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2023年1月 8日 (日)

福島県会津地方の食文化2 -馬肉料理・こづゆ・いかにんじん・ニシンの山椒漬け・ソースカツ・ごまこんにゃく・会津地鶏・たまりせんべい-

 今回は会津地方の郷土料理を御紹介します。

 夕方,会津若松駅から磐越西線で喜多方駅へ向かいました。

(磐越西線・普通・喜多方行・会津若松駅)
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 写真左が磐越西線・郡山行き,写真右が私が乗車した磐越西線・喜多方行きの列車です。

 喜多方駅に着くと,赤べこやラーメンの横断幕が出迎えてくれました。

(横断幕「ようこそ喜多方へ!」喜多方駅)
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 この度の夕食のお目当ては,赤べこ(牛)でもラーメンでもなく,馬ですが(笑)

(レンガ造りの喜多方駅入口)
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 レトロな味わいのあるレンガ造りの喜多方駅入口です。

 喜多方駅から徒歩で宿泊先の喜多方グリーンホテルへ向かい,少し休憩しました。

 その際,フロントの方から,飲食店情報をはじめ,地元の様々なお話を教えていただきました。
 この場をお借りしてお礼申し上げます。

 その後,喜多方の街を散策しながら郷土料理店「会津田舎家」へ向かいました。

(郷土料理店「会津田舎家」)
Photo_20230108141301

 店名どおり,田舎の屋敷のような店舗でした。

 会津は山に囲まれているため,山の幸や保存性に優れた乾物の魚介類を中心に,独自の食文化が形成されました。

 その1つが馬肉料理です。

 そこで,今回はこの馬肉料理を中心とした会津の郷土料理コースをいただきました。


【メンマチャーシュー大根・馬モツ煮込み】

 お通しは「メンマチャーシュー大根」と「馬モツ煮込み」でした。

(メンマチャーシュー大根と馬モツ煮込み)
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 メンマとチャーシューが使われた料理とは,ラーメンの街・喜多方ならではです。

(馬モツ煮込み)
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 こちらは馬のモツ(内臓)の煮込みです。

 広島には「やおぎも」と呼ばれる牛の肺(フワ)を甘辛く煮た料理がありますが,それとよく似た味・食感でした。


【馬刺し】

(馬刺し(ヒレ肉))
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 馬肉と言えば「馬刺し」です。

 刺身に厚みがありますが,ヒレ肉なのでとてもやわらく,クセが全くありませんでした。

 皿の右下に添えられているのは「ニンニク唐辛子味噌」で,馬刺しにこの調味料を添えて食べるのが会津流です。


【こづゆ】

 かつて海から離れた会津地方は,海産物と言えば乾物が中心でした。

 身欠きニシン,棒タラ,スルメ,貝柱などが挙げられます。

 そのため,会津地方ではこうした乾物を一旦戻して調理した料理も多く存在します。

 その1つが,会津の代表的な郷土料理「こづゆ」です。

(こづゆ)
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 こづゆは,会津地方で江戸時代後期から明治時代初期にかけて武家料理や庶民の御馳走として広まり,冠婚葬祭の料理として振る舞われる郷土料理です。

 シイタケ・人参・里芋・タケノコ・ホタテの貝柱などが入った具だくさんのおつゆです。

 干しシイタケやホタテの貝柱など乾物が使われることが特徴です。


【いかにんじん】

 「こづゆ」と同様に,海産物(乾物)が使われた会津の郷土料理が「いかにんじん」です。

(いかにんじん)
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 スルメイカと人参を和えた保存食(常備菜)です。

 スルメイカ(乾物)の塩味が主な調味料となっています。

 保存性を高めるためか,少々しょっぱめの味付けとなっていました。


【ニシンの山椒漬け】

 こちらも海産物(乾物)が使われた会津の郷土料理「ニシンの山椒漬け」です。

(ニシンの山椒漬け)
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 身欠きニシン(ニシンの乾物)を戻し,醤油,酢,酒,みりんなどの調味料で漬け込んだ料理です。

 酢でさっぱりとしていて,山椒のさわやかな香りがニシンの味を引き立てていました。


【ソースカツ】

 会津はソースカツ丼が有名で,ソースカツ丼のお店がたくさんあります。

 「(今回の訪問では無理だけど)会津のソースカツ丼も食べてみたかったな」と思っていると,不意打ちで「ソースカツ」が提供されました。

 これは嬉しいサプライズでした。

(ソースカツ)
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 豚ヒレ肉のソースカツです。

 会津のソースカツ丼は丼飯に千切りキャベツを敷き,その上にソースカツがのせられますが,その丼飯がないバージョンです。

 トンカツが甘辛いソースにからまり,ご飯も欲しくなる一品でした。


【自家製ごまこんにゃく】

 お店の看板料理の1つ「自家製ごまこんにゃく」です。

(自家製ごまこんにゃく)
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 白ゴマと黒ゴマの2種類で,酢味噌でいただきました。

 こんにゃくというよりは,豆乳で作った湯葉のような食感で,ゴマの風味豊かな一品でした。


【会津地鶏のせせり】

 会津地鶏もいただきました。

(会津地鶏のせせり)
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 「会津地鶏のせせり」の焼き鳥です。

 「せせり」は鶏の首回りの肉で,「ネック」とも呼ばれます。

 地鶏のせせりの肉なので,身が引き締まって弾力があり,かむほどにじわじわと旨味を感じました。


【おむすびセット】

 コースの締めのご飯は「おむすびセット」でした。

(おむすびセット)
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 俵形のおむすびと,冬至カボチャの煮物,生キクラゲの刺身(青菜とわさび),きゅうりの漬物,しその実の醤油漬け,イカのキムチマヨネーズ和えが盛られていました。

 締めの料理に至るまで,会津の食材・料理を堪能できるコースでした。

 コース料理は以上ですが,せっかくなのでもう少し郷土料理を味わいたいと思い,アラカルトでも注文しました。


【馬タン焼き】

 改めてメニューを眺めていて,ふと目に留まった料理がありました。

 馬肉料理の1つ「馬タン焼き」です。

 馬のタンとは珍しいと思い,この馬タンに賭けることとしました。

 これが第11番目の料理となります。

(馬タン焼き)
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 馬タン焼きが6枚で6連タン!
 
 味はタン塩(単勝)一本勝負!

 ここからは実況中継でお伝えします。

 「喜多方第11レース。本日のメインレースを迎えました。」

 「皿の上に6枚の馬タン,今ゲートイン完了です。」

 「各馬タン一斉にスタートしました。タンにしては意外とやわらかく好スタートです。かむほどに脂がジュワッと後に続きます。のど元の第1カーブを過ぎると,次々と食べたい欲求が増してきます。」

 「さぁ最終コーナー。口の中は肉と脂で混戦模様。やわらかさが勝つか,ウマ味が勝つか,歯応えだって負けてない,脂と肉汁も次々と追いかけてくる,ハナ差で風味も続く。これは予想外の一戦だ。箸の動きはハイペース。もはや誰にも止められない。ほぼ同時に胃の中にゴールイン!」

 「ただいまのレース,馬タン,1皿1,100円…」

 馬タンは初めてでしたが,ビギナーズラックな美味しさで,福島の記念になりました。

 ※少々ふざけた表現になったことをお許しください。


【たまりせんべいアイス】

 デザートに,喜多方の「たまりせんべい」を使ったアイスクリームをいただきました。

 喜多方は沿道に蔵が連なる「蔵の街」で,醸造業でも栄えてきました。

 その蔵で作られた(たまり)醤油と地元のお米を使って作られたのが「たまりせんべい」で,喜多方の代表的なお菓子となっています。

(たまりせんべいアイス)
Photo_20230108150301

 たまりせんべいの上に抹茶とチョコレートのアイスクリームがのせられています。

 香ばしいせんべいが,アイスクリームに添えられるウェハースのような役割をしていました。

 一緒にいただくと,アイスクリームにたまり醤油の風味が加わり,その甘じょっぱさが見事にマッチしたデザートでした。


【まとめ】

 会津の郷土料理を満喫しました。

 こちらのお店は,馬肉専門の卸業者から馬肉を仕入れておられるようで,新鮮で美味しい馬肉を味わうことができます。

 また,馬肉料理に限らず様々な会津の郷土料理を御用意されています。

 会津の食から,会津の風土や文化を知るのも面白いと思います。


<関連サイト>
 「会津田舎家」(福島県喜多方市梅竹7276-2)
 「喜多方グリーンホテル」(福島県喜多方市字二丁目4664)

<関連記事>
 「福島県会津地方の食文化1 -馬刺し・ニシン・鯉・くきたち菜・三五八漬け・こづゆ・天ぷら・揚げまんじゅう・そば・会津山塩・なめこ茸-
 「福島県の御当地ラーメン -喜多方ラーメン(喜多方市)と郡山ブラック(郡山市)-

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コメント

来たかった喜多方に来た甲斐があった!
と言うフレーズがキキたかったです(^.^)
会津に馬刺しを広めたのは、プロレスラーの力道山らしいですね。
田畑の耕作に「馬力」を発揮する馬を食べる事は、天武天皇の時代から禁止されていましたが、朝敵となってしまった会津がその禁を破って負傷者に「薬食い」させたのが馬食の始まりと言うのは、なんとも切ない歴史です(◞‿◟)
ごまこんにゃくは見た目素朴ですが、味わい深そうですね(^_^)

会津って馬肉が有名なんですね。知らなったです。
馬肉と言ったら熊本の専売特許かと思ってました(^^;)
それにしても馬刺しが分厚い!
それにしても充実したコース料理!会津を完全に堪能できますね。

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
早速コメントいただき,ありがとうございます。

「喜多方に来たかった」,「行きたかった」
そういうフレーズを「聞きたかった」とのことで,今後はそういう御期待にお応えできるよう努力いたします<(_ _)>

プロレスラーの力道山さんのお話ですが,確かに,馬刺しに「ニンニク唐辛子味噌」を添えて食べるアイデアは力道山さんによるものらしいです。
さすがよく御存知ですね!
会津戦争(戊辰戦争)をきっかけに会津で馬肉が食べられるようになったお話は,なーまんさんから教えていただいたお話として強く印象に残っています。
馬肉を食べるだけでなく,キズの治療にも使われていたのだとか…。
明治維新後もしばらく,会津は冷遇され,ひどい仕打ちを受けたようですね。
そうした歴史的背景も踏まえて,会津の食文化を理解する必要がありますね。

ごまこんにゃく,こんにゃくというよりは,固めの湯葉か寒天ゼリーのようなブリッとした食感でした。
風味はごま豆腐に近く,濃厚で美味しかったです。

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

会津は実は馬肉料理も有名で,馬肉が味わえるお店もたくさんあります。
ただ会津に限らず,東北地方は馬肉が食べられるお店が多いように思います。
それだけ馬との関わりが大きいのでしょうね。
ちなみに熊本の馬肉は昔の熊本鎮台(陸軍の拠点)で多くの馬が利用されていたことが関係しているようです。

分厚い馬刺し。これは馬肉が新鮮でやわらかいからこそできる技で,においやクセもなく,馬肉の旨味をストレートに味わえました。

今回の馬肉料理付き郷土料理のコースで,ひととおり会津の郷土料理が味わえたので良かったです。
コースの内容はあまりわからず注文したので,1皿ごとに何が提供されるかドキドキでしたが,まさかソースカツまでいただけるとは思っていなかったので,とてもラッキーでした(笑)
郷土料理をはじめ,たくさんの種類の料理が用意されたお店で,どの料理も美味しかったので,大満足でした。

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