モロッコ料理の特徴と主な料理 -バグリール・ムサンメン・ベルベルオムレツ・モロカンサラダ・ハリラ-
モロッコの食文化
モロッコはアフリカ大陸の北西部に位置する国で、ジブラルタル海峡をはさんでスペインと向き合っています。
首都はラバトで、アラブ人やベルベル人などの民族で構成されています。
そして、モロッコ最大の商業・金融都市はカサブランカ(「白い家」という意味)です。
モロッコ、アルジェリア、チュニジアの3か国は地理的区分で「マグレブ」とよばれ、これらの国々は食文化もよく似ています。
このマグレブの代表料理が粒状のパスタ「クスクス」です。
クスクスはアラブ人がやってくる前から存在したベルベル人の伝統料理で、専用の蒸し器で蒸され、野菜・肉・魚などのシチューをかけて食べられます。
モロッコはそのマグレブにおける文化の中心地として栄え、食文化の分野でも、ベルベル人の伝統的な料理を基盤に、アラブの食文化が融合して発展してきました。
代表的なモロッコ料理は、クスクスのほか、バステーラ(又はバスティラ、パイ料理)、タジン(三角錐の形をしたタジン鍋を使った煮込み料理)、カフタ(又はケフタ、挽き肉料理)、メシュイ(羊の丸焼き)、ハリラなどです。
主な食材として、肉は羊・鶏・ラクダなど、野菜はトマト・パプリカ・豆類・玉ねぎ・オリーブなど、香辛料・ハーブは唐辛子・シナモン・クミン・サフラン・ターメリック・ミントなど、それにドライフルーツ(ナツメヤシ・ブドウなど)やナッツ(アーモンド)などが挙げられます。
モロッコの朝ごはんプレート
東京・外苑前の「World Breakfast Allday」(ワールド・ブレックファスト・オールデイ)を訪問しました。
2023年10月・11月のスペシャルメニューは,「モロッコの朝ごはん」です。
(モロッコの朝ごはんプレート)
今回は,この「モロッコの朝ごはん」を御紹介します。
【バグリール】
バグリールは、セモリナ粉で作られた白いパンケーキです。
(バグリール)
甘いシロップと粉砂糖がかけられており、お菓子の感覚でいただきました。
フワフワでもちもちした食感のパンケーキでした。
【ムサンメン】
ムサンメンは層になるように折り重ねたクレープです。
(ムサンメン)
バグリールと同じセモリナ粉が使われているため、生地がもちもちしていますが、ムサンメンはクレープやインドのナンのように薄く平べったい形をしています。
こちらも甘いシロップと粉砂糖がかけられており、そのままお菓子の感覚で食べたり、おかずと一緒に食べたりと、様々な方法でいただきました。
【ベルベルオムレツ】
ベルベルオムレツは、トマトと玉ねぎを煮込み、上から卵を落としたモロッコのオムレツです。
(ベルベルオムレツ)
トマトと玉ねぎがよく煮込まれてトロトロになっており、それに卵の黄身や白身を添えていただきました。
クミンや唐辛子などのスパイスもほどよく効いていました。
そのままいただいたり、ムサンメンと一緒にいただいたりしました。
昔からベルベル人に愛され続けてきた卵料理です。
【モロカンサラダ】
モロカンサラダは、トマト・キュウリ・玉ねぎ・オリーブなどを細かく刻み、クミンやコショウなどのスパイスを加えて、オリーブオイルで和えたサラダです。
(モロカンサラダ)
様々な種類の生野菜を一度に美味しく食べられ、パンやおかずにも合わせやすい万能サラダです。
ハリラ
単品で「ハリラ」を注文しました。
「ハリラ」は、豆や肉などを具にしたトマトベースのスープに、極細のショートパスタを加えて煮込んだスープです。
(ハリラ)
穏やかな味で、この一皿で様々な具が一度に摂取できるため、ラマダン(断食)期間の断食明けにもよく食べられます。
皿に添えられたレモンをキュッと絞ってスープに加えると、酸味の効いた口当たりの軽いスープとなりました。
まとめ
モロッコと言えば、私はタコが思い浮かびます。
魚屋さんや鮮魚コーナーで販売されているタコは、モロッコ産かモーリタニア産が多いからです。
あと、最近、産直市や産直野菜コーナーなどで「モロッコインゲン」をよく見かけるようになりました。
ちょっとした煮物や炒め物を作る時に重宝する野菜ですが、この「モロッコ」はモロッコが原産という意味ではなく、どうやら日本の種苗会社のネーミングのようです。
いずれにせよ、モロッコは日本と親しみ深い国であると言えるでしょう。
<関連リンク>
「World Breakfast Allday」(外苑前店・東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F ほか)
<関連記事>
「マグレブ料理の特徴と主な料理 -ハリラ・クスクス・チキンの煮込み・ヒヨコ豆の煮込み・モロッコにんじん-」
<参考文献>
「モロッコ」(「World Breakfast Allday」リーフレット)
石毛直道「世界の食べもの 食の文化地理」講談社学術文庫
地球の歩き方編集室「世界のグルメ図鑑」(学研プラス)
「大使館の食卓 おうちで簡単レシピ集」(産経新聞出版)
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古い奴だとお思いでしょうが・・・
モロッコというと映画「モロッコ」や「カサブランカ」そして沢田研二を思い出します(^.^)
後は孤独のグルメでモロッコレストランが紹介された記憶があったので、YouTubeで確認したら、ハリラスープが絶賛されていました!
関連記事を拝見したら、既にハリラスープ取り上げていらっしゃいましたね (^.^)
さすがです(^_^)
投稿: なーまん | 2023年11月26日 (日) 18時07分
私はモロッコと言ったらやっぱりクスクスですね~。
あと塩レモン!
モロッコの料理は日本人の口にも合うものばかりなイメージです。
投稿: chibiaya | 2023年11月26日 (日) 19時39分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
沢田研二さんの「カサブランカ・ダンディ」、動画サイトで聞いたら、「あー聞いたことがあるな」とわかりました。
モロッコとかカサブランカって、かつて相当流行ったようですね。
モロッコに関係ないのにモロッコインゲンと命名されたことからも理解できます。
カサブランカは花の名前にもなっていますね。
ハリラスープ、関連記事までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「孤独のグルメ」でも紹介されたのですね!
ショートパスタ入りのトマトスープですが、私は学校給食のスープにもこんな料理があったなと思いました(笑)
スープと麺が一緒に食べられるからこそ、人気の料理なのでしょうね。
投稿: コウジ菌 | 2023年11月26日 (日) 22時12分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんばんは。
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
やっぱりモロッコ料理と言えばクスクスなんですね。
私は一時期日本でも流行った、山のような形をしたタジン鍋も思い浮かびます。
塩レモンって、モロッコの発祥の調味料なんですね!
恥ずかしながら、今、初めて知りました。
勝手な思い込みで、日本の、それも広島かどこかで作られた最近の調味料だとばかり思っていました。
chibiayaさんが作られた「塩レモンの炊き込みご飯」もモロッコ(マグレブ)のおかげですね!
初めて知って感動です。これでは、知らなかったからとクスクス笑われても仕方ありません…(笑)
投稿: コウジ菌 | 2023年11月26日 (日) 22時31分
モロッコ、街並みに素敵なところですよね、
お料理よりもそちらに目が行ってしまってめんぼくないです。
飲食に対する恩恵にとても強いところなんでしょうね、
目に素朴おぼえるお料理にそこで生まれたってことに
慈味ぶかさも感じられるような……。
投稿: サウスジャンプ | 2023年12月 3日 (日) 02時34分
サウスジャンプ 様
サウスジャンプさん、おはようございます!
いつもコメントいただき,ありがとうございます。
モロッコは、おっしゃるとおり街並みが素敵なところですね。
青の街・シャウエン、白い家・カサブランカ、サハラ砂漠…魅力的なスポットがたくさんあります。
料理の御紹介しかしてない私こそ、申し訳ないです…。
食は、その地の文化そのものなので、その地について理解しようと思えば、食からアプローチすることも可能だと思います。
素朴な料理ほど、広く親しまれ、滋味深さが感じられ、伝承されるものなのでしょうね。
そういう料理を味わえば、現地の人との距離もグッと近くなる気がします。
投稿: コウジ菌 | 2023年12月 3日 (日) 08時10分