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2023年10月

2023年10月29日 (日)

美術館とカフェ・レストランの魅力7 -「おいしいボタニカル・アート」おいしいコラボレーション・ホテルグランヴィア広島「サブール」-

広島県立美術館特別展「おいしいボタニカル・アート」

 広島市中区上幟町にある「広島県立美術館」で特別展「おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり」(2023年10月6日~11月26日)が開催されています。

(「おいしいボタニカルアート」チラシ(一部))
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(広島県立美術館「おいしいボタニカルアート」チラシの一部を加工・引用)

 この特別展では、イギリスのキュー王立植物園の協力を得て、野菜、果物、ハーブ、スパイスなどの植物画や、18~19世紀の食卓を飾った家具や食器、レシピなど約190点の作品が紹介されています。

 また、期間中に関連イベントも開催されており、その1つ「おいしいコラボレーション」では、植物や英国文化にちなんだコラボレーション料理が広島市内のレストラン・カフェで提供されています。

 今回は,この「おいしいコラボレーション」料理の1つ、ホテルグランヴィア広島のランチコース「サブール」を御紹介します。


ホテルグランヴィア広島

 広島駅にやってきました。

 駅構内に広島県立熊野高等学校の大書(書道作品)が展示されていました。

(大書「ようこそ平和都市広島へ」展示(広島県立熊野高等学校))
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 広島と言えば平和記念公園・原爆ドームや宮島をイメージされる方が多いと思いますが、「瀬戸の恵みによる豊かな食文化」や「人々を繋ぐ伝統工芸」に魅力を感じてお越しいただく方も増えたらいいなと思います。

 ホテルグランヴィア広島はこの広島駅に直結しています。

(ホテルグランヴィア広島)
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 写真左が広島駅、中心の建物がホテルグランヴィア広島です。

 ホテルに入ると記念撮影コーナーがありました。

(わんぱく線・記念撮影コーナー)
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 種別:JR、行先:ホテルグランヴィア広島の「わんぱく線」です。

 JR系列のホテルならではのサービスです。

(ランチ・ご昼食のご案内)
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 「JR」のコーナーを楽しんだ後、21階のスカイレストランアンドラウンジ「L&R」へ向かいました。


ランチコース「サブール」

 スカイレストランアンドラウンジ「L&R」はホテルの高層階にあり、広島の市街地を眺望することができます。

 広島城、縮景園そして広島県立美術館を眺めながら食事できるので、広島県立美術館とのコラボレーション企画会場としても適しています。

 これから目の前でどんなアート(料理)が展開されるのか、ワクワクしながら席に着きました。

 最初にグラスに水が注がれましたが、三原市大和町の「タジメナチュラルウォーター」を使用されていました。

 この水をサービスで提供されるのはすごいことで、お店によっては有料だと知っているだけに、がぶ飲みはできませんでした。

 やがて最初の一皿、栗のポタージュが運ばれてきました。

(栗のポタージュ)
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 秋の訪れを感じる栗のポタージュです。

 濃厚な栗の味が体に浸みわたりました。

 中には細かく刻まれたベーコンとハマグリが入っており、アクセントとしての風味や色合いも楽しめました。

 しばらくして、パンのサービスがありました。

(パン(パンプキン・バゲット))
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 パンプキン、バゲット、オリーブの3種が用意されていました。

 続いて前菜です。

(春菊のタブレ 季節野菜とアオリ烏賊を添えて(プレート))
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 春菊を使って緑に色づけたタブレ(クスクス・ショートパスタ)にベビーリーフ、プチトマト、ラディッシュなどの野菜とアオリ烏賊の刺身を盛った一品です。

 黒い模様がデザインされた白いお皿のように見えますが、この黒い模様はイカスミで、「すくうのが難しければパンに付けてお召し上がりください」とのことでした。

(春菊のタブレ 季節野菜とアオリ烏賊を添えて)
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 底に円形に盛られている緑色の粒々がタブレ(クスクス)です。

 タブレには、とても細かく刻まれた赤玉ねぎやブロッコリーも混ぜ込まれていました。

 もはや芸術作品・ボタニカルアートのレベルの、見た目も味も洗練された料理でした。

 続いて魚料理です。

(舌平目のポッシェ サフランソース)
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 「舌平目のポッシェ サフランソース」です。

 舌平目の身を茹で、魚のすり身を包んで、サフランと白ワインで仕上げたサフランソースをかけた料理です。

 はんぺんを舌平目の身で包み、ソースをまとわせたようなイメージです。

 やわらかく脂の乗った舌平目の身とフワフワの魚のすり身が口の中で一体化し、白ワインベースの濃厚なソースがうまくまとめていました。

 皿の右側の料理は、紫キャベツの酢漬けと芽キャベツです。

 舌平目のポッシェと交互に美味しくいただきました。

 魚料理を食べ終え、窓越しに広島の街を眺めていると、やがて肉料理が運ばれてきました。

(スペイン産アーモンドポーク バラ肉のコンフィ ガルビュールソース)
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 「スペイン産アーモンドポーク バラ肉のコンフィ ガルビュールソース」です。

 スペイン産のアーモンドポーク(バラ肉)をコンフィにし(低温の油で煮て)、ガルビュールソース(野菜と白いんげん豆のスープから作られたソース)をたっぷりと添えた料理です。

 やわらかい肉の旨味と、脂身のコク・甘味を味わえました。

 ガルビュールソースはパンに付けても美味しいとのお話だったので、パンのおかわりをいただき、パンにも付けていただきました。

 そして、お楽しみのデザートです。

(お楽しみデザートとハーブティー)
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 ボタニカル(植物)にちなみ、いつもならコーヒーを選ぶところを、今回は背伸びしてハーブティーを選びました。

(お楽しみデザート(バニラアイス・コーヒームース・りんごのコンポート))
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 この日のお楽しみデザートは、バニラアイス・コーヒームース・りんごのコンポートでした。

 バニラアイスは卵黄とバニラの香りをしっかりと感じました。

 リンゴのコンポートは上品な甘さで、サクサクの食感も感じられる程度に煮詰められていました。

 コーヒームースは、チョコレートのウェハースの上にほろ苦いコーヒームースがのせられていました。

 さらにコーヒームースの上には、りんごを煮詰めてシナモンを効かせた褐色のソースや、クルミ、コーヒーのチュイール(薄焼き、「瓦」という意味)がのせられていました。

 砂糖は和三盆が使用されていました。

 プレートには、チョコクランチとクラッシュラズベリー、そして柚子風味のソースが添えられていました。

 ほろ苦いコーヒームースにさわやかな香りの柚子ソースを添えていただくと、より一層美味しくいただけました。


まとめ

 今回のランチコースで、広島県立美術館の特別展「おいしいボタニカルアート」の「サブール(風味)」を楽しむことができました。

 特別展「おいしいボタニカルアート」の鑑賞についてはサボーる結果となりましたが(笑)、日を改めて広島県立美術館へも足を運び、ボタニカルアートも味わいたいと思います。


<関連サイト>
 「ホテルグランヴィア広島」(広島市南区松原町1-5)
 「広島県立美術館」(広島市中区上幟町2-22)

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2023年10月22日 (日)

ビッグ錠先生の世界12 -「みんなで喰らう漫画飯会」・「不愉快な仲間達とのビッグ錠誕生日会」-

第32回湘南台まつり

 2023年10月14日、神奈川県藤沢市湘南台を訪問しました。

 漫画飯のオフ会とグルメ漫画家ビッグ錠先生の誕生日会に参加するためです。

 広島空港から飛行機で羽田空港へ向かい、京急線・相鉄線に乗車して湘南台駅に到着しました。

 湘南台駅広場には、藤沢市民まつり「湘南台ファンタジア」の横断幕が掲げられていました。

(湘南台駅・藤沢市民まつり「湘南台ファンタジア」横断幕)
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 見てすぐにビッグ錠先生の絵だとわかりました。

 イベントにビッグ錠先生がイラストを描いてくださるなんて、湘南台の皆さんが羨ましいです。

 お昼前に「みんなで喰らう漫画飯会」・「不愉快な仲間達とのビッグ錠誕生日会」のイベント会場となるバー「アルスノーバ」に到着しました。

(アルスノーバ(開店前))
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 「あれっ、まだ閉まっている…」

 マスターから「今回はイベントスタッフとして来てほしい」とお話があったので、早めにお店へ伺ったのですが…。

 マスターが来られるまでの間、せっかくなので近くの湘南台市民センターへ行ってみました。

 この日はちょうど「第32回湘南台まつり」の日でした。

(「第32回湘南台まつり」チラシ)
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 こちらもビッグ錠先生のイラストです。

 会場では学校・市民団体による多彩なイベントが開催され、模擬店もたくさん出店されていました。

(「第32回湘南台まつり」の様子(湘南台市民センター))
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 時々ポン菓子の爆発音が街中に鳴り響き、地面には子供がこぼしたポン菓子があちこちに散らばっているなど、とても盛り上がっていました(笑)


「みんなで喰らう漫画飯会」

 正午になり、アルスノーバに戻ると、ちょうどマスターも来られたところでした。

 その後、イベントの主役であるズボラさん、マネティエさん、漫画家の小林銅蟲先生、運営スタッフ(アルスノーバの常連さん)などもお越しになり、みんなでイベントの準備に取りかかりました。

 今回のイベントのチラシです。

(みんなで喰らう漫画飯会・ビッグ錠誕生日会チラシ)
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 ズボラさんが今回のイベントに参加されるビッグ錠先生や寺沢大介先生などの書籍やグッズを用意し、会場に展示されました。

(書籍展示コーナー)
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 ズボラさんはそのお名前とは裏腹に、とても丁寧で几帳面で真面目な方です。

(寺沢大介先生グッズ展示コーナー)
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 中央の本は、雑誌「dancyu」(2023年6月号)に掲載された寺沢大介先生「ミスター肉っ子」イラストです。

 このほかにも、みんなで食材・ドリンクの買い出しや料理の下拵えなどをし、14時からの開始を目指しました。

 お店入口には参加者名簿が用意されました。

 私はコウジ菌(広島)、紹介欄には「ビッグ錠先生のズッ友」と記載されていました。

(アルスノーバ開店)
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 開始時刻15分前の13時45分に開店しました。

 漫画飯YouTubeオフ会ということで、地元神奈川など関東圏はもちろん、静岡、大阪、島根、広島、徳島、愛媛、大分、長崎…と全国からファンが集まりました。

 漫画家の寺沢大介先生・ピエール手塚先生や、「マンガ食堂」のブログ・本を執筆なさっている梅本ゆうこさん、「異世界ラーメン屋台」などの作家・森月真冬さんなども来場されました。

 近所にお住まいの主役・ビッグ錠先生が開始時刻になっても来場されず、冷や冷やしましたが、しばらくして来られ、イベント開始となりました。

 マネティエさんが作られた「バースデー肉ケーキ」でビッグ錠先生のお誕生日をお祝いしました。

(バースデー肉ケーキ(マネティエさん作))
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 こちらは開店前に撮ったバースデー肉ケーキとマネティエさんの写真です。

 牛肉で見事なバースデーケーキを作られています。

 続いてズボラさんによる「火の玉チャーハン」の実演イベントが始まりました。

 「火の玉チャーハン」はビッグ錠先生の漫画「スーパーくいしん坊」に登場する料理です。

 ボウルの中にチャーハンの材料を入れ、2つのボウルを合わせて球体にし、その球体を天井から吊るしてグルグル回転させて火あぶりにするという、とんでもない調理法です。

(火の玉チャーハン調理器具)
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 太い輪ゴムをいくつも結んで長くし、それを天井とボウルにつなぎ、あらかじめ球体のボウルを何度も回転させて輪ゴムをグルグル巻きにしておくことで、球体に回転力をつけます。

 吊り下げている球体の真下には、カセットコンロを用意し、それで球体を加熱することで、球体の中のチャーハンが回転しながら炒められるという仕組みです。

(火の玉チャーハン調理器具の支え(天井照明))
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 天井(照明)部分の様子です。

 金属製の大型クリップで固定しています。

 開店前の準備中、ズボラさんと「ボウルにチャーハン入れて、重みで天井から外れないかな」と心配しましたが、ぶっつけ本番となりました。

(火の玉チャーハン調理の様子)
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 見事にカセットコンロの上でチャーハンを入れたボウルが回転しました。

 大成功です!

(ビッグ錠先生と火の玉チャーハン調理の様子)
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(「ズボラの漫画飯再現料理」掲載の写真を一部引用)

 会場の様子です。

 ズボラさんとビッグ錠先生はやけど防止のため、黒い厚手の手袋をされています。

 ちなみに、ビッグ錠先生(写真左)の頭上の顔スタンプが私です。

(火の玉チャーハン)
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 完成した火の玉チャーハンですが、カウンターの中にいた私は、お客さんのように近づけず、あまり料理がわからない写真となってしまいました。申し訳ございません。

 ただ、こういう写真なら撮れます。

(「バースデー肉ケーキの肉」と「永谷園のチャーハンの素」)
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 「バースデー肉ケーキ」に使われた肉と「火の玉チャーハン」に使われた「永谷園のチャーハンの素」です。

 「火の玉チャーハン」は、ご飯と具がパラパラの状態で回転させる必要があるため、こうしたチャーハンの素を使うのが良いのだそうです。

 「火の玉チャーハン」は、ズボラさんが事前にチャレンジされた様子が紹介されています。

(【漫画飯再現料理】火の玉チャーハンオフ会までにマスターしろ、ビッグ錠先生に恥をかかせるな!スーパーくいしん坊 アニメ飯再現レシピ)

(YouTube「ズボラの漫画飯再現料理」)

 続いてマネティエさんが、寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「味噌の石板焼き」を実演されました。

(味噌の石板焼きとバースデー肉ケーキ)
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 写真奥のキャベツが盛られているのが「味噌の石板焼き」です。

 石板の縁(ふち)に味噌を盛り固めることで、汁の流出を防ぎ、味噌の旨味が溶け出すという仕組みです。

 また、小林銅蟲先生が作られたビリヤニも振る舞われました。

(小林銅蟲先生特製ビリヤニ)
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 唯一この料理だけはいただくことが出来ました。

 バスマティライス(香り米)と肉の角煮の炊き込みご飯です。

 イベントが一段落し、カウンターの厨房でホッと一息ついていた時、とある男性の方から「スタッフの方ですか?」と御挨拶いただきました。

 会話が進むうちに、その男性の方が「ビッグ錠先生と映画を作成しまして…」という話になり、そこでようやく私はその男性が映画「散歩屋ケンちゃん」の寺井広樹監督でいらっしゃることがわかりました。

 とても親しみやすく気さくな方で、高円寺の「シアターバッカス」で「散歩屋ケンちゃん」を観賞した時のことをお話ししたり、私のブログ記事を御紹介したりして、話が盛り上がりました。

 最後に一緒に記念撮影もさせていただきましたが、寺井監督は終始にこやかな表情で、このお人柄に魅力を感じて人が集まってくるのだなと思いました。

 これで「みんなで喰らう漫画飯会」はお開きとなり、参加者の皆さんには一旦御退場いただき、二次会の準備に取りかかりました。


二次会「不愉快な仲間達とのビッグ錠誕生日会」

 夕方湘南台の「日の出寿司」さんから特注のお寿司が届きました。

(サーモンイクラ巻き)
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 寺沢大介先生の漫画「将太の寿司」に登場する「サーモンイクラ巻き」です。

 サーモンとイクラの親子巻きです。

(鰹節シートの鉄火巻き)
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 こちらは寺沢大介先生の漫画「ミスター味っ子」に登場する「鰹節シートの鉄火巻き」です。

 海苔の代わりに鰹節シートで巻き寿司にしています。

(くろぐろ巻き寿司)
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 こちらはビッグ錠先生が考案された湘南台伝説のお寿司「くろぐろ寿司」です。

 のりとライスペーパーでイカ墨のシャリを巻いたお寿司です。

 マネティエさんが巻き寿司を切って、彩り良く盛り付けられました。

(特製寿司盛り合わせ(マネティエさん盛り付け))
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 二次会に向け、会場の掃除・後片付けや音響設備のセットなどをし、開始時刻の19時を迎えました。

(アルスノーバ(夜))
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 さぁ、二次会の始まりです。

 二次会は「不愉快な仲間達とのビッグ錠誕生日会」と題し、シャンソン歌手の浜野ケイ子さんの歌を楽しみながら、みんなでビッグ錠先生の誕生日をお祝いしました。

 主役のビッグ錠先生は「お色直し」と称して、しばらく化粧室に入られました。

 しばらく経ってもなかなか出てこられないので、「倒れてるんじゃないか」、「徹夜明けで寝ているんじゃないか」という話になり、私が恐る恐るドアをノックしました。

 「はぁーい」と反応があったのでみんな安心しました。

 そして間もなくして、ビッグ錠先生が会場に戻ってこられました。

 ビッグ錠先生がコックさんの服装で登場され、会場の参加者から「わーっ!」と歓声が上がりました。

(ビッグ錠先生と浜野ケイ子さん)
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 店内の照明を落とし、シャンソンやダンスで盛り上がりました。

 私も少し余裕ができたので、再会した寺沢大介先生としばらく会話を楽しみました。

 ただ、ビッグ錠先生や寺沢大介先生、ズボラさんなどを目当てに来場されている方が多かったので、そういう方に楽しんでいただこうと、私はほとんどカウンターの中で立っていました。

 マスターやズボラさん、マネティエさん、運営スタッフ(アルスノーバの常連さん)などの方々もみな、12時間以上ずっと立ちっぱなしで頑張りました。

 大盛況のうちに二次会もお開きとなり、無事イベントは終了しました。

 夜も更け、お世話になったマスターと全く声が出なくなったズボラさんにお礼申し上げ、私もお店を後にしました。

 とても疲れましたが、運営スタッフの一員としてお手伝いできたことを幸せに思いました。

 そして最後の最後に気付きました。

 「ビッグ錠先生とはトイレのドア越しに話しただけ…」

 不愉快な仲間達とお話しできたし、ま、いいか(笑)


<関連サイト>
 「ズボラの漫画飯再現料理」(ずぼら料理研究家)
 「再現飯レストラン マネティエ」(マネティエ)
 「マンガ食堂」(梅本ゆうこ)
 「散歩屋ケンちゃん」(「散歩屋ケンちゃん」製作委員会 )

<参考文献>
 プレジデント社「dancyu -料理上手になる!まんがダンチュウ-」(2023年6月号)

2023年10月15日 (日)

元祖鴨南ばんの味を求めて -神奈川県藤沢市湘南台「元祖鴨南ばん本家」の「治兵衛の鴨南ばん」-

「南蛮」と呼ばれる料理・食材の謎

 日本には「南蛮(なんばん)」と呼ばれる料理や食材が数多くありますが、時折、「そもそも「南蛮」って何だろう」と思うことがあります。

 「南蛮」は、もともと中国から見て南方の異民族を意味する言葉のようですが、日本では、その南蛮(東南アジア)経由で来航したポルトガル・スペイン人を「南蛮人」と呼び、この南蛮人が持ち込んだ野菜(唐辛子、カボチャ)や病気予防に食べられた辛味野菜(ネギ)、そしてお菓子(カステラ、金平糖、鶏卵素麵など)などにも「南蛮」という名前が用いられました。

 また「チキン南蛮」や「鯵の南蛮漬け」のように、唐辛子入りの甘酢(マリネ液)に食材を漬け込んだ料理も「南蛮」と呼ばれます。

 さらには、トウモロコシ(玉蜀黍)のことを「なんばんきび(南蛮黍)」と呼んだり、炒め物や揚げ物のことを「なんばん(南蛮)」と呼んだりする地方もあります。

 その一方で、「柚子胡椒(ゆずこしょう)」のように、九州を中心に唐辛子を「南蛮」とは呼ばず「こしょう」と呼ぶ地域もあるので、ややこしいのですが…。

 とりあえず舶来品の食材・料理は「南蛮」と呼ぼう、みたいな雰囲気があったのでしょうね。

 かつて中国の一大輸出港だった天津(港)のイメージが先行し、天津発祥ではないのに「天津飯」とか「天津甘栗」と呼ばれることとよく似ています。

 汁そばのトッピングとしてカボチャ(南蛮)とトウモロコシ(南蛮)のかき揚げ(南蛮)をのせ、刻みネギ(南蛮)を盛って、一味唐辛子(南蛮)を振りかけたら、「南蛮南蛮南蛮南蛮南蛮そば」となってしまいます(笑)


元祖鴨南ばん本家の「治兵衛の鴨南ばん」

 神奈川県藤沢市湘南台に鴨南蛮発祥のお店があります。

 「元祖鴨南ばん本家」です。

 江戸時代に、お店の初代・笹屋治兵衛が長崎の「南蛮煮(唐辛子やネギを使ったり、食材を油で揚げたり炒めたりした後で煮込んだ料理)」をもとに「鴨南ばん」を考案したところ、江戸中の評判となり、親しまれるようになったようです。

 その後、このお店は東京・日本橋馬喰町から神奈川県藤沢市湘南台へ拠点を移し、現在に引き継がれています。

(元祖鴨南ばん本家・店舗)
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 こちらが藤沢市湘南台にあるお店「元祖鴨南ばん本家」です。

(元祖鴨南ばん本家・看板)
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 お店の玄関に「日本橋馬喰町・元祖鴨南ばん本家」と書かれた木の看板が置かれています。

 お店に入り、お品書きを見ると「鴨南ばんの由来」が紹介されていました。

(鴨南ばんの由来)
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 由来には、「金比羅宮にお参りする道中、長崎から伝わった「南蛮煮」を食べ、それをもとに「鴨南ばん」を考案した」と紹介されています。

 金刀比羅宮のある讃岐(香川県)は「そば」ではなく「うどん」文化の地です。

 汁そばに鴨肉とネギをのせる「鴨南蛮」は、「そば」文化の根付いた江戸の人ならではの考案だったと言えるでしょう。

 やがて出来上がった料理が運ばれてきました。

(治兵衛の鴨南ばん(朱塗りのふた))
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 初代治兵衛の鴨南ばんは、このように丼に朱塗りのふたをして提供されます。

(治兵衛の鴨南ばん)
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 青森県産の本鴨と江戸千住葱が使われています。

 また、香り付けに柚子の皮ものせられています。

(治兵衛の鴨南ばん(そば))
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 白色でつるっとした食感のそばです。

 主張せず、おつゆの旨味をしっかりと受け止めてくれるそばでした。

(治兵衛の鴨南ばん(骨付き本鴨肉))
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 鴨肉は、本鴨の切り身と骨付き肉がのせられています。

 切り身はやわらかい肉と甘い脂の両方が楽しめ、骨の周りの肉は弾力があって凝縮した旨味が楽しめました。

 鴨とネギを組み合わせると、実に旨いだしがとれ、そばとの相性も抜群です。

 「鴨がネギを背負ってくる」ような旨い話はあるのです(笑)


まとめ

 今と違って、外国との交易が少なかった時代の日本では、外国から渡ってきた食べ物や、それまでの日本にはない調理法・食べ方をする料理をひとくくりに「南蛮」と呼び、日本のものと区別していました。

 面白いのはその「南蛮」と付く料理やお菓子のほとんどが、日本で独自に進化し、すっかり日本の料理・食材・お菓子となっていることです。

 例えば「カレー南蛮そば」は、インド料理ともスペイン・ポルトガル料理とも言えず、日本独自の料理に分類することとなるでしょう。

 いつか「南蛮」と付く料理に出会われたら、何の食材を対象にしているのか、どういう意味で使われているのかを、歴史的背景も踏まえながら考えてみると面白いと思います。


<関連サイト>
 「元祖鴨南ばん本家」(神奈川県藤沢市湘南台2-22-17)

2023年10月 8日 (日)

吉原の桜鍋・馬肉料理 -東京都台東区「桜なべ中江」の桜なべランチ-

吉原の桜鍋

 江戸時代、吉原(現在の東京都台東区千束)に幕府公認の遊郭が設けられました。

 以降、吉原は遊郭の街として華やかな文化が形成されました。

 食の分野においても、独自の食文化が形成されました。

 その1つが桜鍋です。

 桜鍋の桜は「馬肉」を意味します。

 吉原で桜鍋が食べられるようになった理由は定かではありませんが、「遊郭で遊びたい客が自分の乗ってきた馬を吉原で売って遊ぶ金を作った」、「馬を売りつけられたお店は、牛鍋にならって馬肉で鍋を作ることを考案し、売り出したところ、吉原名物として流行した」という言い伝えがあります。

 吉原で桜鍋を提供するお店は「蹴飛ばし屋」という愛称で呼ばれ、最盛期には20軒以上のお店で賑わったようです。

 現在は「桜なべ中江」1店舗のみとなってしまいましたが、このお店では吉原の伝統的な桜鍋を味わうことができます。


「桜なべ中江」の桜なべランチ

 吉原の桜鍋を味わうため、東京都台東区日本堤の「桜なべ中江」を目指しました。

 上野駅から台東区循環バス「ぐるーりめぐりん」に乗車しました。

(台東区循環バス「ぐるーりめぐりん」・上野駅入谷口)
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 土手通りにある「吉原大門(よしわらおおもん)」というバス停で下車すると、すぐ目の前に「桜なべ中江」がありました。

(「桜なべ中江」店舗(全景))
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 吉原大門はかつての吉原遊郭の玄関口で、「桜なべ中江」もこの場所で明治38年から桜鍋・馬肉料理を提供されています。

 近くには馬肉を販売されているお店もありました。

(馬肉の千葉屋)
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 こちらのお店では、様々な部位の馬肉だけでなく、馬肉の総菜(佃煮、ハンバーグ、煮こごりなど)や馬の油も販売されています。

 やがて開店(予約)時刻となったので、「桜なべ中江」に戻りました。

(「桜なべ中江」店舗(入口))
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 関東大震災の翌年に再建され、現存している建物で、文化庁の登録有形文化財に指定されています。

 お店に入ると、予約席へ案内していただきました。

 今回私はお昼時に訪問しましたが、ランチは土日祝のみで、1日限定30食となっています。

 最初に3点盛りが用意されました。

(3点盛り(お新香・馬刺し・桜肉佃煮))
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 写真左からお新香、馬刺し、桜肉佃煮です。

 馬刺しは生姜醤油でいただきました。
 肉質がとてもきめ細かく、やわらかくて、クセも全くありませんでした。

 桜肉佃煮は、馬肉を醤油や砂糖で甘辛く煮たものですが、やわらかく煮込まれており、酒の肴やご飯のおともに最適な一品でした。

 お新香をポリポリいただいていると、続いて馬肉の握り寿司が運ばれてきました。

(馬刺し握り寿司)
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 適度にサシ(脂)が入った馬肉の握り寿司です。

 肉がとてもやわらかく、口の中ですし飯と一緒になってスッと溶けていく感じでした。

 やがて「桜なべ」の準備が始まりました。

(桜なべセット(桜なべ・卵・ご飯・みそ汁))
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 こちらが桜なべのセットです。

 桜なべのほか、生卵、白ご飯、みそ汁が用意されました。

 桜なべのコンロに火をつけ、煮込みの開始です。

(桜なべ)
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 玉ねぎ、江戸菜(小松菜)、しらたき、麩、焼き豆腐、しめじと一緒に秘伝の味噌だれで煮込みます。

 やがて桜肉(馬肉)が桜色になりました。

 取り皿に桜肉などを入れ、溶き卵をつけていただきました。

(取り皿の卵につけた桜肉・しらたき・麩)
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 甘辛いタレが桜肉に浸み込み、より一層美味しく、食べやすくなりました。

 馬肉を煮て固くなるどころか、逆にやわらかくなったのが不思議でした。

 江戸菜、しらたき、麩、焼き豆腐、しめじも味噌だれと馬肉の旨味をたっぷりと含み、心ゆくまで桜なべを堪能できました。

 食べ終えると、体が芯から温まり、精力がついたように思いました。

 精算を済ませ、「どれ、ちょいと街へ繰り出そうかい」とお店の戸を開けた瞬間、外は土砂降りの雨でした。

 お店の目の前がバス停なので、しばらく玄関で雨宿りし、バスに飛び乗って浅草駅へ向かいました。

 浅草駅に着いた途端、雨は止みましたが、お店の目の前がバス停だったので助かりました。


 桜鍋をつつきながら、吉原の歴史に思いを馳せるのも、東京の楽しみ方の1つです。


<関連サイト>
 「桜なべ中江」(東京都台東区日本堤1-9-2)

<参考文献>
 土田美登世「いまどきの旬 桜鍋」(「dancyu」2022年2月号)
 榊こつぶ「江戸を喰う 桜なべ」(ぶんか社「俺流!絶品めし」Vol.30)

2023年10月 1日 (日)

日本各地のレモン菓子・レモンケーキ6 -東京・山の上ホテルの「山の上レモン」・「山の上マロン」-

東京・神田駿河台の「山の上ホテル」

 東京・神田駿河台の高台に「山の上ホテル」があります。

 アールデコ調の名建築ホテルで、甲斐みのり著「歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ」やテレビ大阪のドラマ「名建築で昼食を」でも紹介されています。

(山の上ホテル)
Photo_20231001100501

 ホテルの名称どおり、坂を登った高台の上にあります。

 出版社の多い神田神保町に近いことから、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎など数多くの作家に愛されたホテルとしても知られています。


「山の上レモン」と「山の上マロン」

 このホテルのロビー喫茶で、レモンと栗の焼菓子を購入しました。

(「山の上マロン&レモン詰め合わせ(5個入り)」)
Photo_20231001101801

 「山の上マロン」3個、「山の上レモン」2個の詰め合わせです。

 山の上ホテルオリジナルの箱に詰められ、リボンもかけていただきました。

 また、夏の暑い時期に伺ったことから、「山の上レモン」のレモンチョコレートが溶けないように保冷剤を2個同梱してくださいました。


【山の上レモン】

 広島の自宅に戻り、レモンチョコレートが溶けてないかと恐る恐る箱を開けてみましたが、大丈夫でホッとしました。

(山の上レモン)
Photo_20231001102101

 こちらが「山の上レモン」です。

 いわゆるレモンケーキで、サイズは横約7cm、幅約5cm、高さ約3.5cmと標準的なサイズです。

(山の上レモン(中身))
Photo_20231001102203

 レモンチョコレートが厚めにコーティングされており、ケーキ生地には細かいレモンピールが入っています。

 いただいてみると、レモンチョコレートに強いレモンの酸味を感じました。

 生のレモンを丸かじりしたかのような、かなり強い酸味です。

 ケーキ生地はバターケーキで、深いコクとほろ苦さを感じました。

 「最強レベルの酸味に仕上げたレモンチョコでコーティングした王道のレモンケーキ」です。


【山の上マロン】

 続いて「山の上マロン」を御紹介します。

(山の上マロン)
Photo_20231001102202

 本物の栗そっくりに作られた山の上ホテルオリジナルの焼菓子です。

 サイズは直径約5.5cm、厚さ約3cmです。

 私はサザエさんの登場人物「カツオ」のいがぐり頭に見えてなりません(笑)

(山の上マロン(中身))
Photo_20231001102201

 ほのかなチョコレート風味のケーキ生地です。

 栗の底部分はビターチョコレートをコーティングし、けしの実をまぶして表現されています。

 そしてケーキ生地の中にはフランス産のマロングラッセが入っています。

 甘さ控えめで、マロングラッセをしのばせた、大人向けのマロンケーキです。


 「名建築で焼菓子を」いかがでしょうか。


<関連サイト>
 「山の上ホテル」(東京都千代田区神田駿河台1-1)
 「名建築で昼食を」(テレビ大阪)

<関連記事>
 「ガスビル食堂で昼食を -特製ガスビルカレー(ビーフカレー)・ムーサカ-

<レモンケーキ関連記事>
 「レモンのお菓子」(「chibiaya日記」)
 埼玉県在住のchibiayaさんが,関東で販売されているレモンケーキを中心に,レモンケーキの情報を詳しく紹介されています。
 当ブログ「食文化関連記事一覧表・索引」の「食文化事例研究」にある「レモンケーキ・レモン菓子」も御参照ください。

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