美術館とカフェ・レストランの魅力4 -箱根ラリック美術館の「オリエント急行 ル・トラン」とクレームダンジュ-
かつてヨーロッパ各国を走った国際寝台特急列車「オリエント急行」。
そのオリエント急行の車両でお茶やお菓子が味わえるカフェがあります。
神奈川県箱根町にある「箱根ラリック美術館」の特別展示「LE TRAIN(ル・トラン)」です。
興味を持った私は,2021年12月末に,箱根登山電車と箱根登山バスを利用して箱根ラリック美術館を訪問しました。
(箱根ラリック美術館・入口)
箱根ラリック美術館は,宝飾・ガラス工芸作家「ルネ・ラリック」(1860-1945)のコレクションが展示されている美術館です。
(箱根ラリック美術館・玄関)
ラリックはオリエント急行に使用された列車の室内装飾を手掛けました。
その車両がはるか遠くヨーロッパから箱根まで運ばれてきて,ラリックとの関わりが深い箱根ラリック美術館の特別展示施設となったのです。
箱根ラリック美術館の玄関を入ってすぐのレストラン「LYS(リス)」の受付で「LE TRAIN(ル・トラン)」の予約をし,乗車券に記入された予約時刻になるのを待ちました。
(ル・トラン乗車券(ル・トラン入口))
ル・トラン入口で撮影したル・トラン乗車券です。
入場時には,この乗車券にはさみでパンチ(切れ込み)を入れていただきました。
LE TRAIN(ル・トラン)乗車
専属クルーの方からオリエント急行と展示車両について説明を受けた後,車内へと御案内いただきました。
(ル・トラン全景(正面左側))
白と濃紺の2色をベースに,クリーム色のラインが入った高級感あふれる車体です。
「プルマン プルミエ(ファースト)クラス No.4158」と表示されています。
(オリエント急行エンブレム)
こちらはオリエント急行のエンブレムです。
フランス語で「国際寝台車会社」(オリエント急行の運営会社),「ヨーロッパ豪華特急」と表記されています。
それでは,車内を御案内します。
(ル・トラン デッキ)
車両の出入口「デッキ」の様子です。
マホガニーなどの木材が使われており,高級感が出ています。
(ランプシェード)
ラリックが手掛けた天井のランプシェードです。
(車内装飾パネル「彫像と葡萄」)
こちらもラリックの作品で,ぶどうと男女の像が浮き彫りにされた車内装飾パネルです。
(緊急ブレーキレバー)
こちらは緊急ブレーキ用のレバーです。
もちろんラリックの作品ではありませんが(笑),こうした設備は世界共通なのだと知りました。
フランス語,英語,ドイツ語,イタリア語の4か国語で表記されているところがヨーロッパの国際特急ならではと思いました。
(ル・トラン車内)
ル・トラン車内の様子です。
椅子がとても広く,ゆったりとしています。
アンティークな車内に新型コロナウイルス感染症対策のアクリル板が設置されているところに,今を感じます。
(ル・トラン テーブル席)
車内をひととおり見学した後,テーブル席に案内されました。
テーブルには,すでに紅茶とお菓子が用意されていました。
この豪華な席でティータイムを楽しみました。
紅茶とクレームダンジュ
今回テーブルに用意されていたのは,ポットで用意された紅茶と「クレームダンジュ」と呼ばれるお菓子です。
「クレームダンジュ(Crémet d'anjou)」はフランス・アンジュ地方発祥のお菓子で,「フロマージュブラン」と呼ばれるチーズや生クリームなどの材料で作られます。
日本のレシピでは,フロマージュブランの代わりにクリームチーズや水切りヨーグルトを使ったものが紹介されています。
フレッシュチーズや生クリームを目の細かいガーゼで包み,水分を抜いたお菓子です。
今回のクレームダンジュもガーゼで包まれた状態で用意されました。
ラズベリーやストロベリーなどベリーのジャムをそえていただきます。
(紅茶とクレームダンジュ)
重厚なティーポットからティーカップに紅茶を注ぎ,クレームダンジュはガーゼを取り除いてベリージャムをかけました。
(オリエント急行ティーカップ)
ティーカップには,フランス・パリとトルコ・イスタンブールを結んだ「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント・エクスプレス(NIOE)」と記載されていました。
(クレームダンジュ)
周りの様子を見ると,ガーゼをそのまま広げた状態で召し上がる方ばかりでしたが,私はどうもこの食べ方になじめず,中のクレームダンジュだけ皿の上に出していただきました。
(クレームダンジュ(カット))
しっかり水気を飛ばしたホイップクリームのような,サックリとした食感でした。
見た目は濃厚なイメージがありますが,意外とすっきり,さっぱりとしていて,甘いジャムとと合わせることで美味しいお菓子に仕上がりました。
ティータイムは長めに設定されていたので,ティーポットの紅茶をおかわりしながら,ゆったりとお茶とお菓子を楽しみました。
やがて時間となり,余韻を楽しみながら下車しました。
(ル・トラン全景(正面右側))
最後に専属クルーの方に記念写真を撮っていただきました。
今回御紹介した「オリエント急行 ル・トラン」以外にも,鉄道博物館(さいたま市大宮区)の「トレインレストラン日本食堂」や,京都鉄道博物館(京都市下京区)の「食堂車・お弁当販売ブース」,北斗星の食堂車で食事できる「ベーカリーレストラン グランシャリオ」(埼玉県川口市),オリエント急行のようなアンティーク列車で食事できる「アタゴール」(東京都江東区)など,列車内で食事ができるスポットがあります。
列車レストラン・カフェでいただく食事は,旅気分も味わえて格別です。
<関連サイト>
「箱根ラリック美術館」(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1)
「鉄道博物館」(さいたま市大宮区大成町三丁目47)
「京都鉄道博物館」(京都市下京区観喜寺町)
「ベーカリーレストラン グランシャリオ」(埼玉県川口市戸塚3-31-31)
「アタゴール」(東京都江東区木場3-19-8)
« 広島のレモン菓子・レモンケーキ19 -「ミニヨン」のお菓子,広島県内の洋菓子・焼き菓子の特徴- | トップページ | 神奈川の食文化探訪2 -小田原市 鯵の唐揚げ・ういろう(ういろうの歴史)・透頂香・湘南クッキー- »
「食文化体験・イベント」カテゴリの記事
- JR伯備線・芸備線の旅(芸備線の存廃問題)と沿線の食-トーストセット・藤戸まんぢゅう・むらすずめ・千屋牛焼肉丼・野方汁・広島バターモチ・きんつば-(2024.11.10)
- ビッグ錠先生の世界16 -ビッグ錠誕生日祭(味平ライス・タワーリングカレー・肉なしハンバーグ・寿司サンドイッチ・釘師サブやんバースデーケーキ)-(2024.10.20)
- 魚柄仁之助先生の世界7 -「自家製かんぴょう」と「しそ塩」(かんぴょうの味噌汁・かんぴょう煮・かんぴょう卵とじ・しそ塩サラダ・トンテキ梅風味・しそ塩チキン棒)-(2024.09.29)
- JR貨物食堂(JR貨物岡山機関区)で「ハチクマライス」を味わう(2024.08.25)
- 551蓬莱(HORAI)と海上保安庁のコラボがある時!-「海の事故ゼロキャンペーン」コラボレーション企画-(2024.07.21)
コメント
« 広島のレモン菓子・レモンケーキ19 -「ミニヨン」のお菓子,広島県内の洋菓子・焼き菓子の特徴- | トップページ | 神奈川の食文化探訪2 -小田原市 鯵の唐揚げ・ういろう(ういろうの歴史)・透頂香・湘南クッキー- »
ミュージアム巡りといえば、上野が一番充実していると思いますが、神奈川県では横浜より箱根!
ポーラ美術館の存在は承知しておりましたが、恥ずかしながらここは存じませんでした(^.^)
駐車場無料とは、こりゃまた思い切り安い!
緑が綺麗な時期に行って、少し奮発してロースポークランチでも食べて来ようと思います(^ ^)v
以前箱根で食べた豚しゃぶも美味しかったですよ(^_^)
投稿: なーまん | 2022年3月13日 (日) 17時47分
箱根にオリエント急行の車両があるんですね~。
素敵な内装!異空間な感じもいいですね。
ルネ・ラリックという人を初めて知りましたが、何で箱根に美術館が?
箱根にゆかりがある人なのでしょうか??
投稿: chibiaya | 2022年3月13日 (日) 21時29分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます<(_ _)>
おっしゃるとおり,箱根にはたくさんのミュージアムがありますね。
ポーラ美術館からバスで箱根ラリック美術館へ向かったのですが,途中,「星の王子さまミュージアム」もありました。
次回,箱根へ行ったら,「星の王子さまミュージアム」や「玉村豊男ライフアートミュージアム」へも行ってみたいです。
箱根で駐車場が無料というのは珍しいんですね(笑)
なーまんさんがローストポークランチとおっしゃると,私まで食べたくなりました(^^ゞ
そういえば,ラリック美術館近くの「相原精肉店」で大勢の人がローストビーフか焼豚かを求めて並ばれていました。
箱根は豚しゃぶも美味しいんですね。箱根=お肉が美味しいところと覚えておきます(^-^)
投稿: コウジ菌 | 2022年3月13日 (日) 22時15分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます(^-^)
実は,箱根にオリエント急行のカフェがあることを知ったのは偶然なのです。
ポーラ美術館のアクセスでバス路線を調べていたところ,地図で「箱根ラリック美術館」を見つけ,どんな美術館なのだろうとネットで調べてみたら,たまたまオリエント急行のカフェがあることを知り,「これは面白そうだ。ぜひ行きたい」と思ってスケジュールに組み込みました。
車内は広々として芸術的価値の高い内装で,こんな列車で食事を楽しみながら旅をしてみたいなと思いました。
雰囲気もあってか,ほかのお客さんも静かに,マナー良く召し上がっておられました。
ルネ・ラリックさんが箱根にゆかりのあるかどうかはわかりませんが,箱根は一大観光地で人が集まる地域なので,美術館・ミュージアムの数がとても多いことを実感しました。
なので,箱根に直接かかわりがあるというよりは,「美術館建てるなら箱根に」という御判断だったのかも知れません。
箱根にはレストラン・カフェが併設された美術館・ミュージアムがたくさんあるようなので,またぜひ訪問したいです(^-^)
投稿: コウジ菌 | 2022年3月13日 (日) 22時47分