ」が配付されました。

(仙崎マップ)
Photo_20211010110201

 この仙崎マップによると,「金子みすゞ記念館」と道の駅「センザキッチン」はいずれも仙崎駅から約350m,徒歩約5分の場所にあるようです。

 仙崎駅到着後,私は長門・仙崎の食を求めて「センザキッチン」へ向かいました。

(センザキッチン)
Photo_20211010110401

 仙崎の台所(キッチン)をイメージさせる,青い鍋がシンボルマークとなっています。

 滞在可能時間は約20分でした。
 
 広い施設で,海の幸・山の幸,お土産品,お菓子・パン,飲食店など様々な商品や店舗があるので,見て回るだけでもすぐ時間が経ちました。

 買い物をする際は,レジ待ちで時間がかかることもあるので,即決即買いが求められます。

 あっという間に時間となり,急いで仙崎駅に戻りました。

(仙崎駅)
Photo_20211010110601

 古風で落ち着いた佇まいの駅舎です。

 「みんなちがって,みんないい」

 金子みすゞの詩を表現したような,味のある駅舎でした。

(○○のはなし・仙崎駅・1号車)
Photo_20211010110701

 仙崎駅からは再び1号車が先頭車両となり,下関へ向かいます。

(○○のはなし・仙崎駅・2号車)
Photo_20211010110801

 1日6~7本の列車が停車する小さな駅ですが,終着駅ならではの「絵」になる駅です。


「長門ゆずきち」のクレープ・みすゞ巻き

 「○○のはなし」が仙崎駅を出発しました。

 落ち着いたところで,「センザキッチン」で購入したお菓子をいただくこととしました。

 まずは,海辺のパン屋「ララベーカリー」で購入したクレープ「長門ゆずきち」です。

(クレープ「長門ゆずきち」)
Photo_20211010111201

 「長門ゆずきち」は,萩市・長門市・下関市を中心とした山口県内で栽培されているオリジナル柑橘で,その風味は柚子やスダチに似ています。

 今回購入したクレープ「長門ゆずきち」は,生クリームと長門ゆずきちのジャムをクレープ生地で包んだもので,冷凍された状態で販売されていました。

 20~30分後,半解凍状態となった頃が食べ頃なので,列車旅やドライブのおやつにピッタリです。

(クレープ「長門ゆずきち」(中身))
Photo_20211010111601

 薄いクレープの中に,生クリームと長門ゆずきちのジャムがたっぷり入っていました。

 長門ゆずきちのジャムは,マーマレードのように甘く煮詰めたピールがザクザクと入っており,甘さ,ほろ苦さ,そして柚子のような爽やかな香りを楽しめました。

 このジャムと甘さ控えめの生クリームとの相性が抜群で,たちまち「長門ゆずきち」のファンになってしまいました。

 次に金子みすゞの着物姿に見立てた「みすゞ巻き(長門ゆずきち)」も味わってみました。

(みすゞ巻き(長門ゆずきち))
Photo_20211010112001

 「これもうまい!」

 長門ゆずきちのピールが入った白あんを,どら焼きに似た薄い生地で包んだ和菓子です。

 島根県津和野町の「源氏巻」や愛知県知立市の「あんまき」に似ています。

 柚子あんがお好きな方は,気に入っていただけること間違いなしのお菓子です。

 長門ゆずきちを使ったお菓子はどれも香り高くて美味しく,この柑橘に出会えたことに幸せを感じました。

 ちなみに,今年(2021年)の夏,「長門湯本温泉まち株式会社」・「JR西日本」・「星野リゾート界 長門」三社の連携企画として,「ゆずきち号」(「○○のはなし」の車両を使用した臨時観光列車)が運行されました。

 この列車では,車内でオリジナルティー作り,「長門ゆずきち」や「夏みかん」のお菓子を使ったアフタヌーンティーやオリジナルスイーツボックスのサービス,「長門ゆずきち」や「夏みかん」を精油したアロマオイルの香りなどが楽しめたようです。


人丸駅で写真撮影

 長門ゆずきちのお菓子を楽しんでいるうちに,列車は人丸駅に到着しました。

 往路と同様,この駅でしばらく停車時間があったため,列車を降りて散策しました。

(人丸駅)
Photo_20211010113401

 駅の玄関は,近年パワースポットとして注目を浴びている「元乃隅神社」の鳥居で飾られていました。

 再び駅構内に入り,跨線橋(こせんきょう)を少し上がったあたりから停車中の「○○のはなし」を撮影しました。

(人丸駅停車(跨線橋・下り方面))
Photo_20211010113501

 駅や列車ばかりでなく,車掌さんにお願いして,私と「○○のはなし」の記念撮影もお願いしました。


阿川駅で途中下車

 「○○のはなし」の復路には,2つの大きな特典があります。

 1つが先程御紹介した仙崎駅での途中下車で,もう1つがこれから御紹介する阿川駅での途中下車です。

 阿川駅構内には,地元食材を使ったお菓子・ドリンクなどを販売されているカフェ「Agawa」が併設されていて,停車時間中にそのカフェで飲食やお土産の購入が出来るのです。

 阿川駅に着き,私も早速,カフェ「Agawa」を目指しました。

(阿川駅とカフェ「Agawa」)
Agawa

 仙崎駅とは対照的に,現代的な建築の駅舎です。

 写真左側の建物がカフェ「Agawa」です。

(カフェ「Agawa」メニュー)
Agawa_20211010114201

 ドリンクは,萩市の「ちょんまげビール」や長門市の「365+1beer(サンロクロクビール)」といった地元のクラフトビールのほか,生ビール,ワイン,ラッシー,フレッシュジュース,アイスコーヒー,炭酸水などが販売されていました。

 ちなみに,「ちょんまげビール」の製造会社は,当ブログ「山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(往路:小串駅-東萩駅編) -萩のレモンシュー・うきしまーるレモン-」で御紹介した洋菓子店「うきしま工房」やポン酢専門店「岸田商会」と同じ会社です。

 私はちょっと珍しい「スイカのフレッシュジュース」を注文してみました。

(スイカのフレッシュジュース)
Photo_20211010114601

 スイカ果汁100%のフレッシュジュースです。

 常温のスイカを絞り,氷を入れて,ミントなどのハーブをのせたドリンクです。

(スイカのフレッシュジュースとカフェ「Agawa」)
Agawa_20211010114701

 停車時間が6分だったので,車内に持ち帰り,ゆっくりといただきました。

 経験はありませんが,畑のスイカを収穫してその場でいただいているような,スイカの果汁だけの純粋なフレッシュジュースでした。

 また,同店でイタリアのお菓子・ビスコッティが販売されていたので購入しました。

(棚田米BISCOTTI)
Photo_20211010114901

 棚田米で作られたグルテンフリーのビスコッティで,長門ゆずきち,夏みかん,地酒の酒粕,純黒糖の4種類がセットになっていました。

 長門市油谷(ゆや)の向津具(むかつく)地区に広がる棚田で収穫した米と,長門市ならではの食材で作られたオリジナルのビスコッティです。

 長門市のお土産としても喜ばれると思います。

 ちなみにこの商品は,「63Dnet」が農林水産物の加工品開発などを目的に長門市が整備した6次産業化支援施設「ながとラボ」で製造されたもので,長門市ならではの商品となっています。

 先に御紹介した海辺のパン屋「ララベーカリー」は,この「63Dnet」の直営店舗にあたり,クレープ「長門ゆずきち」も「63Dnet」の期間限定商品の1つです。

(海辺のパン屋「ララベーカリー」)
Photo_20211010115301


響灘を眺めつつ下関駅へ

 列車は響灘に沿って順調に走り続けました。

 今回の旅の記念に,販売カウンターで「○○のはなし」オリジナルのクリアファイルを購入しました。

(○○のはなし・クリアファイル)
Photo_20211010115501

 クリアファイルは,観光列車や鉄道会社のオリジナルグッズとして用意されていることが多く,私はこうしたクリアファイルのコレクターになりつつあります(笑)

 やがて響灘のビュースポットが近づき,列車はスピードを落として運転されました。

 私は窓が開けられていた販売カウンター前から,響灘を撮影しました。

(響灘(湯玉駅~小串駅間))
Photo_20211010131701

 海がとてもきれいで,透き通っているのが印象的でした。

 そして線路沿いには「○○のはなし」と記載された標識がありました。

(「○○のはなし」の標識(湯玉駅~小串駅間))
Photo_20211010131702

 これは運転手にビュースポットを知らせる(徐行運転区間であることを知らせる)ための標識だと思います。

 列車は再びスピードを上げて走り始めました。

 やがて夕暮れ時を迎えました。

(響灘(吉見駅~福江駅間))
Photo_20211010131901

 2号車の乗客は西日を浴びながら景色を楽しみました。

 車窓からの景色が,海や山から徐々に街中の景色に変わってきました。

(○○のはなし・2号車・幡生駅通過)
Photo_20211010132101

 山陰本線と山陽本線の分岐駅である幡生(はたぶ)駅を通過しました。

 下関駅はもうすぐです。


下関駅到着

 「○○のはなし」は下関駅に到着しました。

(○○のはなし・下関駅到着)
Photo_20211010132201

 運転手も下関駅で交代となりました。

 私はここで下車し,引き続き終点・新下関駅を目指して走り始めた「○○のはなし」を見送りました。

 東萩駅から3時間26分の列車旅を楽しみました。

 その後,下関の市街地をしばらく散策し,広島へ戻りました。


まとめ

 「○○のはなし」のお話はこれで最終話となりますが,列車旅の気分を味わっていただくことが出来たでしょうか。

 これまで様々な観光列車に乗り,記事をまとめる中で気付いたことがあります。

 それは,それぞれの観光列車は,観光地をただ走っているだけでなく,その沿線地域の特色・魅力・文化を知る拠点にもなっているということです。

 そして,そのために運営者(鉄道会社)による膨大な調査・研究が行なわれており,沿線地域の人々・企業(団体)・自治体の多大な支援・協力があって初めて成り立つ事業だということです。

 記事をまとめると,「関係がないと思われる商品にも,実はこういうつながりがあったのか」とか,「地元にはこんな魅力的な特産品があったのか」といった具合に新たに知ることも多く,それは地域の「謎解き」をしているような感じでした。

 「観光列車に乗ると,その地域の魅力がわかり,好きになる」,これが皆様へ最もお伝えしたい「私のはなし」です。


<関連サイト>
 「○○のはなし」(JRおでかけネット)
 「センザキッチン」(山口県長門市仙崎4297-1)
 「長門ゆずきち」(「ぶちうま!やまぐち.net」やまぐちの農林水産物需要拡大協議会)
 「元乃隅神社」(山口県長門市油谷津黄498)
 「ちょんまげビール(山口萩ビール)」(山口県萩市土原608-1)
 「365+1beer(サンロクロクビール)」(山口県長門市深川湯本1247-2)
 「63Dnet」(山口県長門市西深川2608-2)
 「ながとラボ」(山口県長門市西深川270-10)

<関連記事>
 観光列車・イベントの記事については,パソコン版サイト「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化体験・イベント」も御覧ください。

<参考文献>
 JR西日本「西Navi(特別なおもてなしが充実 柑橘香る「ゆずきち号」運行!)」(2021.6月号)

2021年10月 3日 (日)

山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(往路:小串駅-東萩駅編) -萩のレモンシュー・うきしまーるレモン-

 山口県の日本海・響灘(ひびきなだ)に沿って走る観光列車「○○のはなし(まるまるのはなし)」に乗車しました。

 今回は,小串駅(下関市)から東萩駅(萩市)までの列車旅と,萩市内を観光したお話を中心に御紹介したいと思います。


響灘と二見夫婦岩

 小串駅を過ぎたあたりから,響灘のビューポイントが続きます。

 絶景ポイントでは,「○○のはなし」はスピードを落としてゆっくりと走行されました。

(響灘(宇賀本郷駅~長門二見駅間))
Photo_20211002220401

 透明度の高い,きれいな海に小島が浮かんでいます。

 そして海岸沿いに「二見夫婦岩」が見えました。

(二見夫婦岩(宇賀本郷駅~長門二見駅間))
Photo_20211002220501

 「二見夫婦岩」と言えば伊勢が有名ですが,こちら山口県下関市にもあります。


滝部駅・山口県の黄色いガードレール

 「○○のはなし」は山口県を北上し,滝部駅に到着しました。

(滝部駅)
Photo_20211002220801

 本州と角島を結ぶ,とても長くて美しい橋「角島大橋」へは,ここ滝部駅か,次の特牛(こっとい)駅からバスで行くことが出来ます。

 車で角島へ行く場合も,道路案内板に記載されている「特牛」を目指して行くのですが,「特牛」は難読地名・駅名の1つとなっています。

 続いて車内放送で乗務員の方から,この地域の観光案内をしていただきました。

 そこで1問,クイズが出されました。

 「山口県には全国で唯一,黄色いガードレールがあります。この黄色は何に由来しているでしょうか」

(黄色のガードレール)
Photo_20211003081901

 正解は,萩を中心に山口県で多く栽培されている「夏みかん」です。

 昭和38(1963)年に開催された山口国体の開催を機に,県道のガードレールを黄色にされたとのお話でした。

 こうした地元ならではの「はなし」も,旅の思い出の1ページになります。


人丸駅停車

 やがて「○○のはなし」は長門市に入りました。

 長門市の人丸駅でしばらく停車したので,ホームから降りてみました。

(人丸駅停車(ホーム))
Photo_20211003082201

 長時間運行される観光列車は,途中の駅でしばらく下車できる時間が設けられている場合がありますが,この時間が気分転換となり,列車旅の楽しみにもなります。

 停車した人丸駅は,鉄道ファンによく知られた撮影スポットのようで,たくさんの人々が列車と駅の写真を撮っておられました。

(人丸駅停車(跨線橋))
Photo_20211003095101

 この写真は跨線橋(こせんきょう,陸橋)から列車と駅を撮影したものですが,この場所が一番の人気スポットとなっていました。


青海島と長門市駅

 人丸駅を出発し,しばらく車窓を眺めていると,青海島が見えてきました。

(青海島(黄波戸駅~長門市駅間))
Photo_20211003095301

 青海島は日本海側では佐渡・隠岐に次ぐ大きな島で,「海上アルプス」と呼ばれるほど多くの洞窟や岩柱が並んでいます。

 やがて長門市駅に到着しました。

(長門市駅での歓迎)
Photo_20211003095501

 地元の皆様が「○○のはなし」の旗とともに歓迎してくださいました。

(長門市駅と在来線)
Photo_20211003095601

 この駅で下車し,長門・仙崎観光に行かれる方も多くいらっしゃいました。

 しばらく停車した後,「○○のはなし」はさらに東の萩を目指して出発しました。


豪華寝台列車に遭遇

 やがて「○○のはなし」は萩市内に入りました。

 三見(さんみ)駅の手前で,車掌さんから車内放送がありました。

 「この先,右手にトワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)が御覧いただけます。」

 この案内があった瞬間から乗客の皆さんの雰囲気が変わり,一斉に右側を見てトワイライトの登場を待ちました。

 そして三見駅で,同駅に停車中のトワイライトエクスプレス瑞風が目に飛び込んできました。

(トワイライトエクスプレス瑞風(先頭車両・三見駅))
Photo_20211003100101

 車内で歓声があがりました。

 三見駅で入れ違いのため,「○○のはなし」も一時停車しました。

(トワイライトエクスプレス瑞風(中間車両・三見駅))
Photo_20211003100501

 大阪から下関へ向かう途中での出会いでした。

 停車した瞬間,私の目の前にはトワイライト車内で優雅にランチを楽しんでおられる年配の女性がおられたので,私は手を振りました。

 するとその女性は,微笑みながらワイングラスを軽く持ち上げ,応じてくださいました。

 「世界が違う…」と思った瞬間でした。

 その後「○○のはなし」が先に走り始め,私は先頭車両,中間車両,後方車両と,二度見どころか三見して,トワイライトエクスプレス瑞風を見送ったのでした。


○○のはなし・東萩駅到着

 「○○のはなし」は萩駅に停車した後,終点の東萩駅に到着しました。

(○○のはなし・東萩駅)
Photo_20211003102401

 新下関駅から東萩駅まで,約3時間の列車旅でした。

(東萩駅)
Photo_20211003102601

 東萩駅は,近くに松陰神社・松下村塾などがあり,観光地へのアクセスが良い駅です。


松陰神社と松下村塾

 東萩駅に12時52分に着きました。

 帰りの列車の出発時刻が14時13分でしたので,東萩駅で1時間21分の滞在時間がありました。

 この短い滞在時間を利用し,プチ萩観光を楽しみました。

 まずは東萩駅から駆け足で松陰神社・松下村塾へ行きました。

(松陰神社)
Photo_20211003102901

 松陰神社は,吉田松陰が祀られている神社です。

 境内には,観光ガイドさんが必ず紹介される有名な歌があります。

(吉田松陰の歌碑)
Photo_20211003103001

 「親思ふ こころにまさる 親ごごろ けふの音づれ 何ときくらん」

 吉田松陰が遺書で詠んだ有名な歌です。

 「子が親を思う心以上に親は子を思うもの。(親は)今日の訪れを何と受け止めるだろうか」という意味です。

(松下村塾)
Photo_20211003103501

 こちらは,明治維新で多くの人材を輩出した松下村塾です。

 境内を駆け足でぐるっと一周して,次なる目的地へ向かいました。


萩のスイーツ(レモンシュー・うきしまーるレモン)

 東萩駅の南側に位置する松陰神社・松下村塾から,今度は駅の北側に位置する洋菓子店へ駆け足で向かいました。

 途中で少し迷いながらも,何とか洋菓子店に到着しました。

(うきしま工房・店舗)
Photo_20211003104501

 萩市土原にある洋菓子店「うきしま工房」です。

 このお店,実は「○○のはなし」の車内限定商品で「萩のスイーツセット」を販売されているお店でもあります。

 「伝説の生シュー」と呼ばれるシュークリームが看板商品のお店で,これは「萩のスイーツセット」にもあるのですが,私はそのお菓子とは別に味わってみたいお菓子があり,直接お店を訪問しました。

 そのお菓子は,季節限定のシュークリーム「レモンシュー」とレモンケーキ「うきしまーる レモン」です。

 店内のカフェスペースで,レモンシューとホットコーヒーをいただきました。

(レモンシューとホットコーヒー)
Photo_20211003104701

 袋からレモンシューを取り出しました。

(レモンシュー)
Photo_20211003104801

 伝説の生シューのレモンクリーム版です。

(レモンシュー(中身))
Photo_20211003104802

 シュー生地の中には,レモン風味のカスタードクリームと,その上にたっぷりの生クリームが詰められていました。

 サクサクのシュー生地,甘酸っぱいレモン風味のカスタードクリーム,ふわっと軽い生クリームのバランスが絶妙で,とても美味しいシュークリームでした。

 地元の人が次から次へと来店され,シュークリームをまとめ買いされるのも納得できる一品でした。

 お土産にレモンケーキを買って帰りました。

(うきしまーる レモン)
Photo_20211003104803

 丸いレモンケーキ「うきしまーる レモン」です。

 しっとりしたレモン風味のケーキ生地に,レモンチョコが厚めにコーティングされており,美味しくいただきました。

 うきしまーるは,レモンのほか,抹茶やはちみつなどが販売されています。

 このお店にまつわる「はなし」を1つ御紹介します。

 私がこのお店へ向かう途中,このお店のすぐ近くにある「岸田ポン酢」という会社が目に留まりました。

 「ポン酢の専門店とは珍しいな」と思いながら会社の目の前を歩きました。

 自宅に戻ってからネットで調べてみたところ,この会社は「岸田商会」であること,そして,実は今回訪問した「うきしま工房」も岸田商会の製菓業部門の店舗であることがわかりました。
 (※「うきしま工房」のURLは,岸田商会と同じ「ponzuya(ポン酢屋)」となっています。)

 このことを知って益々興味を持ち,橙(だいだい)を絞って作られるプロの料理人向けの「岸田ポン酢」を味わってみたくなりました。

 今度萩を訪問した時は,ぜひ買って味わいたいと思います。


 「うきしま工房」から駆け足で東萩駅へ向かい,列車の発車予定時刻の約10分前に無事東萩駅に戻りました。

 短い滞在時間でしたが,プチ萩観光を楽しみました。

<関連サイト>
 「○○のはなし」(JRおでかけネット)
 「トワイライトエクスプレス瑞風」(JR西日本)
 「松陰神社」(山口県萩市椿東1537)
 「うきしま工房」(山口県萩市土原609-1)
 「岸田商会・岸田ポン酢」(山口県萩市土原608-1)

<関連記事>
 観光列車・イベントの記事については,パソコン版サイト「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化体験・イベント」も御覧ください。

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