みなみく七大伝説スイーツ2023 -広島市南区の菓子伝説・鉄道伝説・天女姫伝説にちなんだスイーツ-
「みなみく七大伝説スイーツ2023」について
2023年9月16日から11月30日の期間、ひろしま南区スイーツ委員会主催で、「みなみく七大伝説スイーツ2023」が開催されました。
このイベントは,広島市南区に伝わる「みなみく七大伝説」にちなんだスイーツを進徳女子高等学校と南区の洋菓子店が協同して開発し、紹介・販売されたものです。
(「みなみく七大伝説スイーツ2023」リーフレット(表紙))
「みなみく七大伝説」は、広島市南区に伝わる7つの伝説(妖怪伝説、第九伝説、河童猿猴伝説、天女姫伝説、黄金伝説、鉄道伝説、菓子伝説)を言います。
スイーツを通じて広島市南区の魅力を知ってもらうことを目的に開催されました。
広島市南区に伝わる様々な伝説にも簡単に触れながら、各伝説にちなんだスイーツを御紹介したいと思います。
菓子伝説
「菓子伝説」は、第一次世界大戦時にドイツ人捕虜として似島(にのしま)に収容されたカール・ユーハイムが、この似島で日本で初めてバウムクーヘンを焼いたというお話です。
(似島捕虜収容所とカール・ユーハイム)
「南区七大伝説 菓子伝説(バウムクーヘン上陸秘話)」南区魅力発見委員会から一部引用
この伝説にちなんだスイーツを求め、南区元宇品のグランドプリンスホテル広島を訪問しました。
ロビーでは、2023年5月19日から21日にかけて開催された「G7広島サミット」メンバー国の旗が展示されていました。
(グランドプリンスホテル広島ロビー(G7広島サミット2023))
また、スイーツを購入したラウンジの奥には、G7広島サミットの会場セットも展示されていました。
(G7広島サミット2023・会場セットの展示(ラウンジ))
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の飛び入り参加もあり、一時期、広島市南区に世界の首脳陣が集まりました。
【ムースショコラ~キルシュトルテ風~】
「菓子伝説」にちなんだスイーツとして、グランドプリンスホテル広島から「ムースショコラ~キルシュトルテ風~」が販売されました。
(ムースショコラ~キルシュトルテ風~(グランドプリンスホテル広島・菓子伝説))
ドイツ菓子「キルシュトルテ」(キルシュ:サクランボ(の蒸留酒)、トルテ:ケーキ)をアレンジしたスイーツです。
表面にはチョコレートを薄く削った「チョコレートコポー」がたくさんあしらわれ、ピスタチオのクリームとグリオット(サワーチェリー)のシロップ漬けで飾られています。
(ムースショコラ~キルシュトルテ風~(グランドプリンスホテル広島・菓子伝説・中身)
中身は、ムースショコラ(チョコレートムース)、キルシュシャンティ(キルシュ風味の生クリーム)そしてグリオットで構成されています。
包丁でのカットが難しいほど繊細でやわらかく、ドイツの黒い森のケーキ(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)をイメージするケーキでした。
鉄道伝説
「鉄道伝説」は、日清戦争時に広島駅と宇品駅(宇品港)までの鉄道がわずか17日間で建設され、昭和61年の廃線まで蒸気機関車が走っていたというお話です。
広島市南区内には、宇品線の面影を残す廃線跡がいくつか現存しています。
(宇品線廃線跡(線路モニュメント))
こちらは広島市南区旭町三丁目、旭町ポンプ場付近の宇品線廃線跡です。
この辺りは直線の道が続いており、かつて鉄道が走っていたことを物語っています。
【キャラメルポワールの小包み】
「鉄道伝説」にちなんだスイーツとして、グランドプリンスホテル広島から「キャラメルポワールの小包み」が販売されました。
(キャラメルポワールの小包み(グランドプリンスホテル広島・鉄道伝説)
蒸気機関車で運ばれてきた小包をイメージしたお菓子です。
リング(輪)のチョコレートは小包のひもやロープを、中身を包んでいるクレープは小包の箱や袋を表現されたものなのでしょう。
(キャラメルポワールの小包み(グランドプリンスホテル広島・鉄道伝説・中身)
洋梨(ポワール)のコンポートと洋梨のキャラメリゼが生クリームとクレープで包まれています。
土台はチョコレートクッキーです。
小包が届いた時のワクワクと、それを開けた時の楽しみをイメージさせてくれるお菓子でした。
【宇品の思い出】
もう1つ、「鉄道伝説」にちなんだスイーツとして、ルードゥメールから「宇品の思い出」が販売されました。
(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説・パッケージ))
宇品線を走っていた蒸気機関車と、宇品の夏の風物詩である花火をクッキーで表現されたものです。
(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説・中身))
クッキーやマドレーヌなどの焼菓子と一緒に、詰合せパックで販売されていました。
(宇品の思い出(ルードゥメール・鉄道伝説))
左上が花火を、右下が蒸気機関車を表現したクッキーです。
クッキーに白いフォンダン(糖がけ)で描かれています。
蒸気機関車の黒は石炭…ではなく竹炭が使われています。
花火の鮮やかな装飾は、ラズベリー、乾燥イチゴ、チョコチップ、ナッツで表現されています。
今と昔の宇品を表現したクッキーでした。
天女姫伝説
「天女姫伝説」は、平清盛と常盤御前の娘(天女姫)が疱瘡(ほうそう・天然痘、顔や体に発疹(ほっしん)ができる伝染病)で亡くなり、神のお告げにより「向灘(むかいなだ)・仁保嶋(にほじま)」の地に葬られ、疱瘡神社に祀られているというお話です。
京の都で幸せに暮らす天女姫は、突如、疱瘡の病にかかってしまいます。
その知らせを聞いた平清盛は、病気の回復を祈るため、天女姫を船に乗せ、安芸の国・厳島神社へと向かいます。
(天女姫・厳島神社への船旅(天女姫伝説))
「南区七大伝説 天女姫伝説」南区魅力発見委員会から一部引用
しかしながら、その祈りもむなしく、天女姫は亡くなってしまいます。
(天女姫の最後(天女姫伝説))
「南区七大伝説 天女姫伝説」南区魅力発見委員会から一部引用
平清盛の気持ちはわかりますが、病気で苦しんでいる天女姫を京都から広島(厳島神社)まで船で連れ出すのはちょっと…。
そして神のお告げのままに、天女姫の亡骸は向灘・仁保嶋の地に葬られ、疱瘡神社が建立されたのです。
私も神のお告げがなされた広島市南区堀越にある疱瘡神社を目指しました。
(堀越公園の天女姫伝説看板)
途中、堀越公園に天女姫伝説が紹介された看板がありました。
(天女姫伝説看板)
「堀越」という地名は、平清盛が愛娘が眠る地が狼や狐に荒らされては大変と、掘り切って渡れないようにしたことに由来するようです。
細い路地をしばらく登り、疱瘡神社にたどり着きました。
(疱瘡神社)
民家の中にある、こぢんまりとした神社です。
近くに石碑がありました。
(疱瘡神社・天女姫石碑)
「疱瘡神社」・「祭神 天女姫神」とあり、頂点には天女姫が好きだった手毬も置かれています。
天女姫伝説を今に伝える神社です。
【レイディー】
「天女姫伝説」にちなんだスイーツとして、トレモロから「レイディー」が販売されました。
(レイディー(トレモロ・天女姫伝説))
皆に愛された天女姫をイメージしたスイーツです。
白いメレンゲ、ハート型のチョコレート、粒々の雛あられで天女姫の着物が表現されています。
(レイディー(トレモロ・天女姫伝説・中身))
土台はスポンジケーキで、その上にホワイトチョコレートの白いムースとイチゴが入ったピンク色のムースが詰められています。
さらにイチゴのムースの中に真っ赤なベリージャムが入っていました。
甘酸っぱいイチゴの風味を楽しむことができました。
【手毬(カホンプラス・天女姫伝説)】
もう1つ、「天女姫伝説」にちなんだスイーツとして、カホンプラスから「手毬」が販売されました。
私はイベント会場で購入しましたが、実習で店頭販売されていた進徳女子高等学校の生徒さんが時間をかけて丁寧に箱詰めしてくださいました。
(手毬(カホンプラス・天女姫伝説・箱詰))
そーっと崩さないように取り出して…
(手毬(カホンプラス・天女姫伝説))
こちらが「手毬」です。
(手毬(カホンプラス・天女姫伝説・中身))
サブレとマドレーヌを台とし、その上にピンク色のフランボワーズのムースとこしあん入りの抹茶ムースが盛られ、全体がフランボワーズのチョコレートでコーティングされています。
和のテイストも取り入れた、かわいらしい天女姫をイメージするケーキでした。
スタンプラリーのプレゼント
「みなみく七大伝説スイーツ2023」では、スタンプラリーも実施されました。
今回参加された6店舗やイベント会場で関連スイーツを購入すると、スタンプ用紙にお店のスタンプが押され、スタンプ3つめのお店でお菓子がプレゼントされるという企画です。
1つのスイーツで1スタンプ押され、私はすべてのお菓子を購入したので、何度も達成しました(笑)
各店舗共通の決まったお菓子がプレゼントされるのかと思っていましたが、「達成したら店頭の500円以内のお菓子をプレゼントする」という企画のようでした。
(アニバーサリーのクッキー)
最初に達成したアニバーサリーでは、私が選んだ2種類のクッキーをプレゼントしていただきました。
(トレモロのレモンケーキ)
2回目に達成したトレモロでは、私が「黄金山伝説」でも御紹介したレモンケーキを選び、プレゼントしていただきました。
(ルードゥメールの焼菓子)
3回目に達成したルードゥメールでは、お店の方がチョイスした焼菓子をかわいい紙袋に入れてプレゼントしていただきました。
スイーツをたくさん買いましたが、その分リターンも大きいイベントでした。
まとめ
「みなみく七大伝説スイーツ」を毎週少しずつ購入し、結果的に12種類すべてのスイーツを味わうことが出来ました。
(みなみく七大伝説スイーツ2023リーフレット(スイーツ紹介))
今回のイベントを通じて、それぞれのスイーツを味わうだけでなく、その背景にある広島市南区の伝説や歴史・史跡まで学ぶことが出来ました。
それは地元の魅力を再発見し、愛着を持つきっかけにもなりました。
来年も開催してほしいな。
広島市南区から発信しておりますコウジ菌伝説。
今年も御愛読いただき、ありがとうございました。
来年が皆様にとって良い年でありますように!
<関連サイト>
「ひろしま南区スイーツ委員会」
「進徳女子高等学校国際食育デザイン科」(広島市南区皆実町一丁目1-58)
「グランドプリンスホテル広島」(広島市南区元宇品町23-1)
「ルードゥメール」(広島市南区宇品海岸二丁目23-29)
「トレモロ」(広島市南区西霞町2-12 ネスト西霞1F)
「カホンプラス」(広島市南区東雲本町2-9-8)
<関連記事>
「ひろしま南区スイーツフェア -南区3名山(似島(安芸小富士)・黄金山・比治山)と代表花(ミモザ・桜・広島椿)のスイーツ-」
「日本のバウムクーヘン発祥の地・似島 -似島とカール・ユーハイム,似島バウムクーヘン-」
「日本のバウムクーヘン100周年イベント -2019広島みなとフェスタ・バウムクーヘン博覧会 2019-」
<参考文献>
リーフレット「みなみく七大伝説スイーツ2023」(ひろしま南区スイーツ委員会)
リーフレット「南区散策ガイド みなみ区を行く」(広島市南区地域起こし推進課)
冊子「南区七大伝説 天女姫伝説」(南区魅力発見委員会)
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コメント
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どれもこれも美味しそうなケーキばかりですね。
食べてみたいのはムースショコラでしたが、見た目では手毬の球体の美しさが群を抜いています。
今年もいろんな食の情報をありがとうございました。
来年もあちこち出かけていろんなものを召し上がることできるといいですね。
投稿: chibiaya | 2023年12月31日 (日) 15時12分
chibiaya 様
chibiayaさん、こんにちは。
何かと多忙な大晦日までお気遣いいただき、ありがとうございます。
「ムースショコラ」は、確かに完成度が高く、きっとchibiayaさん好みのお味だと思います。
もうちょっときれいにカットできれば良かったのですが(笑)
「菓子伝説」のお菓子ですが、カール・ユーハイムのバウムクーヘンにこだわると、創作できる範囲が限定されてしまうのでしょうね。
そして見た目では私も「手毬」が群を抜いていると思います。
断面を見ても、どうやって中に抹茶のムースを入れたのだろうか?と不思議に思いました。
今年も当ブログにお付き合いくださり、ありがとうございました。
来年もあちこち行けたらいいなと思っております。
良いお年をお迎えください!
投稿: コウジ菌 | 2023年12月31日 (日) 16時13分
ムースショコラ~キルシュトルテ風~は各国首脳にも召し上がって頂きたいスイーツですね(^^)
今はクロネコヤマトがトラックで運んでいますが、昔は長〜い貨物列車が小包を運んでいましたね!
何だか懐かしい響き^ ^
天女姫伝説は初めて知りましたが、大河ドラマ「義経」で後藤真希が演じたのを憶えています(^^)
手毬(カホンプラス・天女姫伝説)カワイくて、女子高生に人気がありそう(^.^)
こちらでは『やりすぎ都市伝説』 という番組をやっていますが『食べすぎコージ伝説』にならない様お気を付け下さい(^.^)
という事で、来年も宜しくお願いしますm(_ _)m
投稿: なーまん | 2023年12月31日 (日) 17時21分
なーまん 様
なーまんさん、こんばんは。
何かと多忙な大晦日までお気遣いいただき、ありがとうございます。
ムースショコラ、そうですよ、グランドプリンスホテル広島のスイーツなんですから、G7広島サミットの時にお出しすれば良かったですよね。「地元の伝説のお菓子」だと説明して(笑)
小包の貨物列車、そう言えば最近はトラックが主流で、あまり見かけなくなりましたね。
私の自宅の近くに、蒸気機関車が走っていたなんて、想像だにできませんが…。
天女姫、大河ドラマ「義経」で登場したのですね!
確かに手元の冊子にも「姫は牛若丸(義経)の妹」と紹介されています。勉強になりました<(_ _)>
スイーツの「手毬」、女子高生のアイデアなので、女子高生にウケるでしょうね(笑)
よくこんな手の込んだケーキを作れるなと感心しました。
パティシエの方も、「商品化までの道のりが大変苦労した」とおっしゃってました。
都市伝説に迫る番組「やりすぎ都市伝説」、確かにテレビ東京系なのでこちらでは視聴できませんが、面白そうな番組ですね。
「飲みすぎ」はないにしても、「食べすぎ」はやっちゃいそうです。
年の瀬ギリギリまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
良いお年をお迎えください!
投稿: コウジ菌 | 2023年12月31日 (日) 17時46分