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2022年4月

2022年4月24日 (日)

ビッグ錠先生の世界5 -スイートベルモット・ブランデーバック・ArsNova特製コーヒー・デンマークチーズケーキ-

湘南台のArsNova

 私がいつもお世話になっている神奈川県藤沢市湘南台のバー「ArsNova(アルスノーバ)」。

 2021年もなかなか旅行に行けない状況でしたが,年末の落ち着いた時期,約1年ぶりにお店を訪問しました。

 今回はあらかじめマスターにお店に伺うことをお伝えしたこともあり,漫画家のビッグ錠先生やお店の常連さんなど,お世話になっている多くの皆さんとお会いすることが出来ました。

 久しぶりなので,お店の前では少し緊張しましたが,入店してしばらく経つと,これまでどおり,すっかり打ち解けました。


スイートベルモット

 マスターから親しみを込めた口調で「何する?」と聞かれ,私はこう答えました。

 「マティーニのルーツと言われている『ジンアンドイット』に興味があるのですが,強いお酒のようで,(お酒に弱い私は)飲めるかどうか自信がないんです。なので,スイートベルモットを何かで割ったカクテルがあれば,作ってもらえませんか」

 するとマスターは,
「だったら,うちはいいスイートベルモットがあるから,ストレートで味わうといいよ」
と,スイートベルモットをグラスに注いで御用意いただきました。

 スイートベルモットと一緒に,チェイサーとして水も御用意いただいたところに,マスターの優しいお気遣いを感じました。

(スイートベルモット)
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 「スイートベルモット」は,白ワインをベースに,ハーブやスパイス,カラメルを加えた甘口のお酒です。

 かつては主にイタリアで作られていたので,「イタリアンベルモット」とも呼ばれています。

 これに対して「ドライベルモット」というお酒もあります。

 こちらはカラメルなしの辛口のお酒で,かつては主にフランスで作られていたので「フレンチベルモット」とも呼ばれています。

 興味津々でスイートベルモットをいただきました。

 甘くてとろっとした飲み口で,様々なハーブの風味も感じました。

 ポートワインやトカイワインなどの甘いお酒をちょっとずつ飲むのが好きな私にはぴったりのお酒でした。


サントリーウェイティングバー「アバンティ」と「ジンアンドイット」

 少し余談ですが,私が「ジンアンドイット」に興味を持った理由をお話ししたいと思います。

 私はTOKYO FMで土曜日の夕方に放送されていた「サントリー・サタデー・ウェイティングバー・アバンティ」という番組が好きで,よく聴いていました。

 そのお店の常連客であり番組の主人公だった「教授」が,ウェイティングバーでバーテンダーに「いつもの」と言って注文していたお酒が「ジンアンドイット」で,その話を知って興味を持ちました。

 この「ジンアンドイット」は,ディーンマーティンが好んで飲んでいたお酒でもあるようです。

(ディーンマーティン「誰かが誰かを愛してる」)

 (YouTube「Dean Martin - Everybody Loves Somebody (Official Audio)」)

 「ジンアンドイット」の「イット」は,イタリアンベルモット(スイートベルモット)の略語です。

 御興味を持たれた方は,御賞味ください。


ビッグ錠先生との再会

 しばらくして,お店にビッグ錠先生がいらっしゃいました。

 事前にマスターから「なかなか面白い話があるからね」と伺っていたのですが,マスターがビッグ錠先生に私が来店することをお伝えいただいていたようです。

(スイートベルモットと「MIDNIGHT JOE」)
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 スイートベルモットの隣にあるイラストはビッグ錠先生が描かれた「MIDNIGHT JOE(ミッドナイト ジョー)」です。

 ビッグ錠さんとカウンター席でいろんなお話をさせていただきました。

○駄目ではない「駄」
 駄菓子は栄養にはならないけど,人間にとって必要な食べ物

○漫画「塾師べんちゃん」
 多湖 輝(たご あきら)さんの教え・アイデアを参考に漫画化

○旅の価値
 「旅は自分への投資,しかもリターンの多い投資」
 私がカンボジアへ旅する直前に,ビッグ錠先生からいただいた言葉。
 (今回は「えっ,そんなこと言ったっけ?」と忘れておられましたが(笑))

○料理することの意義
 料理はボケ防止になり,要領も良くなる。

○国産タバコ
 かつては広島で葉タバコの栽培が盛んだったことをお話しすると,ビッグ錠先生から神奈川も秦野で葉タバコの栽培が盛んだったことを教えていただく。

○絵馬奉納
 ビッグ錠先生は,これまで鯖神社(藤沢市)・報徳二宮神社(小田原市)・稲毛神社(川崎市)などにイラスト入りの絵馬を奉納されている。

 そして今回の話で傑作だったのは次の話です。

○漫画「釘師サブやん」
 パチンコを舞台にした漫画「釘師サブやん」(講談社・週刊少年マガジン)の話をした際,ふと私が「あっ,そもそも少年誌にパチンコの漫画ってよかったんですか…」と答え,ビッグ錠先生と大笑い。


 あと,少しお話がそれますが,この機会にビッグ錠先生にまつわるお話を1つ御紹介します。

 最近,「教養としてのラーメン」という本を読んだのですが,その本にビッグ錠先生のお話が紹介されていました。

 「とある大御所のグルメ漫画家が,こんな話をしていました。『ビッグ錠先生こそがオリジナル。ご自身の発想や画力で壁を破って,グルメ漫画という道を切り拓いてくれた。自分はその道を歩いているだけの,ただのパクリ。でも次に自分を真似て始めた人がいたら,それはもうジャンルになる』」
 (青木健「教養としてのラーメン」光文社 P153を一部引用)

 大御所のグルメ漫画家先生の,ビッグ錠先生への敬意が込められたお話です。

 お店でビッグ錠先生とざっくばらんに盛り上がりましたが,後からこういうお話を知ると,改めてすごい人なんだなと思いました。


ブランデーバック

 常連客の皆さんともいろんなお話をすることが出来ました。

(ブランデーバック)
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 これこそ私にとっての「いつもの」,「ブランデーバック」です。

 ブランデーをジンジャーエールで割り,レモンを絞ったロングカクテルです。

 お酒が弱い私ですが,それでもスイートベルモットとブランデーバックを飲み干せたのは,その場の雰囲気の良さも手伝ってのことでしょう。

 お酒に強い人も弱い人も共に楽しく過ごせることは,とても大切なことだと思います。


ArsNova特製コーヒーと観音屋のデンマークチーズケーキ

 お酒を楽しんだ後,サイフォンで淹れたArsNova特製のコーヒーをいただきました。

(ArsNova特製コーヒー)
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 フライパンでローストしたコーヒー豆が使われています。

 絶妙なローストで仕上げたコーヒーは,ArsNovaの看板商品の1つです。

 そして同席したお客さんから,神戸のお土産として「観音屋(かんのんや)」の「デンマークチーズケーキ」をいただきました。

 これが一番お気に入りのチーズケーキなのだそうで,お店で温めたチーズケーキを分けていただきました。

(観音屋のデンマークチーズケーキ)
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 ケーキ生地にとろけるチーズがのせられたチーズケーキです。

 口に含むとピザのようにチーズがぎゅーんと伸びます。

 このようなチーズケーキは初めてで,とても興味深くいただきました。

 ふわふわの甘いスポンジケーキと熱々トロトロのしょっぱいチーズケーキが見事にマッチし,美味しいチーズケーキでした。

 お客さん同士で神戸のチーズケーキや広島のもみじ饅頭を味わう,アットホームな雰囲気に包まれたお店です。

 これもマスターの優しさ,懐の深さがあってのことと思います。


 今回もお店に長時間お邪魔させていただきました。

 長距離移動については,まだ少し慎重にならざるを得ない状況にありますが,またいつか訪問し,皆さんと楽しいひとときを過ごしたいと思います。

 ArsNovaの皆さん,今回も大変お世話になりました。

 またお会いできる日を楽しみにしております!


<関連サイト>
 「ジン&イット」(サントリー)
 「観音屋・デンマークチーズケーキ」(元町本店・兵庫県神戸市中央区元町通三丁目9-23 ほか)

<関連記事>
 「ビッグ錠先生の世界1 -石巻カレー全集「食堂パレスの黄色いレトロカレー」とArs Novaの特製ハヤシライス-
 「ビッグ錠先生の世界2 -ビッグ錠先生からのビッグなプレゼント-
 「ビッグ錠先生の世界3 -ビッグ錠先生との出会いと私の似顔絵-
 「ビッグ錠先生の世界4 -ArsNovaのおでん・特製オムライス・コーヒー-

<参考文献>
 ビッグ錠「塾師べんちゃん」小学館
 原作 牛次郎・漫画 ビッグ錠「釘師サブやん」講談社
 城アラキ「バーテンダーの流儀」集英社新書
 青木 健「教養としてのラーメン」光文社

2022年4月17日 (日)

イタリア料理の特徴と主な料理7 -パスクアの伝統菓子・コロンバ(コロンバ・パスクアーレ)-

イースターについて

 イースター(復活祭)は,磔刑に処されたイエス・キリストが復活し,神の子として人々の前に姿を現したことを記念する日です。

 そのため,キリスト教のイースターは,クリスマス(降誕祭),ペンテコステ(聖霊降臨祭)と並ぶ三大祝日の1つとなっています。

 イースターの日付の定義は「春分後最初の満月の後に訪れる日曜日(※)」とされていて,毎年変わる「移動祝日」となっています。
 ※東方正教会の場合はユリウス暦を採用しているため日付が異なります。

 2022年は,今日(4月17日)がイースターです。


パスクアで食べられるイタリアの代表的なお菓子

 イースターは,イタリアでは「パスクア(Pasqua)」と呼ばれています。

 パスクアの際には,イタリア各地で様々なお菓子が作られ,食べられています。

 代表的なお菓子として,「ウオーヴォ ディ チョッコラート(Uovo di Cioccolato)」(卵の形をしたチョコレート)や,「パスティエラ(Pastiera)」(小麦粉・リコッタチーズなどで作られるタルト),「カッサータ(Cassata)」(リコッタチーズやドライフルーツを使ったケーキ),「コロンバ(Colomba)」(鳩の形をした発酵菓子)などがあります。

 今回は,そんなパスクアで食べられるイタリアの代表的なお菓子の1つ,「コロンバ」を御紹介します。


コロンバ

 「コロンバ(Colomba)」は,イタリア語で「鳩(はと)」を意味します。

 お菓子の「コロンバ」は,その名のとおり,鳩の形をした発酵菓子です。

 「コロンバ」は,鳩が復活の象徴であり,平和のシンボルであり,幸せを告げる鳥であることにあやかったパスクアの伝統菓子です。

 そのため,「コロンバ・パスクアーレ(Colomba Pasquale)」(パスクアのコロンバ)とも呼ばれます。

 鳩が平和のシンボルであることは,広島市民である私にもよく理解できます。

 そのコロンバが,「ドンク」の店舗で期間限定で販売されていました。

(コロンバ案内看板(ドンク))
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 毎年,イースター(パスクア)の時期に販売されているようです。

(コロンバ)
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 こちらが「ドンク(サンレモ)」のコロンバです。

 鳩の形をした紙容器に生地を詰め,焼き上げられています。

 表面には白い「あられ糖(砂糖の粒)」がトッピングされています。

(コロンバ(中身))
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 コロンバの中身(断面)です。

 バターと卵がたっぷり使用された生地に,大粒のオレンジピールがたくさん混ぜ込まれています。

 いただいてみました。

 ふんわり・しっとりして粘りがあり,ケーキよりはパンに近い食感でした。

 イタリアのクリスマスの伝統菓子「パネトーネ(Panettone)」にも似ています。

 「♪オレンジの香り~ほのかにただよい~♪」と,思わず「帰れソレントへ」の歌詞を口ずさんでしまうほど,オレンジの香りが口の中いっぱいに広がり,幸せな気持ちになりました。

 ふんわりとしたパンに近いのですが,あられ糖をトッピングすることにより,白い鳩をイメージさせるお菓子となっています。

 オレンジの風味が豊かな美味しいお菓子で,いただくと元気が湧き,疲れた体が復活しました。


<関連サイト>
 「ドンク」(「三宮本店」神戸市中央区三宮町2-10-19 ほか)

<関連記事>
 「イースター(復活祭)を基準としたキリスト教行事 -なぜ卵とウサギが一緒なのか-

<参考文献>
 辻調理師専門学校監修/近藤乃里子・合田達子・正戸あゆみ著「イタリア料理基本用語」柴田書店

2022年4月10日 (日)

関西の地場野菜「しろ菜」と関東の地場野菜「のらぼう菜」・広島県の「やさいバス」-しろ菜のおひたしと豚肉炒め・のらぼう菜の肉巻き-

関西の地場野菜「しろ菜」

 広島市南区のスーパーマーケットの野菜コーナーで,葉物野菜「しろ菜」が販売されていました。

(しろ菜(包装))
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 しろ菜は,ハクサイと漬け菜の交雑品種です。

 「大阪しろ菜」・「天満菜」とも呼ばれ,大阪・関西地方を中心に栽培されています。

 漢字では「白菜」と表記されますが,これだと実際の見た目も含めて「しろな」なのか「ハクサイ」なのか消費者にわかりにくいため,「しろ菜」と表記して販売されています。

(しろ菜)
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 ハクサイとは違い,非結球の野菜で1枚1枚の葉が独立しています。

 調理するとどんな味になるのか,簡単なおひたしと炒め物を作ってみました。


しろ菜のおひたし

 しろ菜を酒・みりん・醤油でさっと茹でて,おひたしを作りました。

(しろ菜のおひたし)
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 いただいてみると,シャクシャクとした食感で,ハクサイよりはチンゲン菜や小松菜に近いと感じました。

 わずかながら,ほうれん草のような「えぐみ」も感じられました。

 しろ菜の美味しさをそのまま,簡単に味わえる料理として,おひたしが適しています。


しろ菜と豚肉炒め

 続いて,しろ菜を豚バラ肉と一緒に炒めました。

(しろ菜と豚肉炒め)
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 しろ菜本来の味を楽しめるよう,調味はシンプルに塩・こしょうのみとしました。

 当初,ハクサイに近い野菜ならば茹で物が基本で,炒め物にすると失敗するかもと思ったのですが,実際はチンゲン菜や小松菜に近く,油を使った炒め物の方がより美味しくいただけました。


「やさいバス」と広島県内での運用

 静岡県牧之原市にやさいバス株式会社という会社があります。

 「やさいバス」と名付けられた冷蔵車が地域を巡回し,最寄りのバス停を利用して,生産者から実需者(卸売業者・青果店・消費者など)へ鮮度の良い野菜が直接届けられる流通システムを構築されている会社です。

 当初は静岡県内を中心に運用されていましたが,徐々にエリアを拡大され,2021年8月からはそごう広島店とのコラボレーションで,広島県内でも運用されるようになりました。

 広島市は,京都に次いで明治38(1905)年2月5日にバスが運行開始され(※),現在も数多くのバス会社が様々な地域・都市間を運行している日本有数のバス都市です。
 ※日本初は,明治36(1903)年9月20日に京都市で運行開始したバスとされ,この日が「バスの日」に制定されています。

 広島県内での「やさいバス」運用は,こうした広島のバスの路線網・ネットワークが活用されています。

 実際に運行しているバスに,乗客と産地で採れた野菜を乗せた「貨客混載」方式で運用される,全国でも珍しい取組みとなっています。

(「やさいバス」バス停)
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 デパートの地下食品売場が「やさいバス」のバス停です(笑)

 現在,広島県内のバス路線のうち,「たかの便」(庄原市),「東城・庄原(県立広島大学)便」(庄原市),「戸河内便」(安芸太田町),「東広島便」(東広島市),「世羅便」(世羅町),「三原便」(三原市)などで「やさいバス」が運用されています。


関東の地場野菜「のらぼう菜」

 「やさいバス」のコーナーに,神奈川県愛川町から届いた「のらぼう菜」が販売されていました。

 価格表示ラベルに「お取り寄せしました」とあり,のらぼう菜を手に取ってみると,「運搬距離638km」と記載されていました。

 消費者が個人でお取り寄せすることを考えると,安価に購入することが出来ます。

(のらぼう菜(包装))
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 商品POPを見ると,のらぼう菜は肉巻きがおすすめと紹介されていました。

(のらぼう菜POP(肉巻き料理紹介))
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 のらぼう菜は,東京・埼玉など関東を中心に栽培されている野菜です。

 菜花類の一種で,春の訪れを知らせてくれる野菜です。

(のらぼう菜)
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 太い茎と濃い緑色の葉が特徴です。

(のらぼう菜(拡大))
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 こちらは茎と葉を拡大した写真です。

 茎は,右半分の切り口からもわかるように,アスパラガスに似ています。

 葉は濃い緑色で厚みがあります。

 中心部には菜の花などと同様につぼみがあります。

(のらぼう菜のつぼみ)
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 とても小さく,1束に1つしかないので,よくよく注意して探さないと見つけられません。

 菜の花に比べて,苦味・クセが少なく,食べやすいことも特徴です。

 関東だけの野菜かと思っていましたが,意識して野菜売場を見て回ると,出雲産・広島産など他の地域でもポツポツと栽培されているようです。


のらぼう菜の肉巻き

 のらぼう菜のPOPに「特に茎の部分が美味しく,肉巻きで食べるのがおすすめ」とあったので,豚バラ肉(スライス)で巻き,肉巻きを作ってみました。

 のらぼう菜を5~6cm間隔で切り,豚バラ肉(スライス)で巻いて,つまようじで斜めに止めました。

(のらぼう菜の肉巻き(加熱前))
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 茎が太いので,茎2~3本と葉の組合せで巻きました。

 油をひいて加熱したフライパンで焼き,シンプルに塩・こしょうで味付けしたら完成です。

(のらぼう菜の肉巻き)
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 加熱すると,のらぼう菜の緑色は一層濃くなり,豚肉も良い焼き色となりました。

(のらぼう菜の肉巻き(拡大))
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 豚肉はカリカリ,のらぼう菜の葉はパリパリに仕上がりました。

 いただいてみると,茎にはアスパラガスにも似た食感・ジューシーさが,葉には凝縮された濃い旨味が感じられ,焼いた豚バラ肉との相性も抜群でした。

 のらぼう菜は,肉巻きをシンプルに塩・こしょうでいただくのがおすすめです。


まとめ

 今回は,関西の「しろ菜」と関東の「のらぼう菜」という2つの地場野菜を御紹介しましたが,最近では,少量ながらも他の地域でも栽培されていたり,「やさいバス」やお取り寄せといった流通手段が発達するなど,その気になれば珍しい野菜も比較的容易に入手できる時代となっています。

 こうしたシステム・時代の流れをうまく活用し,お気に入りの野菜を使って,豊かな食生活を送りたいものです。


<関連サイト>
 「やさいバス」(やさいバス株式会社・静岡県牧之原市布引原1076-2

<参考文献>
 「バスびより(広島バスセンター60周年超特大号 Vol.13)」広島バスセンター

2022年4月 3日 (日)

バウムクーヘン博覧会2022 -ユーハイムクランツ・THEO・バウムクーヘンBAR47・バウムフリット・ファイナルクーヘン総選挙・究極のバウムクーヘン-

バウムクーヘン博覧会と広島

 バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」の創業者,カール・ユーハイムは,日本軍の捕虜として現在の広島市南区似島の捕虜収容所に連行されたドイツ人で,彼の焼き上げたバウムクーヘンを広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)でお披露目したことにより,日本で初めてバウムクーヘンが知られることとなりました。

 このお披露目をしたのが1919年3月4日のことで,これを記念して毎年3月4日は「バウムクーヘンの日」とされています。

 そんなバウムクーヘンとゆかりのある広島で,今年も「バウムクーヘンの日」に近い2022年3月16日から22日にかけて「バウムクーヘン博覧会 2022」が開催されました。

(「バウムクーヘン博覧会 2022」ポスター)
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 広島そごうの特設会場には,全国47都道府県,約150ブランドのバウムクーヘンがずらりと勢ぞろいしました。

 全国各地のバウムクーヘンの販売はもちろん,ユーハイム100周年イベント,AIバウムクーヘン職人「THEO(テオ)」が焼き上げる「AI焼き立てバウムクーヘン」,全国47都道府県・47種類の中から好きなバウムクーヘン5種を食べ比べることができる「バウムクーヘンBAR47」,バウムクーヘン博覧会限定バッグに6種類のバウムクーヘンが入った「バウムクーヘン詰め合わせセット」の販売,ご当地バウムクーヘン日本一を決める「ファイナルクーヘン総選挙」など,バウムクーヘンにちなんだ様々なイベントが用意されていました。

 そうしたイベントのいくつかを御紹介したいと思います。


ユーハイムクランツ

 株式会社ユーハイムが2022年3月7日に100周年を迎えられたことから,その記念イベントが行われていました。

 その1つとして「できたてユーハイムクランツ」の実演・実食コーナーがあったので,参加しました。

 ホールのスポンジケーキをクルクル回しながら白いバタークリームが塗られていく様子を見学した後,イートインコーナーでできたてのユーハイムクランツをいただきました。

(ユーハイムクランツ)
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 スポンジケーキにバタークリームを塗り,仕上げにアーモンド入りシュガーをまぶしたシンプルなケーキです。

 ふわふわのケーキ,しっとりとして軽い口当たりのバタークリーム,シャリシャリ感が楽しめるアーモンドシュガーと,できたてならではの美味しさと食感が楽しめました。


AIバウムクーヘン職人「THEO(テオ)」

 昨年に続き,今年もAIバウムクーヘン職人「THEO(テオ)」がバウムクーヘンを焼き上げていました。

 THEOはユーハイムが開発したAI搭載のバウムクーヘン専用オーブンです。

(AIバウムクーヘン職人「THEO(テオ)」)
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 会場には2台のTHEOが設置され,順番にバウムクーヘンを焼き上げていました。

 出来上がったバウムクーヘンは,「AI焼き立てバウムクーヘン」として数量限定で販売されました。

 「THEO(テオ)」(株式会社ユーハイム)


全国のバウムクーヘン食べ比べ「バウムクーヘンBAR47」

 全国47種類の中から食べたいバウムクーヘンを5種選んで食べ比べができる「バウムクーヘンBAR47」が今年も開催されました。

 今回私が選んだバウムクーヘンは次の5種です。

(バウムクーヘン47(群馬・秋田・千葉・沖縄・富山))
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 写真右側の星のピックが刺してあるバウムクーヘンが群馬で,それから時計回りに秋田,千葉,沖縄,富山のバウムクーヘンとなります。

 群馬県:「琴音や」の「味噌バウム」
 秋田県:「お菓子のくらた」の「醤油ばうむ」
 千葉県:「パティスリーメヌエット」の「檸檬のバームクーヘン」
 沖縄県:「ふくぎや」の「ガジュマル」
 富山県:「フェルヴェール」の「バウムクーヘン」

 これまで味わったことのない都道府県のバウムクーヘンや,珍しい素材が使われたバウムクーヘンを中心に選びました。

 群馬県桐生市「琴音や(ことねや)」の「味噌バウム」は,素材に味噌が使われている珍しいバウムクーヘンです。
 味噌の深いコクと香ばしさが感じられるバウムクーヘンです。

 秋田県湯沢市「お菓子のくらた」の「醤油ばうむ」は,醤油など秋田の食材にこだわって作られたバウムクーヘンです。
 表面がシュガーで薄くコーティングされており,それがほのかに感じられる醤油風味のケーキと合わさって,みたらし団子のたれのような甘じょっぱさが楽しめました。

 千葉県我孫子市「パティスリーメヌエット」の「檸檬のバームクーヘン」は,ケーキ生地と表面のフォンダン(砂糖がけ)に瀬戸内レモンが使われたバウムクーヘンです。
 ケーキ生地にレモンが練り込まれ,フォンダンにもレモンの酸味が感じられるほどたっぷりのレモン果汁が使われた,レモン風味満点のバウムクーヘンです。

 沖縄県那覇市「ふくぎや」の「ガジュマル」は,沖縄の黒糖が使われたハードタイプのバウムクーヘンです。
 しっかりと焼き上げられた生地に,黒糖のやさしい甘さとコクがマッチしたバウムクーヘンです。

 富山県高岡市「フェルヴェール」の「バウムクーヘン」は,ドイツの伝統的製法で作られたバウムクーヘンです。
 1枚1枚の層がしっかり焼き上げられていて,生地にほどよい弾力としっとり感があります。
 前回に続き,もう一度味わいたいと思い,選びました。


バウムフリット

 ユーハイムのコーナーで,今回も出来立てのバウムフリットが販売されていました。

 バウムクーヘン博覧会限定のお菓子です。

 100gあたり300円(税込み324円)とお得で,とても美味しいので,今回も100g購入しました。

(バウムフリット(開封))
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 紙袋の中の様子です。

 一口サイズのバウムクーヘンを揚げたクッキーのようなお菓子です。

(バウムフリット)
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 バウムクーヘンを油で揚げた商品だと思っていましたが,正しくはノンフライヤーで油を使わずに揚げたバウムクーヘンだとわかりました。

 賞味期限が当日までとなっていましたが,これはサクサクのクッキーのような食感が楽しめる期間が短いことも関係しています。
(時間が経つと空気中の水分を吸収し,サクサク感が失われてきます。)

 このお菓子,興味を持たれず素通りされる方も多いのですが,この博覧会限定で,バウムクーヘンを凝縮した美味しさがあり,独特の食感も楽しめ,なおかつコストパフォーマンスも良いので,おすすめです。


ファイナルクーヘン総選挙 2022春 神戸・広島選抜大会

 バウムクーヘン博覧会会場内で「ファイナルクーヘン総選挙 2022春 神戸・広島選抜大会」が実施されていました。

(ファイナルクーヘン総選挙 2022春 神戸・広島選抜大会 ポスター)
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 2022年春の総選挙は,神戸阪急と広島そごうの2会場,そしてオンラインで実施されました。

 有権者の1人として,投票所へ行きました。

(ファイナルクーヘン総選挙 ポスター掲示場)
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 文字の大きさ・フォント・色,ポスター掲示板のデザインなど,すべてがリアルです。

 ファイナルクーヘン総選挙ということで,実施主体は「最終年輪選挙管理委員会」となっています(笑)

 選挙管理委員会の方に,写真撮影可能かどうか確認した上で撮影しました。

(ファイナルクーヘン総選挙 ポスター掲示場(全体))
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 全国のバウムクーヘンのお店(70店舗)が立候補されているだけに,掲示されたポスターも半端ない数となっています(笑)

 受付で投票用紙と鉛筆をお借りし,投票記載台で「エントリーナンバー」・「店舗名」・「候補バウム名」を投票用紙に記入しました。

(投票記載台)
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 投票記載台のセット,投票用紙の様式・大きさ,そして鉛筆を使うところまで本物の選挙とそっくりです。

 記入した投票用紙を投票箱へ入れ,投票を終えました。

 投票所を出る際,選挙管理委員会の方から総選挙のチラシとバウムクーヘンをいただきました。

(ファイナルクーヘン総選挙チラシと「THEO」のバウムクーヘン)
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 バウムクーヘンは「THEO」が焼き上げた試供品です。

(「THEO」のバウムクーヘン)
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 選挙に投票して清々しい気持ちになり,同時にお得感も味わえました。


究極のバウムクーヘン・アソート

 会場内で,究極のバウムクーヘンが販売されていました。

 抹茶・ごま・コーヒー・ラム酒の4種類が揃えられていました。

 商品を眺めていて,ふと1つのバウムクーヘンに目が留まりました。

(究極のバウムクーヘン販売の様子(コーヒー))
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 コーヒーハンター・川島良彰さん監修のオリジナルブレンドコーヒーが使われたバウムクーヘンが紹介されていたのです。

 川島良彰さんについては,漫画「僕はコーヒーが飲めない」で知り,東京のカフェ「ミカフェート」でコーヒーを味わったこともあります。

 本当に良い材料が使われたバウムクーヘンばかりなのだろうと思い,コーヒーを含む4種類すべてのバウムクーヘンが詰め合わせになった「究極のバウムクーヘン・アソート」を購入しました。

(究極のバウムクーヘン・アソート(箱))
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 箱には「Happy Barthday Juchheim 100」と記載された金色のシールが貼られていました。

(究極のバウムクーヘン・アソート(中身))
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 バウムクーヘンが1切れずつ丁寧に包装されていました。

(究極のバウムクーヘン・アソート(抹茶・ごま・コーヒー・ラム酒))
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 写真左から,「抹茶」,「ごま」,「コーヒー」,「ラム酒」のバウムクーヘンです。

 「抹茶」は,京都・宇治茶の老舗「丸久小山園」が特別に選んだ石臼挽き抹茶「又玄(ゆうげん)」が使用されたバウムクーヘンです。
 抹茶の鮮やかな緑色とバウムクーヘンの層が美しく映えています。
 ケーキ生地に抹茶が贅沢に練り込まれており,抹茶のとても良い香りがしました。

 「ごま」は,大阪・天満の老舗ごまメーカー「和田萬」の金ごまが使用されたバウムクーヘンです。
 金ごまのペーストとすりごまが,ケーキ生地とグラズーワ(砂糖衣)に贅沢に使用されています。
 ごまの香ばしさとコクを存分に楽しめるバウムクーヘンです。

 「コーヒー」は,川島良彰さんが監修されたオリジナルブレンドコーヒーを,このバウムクーヘンのために開発された「クラック・イブ・ロースト」製法(※)で作られたコーヒーバウムクーヘンです。
 ケーキ生地にコーヒーが練り込まれていて,口の中いっぱいにコーヒーのアロマが広がります。
 コーティングされているチョコレートにも粗挽きのコーヒー豆が入っており,コーヒーとチョコレートとバウムクーヘンが見事に調和していました。
 ※バウムクーヘンの焼成とコーヒー豆の焙煎を同時に行う製法

 「ラム酒」は,高知県「菊水酒造」の国産ゴールドラムなどが使用されたバウムクーヘンです。
 バウムクーヘンとの相性を考え,ケーキ生地には深いコクが味わえる「ジャマイカ産ダークラム」が,グラズーワには甘く豊かな香りの「国産ゴールドラム」とアクセントとなる「山椒」が使われています。
 上品で爽やかな香りが楽しめるバウムクーヘンです。

 どれも厳選された食材が使われており,まさに「究極のバウムクーヘン」と呼ぶにふさわしい逸品でした。

 なお,ユーハイム神戸元町本店のカフェには,今回御紹介した「究極のバウムクーヘン食べ比べ」セットが御用意されているようです。


まとめ

 今回のバウムクーヘン博覧会も盛りだくさんの内容で,バウムクーヘンの世界を楽しむことが出来ました。

 カール・ユーハイムが広島の地でバウムクーヘンを紹介して以来,バウムクーヘンは日本全国に広まり,日本の洋菓子の1つとして長きにわたり親しまれています。

 そのため,日本人にとってバウムクーヘンはとても身近なお菓子となり,時代とともに様々なバウムクーヘンが誕生しています。

 伝統的な製法によるバウムクーヘン,地元の食材を取り入れたバウムクーヘン,フォトジェニックなバウムクーヘン,フルーツを使ったバウムクーヘン,高級食材を使ったバウムクーヘン,AIバウムクーヘン職人が焼いたバウムクーヘンなど,日本のバウムクーヘンの世界はどんどん広がっています。


 お気に入りのバウムクーヘンとともに,素敵なティータイム・コーヒータイムをお過ごしください。


<関連サイト>
 「バウムクーヘン博覧会」(バウムクーヘン博覧会実行委員会)
 「ユーハイム」(「神戸元町本店」神戸市中央区元町通1-4-13ほか)
 「丸久小山園」(「西洞院店」京都市中京区西洞院通御池下ル西側)
 「和田萬」(大阪市北区菅原町9-5)
 「ミカフェート」(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 13Fほか)
 「菊水酒造」(高知県安芸市本町4-6-25)

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