東京・銀座「資生堂パーラー」のレストラン -ポタージュ・サラダ・ミートクロケット・ビーフシチュー・カスタードプリン-
東京・銀座の資生堂パーラー
東京・銀座の資生堂パーラーは,1902(明治35)年に銀座の街に開店した,120年以上の歴史を持つカフェ・洋食レストランです。
資生堂薬局の一角で製造されたソーダ水やアイスクリームが販売され,もの珍しさやモダンなイメージもあって,たちまち人気を博したようです。
やがて,谷崎潤一郎や夏目漱石といった文化人が集うサロンにもなりました。
資生堂パーラーは,日本の洋食レストラン・カフェの先駆者であり,その伝統を今に受け継いでおられる日本の代表的なお店の1つです。
(東京銀座資生堂ビル)
銀座八丁目にある東京銀座資生堂ビルです。
(資生堂パーラー店舗(花椿通り))
こちらは銀座「花椿(はなつばき)通り」と資生堂パーラーです。
「花椿通り」の名称は,出雲から寄贈された出雲椿が街路樹として植えられ,通りのシンボルとなったことに由来します。
そして「資生堂」のシンボルマーク「花椿」とのかかわりも深いようです。
そんな資生堂パーラーでいただいた料理・デザートをいくつか御紹介します。
カブのポタージュとサラダ
資生堂パーラーでランチをいただきました。
1階の受付で名前を告げると,1組ずつエレベーターでレストランへ御案内いただけます。
私は4階のレストランに御案内いただきました。
テーブル席に着き,注文を済ませると,お水が用意されました。
(資生堂パーラーオリジナルグラスに注がれた水)
よく見ると,グラスやテーブルクロスに資生堂の文字や花椿のマークが施されており,楽しむことができます。
今回はアラカルトで注文しました。
また,本日のスープ,サラダ,コーヒーが付くセットメニューも注文しました。
(カブのポタージュとサラダ)
セットメニューのスープとサラダです
スープはカブのポタージュでした。
レタスやトマトが盛り付けられたサラダは,和風ドレッシングかフレンチドレッシングかを選ぶことができ,選んだドレッシングをお店の方が目の前でたっぷりとかけてくださいます。
ミートクロケット
ポタージュとサラダを味わったところで,一皿目のメイン料理が運ばれていました。
「ミートクロケット」(ミートコロッケ)です。
(ミートクロケット)
俵型のコロッケが2つ,その上に素揚げのパセリがのせられています。
そして赤いトマトソースが添えられています。
総菜として売られている一般的なコロッケと比べると,かなり高価なのですが,その価値を探るべく,ミートクロケットにナイフを入れました。
(ミートクロケット(中身))
こちらがミートクロケットの中身です。
ジャガイモは使われておらず,ベシャメルソースの中に,やわらかい仔牛肉とハムの角切りがゴロゴロと入っていました。
酸味の効いたトマトソースが,ベシャメルソースのコロッケとよく合いました。
確かに,これは納得の一品です。
そして忘れてはならないのが,サクサクに揚げられたパセリです。
厨房では「フライ・パセリ」と呼ばれているようです。
パセリは180~190℃の油でシュワシュワと約20秒ほど揚げ,引き上げてすぐ塩が振られます。
パセリを油で揚げると緑の色素が出るので,パセリ専用の小鍋と揚げ油が使われているそうです。
このエレガントに仕上げられたパセリは,作家・エッセイストの平松洋子さんいわく「銀座八丁目の魔法」。
一皿に込められたシェフの熱い思いが感じられました。
ビーフシチュー
続いて「ビーフシチュー」をいただきました。
(ビーフシチュー)
ビーフシチューは陶器の壺に入れられ,卓上コンロの火にかけたアツアツの状態で運ばれます。
具は和牛三枚肉を中心に,玉ねぎ,人参,ブロッコリーなどで構成されています。
デミグラスソースで煮込まれた牛肉のかたまりがゴロゴロと入っており,それぞれの野菜の火加減も絶妙で,とても贅沢な気分を味わえました。
(ビーフシチューとライス)
続いて,セットのライスと一緒にいただきました。
ソースポットで供されるカレーと同様に,ライス(皿)にシチューをかけるのが一般的な食べ方だと思います。
(ビーフシチューライス(シチューがけ))
(山崎ヒロキ・近藤タカシ「銀座レッスン 1」集英社 p13の一部を引用)
こんな感じで。
私は漫画の主人公のように豪快に皿をひっくり返してドボドボ注がず,スプーンでライスの上にかけましたが(笑)
こうした食べ方のほかに,漫画「銀座レッスン」では,逆にビーフシチューの壺の中にライスを入れて混ぜるという大胆な方法も紹介されています。
(ビーフシチューライス(ライス混ぜ))
(山崎ヒロキ・近藤タカシ「銀座レッスン 1」集英社 p15の一部を引用)
こうすると,最後のライスの1粒までソースが浸み込んで美味しいようです。
そこで,少々お行儀が悪いのですが,私もこの方法でビーフシチューライスをいただいてみました。
(ビーフシチューライス(ライスを混ぜた様子))
ビーフシチューのソースがご飯にしっかり浸み込んで,最後の一口まで美味しくいただけました。
カスタードプリン・焼菓子(プチフール)・コーヒー
メインを2皿と欲張ったので,お腹がいっぱいになりました。
これでコーヒーで締めくくり…と思っていると,お店の方から「デザートはいかがでしょうか」とデザートのメニュー表を持ってきていただけました。
カフェメニューは別フロアの「サロン・ド・カフェ」でのみ味わえるものと思っていたのですが,この時初めてレストランフロアでもいただけることを知りました。
周りを見渡すと,確かにストロベリーパフェなどのデザートを召し上がっている方が何人かおられました。
そこで私はカスタードプリンを注文しました。
(カスタードプリン)
ガラスの高台の皿に,スタイルの良いカスタードプリンがのせられ,カラメルと生クリームが添えられています。
(カスタードプリンと焼菓子(プチフール))
焼菓子(プチフール)とともにいただきました。
卵黄の味が濃く,しっかりとしたボディのプリンで,上品な甘さのカラメルとよく合っていました。
(コーヒー)
最後にコーヒーをいただきながら,ゆったりと食後のひとときを楽しみました。
まとめ
今回,私は食べたいものをアラカルトで注文したのですが,その結果,ランチコースよりも値段が高くなってしまいました(笑)
でも,その支払った額に見合う満足感を得ることができました。
東京・銀座には,高い額を払うだけの価値があるお店がたくさんあります。
(銀座で価値のあるお店)
(山崎ヒロキ・近藤タカシ「銀座レッスン 1」集英社 p7の一部を引用)
その価値の本質を見極めるには,知識と経験が求められますが,たとえ不慣れな場合でも,直感的に「一線を越えた何かがある」ことは理解できますし,こうした経験を積み重ねることによって本当の価値がわかるようになります。
また,高いお金を払えば本気度やそこから得る吸収力が高まることも確かです。
支払いの際,値段の高低にかかわらず「気持ち良くお金を使えた」と思ったなら,そのお店の商品・サービスは自分に合っていた(合っている)と言えるでしょう。
そんなお店に出会えるといいですね。
<関連サイト>
「資生堂パーラー」(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル)
「資生堂(社名の由来・花椿マーク)」(株式会社資生堂)
「銀座花椿通りとは」(銀座花椿通り会)
<関連記事>
「山陰本線の観光列車「あめつち」の旅(倉吉駅-出雲市駅編)-あめつち御膳・大山みどり・鳥取二十世紀梨ゼリー感動です-」(「出雲の椿と銀座・資生堂」)
<参考文献>
原作:山崎ヒロキ 漫画:近藤タカシ「銀座レッスン 1」集英社
「花椿(2022年9月号)」(資生堂)
平松洋子「銀座のパセリ」(「dancyu」2022年12月号)
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