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2023年4月 2日 (日)

東京都江戸川区の江戸東京野菜「小松菜」1-小松菜発祥の地・小松菜の名前の由来・新小岩香取神社・小松菜屋敷・江戸川区の小松菜商品-

江戸東京野菜・小松菜

 「江戸東京野菜」と呼ばれる野菜を御存知でしょうか。

 「江戸東京野菜」とは,江戸時代以降,東京都内の農地で数世代以上にわたって栽培されてきた在来種や,在来の栽培法によって育てられた野菜を言います。

 江戸時代に東京都に含まれていなかった地域の野菜や,明治以降(東京になってから)生み出された野菜(品種)も含めた総称として「江戸東京野菜」と呼ばれています。

 「江戸東京野菜」には,練馬ダイコン,小松菜,東京べか菜,のらぼう菜,馬込半白キュウリ,早稲田ミョウガなどがあります。


小松菜発祥の地・東京都江戸川区

 「江戸東京野菜」の1つに小松菜があります。

 小松菜は東京都江戸川区が発祥の地とされ,江戸時代から栽培されています。

 また,小松菜という名称は,地名の「小松川」に由来しています。

 現在は全国各地で栽培され,お店で見かけることも多い小松菜が,実は東京都江戸川区にルーツがあることに興味を持ち,同区を訪問しました。


江戸川区の小松菜の概要

 都営新宿線に乗り,篠崎駅で下車しました。

 そして篠崎駅に直結する施設「しのざき文化プラザ」を訪問しました。

(しのざき文化プラザ)
Photo_20230402134901

 この施設内にある図書館で,小松菜の情報を入手しました。

(「小松菜力。-東京江戸川区のおいしい魅力ガイドブック-」表紙)
Photo_20230402134902

 とても参考になったのが,この「小松菜力」(こまつなりょく)というガイドブックです。

 冊子には,江戸川区の小松菜に関する様々な情報が掲載されています。

 その中のいくつかを御紹介します。

 まずは小松菜の名前の由来についてです。

(小松菜の名前の由来)
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 「小松菜力。-東京江戸川区のおいしい魅力ガイドブック-」(江戸川区産業経済課都市農業係)から一部引用

 小松菜の名付け親は徳川八代将軍・徳川吉宗と言われています。

 小松川村に鷹狩りに来た徳川吉宗は,地元民から地元で採れた無名の葉っぱを入れたすまし汁を献上されました。

 この汁をとてもおいしいと感じた徳川吉宗は,この無名の葉っぱを,地名(小松川)にちなんで「小松菜」と命名したのです。
 ※三代将軍・徳川家光や五代将軍・徳川綱吉とする説もあります。

 小松菜の栄養についても,興味深いお話が紹介されています。

(天然サプリメント・小松菜パワー)
Photo_20230402140101
 「小松菜力。-東京江戸川区のおいしい魅力ガイドブック-」(江戸川区産業経済課都市農業係)から一部引用

 小松菜は栄養バツグンの野菜で,カルシウムや鉄分(ミネラル)が豊富に含まれています。

 また,アクやえぐみのもととなるシュウ酸の含有量が少なく,クセが少ないという特長もあります。

 私はなぜか腎臓に結石を作りやすい体質(尿路結石を起こしやすい体質)なので,シュウ酸を多く含む食品はたくさん食べられないのですが,小松菜はシュウ酸が少なく,カルシウムが多いようなので,安心して食べられます。

 続けてガイドブックを読むと,江戸川区内の小松菜商品取扱店舗・直売所が紹介されていました。

(小松菜商品 取扱い店舗・直売所MAP)
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 江戸川区の小松菜の直売所や,江戸川区の小松菜を使った料理・お菓子などを販売しているお店が数多く紹介されています。

 江戸川区の皆さんが一丸となって,地元の名産品・小松菜を盛り上げておられる様子が伺えました。


小松菜発祥の地 江戸川区の歴史・史跡巡り

 篠崎駅でレンタサイクルをお借りし,小松菜とゆかりのある歴史・史跡巡りをしました。

 江戸川区は東西に京成本線・JR総武線・都営新宿線・東京メトロ東西線・JR京葉線が走っていますが,南北には鉄道がないため,区内を巡る際はバスやレンタサイクルが活躍します。

 自転車で移動する途中,野菜畑を見かけました。

(東京都江戸川区・畑の風景)
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 東京を自転車で移動したり,野菜畑を見たりするのは初めてで,新鮮な体験でした。

 その後,江戸川区中央にある新小岩香取神社を訪問しました。

(新小岩香取神社)
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 この神社の境内に,小松菜産土神の石碑があります。

(小松菜産土神の石碑と小松菜の紹介看板)
Photo_20230402140902

(「江戸・東京の農業 小松菜」の紹介看板)
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 徳川吉宗が鷹狩りをされた際,この神社が食事場所として選ばれたようです。

 つまり,「小松菜の名前の由来」で御紹介した「小松菜」命名のお話は,この神社にまつわるお話なのです。

 続いて,神社の隣にある「小松菜屋敷」を訪問しました。

(小松菜屋敷)
Photo_20230402141002

 黒塗りの立派な門です。

(小松菜屋敷の由来)
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 小松菜屋敷の由来には,「徳川吉宗が鷹狩りに来られた際,小松菜入りのすまし汁を献上した人物が香取社の神主・亀井和泉守(通称「いづみ様」)で,その方の屋敷であったことから「小松菜屋敷」と呼ばれるようになった」と記載されています。

 さらに,「邸内には亀井家の屋敷神「小松菜さま」が祀られており,困ったことがあれば「こまつたな」といって小松菜を供えれば願い事が叶えられ,さらに「菜(名)を上げ菜(名)を残す」といって,昔から信仰されています」とも記載されています。

 門をくぐり,中に入ってみると「吉宗腰掛石」がありました。

(吉宗腰掛石)
Photo_20230402142001

 かの徳川吉宗が鷹狩りの合間に腰かけ,休憩された石なのでしょう。

 徳川吉宗は,砂糖の栽培を奨励して砂糖の国産化を進めたり,隅田川に桜を植えるよう命じ,その桜から桜餅が作られるようになったりと,小松菜の命名だけでなく,日本の様々な食文化に影響を与えた人物でもあります。

 ほかにも小松菜ゆかりのものがないかと庭を歩いていると,この家にお住まいの方から「今,掃除中ですので…」と注意を受けました。

 庭の奥は個人宅のようなので,見学をする際には注意が必要です。

 このようなこともありましたが,江戸川区で小松菜ゆかりの場所を訪問することができ,江戸川区と小松菜のつながりを実感することが出来ました。


江戸川区の小松菜商品

 再び自転車で篠崎に戻り,「しのざき文化プラザ」内の伝統工芸カフェ「アルティザン」で江戸川区の小松菜商品をいくつか購入しました。

(伝統工芸カフェ「アルティザン」)
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 伝統工芸カフェ「アルティザン」には,食事コーナーと江戸川区の特産品や工芸品を扱っておられる物販コーナーがあります。

 こちらの物販コーナーで江戸川区の小松菜商品をいくつか購入しました。

(江戸川区の小松菜商品)
Photo_20230402142301

 写真左上が「小松菜玄米せんべい」,中央手前が「小松菜ふりかけ」,右上が「小松菜サンド」です。


【小松菜玄米せんべい】

(小松菜玄米せんべい)
Photo_20230402142401

 「小松菜玄米せんべい」は,小松菜の粉末と焙煎した玄米が練り込まれた甘い一口せんべいです。

 カルシウム豊富な小魚の粉末も使われており,栄養豊富で子供からお年寄りまで楽しめるせんべいです。

 小松菜(青菜)の香りや,焙煎した玄米の香ばしさを楽しむことが出来ます。


【小松菜ふりかけ】

 「小松菜ふりかけ」は,小松菜,魚粉,ごま,塩,根昆布で作られたふりかけです。

 無添加で自然な味を重視された一品です。

 このふりかけを炊きたてのご飯に混ぜ,小松菜おにぎりを作ってみました。

(小松菜おにぎり)
Photo_20230402142601

 ご飯にたっぷり混ぜ込んだので,抹茶を使った時のように緑色が際立つおにぎりに仕上がると思ったのですが,意外と控えめな色に仕上がりました。

 そのため,おにぎりの頂上にも小松菜ふりかけをかけてみました。

 一般的なふりかけと比べて塩分が控えめで,その分,小松菜の粉末がたくさん入っているので,ご飯にたくさんふりかけて(混ぜ込んで)も大丈夫です。

 ほんのりと小松菜の風味を感じるおにぎりでした。


【小松菜サンド】

(小松菜サンド)
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 小松菜サンドは,小松菜パウダー入りクリームを甘い薄焼きせんべいでサンドしたお菓子です。

 ゴーフルに似た焼菓子です。

 ほのかに小松菜の香りが感じられるクリームが魅力のお菓子です。


【小松菜饅頭「こまつなっぴー」】

 新小岩香取神社と小松菜屋敷を訪問した際,その近くのお店「玄舟庵 新小岩店」にも寄って江戸川区産小松菜が使われたお菓子を購入しました。

 小松菜饅頭「こまつなっぴー」です。

(小松菜饅頭「こまつなっぴー」)
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 小松菜のかわいいキャラクターが描いています。

(小松菜饅頭「こまつなっぴー」(中身))
Photo_20230402143001

 饅頭の皮には小松菜がデザインされています。

 中の薄緑色のあんは,白いんげん豆や練乳をベースにした白あんに,小松菜パウダーを練り込んだものです。

 しっとりとした皮に,ほんのりと小松菜の香りを感じるあんが入った饅頭です。

 ちなみに,私はこの「こまつなっぴー」をまとめて購入し,東京のお土産として職場で配りました。

 東京のお土産,何にしようか「こまつたなー」という時は,江戸東京野菜である江戸川区の小松菜を使ったお菓子や工芸品のお土産をチョイスされてはいかがでしょうか。

 江戸川区発祥の小松菜のお土産を贈れば,きっと「菜(名)を上げ,菜(名)を残される」ことでしょう(笑)


 東京都江戸川区は,小松菜の歴史・由来を学べ,様々な小松菜料理・菓子を味わうことができる日本唯一の小松菜魅力発信地域です。


<関連サイト>
 「江戸東京野菜について」(東京都農業協同組合中央会)
 「江戸東京野菜(地域資源紹介)」(東京都産業労働局)
 「しのざき文化プラザ」(東京都江戸川区篠崎町7-20-19)
 「小松菜プラスワン(KOMATSUNA+1)」(ウェルフィールド)
 「江戸川の小松菜はエライ!」(江戸川区役所産業経済課)
 「小松菜の産土神」(新小岩香取神社:東京都江戸川区中央4-5-23)

<関連記事>
 「関東の和菓子と関西の和菓子 -和菓子の比較検証-
 「あずきの研究5 -和菓子と砂糖の歴史-
 「関西の地場野菜「しろ菜」と関東の地場野菜「のらぼう菜」・広島県の「やさいバス」-しろ菜のおひたしと豚肉炒め・のらぼう菜の肉巻き-

<参考文献>
 「小松菜力。-東京江戸川区のおいしい魅力ガイドブック-」(江戸川区産業経済課都市農業係)
 「江戸川区の食をひもとく」(江戸川区郷土資料室)
 「新・蒼太の包丁」(漫画:本庄敬・原作:末田雄一郎)

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コメント

江戸川区というと首都高湾岸線葛西付近を連想しますが、小松川線もありましたね(^.^)
江戸東京博物館は知っていますが、江戸東京野菜は初耳!
練馬大根は知ってましたが(^^)
いつもながら、勉強させて頂いていますm(_ _)m
小松菜はほうれん草や野沢菜に比べると地味で、料理もピンときませんが、ほうれん草よりカルシウムや鉄分が豊富な様なので「小松菜玄米せんべい」を食べて、骨を丈夫にしたいと思います(^_^)

なーまん 様

なーまんさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

首都高湾岸線,小松川線…自転車で移動しただけの私にはよくわからない世界ですが(笑),そういえば,篠崎で小松川線沿いを走りました。多分…。
江戸東京と言えば,確かに江戸東京博物館の方が有名ですね(^-^)
何か1つでも「そうか」,「へぇ」と思っていただけることがあればとの思いで記事を作成しているので,なーまんさんのお言葉はとても励みになります。
お気遣いありがとうございます!

青菜でカルシウムが多いというのは意外でしたが,青菜に含まれるシュウ酸をたくさん摂取できず,カルシウムと一緒に摂取することが求められる私にとっては,ありがたい話です(^^ゞ
そういう意味では,おっしゃるとおり「小松菜玄米せんべい」は最強のお菓子ですね!
どのお菓子・加工品も,小松菜の香りまで感じられるところがスゴイなと思いました。

小松菜の料理もまた御紹介できればと思います。

江戸川区、すごい小松菜推しですね(笑)
考えたら、ほうれん草はよく食べますが、小松菜はもう長いこと食べていないような…
料理担当の家人に馴染みのない野菜だから買おうと思わないのかも?
葉物野菜って、スーパーに行くと「?」と思うものが時々ありますね。
最近、こちらでは「かき菜」というのをよく見かけます。
買った(食べた)ことがないのでどういう味か知りませんが、見た目は花のない菜の花っぽいです。

chibiaya 様

chibiayaさん,こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。

江戸川区,一致団結して小松菜を盛り上げていますよね!
農家さんだけでなく,小松菜を使った料理やお菓子などを取り扱うお店も多く,皆さん小松菜発祥の地として誇りを持っておられるのでしょうね。
「これだけ小松菜で盛り上がっているなら行ってみたい」と思い,江戸川区へ行ってきました。

小松菜,私の住む広島でもたくさん栽培され,販売されています。
広島の野菜かと思ってしまうぐらい(笑)
その理由の1つに,小松菜は栽培しやすいことが関係しているようです。

野菜は,産直コーナーなどで「?」と思うものが時々売られていますね。
そういう野菜を見つけると,ワクワクしてつい買ってしまいます(笑)

「かき菜」,初めて知りました。
栃木県や群馬県など,主に両毛地域・北関東で栽培され,流通しているアブラナ科の野菜のようですね。
花のない菜の花っぽい野菜なら,サッと茹でたり炒めたりするだけでも美味しそうです。

かき菜と広島の牡蠣を使って,「かき鍋」をしてみたいです(笑)

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