山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(復路:東萩駅-下関駅編)-「長門ゆずきち」のお菓子とカフェ「Agawa」-
山口県の日本海・響灘(ひびきなだ)に沿って走る観光列車「○○のはなし(まるまるのはなし)」に乗車しました。
今回は東萩駅(萩市)から下関駅(下関市)までの列車旅と,長門市仙崎を観光したお話を中心に御紹介したいと思います。
「○○のはなし」の進行方向に従って,「は」(萩市),「な」(長門市),「し」(下関市)の順に御紹介します。
○○のはなし・東萩駅-萩駅
東萩駅近くの松陰神社・松下村塾や洋菓子店を駆け足で巡った後,再び東萩駅から「○○のはなし」に乗車し,下関駅を目指しました。
私と同じく,この観光列車に乗ることを一番の目的として,往復で乗車される方も多くいらっしゃいました。
(○○のはなし・東萩駅・1号車(先頭車両))
東萩駅からの復路は,1号車が先頭で走ります。
(○○のはなし・東萩駅・2号車)
往路は1号車(和風タイプ)に乗車したので,復路はこちらの2号車(洋風タイプ)に乗車しました。
(○○のはなし・2号車・車内から見た東萩駅ホーム)
2号車は,すべての座席が横一線で展望台のようになっており,日本海や響灘の絶景を眺めながら列車旅を楽しむことができます。
私は後方(山側)の席に座りました。
やがて列車は東萩駅を出発し,萩駅に到着しました。
(萩市観光協会の皆様によるお出迎え・お見送り(萩駅))
萩駅のホームでは,萩市観光協会の皆様から歓迎のおもてなしを受けました。
次回は萩駅を起点とした観光・市内巡りもしてみたいと思いつつ,萩駅を後にしました。
しばらくして,車窓から萩市の代表的な山「指月山(しづきやま)」が見えてきました。
(指月山)
指月山周辺は萩城跡(指月公園)や城下町が広がり,一大観光スポットとなっています。
長門市駅から仙崎駅,そしてセンザキッチンへ
「○○のはなし」は萩市から長門市に入りました。
長門市駅到着です。
(長門市駅と在来線)
「○○のはなし」の復路のみ,ここ長門市駅からさらに仙崎駅へ向かいます。
そして仙崎駅で途中下車することが出来るという特典があるのです。
「○○のはなし」は長門市駅で方向転換し,山陰本線支線(仙崎支線)でわずか1駅先の仙崎駅へ向かいました。
乗務員さんからの車内放送で,「仙崎駅で30分間停車時間があるので,その時間を利用して『金子みすゞ記念館』や『センザキッチン』へ行くことが出来ます」とのお知らせがありました。
そして希望者に「仙崎マップ」が配付されました。
(仙崎マップ)
この仙崎マップによると,「金子みすゞ記念館」と道の駅「センザキッチン」はいずれも仙崎駅から約350m,徒歩約5分の場所にあるようです。
仙崎駅到着後,私は長門・仙崎の食を求めて「センザキッチン」へ向かいました。
(センザキッチン)
仙崎の台所(キッチン)をイメージさせる,青い鍋がシンボルマークとなっています。
滞在可能時間は約20分でした。
広い施設で,海の幸・山の幸,お土産品,お菓子・パン,飲食店など様々な商品や店舗があるので,見て回るだけでもすぐ時間が経ちました。
買い物をする際は,レジ待ちで時間がかかることもあるので,即決即買いが求められます。
あっという間に時間となり,急いで仙崎駅に戻りました。
(仙崎駅)
古風で落ち着いた佇まいの駅舎です。
「みんなちがって,みんないい」
金子みすゞの詩を表現したような,味のある駅舎でした。
(○○のはなし・仙崎駅・1号車)
仙崎駅からは再び1号車が先頭車両となり,下関へ向かいます。
(○○のはなし・仙崎駅・2号車)
1日6~7本の列車が停車する小さな駅ですが,終着駅ならではの「絵」になる駅です。
「長門ゆずきち」のクレープ・みすゞ巻き
「○○のはなし」が仙崎駅を出発しました。
落ち着いたところで,「センザキッチン」で購入したお菓子をいただくこととしました。
まずは,海辺のパン屋「ララベーカリー」で購入したクレープ「長門ゆずきち」です。
(クレープ「長門ゆずきち」)
「長門ゆずきち」は,萩市・長門市・下関市を中心とした山口県内で栽培されているオリジナル柑橘で,その風味は柚子やスダチに似ています。
今回購入したクレープ「長門ゆずきち」は,生クリームと長門ゆずきちのジャムをクレープ生地で包んだもので,冷凍された状態で販売されていました。
20~30分後,半解凍状態となった頃が食べ頃なので,列車旅やドライブのおやつにピッタリです。
(クレープ「長門ゆずきち」(中身))
薄いクレープの中に,生クリームと長門ゆずきちのジャムがたっぷり入っていました。
長門ゆずきちのジャムは,マーマレードのように甘く煮詰めたピールがザクザクと入っており,甘さ,ほろ苦さ,そして柚子のような爽やかな香りを楽しめました。
このジャムと甘さ控えめの生クリームとの相性が抜群で,たちまち「長門ゆずきち」のファンになってしまいました。
次に金子みすゞの着物姿に見立てた「みすゞ巻き(長門ゆずきち)」も味わってみました。
(みすゞ巻き(長門ゆずきち))
「これもうまい!」
長門ゆずきちのピールが入った白あんを,どら焼きに似た薄い生地で包んだ和菓子です。
島根県津和野町の「源氏巻」や愛知県知立市の「あんまき」に似ています。
柚子あんがお好きな方は,気に入っていただけること間違いなしのお菓子です。
長門ゆずきちを使ったお菓子はどれも香り高くて美味しく,この柑橘に出会えたことに幸せを感じました。
ちなみに,今年(2021年)の夏,「長門湯本温泉まち株式会社」・「JR西日本」・「星野リゾート界 長門」三社の連携企画として,「ゆずきち号」(「○○のはなし」の車両を使用した臨時観光列車)が運行されました。
この列車では,車内でオリジナルティー作り,「長門ゆずきち」や「夏みかん」のお菓子を使ったアフタヌーンティーやオリジナルスイーツボックスのサービス,「長門ゆずきち」や「夏みかん」を精油したアロマオイルの香りなどが楽しめたようです。
人丸駅で写真撮影
長門ゆずきちのお菓子を楽しんでいるうちに,列車は人丸駅に到着しました。
往路と同様,この駅でしばらく停車時間があったため,列車を降りて散策しました。
(人丸駅)
駅の玄関は,近年パワースポットとして注目を浴びている「元乃隅神社」の鳥居で飾られていました。
再び駅構内に入り,跨線橋(こせんきょう)を少し上がったあたりから停車中の「○○のはなし」を撮影しました。
(人丸駅停車(跨線橋・下り方面))
駅や列車ばかりでなく,車掌さんにお願いして,私と「○○のはなし」の記念撮影もお願いしました。
阿川駅で途中下車
「○○のはなし」の復路には,2つの大きな特典があります。
1つが先程御紹介した仙崎駅での途中下車で,もう1つがこれから御紹介する阿川駅での途中下車です。
阿川駅構内には,地元食材を使ったお菓子・ドリンクなどを販売されているカフェ「Agawa」が併設されていて,停車時間中にそのカフェで飲食やお土産の購入が出来るのです。
阿川駅に着き,私も早速,カフェ「Agawa」を目指しました。
(阿川駅とカフェ「Agawa」)
仙崎駅とは対照的に,現代的な建築の駅舎です。
写真左側の建物がカフェ「Agawa」です。
(カフェ「Agawa」メニュー)
ドリンクは,萩市の「ちょんまげビール」や長門市の「365+1beer(サンロクロクビール)」といった地元のクラフトビールのほか,生ビール,ワイン,ラッシー,フレッシュジュース,アイスコーヒー,炭酸水などが販売されていました。
ちなみに,「ちょんまげビール」の製造会社は,当ブログ「山陰本線観光列車「○○のはなし」のはなし(往路:小串駅-東萩駅編) -萩のレモンシュー・うきしまーるレモン-」で御紹介した洋菓子店「うきしま工房」やポン酢専門店「岸田商会」と同じ会社です。
私はちょっと珍しい「スイカのフレッシュジュース」を注文してみました。
(スイカのフレッシュジュース)
スイカ果汁100%のフレッシュジュースです。
常温のスイカを絞り,氷を入れて,ミントなどのハーブをのせたドリンクです。
(スイカのフレッシュジュースとカフェ「Agawa」)
停車時間が6分だったので,車内に持ち帰り,ゆっくりといただきました。
経験はありませんが,畑のスイカを収穫してその場でいただいているような,スイカの果汁だけの純粋なフレッシュジュースでした。
また,同店でイタリアのお菓子・ビスコッティが販売されていたので購入しました。
(棚田米BISCOTTI)
棚田米で作られたグルテンフリーのビスコッティで,長門ゆずきち,夏みかん,地酒の酒粕,純黒糖の4種類がセットになっていました。
長門市油谷(ゆや)の向津具(むかつく)地区に広がる棚田で収穫した米と,長門市ならではの食材で作られたオリジナルのビスコッティです。
長門市のお土産としても喜ばれると思います。
ちなみにこの商品は,「63Dnet」が農林水産物の加工品開発などを目的に長門市が整備した6次産業化支援施設「ながとラボ」で製造されたもので,長門市ならではの商品となっています。
先に御紹介した海辺のパン屋「ララベーカリー」は,この「63Dnet」の直営店舗にあたり,クレープ「長門ゆずきち」も「63Dnet」の期間限定商品の1つです。
(海辺のパン屋「ララベーカリー」)
響灘を眺めつつ下関駅へ
列車は響灘に沿って順調に走り続けました。
今回の旅の記念に,販売カウンターで「○○のはなし」オリジナルのクリアファイルを購入しました。
(○○のはなし・クリアファイル)
クリアファイルは,観光列車や鉄道会社のオリジナルグッズとして用意されていることが多く,私はこうしたクリアファイルのコレクターになりつつあります(笑)
やがて響灘のビュースポットが近づき,列車はスピードを落として運転されました。
私は窓が開けられていた販売カウンター前から,響灘を撮影しました。
(響灘(湯玉駅~小串駅間))
海がとてもきれいで,透き通っているのが印象的でした。
そして線路沿いには「○○のはなし」と記載された標識がありました。
(「○○のはなし」の標識(湯玉駅~小串駅間))
これは運転手にビュースポットを知らせる(徐行運転区間であることを知らせる)ための標識だと思います。
列車は再びスピードを上げて走り始めました。
やがて夕暮れ時を迎えました。
(響灘(吉見駅~福江駅間))
2号車の乗客は西日を浴びながら景色を楽しみました。
車窓からの景色が,海や山から徐々に街中の景色に変わってきました。
(○○のはなし・2号車・幡生駅通過)
山陰本線と山陽本線の分岐駅である幡生(はたぶ)駅を通過しました。
下関駅はもうすぐです。
下関駅到着
「○○のはなし」は下関駅に到着しました。
(○○のはなし・下関駅到着)
運転手も下関駅で交代となりました。
私はここで下車し,引き続き終点・新下関駅を目指して走り始めた「○○のはなし」を見送りました。
東萩駅から3時間26分の列車旅を楽しみました。
その後,下関の市街地をしばらく散策し,広島へ戻りました。
まとめ
「○○のはなし」のお話はこれで最終話となりますが,列車旅の気分を味わっていただくことが出来たでしょうか。
これまで様々な観光列車に乗り,記事をまとめる中で気付いたことがあります。
それは,それぞれの観光列車は,観光地をただ走っているだけでなく,その沿線地域の特色・魅力・文化を知る拠点にもなっているということです。
そして,そのために運営者(鉄道会社)による膨大な調査・研究が行なわれており,沿線地域の人々・企業(団体)・自治体の多大な支援・協力があって初めて成り立つ事業だということです。
記事をまとめると,「関係がないと思われる商品にも,実はこういうつながりがあったのか」とか,「地元にはこんな魅力的な特産品があったのか」といった具合に新たに知ることも多く,それは地域の「謎解き」をしているような感じでした。
「観光列車に乗ると,その地域の魅力がわかり,好きになる」,これが皆様へ最もお伝えしたい「私のはなし」です。
<関連サイト>
「○○のはなし」(JRおでかけネット)
「センザキッチン」(山口県長門市仙崎4297-1)
「長門ゆずきち」(「ぶちうま!やまぐち.net」やまぐちの農林水産物需要拡大協議会)
「元乃隅神社」(山口県長門市油谷津黄498)
「ちょんまげビール(山口萩ビール)」(山口県萩市土原608-1)
「365+1beer(サンロクロクビール)」(山口県長門市深川湯本1247-2)
「63Dnet」(山口県長門市西深川2608-2)
「ながとラボ」(山口県長門市西深川270-10)
<関連記事>
観光列車・イベントの記事については,パソコン版サイト「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化体験・イベント」も御覧ください。
<参考文献>
JR西日本「西Navi(特別なおもてなしが充実 柑橘香る「ゆずきち号」運行!)」(2021.6月号)
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列車旅の気分味合わせて頂きました=(^.^)=
さらにバス旅行の気分も味合わせて頂いた様な気もします^^
滞在可能時間20分というのはちょっとドキドキですね^o^
遅刻する人はいないのでしょうか?
子供の頃から道草を食うのが大好きなので、こういう列車は大歓迎(^_^)
3時間半乗っていても、エコノミークラス症候群になる心配もありませんね^o^
投稿: なーまん | 2021年10月10日 (日) 16時36分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
早速コメントいただき,ありがとうございます<(_ _)>
列車旅の気分を少しでも味わっていただけたようで,とても嬉しいです(^-^)
そしてバス旅行の気分も,という御感想はまさに言い得て妙です!
いろんな駅で降りて時間までに戻ってくる,道の駅やカフェに立ち寄るなんて,鉄道というより,バス旅行のイメージに近いですね(笑)
滞在可能時間が道の駅で約20分,カフェで6分というのは,正直ギリギリなようにも思いますが,そこは鉄道ファンが多いこともあってか,みんなきちんと定刻を守っておられました。
ただ実際には,遅刻された方のため,数分遅れて発車し,その後に回復運転という事例もあると思います。
観光スポットで途中下車し,ビューポイントではスピードを落として運転する観光列車は,日常の列車とは違う体験ができます。
乗車時間が長ければ長いほど良い,ローカル路線であるほど見どころ満載で良い,車内販売を充実させるほど売れる…鉄道の大きな流れに逆行させればさせるほど,魅力が増すところが観光列車の面白さだと思います。
観光列車に乗って,道草をたくさん召し上がってくださいね(笑)
投稿: コウジ菌 | 2021年10月10日 (日) 18時34分
とうとう最終回。名残惜しいです。
途中下車できても30分じゃ、それほど自由には行動できないのに、
しっかり2つも食べ物をゲットしているところが、さすがです(笑)
数日前に津和野にレモンケーキがあることを知り、調べた店が
源氏巻の名店でした。源氏巻?初耳だなーと思っていたら今回登場。
運命を感じたので、次に注文しようと思います。
まわりに何にもなさそうなのに超モダンな阿川駅。
思わずストリートビューを見ましたが、古い駅舎のままでした(^^;)
こっちの方が味があってよかったのに…
投稿: chibiaya | 2021年10月10日 (日) 18時48分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)
3回連続で「しつこい」とお𠮟りを受けるかと思っていたら(笑),名残惜しいとのありがたいお言葉!!
お気遣いいただき,ありがとうございます。
おっしゃるとおり,仙崎駅での停車時間は30分でした。
なので,みんなドアが開いた瞬間,「よ~い,ドン!」で早歩き,駆け足で目指す施設へ行き,再び急いで戻ってくる感じでした(笑)
「長門ゆずきち」とテーマを決めていたから買えたものの,普通にショッピングを楽しむにはちょっと短いかも…。
津和野は源氏巻が有名で,お土産の定番となっています。
chibiayaさんは山口の外郎がお好きなので,源氏巻も御存知だろうと思ったのですが,初耳とは意外でした。
言われてみれば,源氏巻があるお店にはレモンケーキもありそうですね(^-^)
源氏巻を飛び越えてレモンケーキが販売されていることを御存知とは,さすがです(笑)
阿川駅,ストリートビューまで御覧いただいたんですね。
私も気になって見てみました。
確かに古い駅舎で,映画のロケ地にもなるくらい,味がある駅だったようですね。
「Agawa」は今どきのカフェで,お店の雰囲気と現在の駅舎のデザインはピッタリなのですが,相当大きな決断があってのリニューアルだと思います。
投稿: コウジ菌 | 2021年10月10日 (日) 22時15分