関西の地場野菜「しろ菜」と関東の地場野菜「のらぼう菜」・広島県の「やさいバス」-しろ菜のおひたしと豚肉炒め・のらぼう菜の肉巻き-
関西の地場野菜「しろ菜」
広島市南区のスーパーマーケットの野菜コーナーで,葉物野菜「しろ菜」が販売されていました。
(しろ菜(包装))
しろ菜は,ハクサイと漬け菜の交雑品種です。
「大阪しろ菜」・「天満菜」とも呼ばれ,大阪・関西地方を中心に栽培されています。
漢字では「白菜」と表記されますが,これだと実際の見た目も含めて「しろな」なのか「ハクサイ」なのか消費者にわかりにくいため,「しろ菜」と表記して販売されています。
(しろ菜)
ハクサイとは違い,非結球の野菜で1枚1枚の葉が独立しています。
調理するとどんな味になるのか,簡単なおひたしと炒め物を作ってみました。
しろ菜のおひたし
しろ菜を酒・みりん・醤油でさっと茹でて,おひたしを作りました。
(しろ菜のおひたし)
いただいてみると,シャクシャクとした食感で,ハクサイよりはチンゲン菜や小松菜に近いと感じました。
わずかながら,ほうれん草のような「えぐみ」も感じられました。
しろ菜の美味しさをそのまま,簡単に味わえる料理として,おひたしが適しています。
しろ菜と豚肉炒め
続いて,しろ菜を豚バラ肉と一緒に炒めました。
(しろ菜と豚肉炒め)
しろ菜本来の味を楽しめるよう,調味はシンプルに塩・こしょうのみとしました。
当初,ハクサイに近い野菜ならば茹で物が基本で,炒め物にすると失敗するかもと思ったのですが,実際はチンゲン菜や小松菜に近く,油を使った炒め物の方がより美味しくいただけました。
「やさいバス」と広島県内での運用
静岡県牧之原市にやさいバス株式会社という会社があります。
「やさいバス」と名付けられた冷蔵車が地域を巡回し,最寄りのバス停を利用して,生産者から実需者(卸売業者・青果店・消費者など)へ鮮度の良い野菜が直接届けられる流通システムを構築されている会社です。
当初は静岡県内を中心に運用されていましたが,徐々にエリアを拡大され,2021年8月からはそごう広島店とのコラボレーションで,広島県内でも運用されるようになりました。
広島市は,京都に次いで明治38(1905)年2月5日にバスが運行開始され(※),現在も数多くのバス会社が様々な地域・都市間を運行している日本有数のバス都市です。
※日本初は,明治36(1903)年9月20日に京都市で運行開始したバスとされ,この日が「バスの日」に制定されています。
広島県内での「やさいバス」運用は,こうした広島のバスの路線網・ネットワークが活用されています。
実際に運行しているバスに,乗客と産地で採れた野菜を乗せた「貨客混載」方式で運用される,全国でも珍しい取組みとなっています。
(「やさいバス」バス停)
デパートの地下食品売場が「やさいバス」のバス停です(笑)
現在,広島県内のバス路線のうち,「たかの便」(庄原市),「東城・庄原(県立広島大学)便」(庄原市),「戸河内便」(安芸太田町),「東広島便」(東広島市),「世羅便」(世羅町),「三原便」(三原市)などで「やさいバス」が運用されています。
関東の地場野菜「のらぼう菜」
「やさいバス」のコーナーに,神奈川県愛川町から届いた「のらぼう菜」が販売されていました。
価格表示ラベルに「お取り寄せしました」とあり,のらぼう菜を手に取ってみると,「運搬距離638km」と記載されていました。
消費者が個人でお取り寄せすることを考えると,安価に購入することが出来ます。
(のらぼう菜(包装))
商品POPを見ると,のらぼう菜は肉巻きがおすすめと紹介されていました。
(のらぼう菜POP(肉巻き料理紹介))
のらぼう菜は,東京・埼玉など関東を中心に栽培されている野菜です。
菜花類の一種で,春の訪れを知らせてくれる野菜です。
(のらぼう菜)
太い茎と濃い緑色の葉が特徴です。
(のらぼう菜(拡大))
こちらは茎と葉を拡大した写真です。
茎は,右半分の切り口からもわかるように,アスパラガスに似ています。
葉は濃い緑色で厚みがあります。
中心部には菜の花などと同様につぼみがあります。
(のらぼう菜のつぼみ)
とても小さく,1束に1つしかないので,よくよく注意して探さないと見つけられません。
菜の花に比べて,苦味・クセが少なく,食べやすいことも特徴です。
関東だけの野菜かと思っていましたが,意識して野菜売場を見て回ると,出雲産・広島産など他の地域でもポツポツと栽培されているようです。
のらぼう菜の肉巻き
のらぼう菜のPOPに「特に茎の部分が美味しく,肉巻きで食べるのがおすすめ」とあったので,豚バラ肉(スライス)で巻き,肉巻きを作ってみました。
のらぼう菜を5~6cm間隔で切り,豚バラ肉(スライス)で巻いて,つまようじで斜めに止めました。
(のらぼう菜の肉巻き(加熱前))
茎が太いので,茎2~3本と葉の組合せで巻きました。
油をひいて加熱したフライパンで焼き,シンプルに塩・こしょうで味付けしたら完成です。
(のらぼう菜の肉巻き)
加熱すると,のらぼう菜の緑色は一層濃くなり,豚肉も良い焼き色となりました。
(のらぼう菜の肉巻き(拡大))
豚肉はカリカリ,のらぼう菜の葉はパリパリに仕上がりました。
いただいてみると,茎にはアスパラガスにも似た食感・ジューシーさが,葉には凝縮された濃い旨味が感じられ,焼いた豚バラ肉との相性も抜群でした。
のらぼう菜は,肉巻きをシンプルに塩・こしょうでいただくのがおすすめです。
まとめ
今回は,関西の「しろ菜」と関東の「のらぼう菜」という2つの地場野菜を御紹介しましたが,最近では,少量ながらも他の地域でも栽培されていたり,「やさいバス」やお取り寄せといった流通手段が発達するなど,その気になれば珍しい野菜も比較的容易に入手できる時代となっています。
こうしたシステム・時代の流れをうまく活用し,お気に入りの野菜を使って,豊かな食生活を送りたいものです。
<関連サイト>
「やさいバス」(やさいバス株式会社・静岡県牧之原市布引原1076-2)
<参考文献>
「バスびより(広島バスセンター60周年超特大号 Vol.13)」広島バスセンター
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所変われば品変わると言いますが、野菜も変わるのですね^^
しろ菜はもちろん、のらぼう菜も知りませんでした^^;
もっと野菜の事しろーな!
と言われそうですね^o^
肉好き野菜嫌いとしては、豚肉とのコラボは有り難いです(^_^)
横浜にも大宮にもそごうはありますが、今のところコラボの予定はないのでしょうね?
投稿: なーまん | 2022年4月10日 (日) 18時49分
しろ菜は初耳、のらぼう菜は聞いたことがある(か、スーパーで見かけたことがある)な…です。
「漬け菜」も初耳で、どんな野菜かと思ったら「アブラナ科の中でも結球しない菜っ葉類の総称」なんですね。
勉強になります。
のらぼう菜はたぶん簡単に手に入りそうなので、見かけたら買って、肉巻きで食べてみます。
投稿: chibiaya | 2022年4月10日 (日) 21時12分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
「もっと野菜の事,知ろうな!」と激励のお言葉,ありがとうございました。
お上手ですね!!今も笑いが止まりません(^-^)
なーまんさんは野菜がお苦手なので,今回の記事も心配しましたが,神奈川の話題に興味を持っていただければとの思いで作りました。
神奈川ののらぼう菜,肉巻きにするととても美味しかったです。
お店の方が神奈川からわざわざお取り寄せされたぐらいだから,これはいけるだろうと思いましたが,そのとおりでした(^-^)
そういえば,そごうは横浜や大宮にありますね。
「やさいバス」のウェブサイトを見ても,広島の話題が多いですが,バスの街・広島ということで注目されているのかも知れません。
今のところ,ほかのそごうでの計画はないようですが,これからこうしたネットワーク・交通網を利用したサービスは増えていくのではないかと思います。
今後も楽しみです。
投稿: コウジ菌 | 2022年4月10日 (日) 21時51分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
chibiayaさんは,いつも丁寧に,私の記事をさらに調べてくださっているので,私もとても勉強になっています。
「漬け菜」のお話,ありがとうございました。
のらぼう菜は東京や埼玉の地場野菜なので,chibiayaさんにとって馴染み深い野菜かも知れませんね。
加熱すると,葉がぎゅっと縮んで旨味が濃縮され,クセもなく,食感もパリパリになって美味しかったです!
味付けは塩・こしょうのみでよく,簡単なので,よろしければのらぼう菜の肉巻きをお試しください。
しろ菜を買おうと思ったきっかけは,見かけが油麦菜と似ていて,炒めたら美味しそうだと思ったからです(笑)
炒めても油麦菜のような香ばしさは出ませんでしたが,クセがないので,炒め物や煮物など,いろんな料理に使える万能野菜です。
投稿: コウジ菌 | 2022年4月10日 (日) 22時08分