新潟の食文化探訪3 -おにぎり・神楽南蛮・みどりのラー油・笹団子・醬油おこわ・柿の種・新潟のお菓子-
今回は,新潟ならではの様々な食を御紹介し,あわせて新潟の食文化の特徴についても考えてみたいと思います。
新潟のおにぎり
新潟は日本有数の「米どころ」として有名です。
新潟が米の一大産地となったのは,大地・気候・水に恵まれていることにあります。
信濃川や阿賀野川によって形成された肥沃で広大な越後平野(大地),米の生育条件に最適な平均気温・昼夜の寒暖差(気候),腐葉土の養分がたっぷり含まれた大量の雪解け水(水)と,新潟は米の栽培条件に恵まれているのです。
そんな「米どころ新潟」ならではの飲食店の1つが,おにぎり屋さんです。
そこで,新潟市内のおにぎり屋さん「にぎり米(にぎりまい)」を訪問し,新潟のおにぎりをいただきました。
月曜日(平日)の朝,開店時刻の少し前にお店に着きましたが,すでに開店を待つお客さんが並ばれていました。
このお店では,握りたてのおにぎりを味わうことが出来ます。
25種類のおにぎりの中から,おにぎりの定番「塩むすび(えんむすび)」と新潟ならではの「神楽南蛮味噌」の2つを注文しました。
(おにぎり(にぎり米))
握りたてのおにぎりがパリパリの焼き海苔に包まれて提供されました。
まずはご飯の美味しさをダイレクトに味わえる「塩むすび」からいただきました。
(おにぎり(塩むすび))
ふんわりとした絶妙な握り加減で,ほどよい塩味がごはんの甘みをより一層引き立てていました。
ご飯の美味しさをダイレクトに味わうことが出来ました。
続いては「神楽南蛮味噌」です。
「神楽南蛮(かぐらなんばん)」は,中越地方で生産されている唐辛子で,「神楽南蛮味噌」は,その神楽南蛮に味噌や大葉,砂糖などを混ぜ合わせた万能味噌です。
(おにぎり(神楽南蛮味噌))
神楽南蛮のピリ辛がアクセントとなった甘辛仕立ての味噌で,ごはんとの相性が抜群でした。
新潟はおにぎりのお店が多く,米(ごはん)の美味しさに自信とプライドを持っておられることがわかりました。
神楽南蛮と「みどりのラー油」
ここで,神楽南蛮について少し御紹介したいと思います。
神楽南蛮は長岡市など中越地方で生産されている青い唐辛子の名称です。
同じ新潟の「南蛮海老」という名称は,唐辛子(南蛮)のように真っ赤な色の海老であることに由来していますが,「神楽南蛮」の名称は,唐辛子(南蛮)の見た目が「神楽のお面」のように見えることに由来しています。
(長岡市の食材「かぐらなんばん」の紹介)
「長岡美食材図鑑」(長岡産ブランディング委員会)の一部を加工・引用
長岡市役所でいただいた食材図鑑に「かぐらなんばん」が紹介されていました。
果肉はパプリカのように肉厚で甘く,種やワタは辛味をもつため,食べると甘味の中にさわやかな辛味が感じられるそうです。
長岡駅「CoCoLo長岡」のお土産店「ぽんしゅ館」で,神楽南蛮を使ったラー油「みどりのラー油」を購入しました。
(みどりのラー油)
小千谷市のへぎそば店「わたや」が開発した商品で,「調味料選手権 2020」辛味部門で最優秀賞を受賞された逸品です。
この「みどりのラー油」を冷奴や鶏肉で味わってみました。
(冷奴(みどりのラー油))
冷奴に「みどりのラー油」をかけていただきました。
一般的なラー油に比べて,さわやかでマイルドな辛さなので,冷奴の薬味として美味しくいただけます。
続いて,塩茹でした鶏むね肉に「みどりのラー油」を合わせてみました。
(塩茹で鶏むね肉(みどりのラー油))
見た目はオリーブオイルのようなグリーンで,その鮮やかな色も料理に映えます。
白髪ねぎや炒りゴマを添えてみました。
塩茹でにより味がついていますが,「みどりのラー油」を少しつけるとグンと美味しくいただけました。
新潟市中心部散策
新潟のおにぎり屋さんで朝食を済ませた後,新潟市中心部を散策しました。
新潟市内を一望できる新潟日報本社ビルの最上階「新潟日報メディアシップ そらの広場」(無料)へ行ってみました。
新潟市内の様子を御覧ください。
(新潟市内展望(南東方向))
(新潟市内展望(南西方向))
写真の川が信濃川で,奥には新潟県庁も見えます。
(新潟市内展望(北西方向・萬代橋))
信濃川に南北に架かる橋が有名な「萬代橋(ばんだいばし)」です。
(新潟市内展望(北東方向)・朱鷺メッセ・新潟港)
高層ビルが朱鷺メッセで,その先は新潟港です。
新潟市内を一望した後,萬代橋を渡り,新潟市中心街の本町(ほんちょう),古町(ふるまち)界隈を散策しました。
途中,面白い信号機を見つけました。
(縦の車両信号と横の歩行者信号(新潟市中央区・上大川前交差点))
車両信号が縦になっているのは,雪国ならではの光景ですが,逆に歩行者信号は横になっているのが面白いです。
(縦の車両信号と横の歩行者信号(新潟市中央区・古町通りと新津屋小路の交差点))
歩行者信号が横に配置されているのは,そのすぐ上に商店街のアーケードがあるためですが,一般的には横に配置される車両信号が縦に,縦に配置される歩行者信号が横に配置されていることに興味を持ちました。
新潟の笹団子
新潟のお土産店(お土産売場)や食品売場でよく見かけたのが「笹団子」です。
笹団子は新潟の地元客にも観光客にも人気の食品で,実演販売されているお店も多く見かけました。
私は,本町通り沿いにある「田中屋本店」にお邪魔しました。
(田中屋本店「笹だんご・ちまき」商品案内)
一般的な笹団子は,「つぶあん」と「こしあん」ですが,こちらのお店ではこのほかに「きんぴら」,「あらめ(海藻)」,「茶豆」も御用意されていました。
甘い小豆あんが入った笹団子は「女団子」,きんぴらなどの総菜が入った笹団子は「男団子」とも呼ばれます。
笹だんごを単品で注文すると,お店の奥のせいろから,蒸し上げられたばかりの笹だんごが出されました。
(出来立ての笹だんご)
笹の葉で包んだ団子を「イグサ」と呼ばれる紐(ひも)で結わえるのですが,その団子をさらにイグサで数個まとめた上で,せいろで蒸されます。
そのため,私のように単品(バラ)で注文すると,イグサを解く作業が必要になるのです。
「その場でいただくのが一番美味しいだろうな」と思いつつ,自宅に持ち帰っていただきました。
(笹だんご)
1つ1つ丁寧にイグサで結ばれているのがわかります。
笹の葉には殺菌・防腐効果があるため,冷蔵庫がなかった昔は保存食の1つでもありました。
(笹だんご(笹とだんご))
イグサを解いた笹だんごの様子です。
(笹だんご(中身))
ヨモギだんごの中にあんこがたっぷり入っています。
ほどよい甘さのあんこで,だんごもお餅に近いしっかりとした弾力あり,「さすが米どころ新潟のだんご」と納得できる一品でした。
本当は「きんぴら」や「あらめ」なども購入したかったのですが,事前予約が必要とのことで,次回のお楽しみとなりました。
参考のため,お店の方に「事前予約は数日前から必要ですか?」と伺ったところ,「2時間程度いただければ…」とのお話でした。
それにしても「あかねちゃん」かわいかったなぁ。「あかねちゃん」グッズも買えばよかった…(笑)
醬油おこわ・醤油赤飯
同じ「田中屋本店」で「正油おこわ」も購入しました。
(正油おこわ)
青えんどう豆と金時豆が入った醤油味のおこわです。
また,長岡市には「醬油赤飯」と呼ばれる全国でも珍しい醤油味の赤飯があります。
(醬油赤飯の販売)
長岡駅「CoCoLo長岡」のお土産店「ぽんしゅ館」で,お土産用の醬油赤飯が販売されている様子です。
小豆やささげの代わりに金時豆が使われ,赤飯特有の赤い色付けに醤油が使われているのが特徴です。
新潟市内や長岡市内の餅・団子販売店,お土産店,食料品店などで販売されています。
私も買ったのですが,新潟のお土産の1つとして差し上げました。
自分用にもう1つ買っておけばよかった…。
柿の種・新潟のお土産
萬代橋近くの自動販売機で,米菓「柿の種」が販売されていました。
(自動販売機で販売されている「柿の種」)
携帯用の「ポケパック」で販売されており,新潟市民にとって身近なお菓子なのだと改めて思いました。
新潟県内のお土産店でも,浪花屋製菓や亀田製菓をはじめとした柿の種がよく販売されています。
ちなみに亀田製菓の社名は地名に由来し,本社は信越本線の亀田駅が最寄り駅となっています。
(「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」(包装))
こちらは新潟のお土産として購入した「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」です。
(「笹団子あずきのケーキ」と「柿の種フロランタン」)
せっかくなら新潟らしいお土産をと思って選び,職場の皆さんに配ったのですが,広島では新潟の名物が笹団子だと知らない人も多かったのが印象的でした。
「笹団子あずきのケーキ」は,ヨモギ風味のケーキに小豆あんが入ったもので,笹団子の特徴が生かされていました。
「柿の種フロランタン」は柿の種にキャラメル生地がたっぷりかけられたお菓子で,柿の種のピリッとした辛さが楽しいアクセントになっていました。
広島市内のスーパーマーケットでも新潟の米菓子が売られていました。
(「ばかうけ 青のりしょうゆ味」)
「栗山製菓(Befco・ベフコ)」の「ばかうけ 青のりしょうゆ味」です。
3種ののり(青のり・アオサ・焼きのり)が入った米菓子(せんべい)です。
万代島には新潟市内や日本海を見渡せる「Befcoばかうけ展望室」(無料)もあります。
同じスーパーマーケットの米菓コーナーで,面白い「柿の種」を見つけました。
(「柿の種」焼牡蠣れもん味(瀬戸内限定)(包装))
広島の名産「牡蠣(かき)」の「柿(かき)」の種です(笑)
(「柿の種」焼牡蠣れもん味(瀬戸内限定))
広島県産レモンのパウダーが使われており,レモンの酸味と牡蠣の旨味が生かされた柿の種でした。
まとめ
新潟の食を概観しましたが,米関連の食が多いことが御理解いただけると思います。
また,新潟は酒米(さかまい)や酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)の栽培も盛んで,日本有数の「酒どころ」でもあります。
売るための上等米だけでなく,残ったお米も料理やお菓子の材料として無駄なく上手に使い,一方で酒米や酒造好適米の栽培にも力を注ぐなど,まさに米とともに発展してきたのが新潟だと言えるでしょう。
「新潟はごはんやおにぎり,お寿司はもちろん,米関連のものは何でも美味しい」と自信を持って宣言します!
<関連サイト>
「にぎり米」(新潟市中央区東大通2-8-4)
「みどりのラー油」(「わたや」新潟県小千谷市本町2-3-34)
「田中屋本店」(「本町店」新潟市中央区本町通6番町1105 ほか)
「長岡赤飯」(「江口だんご」新潟県長岡市宮本東方町52-1)
「亀田製菓」(新潟市江南区亀田工業団地三丁目1-1)
「浪花屋製菓」(新潟県長岡市摂田屋町2680)
「栗山製菓(Befco・ベフコ)」(新潟市北区新崎2661)
「ブルボン」(新潟県柏崎市駅前一丁目3-1)
<関連記事>
「新潟の食文化探訪1 -なぜ燕・三条地域で金属産業が発達し,背脂ラーメンが誕生したのか-」
「新潟の食文化探訪2 -佐渡岩もずく・南蛮海老・のどぐろ・のっぺ・笹川流れ藻塩・新潟すし三昧「極み」-」
<参考文献>
「長岡美食材図鑑」長岡産ブランディング委員会(長岡市農水産政策課)
尾形希莉子・長谷川直子「地理女子が教える ご当地グルメの地理学」ベレ出版
野瀬泰申「食は「県民性」では語れない」角川新書
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昔新潟に出張で行った時、ファミレスで食べたご飯がとびきり美味かったのを思い出しました^^
サラリーマン時代新潟出身の人がいたので、笹団子や柿の種をお土産でいただいた事があります^ ^
「新潟の柿の種にはピーナッツは入ってない!」と、自慢げに言ってました^o^
個人的にはピーナッツの方が好きなので、広島の牡蠣の柿の種も食べてみたいですネ(^_^)
以前チラッと申し上げましたが、太閤検地の時、新潟の石高は三十万石で、群馬は四十万石。
冬、麦を作る事も出来ず、豊富すぎる水のせいで田んぼは深田恭子(^_-)
秋田もそうですが、雪国で米作りをするには、大変なご苦労があると思いますm(_ _)m
投稿: なーまん | 2022年8月 7日 (日) 18時44分
なーまん 様
なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます<(_ _)>
ファミレスのご飯がとびきり美味しかったですか。
やっぱり新潟の米は違いますね。
回転寿司のネタやシャリも,きっとほかの地域とは違うのでしょうね。
新潟の方からのお土産はやはり笹団子や柿の種ですか。
私は観光案内所で「新潟の定番のお土産は何でしょうか?広島で言えばもみじ饅頭のような…」と伺ったのですが,その時の回答は柿の種や米菓でした。
最近はアレルギーの関係もあるからか,ピーナッツ抜きの柿の種やピーナッツだけの柿の種(笑)も見かけますが,本場新潟ではピーナッツなしなんですね!
牡蠣の柿の種は,話のネタにぜひ書きたくて買いました(^^ゞ
新潟の米の生産高は幕末以降に増えたお話,印象深く記憶しております。
川の増水や氾濫との闘い,そうした歴史があったからこそ,新潟の人々の米への情熱・愛情はどこにも負けず,美味しい米(ごはん)を提供することに誇りを持ってらっしゃるのかも知れませんね。
今回も色々と勉強になりました。ありがとうございました。
投稿: コウジ菌 | 2022年8月 7日 (日) 19時19分
すっかり遅くなりました~。
さすが新潟、超美味しそうなおにぎりです!
写真を見てたら食べたくなったので、今日のお昼はおにぎりに決定!(笑)
笹団子に総菜が入っているバージョンがあるのは知りませんでした。
あらめは調べたらひじきっぽいような感じにも見えたので、ひじきの煮物と同じような味なのかな(^^;
それを団子と一緒に食べたらどんな味なのか気になります。
投稿: chibiaya | 2022年8月 9日 (火) 10時15分
chibiaya 様
chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
おにぎりの昼食,いいですね~。
新潟のおにぎりに負けず,chibiayaさんのおにぎりも美味しいでしょうね(^-^)
新潟でお寿司をいただいた時も,ネタよりもシャリの美味しさの方が強く記憶に残っています(笑)
笹団子の総菜バージョン,私も知ったのは最近です。
珍しいので,総菜バージョンもぜひ買いたかったのですが,お店の方から予約が必要と伺い,今回はあきらめました。
ただ,「2時間ぐらい前に予約してもらえば用意できます」とのお返事だったので,2時間長く新潟市内に留まるかどうか,少し悩みました。
結局断念しましたが…(笑)
あらめ,私も食べたことがないので,食べてみたいです。
今回御紹介したお店は送料もお安いし,恋しくなったら注文してみようかなと思います。
お店でチマキも一緒に販売されていましたが,材料も発想もよく似ているなと思いました。
投稿: コウジ菌 | 2022年8月 9日 (火) 23時00分